ソフト/クワイエット

劇場公開日:

ソフト/クワイエット

解説

マイノリティへの偏見を持つ白人女性たちがあるトラブルをきっかけに取り返しのつかない事態に陥っていく様子を全編ワンショット&リアルタイム進行で描いたクライムスリラー。

郊外の幼稚園に勤めるエミリーは、「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義グループを結成する。教会の談話室で開かれた初会合には、多文化主義や多様性を重んじる現代の風潮に不満を抱える6人の女性が集まる。日頃の鬱憤や過激な思想を共有して盛りあがった彼女たちは2次会のためエミリーの家へ向かうが、その途中に立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹と口論になってしまう。腹を立てたエミリーたちは、悪戯半分で姉妹の家を荒らしに行くが……。

「ゲット・アウト」のジェイソン・ブラムが製作総指揮を手がけ、これが長編デビュー作となるベス・デ・アラウージョがオリジナル脚本・監督を務めた。

2022年製作/92分/G/アメリカ
原題:Soft & Quiet
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2023年5月19日

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(C)2022 BLUMHOUSE PRODUCTIONS, LLC. All Rights Reserved.

映画レビュー

5.0エコーチェンバーホラー

2023年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これは恐ろしい。白人至上主義者の女性たちが集まり、みんなで話しているうちに妄想が膨らみ、自分たちは正しいという気持ちにとらわれ、殺しに発展する。ブラムハウスは『ゲット・アウト』などの傑作ホラーを放ったこともあるプロダクションだが、これも人種問題を描くホラーとして秀逸だ。
描く内容と手法がマッチしている。全編ハンドヘルドのカメラによるワンショットムービーなのだが、観客は白人至上主義者たちの会合に参加しているかのような感覚を覚える。そこでじっくり彼女たちの話をついつい聞いてしまうと、案外そっちの方向に引っ張られてしまうのだ。悪意の増幅装置としての情報のエコーチェンバー状態がいかに恐ろしいものかを追体験させてくれる手法になっている。
しかも、これがある種のシスターフッド映画として提示されているのが強烈だ。女性たちは連帯することで強くなっている。ただ、その強さがヤバい方向に向かってしまうのだ。現代を描写した作品として非常に優れた一本。

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杉本穂高

4.0マイノリティの米国人女性監督による長編デビュー作。その勇気と力量に感服

2023年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

興奮

中国系アメリカ人の母とブラジル出身の父の間に生まれたベス・デ・アラウージョ監督は、2014年頃から短編映画やテレビドラマを手がけ、本作で長編デビューを果たした。脚本執筆のきっかけは、2020年5月にNYのセントラルパークで野鳥観察をしていた黒人男性に対し、白人女性が「脅されている」と嘘の通報をした様子が撮影された動画をSNSで見たことだったという。デ・アラウージョ監督自身も、差別されたり偏見をもたれたりした体験を明かしている。多様性尊重の時流に乗ったとはいえ、いまだに差別される側である有色人種の側から、白人優位社会に物申す意図を込めたクライムスリラーを初の長編映画に選んだ勇気と、資金を調達し完成、公開までこぎつけた突破力にまず感服する。

幼稚園教師のエミリーが、有色人種に不満を持つ白人女性たちを集めてパーティーを主催し、「アーリア人団結をめざす娘たち」というグループを結成するのが序盤。アーリア人について少し補足しておくと、広義にはインド・ヨーロッパ語族の人々の総称だが、ヒトラー支配下のナチスドイツではユダヤ人を除いたコーカサス(白色)人種と定義された。エミリーが持参したパイにハーケンクロイツの切れ込みを入れていたり、メンバーの一人がふざけてナチス式敬礼を真似したりしていることからも、彼女たちがナチス流の白人至上主義に心を寄せていることがうかがわれる。

インテリを気取るエミリーが自分たちの思想を広めるやり方として「表面はソフトに/ひそかに(quietly)心に入り込む」と皆に説くのだが、映画の後半、実際に彼女たちがとる行動はラウドでハードで暴力的な方向に展開していくのだから、なかなかに皮肉の効いたタイトルだ。

全編ワンショット&リアルタイム進行の仕掛けでエスカレートしていく緊迫感により、観客もまるでその場に居合わせているかのような感覚に圧倒されていく。演者たちと撮影監督の貢献も含め、約90分の加速するスリルを生み出した力量にも驚嘆させられる。これは好みが分かれるところだろうが、不穏さをあおるBGMはかえって作り手の演出意図が浮かび上がってしまい、BGM無しのほうがこの先に何が起きるのかわからないまま間近で目撃しているような臨場感がより際立ったのではと思った。

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高森 郁哉

4.0すごい

2024年3月17日
Androidアプリから投稿

ビヨンセがツアーダンサーを全員黒人で固めてそれでもステキ!なんて評価をされたりしてるのを見て、それ白人がやったら大騒ぎになるんでしょ?と本当に不思議だったんです。だからこの映画でも教会での会合まではうんうんわかるーなんて思ってたんですよ。でもダメどんどん分からなくなってくる。まずなぜパスポート盗もうになるのか全く理解できない。けど最初はひいてたエミリーが高校時代みたい!ってはしゃぐので何か掴んだ気がしました。さらにアンとリリーを虐待する感じ、子どもの悪質ないじめのよう。この人たちはどうやらド田舎から出たこともなく狭い世界で視野がせばまるのに任せて生きているんだね。にしてもまあエスカレートの仕方がひどいけど。

いくつか気になるところがあって、そもそもこんな店ならアンたちは来ないよね。普段は普通に来てるのに会合のあとで気の大きくなったキムが暴走したのかね、だとしたらアンたちにはホント迷惑な話。どうやらすごい田舎なのにエミリーが車(免許?)を持ってないのが不自然なのでこれに意味があるんだとしたら重要そうだから知りたい。明らかな犯罪者のレスリーよりマージョリーへの風当たりのほうが強いのは何で?これも意味があるなら重要そう。教会から出ていくときにマージョリーが「誘ってくれてありがとう」って言うとエミリーが「人がいなかったから」って言うのよ。これなかなかなシーンな気がするんだけどその後特に何にもつながらなかった。アメリカ人なら分かる何かが隠れてるならすごいけど意味なかったらひどい作りだと思う。

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三毛猫泣太郎

0.5感情のみ

2024年2月14日
iPhoneアプリから投稿

で愚かに殺人を犯す。設定に全て無理がある。

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ken

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