「舌鼓を打つ」ウィ、シェフ! ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
舌鼓を打つ
楽しげなポスターを観て気になったので鑑賞。
移民の子供たちが集まった施設に、前職のシェフを辞めて自分の店を建てるための開業資金を貯めるためにやってきたカティと子供たちの交流、葛藤を描く物語。
全体的にもっとポップな描き方なのかなと思っていましたが、移民問題をしっかりと取り上げますし、陽気な音楽はそこまで鳴らないので思っていたものとは違いましたが、なかなか良い作品でした。
最初は反発していたカティと子供達ですが、最初から懐いてくれる子もいれば、徐々にというか急激に距離を詰めたりして、料理の作法・手順を学んで、それを学習にも活かしていくという流れが素敵でした。
子供達もどんどん笑顔になっていきますし、料理する立ち位置をサッカーのポジションに例えてもらってからはウキウキで楽しそうでした。こういうの観たかったんだよなぁって感じの絵面でした。
移民問題の複雑さもしっかり描かれており、18歳を超えていたら強制送還、移民は冷遇されて職や進学も怪しいという、様々な問題を抱えた彼らにとっては辛い状況だろうなと思いました。
もう少し簡潔に描いてくれれば良かったんですが、途中途中入っては料理を作り…の流れが多かったので、移民の部分はしっかり一つ描き切って欲しかったなというのが本音です。
「THE COOK」という番組にカティが出て、他の料理人と戦ったりしますが、イマイチこの番組のルールやどう勝利するのかの基準が分からなかったので、この番組が展開されていた場面はピンとこないシーンが多かったです。
ディレクターサイドの声や、司会者が慌てまくるシーンも多く映されていましたし、子供たちがなぜか厨房に立っててカティは家で見てるという不思議な構図。中盤まで高まりが良かっただけに、このシーンは失速したなと思いました。子供達の進路が一気に開けていったのは良かったです。
カティ自身も施設で育っており、そこからシェフへの道を歩き出したので、子供達の境遇にとても寄り添いますし、子供達の育成に協力して子供達のための調理学校まで作り上げる(施設の責任者の手伝いもありつつ)と、ある種自分の店を持つ夢を叶えて終わる感じは、唐突かつ急ぎ過ぎな感じもしましたが、大団円なのでスッキリした終わり方でした。
もっと料理が美味しそうだったらなぁとは思いましたが、100分未満の尺でサクッと観れるので満足度は高めの一本です。
鑑賞日 5/11
鑑賞時間 12:40〜14:25
座席 E-12