劇場公開日 2023年4月21日

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「【”そして、独裁政権が始まった。”愚かしきロシア連邦初代大統領・エリツィンから大統領代行に選ばれたプーチンが出馬表明、公約を一切せずに大統領となり、その後一年を追った恐ろしいドキュメンタリー。】」プーチンより愛を込めて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”そして、独裁政権が始まった。”愚かしきロシア連邦初代大統領・エリツィンから大統領代行に選ばれたプーチンが出馬表明、公約を一切せずに大統領となり、その後一年を追った恐ろしいドキュメンタリー。】

2025年4月17日
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鑑賞方法:VOD

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■1999年12月31日、ロシア連邦初代大統領・エリツィンが”感動的なスピーチ”を国民にし、辞任し、後継者としてウラジーミル・プーチンを指名する。
 プーチン大統領候補の選挙用動画の撮影を依頼されたマンスキー監督は、選挙への出馬表明をせず、公約も一切出さずに“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録していく。
 そして、プーチンは50%を超える得票率で大統領となり、一年目の政権運営を始めるのである。

◆感想<印象的なシーンのみ>

・今作は、大変興味深く鑑賞した。手元にはこの映画のフライヤーがあるのだが、そこには若きプーチンと、彼の腰巾着のメドベージェフが映っている。

・プーチンが“選挙運動”を展開する中で、恩師の老いた女性を訪れるシーン。彼女と同級生と思しき男性は感激の表情で出迎え、満面の笑みで一緒に写真を撮るのだが、プーチンは口角を上げつつも目が笑っていないのである。
 そして、そそくさとその小さなアパートを去るのである。彼が少年時代に暮らしたペテルスブルグのアパートを思い出したのだろうか。

・エリツィンがご機嫌で、”彼を20名の中から選出したんだ。”と言いながら選挙の推移を家族、親戚とTVで観ているシーン。
 ゴルバチョフがTVに映り、コメントを求められると途端に不機嫌になり”何時まで喋っているんだ。”と言うシーン。そりゃあそうだろう。自分が追放した男は、ノーベル平和賞を受賞し、欧米では常に自分より遥かに人気があり、国内でも厳然たる影響力を持っていたのだから。

・そして、プーチン当選が確定し、自ら祝いの電話を掛けるもプーチンは不在。そして、マンスキー監督が述べる言葉”私が知っている限り、プーチンからの電話は無かった。”後半でも触れられるが、プーチンにとっては、大統領になった時点でエリツィンは不要なものになったのだから。

■最も、恐ろしいシーン。
 プーチンの当選祝いをする当時のシーンが映されるが、再びマンスキー監督の言葉が流れる。”この中で、現在もプーチンの傍に居るのはメドベージェフだけだ。多くは野党に行き、妻とも離婚。謎の死を遂げたモノもいる・・。
 プーチンが、異様に権力に固執するのは、信じるモノが自分だけという思想からだろうと、昔から思っていたが矢張り、そうらしい。

・プーチンが旧ソ連国家に異常に拘るインタビューシーン。彼は旧ソ連国歌のメロディを復活させ詩を付けてロシア国歌を「ロシア連邦国家」とした意味を饒舌に語るシーンは実に印象的である。
彼がKGBの叩き上げであり、そこから巧みにエリツィンに取り入って、政治家となった事は周知の事実であるが、今作を観ると実に頭の良い男である事が分かるし、彼が旧ソ連に深い愛着を持っている事が分かるのである。

<ラスト、再び家族と新年を迎えるエリツィン。だが、彼の顔に笑みはない。TVから流れる「ロシア連邦国家」。
 プーチンは一人、プールで泳ぎ身体を鍛え、愛犬と思しき犬と共に暗闇に去るのである。
 今作は、愚かしきロシア連邦初代大統領・エリツィンから大統領代行に選ばれたプーチンが出馬表明、公約を一切せずに大統領となり、その後一年を追った恐ろしいドキュメンタリーなのである。>

NOBU
かばこさんのコメント
2025年4月17日

たいへん興味深く貴重なドキュメンタリーだったと思います。
見られて幸運でした。

かばこ
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