プーチンより愛を込めて

劇場公開日:2023年4月21日

プーチンより愛を込めて

解説・あらすじ

ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンの素顔をとらえた2018年製作のドキュメンタリー。

1999年12月31日、ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンが辞任し、自身の後継者としてプーチンを指名した。3カ月後に行われる大統領選挙までの間、ロシアの新しい憲法と国旗は若き指導者に引き継がれることに。プーチン大統領候補の選挙用PR動画の撮影を開始したビタリー・マンスキー監督は、大統領選挙への出馬表明も公約発表もしないまま“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録。プーチンが大統領代行に就任してからの1年間を追った映像を編集し、ドキュメンタリー映画として完成させた。

選挙運動では控えめな印象のプーチンだったが、徐々にその本性が見えはじめる。プーチンがいかにして権力を握り、現在の統治国家を築きあげたのかを浮かび上がらせていく。

2018年製作/102分/G/ラトビア・スイス・チェコ・ロシア・ドイツ・フランス合作
原題または英題:Putin's Witnesses
配給:NEGA
劇場公開日:2023年4月21日

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(C)Vertov, GoldenEggProduction, Hypermarket Film-ZDF/Arte, RTS/SRG, Czech Television2018

映画レビュー

5.0 歴史的な証言になる映像

2026年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

驚く

この監督については詳しくは知らなかったのですが、今のプーチンからは絶対聞けない言葉が聞ける。
特に監督とプーチン二人で、警護がぞろぞろ居るわけでもなく二人きりで大統領執務室でにこやかに会話したり、夜のクレムリン内かどこかの歩道で二人会話しながら歩いたり、今だったら絶対に考えられない状況が多すぎて隔世の感がある。

それにプーチンの脆さみたいなものが見えたのも本当に貴重(今は絶対に見せない)。
特に監督がプーチンに対してソ連国歌を復活させたことを批判的に投げかけている場面は面白くて、君も理解すべきだ!と語気強めに言ったり、弱者に寄り添ってない意見だ!(これは普通に意味が分からなかった)とも言っていたのに、色々監督に矛盾点を指摘されると言葉に明らかに詰まって、うーん……確かに…でも……うーん…みたいに今のプーチンじゃ絶対見せない、言ってしまえば論破されているみたいな沈黙の場面が衝撃的。そして最後は結局、これは正しかった、君も賛同すべきだ、で押し切る。
なんとなく感じたのはプーチンの強みはコネと支配で、案外共感的なコミュ力とか理詰めのロジカルな会話には弱さがあるのかもしれない。もう今は誰も逆らわないから議論の機会は無いだろうけど…。
こういうところはトランプ大統領とか、もっと昔のヒトラーなんかも結構勢いと熱で押し切る根拠不明なタイプだったけど近いものを感じる。
少しでも批判されると「国民を想ってない!」と高速でまくし立ててくる脆さもトランプやヒトラーに似ていた。

プーチンの支配は本人がもうすぐ寿命なのは明確だし運が悪ければ暗殺か何かで終わるだろうが、そのあとに控えているのはメドベージェフみたいなもっと極右的な人物だから、ロシアで政府批判が出来るような自由な社会は当分訪れないだろうと思うととても悲しい。
それにプーチンは自分の死が迫っているのを理解しているだろうから、何か"偉大な"ものを作り上げるためにウクライナ侵略の次のビジョンの種を既に蒔いているのではないかという恐怖を感じる。

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IchigoChoco

4.5 距離の近さが貴重

2025年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

もう四半世紀前の話になるのか。
プーチンが今の地位に就くまでと、後をまとめたドキュメンタリー。

気付けばけっこう昔のことで、いまさらどうだったかが曖昧ゆえ、本作を観て改めてそうだったのかと思う。
誰も民主主義についてを、その危険や責任をよく分からないままただカタチをなぞり、手探りであの選挙は行われたのだろう。態度で示すとはいえ、公約の一つも上げずでは今の選挙では胡散臭すぎて、さすがに選択枝には残らないはずだ。

したたかに人心掌握。淡々と本懐を成し遂げてゆく氏の抜け目なさがとにかく目を惹いた。
本当にソ連時代へ戻りたい、と訴える人がいるのかどうかは別としても、人生の大半をそこで過ごしていたならアイデンティティクライシスは想像できる。ソ連時代へ戻そう、という思想を持つことも変ではないと感じた。
ただそれはあくまでアイデンティティの範疇であり、そのために他国を脅かしていいとは思えない。氏が見る国家の姿はやはり、想像しづらい。

撮影者かつインタビュアーである本作の監督は今、健在なのだろうか。
氏の初当選時、そばにいた選挙事務所のメンバーのほとんどが野党に移る、もしくは死亡していることを考えるとうすら寒さを覚えるしかない。
また後押ししたエリツィンの、カヤの外感がとにかく切なかった。彼も民主主義を勘違いして、方法を誤った一人だとしか思えない。

公務を通して観る氏とはまた違う側面が垣間見える本作は、ともかく貴重な記録だった。

プーチン若い。
冬の長いロシアにおいてスーツにコート姿が多い画面が妙にゴージャス。ドキュメンタリーというより、古き良きアメリカ映画を観ているような雰囲気さえあった。

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N.river

4.0 【”そして、独裁政権が始まった。”愚かしきロシア連邦初代大統領・エリツィンから大統領代行に選ばれたプーチンが出馬表明、公約を一切せずに大統領となり、その後一年を追った恐ろしいドキュメンタリー。】

2025年4月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

■1999年12月31日、ロシア連邦初代大統領・エリツィンが”感動的なスピーチ”を国民にし、辞任し、後継者としてウラジーミル・プーチンを指名する。
 プーチン大統領候補の選挙用動画の撮影を依頼されたマンスキー監督は、選挙への出馬表明をせず、公約も一切出さずに“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録していく。
 そして、プーチンは50%を超える得票率で大統領となり、一年目の政権運営を始めるのである。

◆感想<印象的なシーンのみ>

・今作は、大変興味深く鑑賞した。手元にはこの映画のフライヤーがあるのだが、そこには若きプーチンと、彼の腰巾着のメドベージェフが映っている。

・プーチンが“選挙運動”を展開する中で、恩師の老いた女性を訪れるシーン。彼女と同級生と思しき男性は感激の表情で出迎え、満面の笑みで一緒に写真を撮るのだが、プーチンは口角を上げつつも目が笑っていないのである。
 そして、そそくさとその小さなアパートを去るのである。彼が少年時代に暮らしたペテルスブルグのアパートを思い出したのだろうか。

・エリツィンがご機嫌で、”彼を20名の中から選出したんだ。”と言いながら選挙の推移を家族、親戚とTVで観ているシーン。
 ゴルバチョフがTVに映り、コメントを求められると途端に不機嫌になり”何時まで喋っているんだ。”と言うシーン。そりゃあそうだろう。自分が追放した男は、ノーベル平和賞を受賞し、欧米では常に自分より遥かに人気があり、国内でも厳然たる影響力を持っていたのだから。

・そして、プーチン当選が確定し、自ら祝いの電話を掛けるもプーチンは不在。そして、マンスキー監督が述べる言葉”私が知っている限り、プーチンからの電話は無かった。”後半でも触れられるが、プーチンにとっては、大統領になった時点でエリツィンは不要なものになったのだから。

■最も、恐ろしいシーン。
 プーチンの当選祝いをする当時のシーンが映されるが、再びマンスキー監督の言葉が流れる。”この中で、現在もプーチンの傍に居るのはメドベージェフだけだ。多くは野党に行き、妻とも離婚。謎の死を遂げたモノもいる・・。
 プーチンが、異様に権力に固執するのは、信じるモノが自分だけという思想からだろうと、昔から思っていたが矢張り、そうらしい。

・プーチンが旧ソ連国家に異常に拘るインタビューシーン。彼は旧ソ連国歌のメロディを復活させ詩を付けてロシア国歌を「ロシア連邦国家」とした意味を饒舌に語るシーンは実に印象的である。
彼がKGBの叩き上げであり、そこから巧みにエリツィンに取り入って、政治家となった事は周知の事実であるが、今作を観ると実に頭の良い男である事が分かるし、彼が旧ソ連に深い愛着を持っている事が分かるのである。

<ラスト、再び家族と新年を迎えるエリツィン。だが、彼の顔に笑みはない。TVから流れる「ロシア連邦国家」。
 プーチンは一人、プールで泳ぎ身体を鍛え、愛犬と思しき犬と共に暗闇に去るのである。
 今作は、愚かしきロシア連邦初代大統領・エリツィンから大統領代行に選ばれたプーチンが出馬表明、公約を一切せずに大統領となり、その後一年を追った恐ろしいドキュメンタリーなのである。>

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NOBU

4.0 貴重な映像

2023年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

プーチンが大国ロシアの大統領となり、指導者となる様を描いた貴重なドキュメンタリー映像です。
映画のパンフレットに監督のインタビュー記事がありますが監督は

「自由は美しくデリケートな花で、絶え間ないケア、直射日光からの保護、水やり、風からの保護が必要です。自由は非常にデリケートで傷つきやすい生物であり、注意深く監視することが必要です。そのため、自由を守ってください。自由がなければ人生に意味がないので、注意深く、慎ましく自由を庇護してください。(略)どの国であっても、どの民族であっても、自由と民主主義が保証されているわけではないと強く申し上げておきたいです。」と自由の大切さを力説しています。これは、同じパンフレットに記載がありますが、プーチン大統領が就任して1年目に、全ての独立系のメディアを根絶してしまったことを受けての感想になると思っています。

私は常々、自由である国、日本に生まれたことに感謝しています。ロシアとプーチン大統領に興味のある方にはお薦めします。素晴らしい映画を製作してくれた監督と関係者のみなさまのご尽力に深く感謝いたします。
ありがとうございました。

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松村 訓明(まつむら のりあき)