アイスクリームフィーバー

劇場公開日:

アイスクリームフィーバー

解説

芥川賞作家・川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」を原案に、世代の異なる4人の女性の思いが交錯する姿をつづったラブストーリー。

常田菜摘は美大卒業後にデザイン会社に就職するもうまくいかず、現在はアイスクリーム店でアルバイトをしている。今後の身の振り方について思い悩む彼女は、常連客の作家・橋本佐保に運命的なものを感じ、彼女の存在が頭から離れなくなる。菜摘のバイト仲間で後輩の桑島貴子は、そんな菜摘を複雑な思いで見つめていた。一方、アイスクリーム店の近所に暮らす高嶋優の家に、疎遠になっていた姉の娘・美和が急に訪ねてくる。数年前に出て行った父を探しに来たという美和との突然の共同生活に戸惑う優だったが……。

吉岡里帆が菜摘役で主演を務め、モトーラ世理奈が佐保、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の詩羽が貴子、松本まりかが優をそれぞれ演じる。広告、ファッション、テレビドラマなど多方面で活躍するアートディレクターの千原徹也が初メガホンをとった。

2023年製作/103分/G/日本
配給:パルコ
劇場公開日:2023年7月14日

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(C)2023 「アイスクリームフィーバー」製作委員会

映画レビュー

3.5発明と革命を前夜に夢見て

2024年4月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

こういう作風が好きだからこそ、少し中身のリンクが欲しかったなぁとは思いつつ、その柔らかさと独創性がやっぱり掴んで離さない。唯一無二にして、美しい。

アイスクリームを軸に映されるのは、他人が伺うことの出来ない曇った表情。凛としていても溶け出す心にふと惹かれてみたり。等身大を描き切らないキャラクターの引き立ちはもちろんのこと、一瞬の仕草も逃さない独創的なカメラワークが引き込んでくる。言葉の可視化というより、それのデザインするように。ありきたりな映画に終止するのではなく、憧れと挑戦の爪痕が滲む。よって、普遍的な人間模様もカラフルに写っていく。衝動、はたまた天変地異。運命をひっくり返すような出来事であるとセンセーショナルに描いていく。

原作がある手前、言葉選びのデザイン化が必ずしも良くなるとは限らない。群像劇にしては混ざり合いが少し足りず、並行して起こる物語の輪郭を掴むまでになかなか時間がかかる。あくまでも個人は個人。そんな雰囲気映画がしばらく続いたのは勿体ない。そんな中でも、詩羽さんやマカロニえんぴつのはっとりさんといったキャストの使い方が光り、これまた他とは異なる作品の色を出していく。また発明といえる。

主演は吉岡里帆さん。迷い続ける等身大の姿が刺さるし、この華やかな作品にバニラのような香りを感じさせ、真ん中を貫く様が見事。モトーラ世理奈さんやMEGUMIさんが引き立つのもそこなのだ。また、松本まりかさんが過去1と言っていいくらい良い。相性抜群。不思議な雰囲気と絡み合う演技がバチッとハマっていて終始作品を鮮やかにしていた。南琴奈さんも良かったなぁ…。

センスやアイデンティティを表現することへの面白さ、難しさ。それを常に描いてきた千原徹也監督の新たな挑戦。その才能が世界を彩るように、私はここだよと叫べるように自分を問い続けたい。

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たいよーさん。

3.5オランダ映画の雰囲気。アートとして視覚的に楽しむ作品。

2024年1月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

この作品を観終えてみて、正直内容の面白さはあまりなく、視覚的要素が重視の作品だったんだろうなと思いいざ調べてみたら、やはりアートディレクターの千原徹也さんの監督作品でした。しかもこの方初監督とのことで。
お洋服や小物がまさにアートに携わる方のそれでした。
そしてこの映像の感じって稀にありますよね。そちらも調べてみるとCinema Line FX3での撮影だったようですね。あえてスマホ撮影のような画質にこだわったところはこの作品においてはいいと思いました。
この手法はショートフィルムにありがちな部分もありますが、オランダ映画に多い気がします。
ここ最近題材とアート思考が似たオランダのホラコメショートフィルム「Hitte」を観たからかもしれませんが。

あと配役が秀逸でした。皆さんこの作品のイメージに合った方々ばかり出演されているなと。
個性派揃い。モトーラ世理奈さんや詩羽さんが特にそんな感じです。どちらの方も以前から存じ上げておりました。唯一無二のアンニュイさを兼ね備えたお二人です。
個人的には松本まりかさんが素晴らしかった。髪型が特に好きでしたが、雰囲気が過去一で好み。作品においても松本まりかさんが今まで演じられた役柄の中で一番好きになりました。素敵です。

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あおねる

3.0惜しい、惜しすぎる!!

2024年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

二組(プラスひとり?) の女性たちの話。彼氏をとられ姉とケンカ別れした妹の家に、姉の娘が「お父さんを探す」と突然転がり込んでくる話と、デザイナーを辞めて働くアイスクリーム屋で女性小説家と運命的な出会いをする女性(プラスそこの従業員) の話。

こう書いていても思う。惜しい映画だ。独特な画角。グザヴィエドラン監督「Mommy」でも用いられた "1:1のアスペクト比" は、主人公の個を強調するポートレイトショットとして有効な画角で、余計なものが足せない分キャラクターが主役になり、観客の視線を集中させることができると言われている。そしてそれは見事にハマっていた。その中に描かれる映像の明るさは、とても好感。

ただ、ストーリー展開に直接関係なく度々はさまれる映像、唐突な場面転換。こういった点はMVの監督ならではのいい点なのかもしれないが、展開理解を極端に妨げていると感じるので、やり過ぎ感、しゃらくさ感が拭えない。いいと感じた割合と悪く感じた割合が俺の中では 1:9~2:8 なので 「いいとこあるのに、残念至極な映画だった。川のほとりで2人が語るシーン、ベランダの天井に描かれた花びらに茎葉を付け加える/何も感じることなく消し去る という対比シーン、二人でスケートボードのスラローム感と、主題歌の心地よいジャストフィット感に加えそれを背景にスケボーに乗る二人、・・・いいシーンはほんとうに心に残るのに・・・ 撮りたいシーンを単につなげていくだけでは、素敵な映画にはならないってことか。映画って難しいんだね・・・あまりに惜しい!!

おまけ
あと、場面に対する音楽の使い方も、よくいえば独特・個性的、普通に言うと変だよ。
そしてインパクトカラーとしてのビビッドな黄色。絵的には「よく効いていた」だが、映画的にはどうなんだろうな。

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CB

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