「スピーディな展開が魅力」スモールワールド つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
スピーディな展開が魅力
前半はウーラの誘拐から始まるスリリングな展開で、とにかくスピード感がスゴイ。
ポーランドからロシア、ウクライナ、モルドバと見つけては逃げられるを繰り返す。
行く先々で変態野郎を見せつけられる展開だが、不快さが後半になるにつれ上がっていくのもスゴイ。
一番最初にウーラを手元に置いていたオレグが普通の良い人に思えてくるほどだ。
そして後半は、何年もかけて執拗にウーラを追い続ける主人公ロベルトが、彼女に固執する理由は?そしてウーラの運命やいかに。というのが物語の中心だ。
舞台もタイに移動し、五カ国目。
ロベルトは深淵を覗いてしまい、それにとらわれて自分を見失っていくわけだが、ある程度素質がないとそうはならないと思うんだよね。
洋画ではよく、小さい子の裸の写真などで「吐き気がする」などというが、小児性愛者でなければ正しい反応は「無」だ。
ちょっと酷い表現かもしれないけれど、子どもの裸なんて服を着ていない犬猫と同じだ。
犬猫に性的な感情がないから「無」なわけで、子どもに対しても同じ。
つまり「吐き気がする」などと過剰な反応をしている人は潜在的に性的な目で見ているということになる。
途中カウンセリングを受けたロベルトは精神科医から、仮に小児性愛者だとしても何もしなければ罪ではないと免罪符をもらうが、ロベルト本人は自分の心を受け入れられず苦しむことになる。
そしてラスト。ヤバい儀式の集団を抹殺したロベルト。
そのあと自らの命を絶とうと引き金を引くが不発。
ある意味で、神に許された瞬間なのだが、残念ながらロベルトは自分自身を許せない。
汚らわしい感情が芽生えてしまったこと自体を許せないのだ。
展開が早く、ウーラの変化、ロベルトの変化、ゲス野郎どもの饗宴など見所も多く面白かった。
ロベルトのせいで最後どうなるのか定かではないところもいい。