劇場公開日 2023年6月2日

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「子どもの世界は大人の世界の写し鏡」怪物 komomo_chataさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5子どもの世界は大人の世界の写し鏡

2023年6月13日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

残酷すぎて泣けて仕方なかった。
パンデミック後の世界。
この時代に生きる子どもたちと大人。
…そして少年のある感情の芽生え

彼らの世界が一番しっくり来た。
(そうは言っても大人から見た彼らの世界であり、彼らの目には別の世界が映っているんだろう。)

仕合せにはなれない。
子供ももうそれを解っている。

湊のアップ

今一瞬が美しいと、切り取る側も解ってる。監督も、脚本家も、カメラマンも解っている。気づいてないのは少年だけ。或いは気づいているのか…。
大人に変わるほんの一瞬の悪魔的な美しさ。是枝監督はそんな少年を画面にとじ込めるのがとても巧い!

幸福そうな映像や音楽(彼らの心象風景なんだろうか?)でいて、いきなり終わるような予兆もそこかしこにある。その刹那、儚さに涙が流れた。

薄日差す風景が度々映る。一見すると何も起きてはいない。町はいつも通りだ。
これは何を意味してるんだろう…。

あの廃電車
ワイパーのように泥を掻き分ける手や丸い模様。
子供の世界に大人が土足で入ってきた。
彼らは彼らの世界でもう生きている。

子どもは大人の写し鏡。
残酷な“今”に生きていかなきゃならない。
次世代に託すしかない大人側の責任をひしひしと感じる。せめて逞しく生きて行って欲しいと祈るしかないのか…。

楽器の音。あれこそ怪物の唸り声じゃあないのかな。

永山瑛太
ある面から見ると挙動不審に見えるが、別の面から見ると誰も気づかないような事に気づいたりする。

田中裕子

人間の年輪
年の功
擬似祖母

ラストシーンが強烈。
この締めくくり方はスゴい!さすが。

湊と依里の髪型、トレーナーがいつの間にかお揃いになっていた。
黒川想矢(湊)…心の揺れ、ヒリヒリするような演技が素晴らしかった。
柊木陽太(依里)…彼の演技は天性のものなのか?

火事で始まり、嵐で終る。

是枝裕和監督、坂元裕二氏、黒川想矢さん、柊木陽太さん、田中裕子さん、俳優の皆さんに拍手を!!

是枝監督はまた別次元に行った。

怪物ならぬ、怪作!

komomo_chata