こんにちは、母さんのレビュー・感想・評価
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昭和のテイストだけでなく、時代を越えた「親子の情」を味わうことができる
台詞回し、カメラアングル、カット割りと、何から何まで「山田洋次」印の映画で、その健在ぶりに驚かされるし、それが嬉しくもある。
実年齢と相応の役柄を演じる等身大の吉永小百合も良いが、山田洋次らしい軽妙なコメディにピタリとはまっている大泉洋も楽しませてくれる。
何よりも、劇中の台詞にもあるように「肩の力を抜いて、朗らかに」映画を撮っていることが伝わってくるのが心地よい。
その一方で、リストラをする側とされる側の葛藤があったり、年老いた母親の恋を素直に喜べなかったりと、良くも悪くも「昭和」の世相や価値観がチラホラして、今の時代とのミスマッチ感は否めない。
誰もが気軽に上がり込んで、集会所のようになっている母親の自宅兼店舗は、会社や家庭での人間関係に疲れた息子や孫娘のシェルターにもなっているが、そうした人情味に溢れた下町の風情も、こんな場所があったらいいなと思う反面、残念ながら、ファンタジーにしか感じられない。
大企業の人事とホームレスの支援に優劣はないと言うのであれば、ホームレスにも、競争社会から脱落してしまったそれなりの理由があるということを描くべきなのに、代わりに東京大空襲のエピソードが語られることにも、違和感を覚えざるを得ない。
ただ、そうは言っても、仕事を失い、妻とも別れた息子と、失恋した母親が、明るく、幸せそうに見えるのは、切っても切れない親子の絆と、そこから生まれる暖かさと居心地の良さを感じ取ることができるからだろう。
これは、単なる「時代遅れの映画」ではなく、どんな時代でも変わることのない、普遍的な「親子の情」を再認識できる映画でもあるのである。
【”人事部長はツライよ!だが人として正しい行いをすれば災い転じて福となるのである。”今作は、名匠山田洋次監督のブレない人間性肯定の考えに基づき、登場人物を温かき目線で描く姿勢が心地よき作品である。】
ー 今作は山田洋次監督の母三部作「母べえ」「母と暮らせば」に続く作品だそうである。そして、ナント山田監督の通算90作目だそうである。
正に名匠である。
私は、山田監督の作品は、「寅さん」シリーズを代表とした、ブレない人間性肯定の姿勢が好きなのである。-
◆感想
・大企業の人事部長であるアキオ(大泉洋)は妻とは別居中。
大学生の娘マイ(永野芽衣)は妻と同居しているが、頻繁に家を空ける。
ー ”大泉洋さんが人事部長ってどーよ!”と思っていたら、ビシッとネクタイ&背広姿が決まっている。うーむ。参ったなあ。(何がだ!)-
・臍出しファッションのマイを演じた永野芽衣さんの黒いネイルが似合っているなあ、と思っていたら悩んでいたアキオが母フクエ(吉永小百合:日本の女優さんの中で、最も不老で品性高き方である。オーラも凄い。)の家に良い歳なのに、暗い顔をしてやってくるのである。
ー 男という生き物は、何故に母親に弱いのであろうか。(私だけか?)-
・フクエは一方、明るい顔。活き活きとボランティア活動をしている。更に”そのリーダーである牧師さん(寺尾聡)に恋をしているらしい。”とマイに聞いて尚更、落ち込む姿が可笑しい。
ー 確かに、母親が恋をしていると知ったら正直複雑であるが、息子とはそんなものである。-
■アキオの漢気溢れるシーン
・同期入社の課長キベ(工藤官九郎)が会社のリストラ候補になっている事を知りながら、その事実を立場上、言えないアキオ。だが、キベがその事実を知りアキオの席に来て”酷いじゃないか!”と言うシーン。
内心、あんまり仕事してこなかったから40代後半で課長じゃないのかい、と一瞬思ったが弾みで上司の腕を扉に挟んだだけで、懲戒解雇はないんじゃないか?せめて、昇給停止か降格だろうと思っていたら、悩み抜いたアキオが自らの地位を投げ打ってキベの首を守るシーン。
アキオ自体が、人事部長の仕事に嫌気がさしていた事がキチンと描かれているし、彼の友を想う姿が男である。重ねて記すが”人事部長はツライよ!”。
ここで、序盤に母、フクエが言った言葉が効いてくるのである。
”切られる方が、切るよりましよ!”
山田監督は非正規雇用にも触れているし、今の日本の組織体制に静にお怒りなのだろうと思いながら観賞続行。何だか、申し訳ない気持ちになる。
・フクエたちがホームレスの頑固なイノさん(田中泯:矢張り良い俳優さんである。眼力とドスの効いた声が凄い。)を心配するシーン等も観ていて沁みる。
<今作の展開は、サラリーマンにとってはナカナカ厳しい内容では有ったが、山田監督は今の日本の組織体制に疑念を抱きつつも、キチンとした人情映画に仕上げているのである。
流石、邦画界が誇る名匠だなあと思いながら、劇場を後にした作品である。>
■2023年9月27日 追記。
NHK「プロフェッショナル」で今作を製作中の山田監督と吉永小百合さんの遣り取りを鑑賞した。山田監督が敬意を持ちつつ、吉永さんに掛ける厳しき言葉。
吉永さんは、映されないのに、足袋職人の女房役として、ミシンで足袋を縫う練習をしている。更にジムでトレーニングをしている。
山田監督が言った”映画を観終わって、ああ面白かった。腹が減ったな、何て言われる映画が良いね。”と言う言葉も含蓄があるし、改めて映画を製作している方々の映画愛を感じたドキュメンタリーであった。
何しろ、嬉しかったのは吉永さんが、”マダマダ、続ける。”と言って下さった言葉であった。
洋次ワールド。
会社とプライベートで色々と悩みがある昭夫と夫に先立たれた昭夫の母福江の話。
神崎家の福江、昭夫の身の回りで起こる人情劇ストーリー。
作品観ての感想は、毎回思うんだけど吉永小百合、山田洋次監督の作品はファンが多いな!って感じ。
洋次が監督、脚本務めれば令和も昭和にタイムスリップ!(笑)
私が子供の頃、オヤジがテレビ放送を録画してた「男はつらいよ」を家族で観てたのを思いだしたんだけど、渥美清さんが生きてたら山田洋次監督はこの世界観の作品を撮り続けたいんだろうなと...個人的に思った。
大泉洋も洋次ワールドの世界観に入ってしまえば昭夫の喋り方、泣き方、転び方も少し寅さんに見えて、笑えて、懐かしい、暖かい、幸せな気持ちになれました!
福江の独り身になっての恋愛はいいんじゃない!若くいれる秘訣よ!
評価は3.5だけど面白かったです。
正反対の位置に置かれている母と息子の訪れる運命に非常に感動した
山田洋次監督と吉永小百合さんのコンビの映画は、「母べえ」が大好きなので期待していましたが、久々に映画らしい素晴らしい作品に出会えました。
母の福江は夫を失っており、自由奔放に生きていました。一方、息子の昭夫は会社の人事問題や離婚で八方塞がりの状態で、母とは正反対の状況です。
後半は涙が溢れそうな場面の連続で、最後でタイトルの意味が分かります。
人生は多くの人が苦労の連続ですが、案外生きていれば何とかなるかもしれないということを感じさせてくれる映画でした。
娘役の永野芽郁さんも存在感があり、物語に良い味つけをしていました。
良くも悪くも『山田洋次』
今の吉永小百合を1番良い形で撮ることが出来るのは山田洋次だと思う。
飾ることなく年相応の吉永小百合を上手く活かす作品です。
ただ山田洋次作品にありがち?(まぁ映画全体と言えなくも無いけど)ストーリー展開のご都合主がありすぎて…
ここであるよな⁈って場面で必ず一悶着ある(笑)
もうワザとだろ!って。
永野芽郁もすっかり大人になったなぁ…
天真爛漫なおばぁちゃん娘の孫を上手く演じています。
吉永小百合好きな固定客が結構観に来てました。
そんな方々に支えられてるなぁ…って作品。
とても共感できる作品でした
山田洋二監督らしい、優しく人情味あふれた作品でした。
そして吉永小百合の美しさと演技の素晴らしさが際立った映画でした。
企業の裏事情と下町の大らかさを楽しく分かり易く表現しており、見ているといつの間にかに引き込まれている自分に気が付きます。
涙と笑いのオンパレードで素晴らしい映画だと思います。
山田ワールドに大泉洋がドハマり!
しみじみ良い作品。
肩越しのアップや、暖簾ごしから次のポジションに移る完璧なアングルに痺れます。
絶妙なタイミングで鳴く蝉が、たまらなく気持ち良い!!
両引き戸を開け放つ吉永小百合のエモさ。
この感覚がたまらなく好き。
非常に山田洋次的な映画ですが、おんとし91才!
現場でメガホンを取っているのかしら??
お元気で何よりですが、実のところ『お帰り寅さん』『キネマの神様』で、山田洋次監督は映画界への遺言を撮りきったと思っていました。
なので、思いもかけなかった追加プレゼントに驚いています。
しかも吉永小百合さんが主演!
岡田裕介氏が亡くなって、もう彼女が主演の映画は見られないかも…と思っていたのでWで嬉しい!
これで母三部作が完結するのですね。
いよいよ伝え残すことは無いはず…と思って見始めましたが、なんのなんの。
このタイミングで芸達者な大泉洋を山田組に迎えて、水を得た魚のようにますます元気!
渥美清→西田敏行→大泉洋
このままシリーズ化もできそうな勢いでした。
実際、これだけ多作で山田演出がブランド化されているから、優秀な山田組のスタッフで作れそう。笑
ファンタジーに社会的な問題をプラスするところも山田洋次監督の魅力なので、老々介護問題も撮ってほしい。
良くも悪くも昭和な人々
褒め言葉だと思って“美人”をつけるオヤジ
紙に印鑑
鍵をかけない家にご近所さんが上がってくる…
辛いこともあるけれど、人と人の繋がりで生きていける。
寅さんも明るく楽しいイメージですが、実は深刻な悩みを抱えたマドンナも多いんですよね。死に場所を探していたり。
山田洋次監督は「いつでもおいで」と言ってくれる人がいることの大切さを描き続けている気がします。
昔は「とらや」がシェルターでしたが、今はボランティアや教会がその役目を担っている。
そして忘れてはいけない、次の世代へ伝えるべきことは田中泯さんが背負ってくれてます。
ちなみに下町生まれ下町育ちの私の姑は、隅田川の花火を見ませんでした。とくに「しだれ柳」は焼夷弾に似ているそうで怖がっていました。
店舗兼自宅が良い!
昔ながらの 畳 板の間 縁側 物干し
そんな和風な建物と絶妙なバランスで溶け込んでいるレトロでモダンなソファーが一際存在感を放っていました。
どういった経緯でここに落ち着いたのか、想像を掻き立てられます。
そして2階へ上がる階段は、やっぱり良い。
追記:クドカンが事務所で走るシーンに驚きました。あの躍動感の意味…
会社へのフラストレーションの爆発??
カメラを動かしてみたくなっただけ??
既視感のある王道作品。目新しくはないが安心感はある。
昭和の面影を残す家に暮らす主人公である「母さん」を吉永小百合さんが演じられた作品です。息子役の大泉洋さんの公私にわたる出来事や、吉永さんのほのかなロマンスが描かれた、ほのぼの系の映画です。
こうした作品はどこかで見たことあるような、どれも山田洋二監督の作品のような。目新しい展開は全くありませんが、その分安心して見ていられます。でも、個人的にはひとひねりある作品が好みです。
大泉洋さんが可哀想でした。
会社員(人事部長)の大泉洋さんが、どん底まで落ちて行きます。
生まれ持った優しさが、最後まで災いします。
吉永小百合さんは、おばあちゃんになっても可愛いですね。
宮藤官九郎さんと、永野芽郁さんの演技が素晴らしいです。
91歳の山田洋次監督の決して丸くなっていない表現力を、この映画に見ました。
安心して見られる映画
吉永小百合さんはおいくつになっても可愛らしいですね。恋する乙女なおばあちゃんと応援する孫の永野芽郁ちゃんコンビのやりとりが素敵でした。
クドカンさん、こういうダメな感じの人の役がハマるなあ。大泉さんはもう何やっても大泉さんだけどそれが好きで見たいから満足です!笑
仕事や家族や将来、誰もが抱えるそれぞれの不安や不満を少し吐き出して、また明日から前向きになれる映画です。
窓から差し込む光など、照明がとても綺麗でした。
昭和人情は健在
試写会で拝見。
ほんわかあったか山田洋次印の昭和人情ものは健在。
観る前から思っていたのは、(大泉洋自身のコメントにありましたが)吉永小百合が母親で、娘が永野芽郁なのに、間が大泉洋って遺伝子的におかしくない?(苦笑)
というツッコミどころはさておき、老人視点・親側視点の幸せで語ってしまっているから、息子の大泉洋側視点としてはちょっとなぁとしか言えない、諸々の問題の処理でモニョる。
「まぁ大泉洋だからしょうがないか」という落ちとキャスティングだったなぁというのが、素直な感想。
事実上は吉永小百合と大泉洋のW主演って作品でした。
60歳以上にはお勧めだが、若い世代はどうだろう?
昭和の懐かしい風景
試写会で鑑賞。久々の山田洋次監督作品。
実家の古い家屋。丁寧に雑巾掛けしてきちんと生活する風景。鍵もかけずオープンな家で、ご近所さんと和やかに過ごすお茶の間。悩みも徐々に解消されて、健やかに楽しく生活していけそう。見終わったあと幸せな気分になる。
母には母らしく、息子には息子らしくいて欲しい
試写にて!🎬
仕事や家族関係で疲れ果てた息子が久々に実家を訪ねると、母は恋をしていた―――
試写会会場で驚いたのは圧倒的年齢層の高さ。
60~80歳までの高齢者の方が圧倒的に多くアウェイだと感じざる負えなかった(笑)
私は若年層としてこの映画についてレビューしようと思います。
息子には息子でいて欲しい母と、母には母らしくていて欲しい息子のお話でした。
離婚間近の妻と家出した娘、トラブルメーカーの同期、頑固なホームレスなど、
母と息子を取り巻くキャラクターが登場し目まぐるしい日常を演出していました。
「渡る世間は鬼ばかり」のような家族やその環境を”喜劇的”に描くどたばたコメディと言った感じ。
ただどうしてもこの時代の価値観には馴染まない…
頑張って作品のアップデートを図ろうとしてるのは分かるんだけど、大いに山田洋次節とはミスマッチだと思う。
お家芸であろうあの独特の言い回しは、分かっちゃいたけど肌に合わない。
永野芽郁に『おじちゃまのお父様はどんなお方?』というセリフはあまりに不自然で寒くなってしまった。
とはいえギャグセンスは驚くほどハマった。
隔世遺伝だの劣性遺伝だの、容姿を間接的になじるセリフが悔しいほどにヒットしてしまう。
特にお相撲さんを見て「無駄がないね~~、私なんて無駄だらけよ」という流れからの、小遣いを大相撲の懸賞金の受け取るように手刀を切って貰ったシーンは面白過ぎた。
監督は御年90歳になるということで、戦争中や昔の価値観を風化させない役目を担っているんだと思う。
ホームレスのおじさんが『自分のことをできなくなったら終わりだ』と言ったセリフと、
ボランティア支援をしている母が放った『自分で自分の世話ができなくなったら終わりだと思う』と言うセリフにとても矛盾を感じる。
ホームレスを”戦争時代を語るストーリーテラー”として登場させただけになっていて、母自身が無意識の軽視発言をしている点に意図はあるのか気になった。
ただ『孤独に死ぬのが怖いんじゃなくて、いつ自分で歩けなくなって人様の世話になるのか心配』という底知れない恐怖は家族の支えこそが必要になってくるなと再確認。
全体的に見て自分は映画のターゲットユーザーではないなと認識したが、試写じゃなきゃスルーしていたタイプの作品からここまで学びを得られたことには感謝。
令和に作られた楽しい昭和映画
丸の内ピカデリーでの試写会にて鑑賞。
全体的には、微笑ましく安心して観られる山田洋次監督の下町ホームドラマであった。
笑えるところ、心動かされてホロッと涙するところなどはさすが。
松竹マークに続いて「現代(令和)のオフィスビルを見上げるシーン」を見ると「おっ、さすが松竹。令和の小津映画が観れそうだ…」と思ってしまう。
ただ、それに続いて描かれる某会社の人事部オフィスで、人事部長(大泉洋)の学生時代からの友人&同期入社社員が「人事部オフィスに自由に出入りできること」に、まず違和感を覚えた。現代の会社では、社内といえども「他部署への出入りはセキュリティカードなどで出入りが制限されている」ので自由に他部署の担当者が出入りできないのが普通であり、特に人事部などは人事情報(取扱い注意情報)が多いので特にセキュリティは厳しいはず…(^^;
更に、その他部署から人事部にやって来た社員が、人事部の担当女性に「食事の誘いをしながら、肩に手をかける」のも、これは一発アウト!
身体に触ったらセクハラである。
……ということで、いきなり序盤から「現代(令和)のオフィス」ではなく、「昭和のオフィス」を見せられたわけだが、全編を見ると「下町ものなので、母親(吉永小百合)の家もいろんな人が自由に出入りする」のに倣って、最初の会社オフィス場面が作られたようである。
ただ、令和に公開される映画としては、やはり違和感あったが、現代の会社勤めをしていないスタッフが作ると、こうした小津安二郎的な「昭和の風景」になってしまうのだろうな……と思うしかない。
それでも、物語が進むと、なかなか楽しいドラマになっている。
本作で、特筆すべきは、母(吉永小百合)の孫役に永野芽郁を抜擢したこと!
永野芽郁の感情表現、ヘソ出しルック、明るい雰囲気……抜群の存在感を見せてくれたと思う。もっと、出演場面が多くても良かった…。
令和の時代に撮られた気楽に観られる昭和映画である。
<映倫No.123518>
山田洋次監督、91歳になられて、まだ現役で監督をされていらして、う...
山田洋次監督、91歳になられて、まだ現役で監督をされていらして、うれしい驚き。
主演の吉永小百合さん、78歳には見えないです。下町言葉を発しても、どうしても気品を感じて。
舞台は墨田の向島あたりとのこと。昭和のにおいがまだ強い、下町の朗らかさ。
隅田川や言問橋など、映し方ものどかで。
川や街並みなど、変わらないものは変わらないよと、静かに訴えかけてくるような。
ほっとする110分間でした。
(完成披露試写会に、うちの連れが当選して、ついてってきました。
一般公開前なので、当たりさわりない言葉で綴ります)
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