西部戦線異状なし

配信開始日:

解説・あらすじ

アカデミー賞を受賞した1930年のルイス・マイルストン監督による映画版でも広く知られる、ドイツの作家エリッヒ・マリア・レマルクの長編小説「西部戦線異状なし」を、原作の母国ドイツであらためて映画化した戦争ドラマ。

第1次世界大戦下のヨーロッパ。17歳のドイツ兵パウルは、祖国のために戦おうと意気揚々と西部戦線へ赴く。しかし、その高揚感と使命感は凄惨な現実を前に打ち砕かれる。ともに志願した仲間たちと最前線で命をかけて戦ううち、パウルは次第に絶望と恐怖に飲み込まれていく。

監督は「ぼくらの家路」のエドワード・ベルガー。主人公パウルを演じたフェリックス・カメラーは、これが映画初出演。「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」「キングスマン ファースト・エージェント」などのハリウッド大作でも活躍するドイツを代表する俳優ダニエル・ブリュールが、出演のほか製作総指揮にも名を連ねる。第95回アカデミー賞で作品賞ほか9部門にノミネートされ、国際長編映画賞、美術賞、撮影賞、作曲賞の4部門を受賞した。Netflixで2022年10月28日から配信。

2022年製作/148分/ドイツ
原題または英題:Im Westen nichts Neues
配信:Netflix
配信開始日:2022年10月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第95回 アカデミー賞(2023年)

受賞

美術賞  
撮影賞 ジェームス・フレンド
国際長編映画賞  
作曲賞 フォルカー・ベルテルマン

ノミネート

作品賞  
脚色賞 エドワード・ベルガー レスリー・パターソン イアン・ストーケル
視覚効果賞  
音響賞  
メイクアップ&ヘアスタイリング賞  

第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)

ノミネート

最優秀非英語映画賞  
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映画レビュー

4.0戦争映画でも屈指の冷たさではないか。

2022年12月31日
PCから投稿

第一次大戦に志願したドイツの少年兵たちが、過酷な西部戦線で理想と現実の違いを突きつけられるという筋書き自体は、もはや原作が古典であるからというだけでなく、戦争映画の定番であって、本作においても戦場はイノセンスの喪失と大人になる通過儀礼として昨日はしている。しかし本作の真髄は、そんな人間性や感情面の物語など、戦争という愚行の前では無意味であると宣言しているかのごとき冷徹さにあると思う。

前線と同時進行で軍上層部の政治的駆け引きも描かれるのだが、それも人間の愚行のひとつを俯瞰しているに過ぎず、戦争すらも、冷たく美しい映像の中に取り込まれていってしまう。多くの戦争映画が人間性の喪失を描いているにしても、この映画ほど冷たいテンションが貫かれている作品も、唯一ではないにしても珍しいのではないだろうか。

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村山章

4.5『1917~』の塹壕戦をドイツ側から描く

2022年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

怖い

サム・メンデスの『1917 命をかけた伝令』と合わせ鏡になり、ドイツ軍側から見た第1次大戦の西部戦線に於ける塹壕戦の壮絶を描いている。純粋に愛国心から年齢を偽ってまで連合軍との戦いに参加したドイツ人青年が見る、誇りや高揚感とは真逆の、尊い命が紙切れにように使い捨てられていくプロセスは、血生臭いシーンをより血生臭く感じさせる視覚効果、恐怖感を煽るような音楽、そして、砲弾や銃弾が炸裂する合間に挿入される、雪の大地や森の静寂と共に、観る者を完全に圧倒する。

戦争とはなんと無慈悲で愚かで、一部のリーダーによる誤った国家間によって始まり、そして、永遠と続くものなのか!?

休戦協定直前に多くの兵士の命が失われた西部戦線の後に、同じドイツからヒトラーが現れて第2次大戦が勃発したように、たった今の世界では、終わりなき戦争が人々の不安を煽っている。そういう意味で、ドイツ映画が自省的な立場から放った戦争映画が、幅広い支持を得て本年度の賞レースを駆け上がっていることは必然的とも言える。

何よりも、一寸先に何が待ち受けるか分からない恐怖とサスペンス、人間ドラマとしの重厚さと虚しさ、若い俳優たちの熱演が、随時痛いほど刺さる本作。慌ただしいシーズンに時間を作って観る価値はある。

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清藤秀人

4.0Dark and Depressing

2022年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

As the world teeters on the edge of World War III, what could be more timely than an adeptly produced day-in-the-life World War I experience. Unlike most war films, All Quiet treats the war spectacle like its the weather. It's a slow rural life experience punctuated with bloody drama. Collecting dog tag duty is quite a bad trip! Ocassionally stylish music. There is no other film like it this year.

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Dan Knighton

3.5「無駄死に映画」の秀逸作だが、フリが弱いのが大変残念。

2025年4月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

第一次世界大戦の西部戦線を題材にした戦争映画。
正直、この作品よりも映像的インパクトのある戦争映画は、探せばある。
印象に残る劇的ストーリーの戦争映画も、探せばある。

ただ、主要人物たちの、
「無様な死に方」、
「無駄死に感」、
「胸糞な人生の終わり方」を、
この作品以上に見せてくる戦争映画は、もしかしたらあまり無いかもしれない。

だから鑑賞後は、一時的な反応かもしれないが、めちゃくちゃ反戦志向に思想や考えがグッとシフトする。

なので、戦争をむやみに扇動したり、
不必要な隣国嫌悪を助長したり、
やたら愛国心的高揚を促したりする、
いつの時代にも一定数は存在する「ネトウヨみたいなバカ」には、
うってつけの教育的映像資料にはなり得る。

実際、物語冒頭の主人公と級友たちは、
この手のバカとしてしっかり描かれていた。
そして戦地到着後、たった数分のうちに、
己の選択行動が、若気の至りでバカな判断であった事を痛感し、
後悔の念に駆られるのだ。

この作品のもう一つの縦軸として、指導者層の休戦協定に至るまでの描写が、
リメイクする際に新たに追加されている。

新たな「バカキャラ」と「バカストーリー」を加える事で、
主人公たちの無駄死に感に、更に増す効果を与えている。
これはとても良いアイデアだったと思う。

ただし、全体を通して振り返ってみると、無駄死にさを強調するのであれば、
「シナリオの構造的な変更」を加える事以上に、
主要人物たちの戦地に赴くまでの過程や、人との関係性の描写を丁寧にやった方が、
もっと面白くなったかもしれない。

つまり、無駄死にまでの「フリが弱い」のだ。

フリが弱いから、死ぬ際のオチもイマイチになる。
人間模様的な描写がことごとく「浅い」ので、淡白に感じてしまう。

まあ、命がコロっと失われたり、あっさり殺されたりするから、
そういう意味では、戦争による命の儚さは、元々表現しやすいジャンルだとは思うのだけれども、
観客としては主要人物たちへの思い入れが、少し軽くなってしまうので、
鑑賞後に、強烈な印象に残るシーンも少なくなり、
余韻的なところまでの没入感も、この作品は弱くなっている。

だから、この作品よりも「優れた戦争映画は他にもある」と言いたくなるような、
未練がましい感想になるのだろうと、個人的に思った次第。

コメントする 2件)
共感した! 1件)
ソビエト蓮舫

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