バビロンのレビュー・感想・評価
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たしかにあった映画の1ページ
アカデミー賞作曲賞にノミネートされているというバイアスがあってかも知れませんが、音楽がとてもよかったと思います。
テンポが良く、耳に残る音楽で鑑賞からしばらく経ちますが、通勤中にたまに聞きたくなります。
汚い描写や長尺のためか賛否が分かれているようですが、個人的には見て良かったと思います。
記者がジャックに言った「あなたの時代は終わってるけど、あなたの時代はたしかにあって歴史の1ページとして残り続ける」みたいな言葉が胸に響きました。(正確には覚えてませんが)
そして、1人拳銃自殺するジャック、闇に消えていくマニーは現実を受け入た結果の行動だったのでしょう。
本作のような映画の歴史に触れた作品は、見たことがないのでこれから見ていこうと思います。
重い、グロい
日曜日のレイトショーで観るには重い作品だった。昔の映画界があったからこそ、現代に繋がるは理解できるけど尺が長い。残業続きの疲れた身体には重かった。繰り返される撮影シーンで睡魔が‥‥1人で来てたら帰っていたかもしれない。途中、帰ろうかと思った。グロい描写、苦手。
ネズミのシーンは昨年のナイトミュージアムが思い出されて(;´Д`)
最近、ブラビさんはグロい作品の出演が多いなー。
だから映画っていいよね ※一部ネタバレあり
途中よく分からなかったが、最後のシーンが言いたかったのだと思う。
恐らく本映画の脚本や企画があがったのがコロナ禍。
衰退しかける映画業界、業界内で諦めムードがある中で、同志たちを奮い立たせるメッセージを入れたのだと思う。
単に頑張ろうというメッセージではない、痛みは伴うが革命を起こせ、変化を恐れず立ち上がれと言う激励だと受け止めた。
これらのメッセージをより強固にするために今回のストーリーがあったのだと。
本編で触れられたように、映画は時代と共に変化してきていた。これまでのやり方に固執すると文化が消える。変化や革命が起きるタイミングは痛みを伴う。
本編では音声映画に切り替えた際を取り上げて、映画業界の過去も、同じような葛藤や苦しみを乗り越え、先代達が自分達の代まで映画文化を残してくれたのだと語られた。
今回の混乱で、ただ過去に固執して嘆くのでなく、自分たちが変化を起こすことで映画文化が受け継いでいくのだと。
そして、過去の栄光に囚われ抜け出せずにいるものは死があると。
映画はこうして、観る者を別世界に連れて行き、メッセージを与えてくれる。
現実世界に長くいると、こうして受け取ったメッセージが薄れていく時もある。
その時は、また映画を観るのだ。
p,s,
他の方の考察も気になり見てみた。
トップに出てくる考察や監督のインタビュー内容は、私の感想と真逆のものであった。
違った感想があって良しそし、消しかけた手を止めて残しておくことにした。
盛者必衰
盛者必衰、栄枯盛衰、諸行無常ですね。
無声からトーキーになったときは、発話練習があったのね。
埃っぽくて、アスベストがんがんの、太陽に左右される撮影も
荒々しくてすごかったけど、マイクやカメラのせいで立ち位置ががっつり決まっていて、照明もカメラも暑いなか撮るのも過酷でしたね。
主役がタフで良かったわ。
トビーマグワイヤーがなんか怖かったわ。
ブラッドピットの最近の役柄はこれで良いのかな?
大好き
無声映画からトーキーに切り替わる時期の映画関係者の苦悩を描いた作品
パンフレットによれば、実在の人物がモデルになっていて、ちょっと過剰な表現に思えるようなシーンもほとんど史実の出来事らしく結構衝撃を受けている。
ラスト、マニーすらも破滅させる展開でも成り立ったと思うが、観測者として最後まで見届けてくれる存在になっていてそれがとても良かった。
それより何より音楽ですよ、デイミアン・チャゼルとジャスティン・ハーウィッツ最高
3時間以上の長尺映画も音楽がそれを感じさせない。
刹那的にしか生きられない人々の物語
「汚いラ・ラ・ランド」との前評判を聞いていたのである程度覚悟して見に行った。
一部のエログロ、というかエロゲロ描写は確かにきついものの、それを差し引いてもこの映像美は映画館で観てよかったと思える迫力。そして音楽が良い。
RRRとは別ベクトルで3時間ジェットコースター。刹那的にしか生きられない人々の人生を火花のようなきらめきで魅せてくれる。
-------以下ネタバレ-------
「ラ・ラ・ランド」のラストを見て「恋人と別れただけで結局夢もかなえてるじゃないか、そんな切ない顔してるんじゃないよ」という気持ちだったので、今回の作中でジャックが告げられる、「あなたの時代は終わったが、映画が映写機にかけられれば誰もがあなたを身近に感じる」という言葉の通り「映画の世界で輝けたんだから、たとえのたれ死んでも幸運だろ!」と殴ってくるバビロンのほうが好みだった。
銀幕の世界で一度は生きたいと切望し、それがかなわない人がどれだけいるか。彼らはそれができただけ幸運なのだ、たとえ悲惨な最期を遂げたとしても。
「人生は最高!」とつぶやいて夜道に消えるネリーもそれをよくわかっていた。
映画の前半、人の死が「喜劇的に」軽く扱われるシーンが相次ぐが、結局はネリーやジャックの死も当人以外には喜劇と変わりないのだろうと思う。よく「役者は親の死に目に会えない」とは言われるが、それは映画も同じで、人の死すら二の次に扱ってしまう狂気の世界に彼らは身を置いているのだ。
映画って楽しいよね
見終わって実感しました。
トーキーへの移行時に試行錯誤しながらとりなおすところは面白かったですね。
最後の映画の歴史をたどるようにワンシーンがつながるところはグッと来ました。
マーゴット・ロビーの演技はすごかったですね。
3時間ちょっとの上映時間なので、トイレ対策をネットで調べて実行しました。
私含めて対策している人がほとんどなのか、途中で抜ける人はあんまりいなかったですね。
ハリウッドの栄光の裏側
ハリウッドという魔城(栄光)に取り憑かれた人々の悲喜劇。
砂漠から象を運ぶオープニングから酒池肉林を体現したかの様な狂乱の宴を描き出し観るものをグッと惹きつける。
その中で出会う奔放な女と男の姿を通し映画産業の繁栄した時代を描ききってる。
その時代を表現する上で、とても野心的で力強くそしてがむしゃらにもがく2人がだらしなくも感じるけど憎めず瞼に焼きついた。
そしてこの演出した監督の技量は素晴らしく只者ではないと感じられた。
THE・映画
心から「最高」だと漏れ出た。
見ている途中からもう一度見たいと思わせる純粋な面白さと、繁栄と衰退の夢に生きる人種ならではの共感と、アンダルシアの犬を絡めるなど芸術の域の視点、映画を通り越して現実とリンクさせる監督の映画愛が溢れる深淵の面白さがあった。
何より映画への入り込みやすさ、もはやスクリーンを超えて実体験させられ、感情を揺さぶられる。
敢えてマイナスをつけるなら中盤以降の停滞感を感じさせた点だが、それこそバビロンのストーリーとなる衰退を現実に体感させてくれるエッセンスであり、イライラすら感じさせてくれる。
監督に最大の拍手を届けたい。
完璧だった。
スゴい映画を観た!
率直にめちゃくちゃ面白い!!
1920年後半のハリウッドに自分が居たような感覚になりました。
3時間の映画でしたが、ストーリーに静寂と騒々の転換が度々あり中だるみもなく終わりまで楽しめる映画だと思います。
時代は1920年代後半から1930年前半のハリウッド。
サイレントからトーキー映画へ移り変わっていくなかで生きていく人が描かれています。
明るくスタートする前半と後半にかけて徐々に暗くなり終盤にかけてテンポが良くなっていくのも良かったです。
あとはジャズ音楽がやっぱり良いです!
個人的には今年一番の映画になるかもしれません。
また映画館で観に行きたいと思える作品でした。
ハリウッド映画のエンターテイメントアトラクションを体験したような感覚になれます!
※過激な描写が多くあるため、観る人によってはきついかもしれません。ララランドみたいな映画を見たい人は行かない方が良いと思います。
夢と音楽のエンタテインメント
サイレント映画全盛期のスターと若き才能が、トーキーやその後の映画業界に翻弄されていく様を描く。
最近少し増えてきたように思う3時間の比較的長尺映画。
オープニングシーンで、「この映画の楽しみ方はこれか!」と思うのも束の間、次々に展開される良くも悪くも見るに堪えない映像たち。このダメージに最後まで耐え切れるか。
、、、と思いきや、終盤の畳み掛けがとんでもない。
映画という一つの時代の流れを、これも”映画”という形で表現した本作。
これからいくつでも生まれるであろう、そして必要とされているわけでも無い刹那的で破滅的なストーリーはあくまで前座。
長い時間をかけて、盛大でこれ以上なく贅沢な前振りをし、ラストは真っ直ぐな映画賛美。
見事に”してやられた”鑑賞体験だった。
初期ハリウッドの興亡記
Holy sh○t!
冒頭シーンでいきなり象から大量の落とし物があり、この先見て大丈夫?と不安になった。今思えば、これからお見せするのはク○みたいな世界の話ですよ、という監督の予告だったのだろう。半端ない量だった。観客に喧嘩を売るような、ギリギリの量w。
そして、1920年代のハリウッドといえば黄金期の輝かしいイメージだが、本当は海千山千のキワ者の集まる、そこだけで独立した王国のように治外法権で猥雑な、目も当てられないとんでもない場所だった様子が描かれ、続いてプロデューサーも役者もスタッフも撮影方法もイカれていて危険で、でもみんな良い作品を作ろうと必死だったこと、映画は気軽に大衆が楽しめるエンターテイメントであって演劇に劣るものではないということ、トーキーへの移行の過程が、三人の主人公の物語に寄せて描かれていく。
ラストで数々の歴史的なハリウッド映画のカットに涙する主人公に心が少し洗われたw。なるほどなるほど、本作は監督がハリウッドに愛を叫ぶ作品でもあったのだった。
ゴージャスな質感で繰り広げられるデカダンス。熱いトランペットの響き。再現される当時の撮影風景。贅沢かつ技巧を凝らした美術、衣装、音楽…色々と目が眩み、お腹がいっぱいになった。
マーゴット・ロビーの振り切った演技も素晴らしかったが、レッド・バトラーのような哀愁漂うブラピがとても素敵で、彼のキャスティングは監督の言うように大成功だと思った。
色々詰め込み過ぎな気がする
サイレントからトーキーに以降するハリウッド黄金期。
野心溢れるマニーとネリー、既に大スターのブラビ(役名忘れた)の栄光と挫折を軸に時代の雰囲気を味わえる快作。
撮影現場の適当さや、ハーレークィンよかブッ飛んでるペッタンコのネリーのキャラなど面白かったがいかんせん3時間は長い!(アバター2よか短くは感じたが)でも観て良かったとは思う。
鑑賞後のとても深い余韻。
最初はよくある冴えない主人公のサクセスストーリかと思い気楽に観て居たが、徐々に濃密になり沼にハマって行く様にズブズブと映画の世界観に溺れていく感覚。
マーゴット・ロビー、ハーレイ・クインのイメージが若干チラホラ見えるも各シーンで別の顔を魅せ充分すぎる存在感。
ブラッド・ピットの本編の勢いとは逆に存在が薄れ失速して行く姿がなんともリアルで哀愁より悲壮感に包まれていく雰囲気がより世界観に引き込まれる。ブラッド・ピットのあの映画に対するセリフ。観客や業界に投げたセリフの様で胸が熱くなった。
ラストの数分では映画の歴史を観る事になる。
最初はIMAXでなくとも…と感じていたが、激しいフラッシュバックと共に移り変わる時代と映画の歴史を表したかのようなシーン。この演出を観た時、IMAXを選んで正解だったと思わせられた。 ※激しい点滅に注意⚠
鑑賞後はとてもとても深く深く余韻に浸りました。
良き時代の中でも
映画作りというのテーマに取り上げた作品。
何十年も前にの時代は、はちゃめちゃだったのかと思うくらいの冒頭だった。
セックス、クスリなんでもお構い無し!
それでもいざカメラが回ると別人の様に変わるブラットピットは、流石の演技と感じました。
そんな時代だからこそトラブルや事故など絶えない中でもみんなが良いものを作ろうとしてるいる姿勢や緊張感などが伝わってくる。
時代が変わって、そういったものが忘れられるつつある中でも映画というものにしかない魅力があるんだなと感じた。
最後の10分で色んなものをみた。
そこで流れるものの中の一部に自分もあるのかもしれない。
今ある幸福に感謝したい。
はちゃめちゃな展開から最後までのストーリーが良かった。
所々で昔の映画のオマージュと思われるシーンもあって何の映画だったけな?と考えてしまった。
とても面白い作品でした。
STARDOM STAGE
今年1発目の3時間越え映画。長い映画はやはり苦手なんですが、予告を観る感じそんなものをすっ飛ばしてくれそうな気がしていざ鑑賞。久々にキャラメルポップコーンをお供にして。
全体的に凄かったのですが、凄かったとだけしか感想が残らず、ドラマに惹かれるものは少なかったです。
役者陣は最高の一言に尽きます。特にマーゴット・ロビーは化け物でした。ビッチな立ち回りから、繊細さを求められる場面まで多くの顔と動きを使いわけて劇中の観客も、鑑賞してる観客をも虜にする素晴らしい演技でした。彼女の演技を堪能することができただけでも今作を観る価値はありました。ディエゴ・ガルバは今作で初めて観ましたが、裏方からスターダムに駆け上がっていく様子が激アツでした。偶然のチャンスを必然に変えてプロデューサーへ監督へとハリウッドの変換期にジャストでハマり時代を切り開く、カッコいいです。ブラピは今作では主演のポジションでは無いかなって感じです。3番手に控え、苦悩に浸るベテランに徹していました。そのためブラピ目当てで行くと肩透かしを食らうと思います。
音楽面も最高で、寂しげな場面からパーティなどで大盛り上がりするシーンの緩急の差が音楽にも滲み出ていて、高らかなシーンは常に高揚感に包まれ、トランペットを吹くシドニーの熱意がビシビシと伝わってきます。映画にとって音楽は本当に大切なんだなとハリウッドの転換期と共に味わえました。サントラも素晴らしかったです。
物語のブラックなところはとても好きで、初っ端象がフンを撒き散らすシーンはいきなり爆笑ものでしたし、滝のようにゲロを吹きかけるシーンも汚いというより、一つのシーンとして魅力のあるものに仕上がっていました。性行為がモザイクで隠されていたのは少し残念でしたが、R15+でもここは隠されるんだな…と。ネズミも丸呑みしますし、調教なんてもんもあるので、ここに耐性がない人にはこれがしばらく続くのでキツイと思います。
肝心のメインストーリー、前半は結構楽しめたんですが、尺の長さが響いてしまい、後半のドラマはくどく思えてしまいました。スターダムに駆け上がるまでは良いんですが、駆け上がった後はひたすらに辛い展開が続き、メイン3人のそれぞれが繰り広げられるのもあってつまらないまではいきませんが、魅力にはやや劣るかなと思います。終盤のカオスさは良かったんですが、シリアスに振り切るとどうにもテンションが上がらず。3人中2人は悲しいラストを辿ってしまうのもなんだかなぁという感じでした。
映像に音楽に役者は一級品、話には乗れずでしたが、圧倒的な作品でした。これ吹き替えでも見てみたいですね。
鑑賞日 2/14
鑑賞時間 9:40〜13:00
座席 K-27
とてもよかった
映画がサイレントからトーキーに変わる時代を中心に、映画業界人を描く。「私は生まれた時からスターよ」と言う女の子が一夜にしてチャンスをものにしてスターの座に駆け上がり、なんとか業界に入り込んで下働きからちょっとずつ監督にまで出世する青年が、二人とも懸命に生きていてまばゆい。マーゴット・ロビーが散々悪態をついてゲロをぶっかけるのが気持ちいい。誰もたよらず、言い訳もせず身一つでのしていくのがかっこいい。そうして時代を築いた彼らが、人生の夏を終えて秋風が吹き始めると、これが厳しくてあっという間に真冬、みたいな無常がずしんと来る。
3時間もあって最初の1時間が経過したころからトイレに行きたくなり、早く終わって欲しかったが面白かった。またそのうち見るだろう。
デイミアン・チャゼルの「←今ここ」映画
映画の中で語る映画論(映画界論かも)ってのちょっと苦手なんですよ、この映画は人がいっぱい出てきて、どんちゃん騒ぎがあって、前半カジュアルに人が死亡しちゃうのでその分は楽しめます。
3時間以上の上映時間は妥当かなぁ、チャゼルのメッセージへの共感度合いで好き嫌いは分かれそう。自分の場合はそんなに好きな作りじゃないけど、わかりやすい対比が多々盛り込まれてて、ド派手なので星3.5つけちゃいますね。
ゾウの失禁(うんこ)で始まりマニーの失禁で映画人生が終わってるので、肛門期スタートってことでフロイトの発達論が念頭にあるのかもしれない。
「自分たちは長く続く何か大きなものの一部なのだよ」と監督・脚本家が語っている(今ここ)ので、マニーが最後に泣いたのは「やらかした自分の人生」が映画界の未来に続いていることを認識できた涙、逆にコンラッドは長く続く何か大きなもの一部だったことがわかって絶望したってことだと思う。かつて作品賞が取れなかったチャゼルの心情が入っているんだとすればちょっと熱いかもですね。
エリノアとコンラッドとの会話で、これからコンラッドのようなスターは何百人も現れるってだろうってのあるんですけど、ここで鬼滅の刃の思い出したのは自分だけでは無いはず!まあ縁壱の方が偉いが。
ハリウッドの幽囚たちが描く、淫靡で儚い黄金絵巻。 花火のようにパッと短いランタイムじゃダメなんすかね…。
サイレント映画時代のハリウッドを舞台に、夢と野心に燃える映画人たちの栄華と衰退を描き出したヒューマン・ドラマ。
監督/脚本は『セッション』『ラ・ラ・ランド』の、オスカー監督デイミアン・チャゼル。
ハリウッドの大スター、ジャック・コンラッドを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、オスカー俳優ブラッド・ピット。
女優を夢見る奔放な女性、ネリー・ラロイを演じるのは「アバウト・タイム 愛おしい時間について』「DCEU」シリーズのマーゴット・ロビー。
ハリウッドを牛耳るギャングのボス、ジェームズ・マッケイを演じるのは『スパイダーマン』シリーズや『華麗なるギャツビー』のトビー・マグワイア。なおマグワイアは本作の製作総指揮も担当している。
ジャックの再婚相手であるブロードウェイの女優、エステルを演じるのは『ファンタスティック・ビースト』シリーズや『mid90s ミッドナインティーズ』のキャサリン・ウォーターストン。
ネリーのライバル的女優、コリーン・ムーアを演じるのは『スリー・ビルボード』『ガンズ・アキンボ』のサマラ・ウィーヴィング。
ジャックの妻、イナを演じるのは『TIME/タイム』『her/世界でひとつの彼女』のオリヴィア・ワイルド。
第80回 ゴールデングローブ賞において、作曲賞を受賞!
古代バビロニアの中心都市バビロン。そこは「大淫婦」と称される繁栄と退廃の都だった。
本作で描かれるハリウッドは、まさにこのバビロンの如き混沌の坩堝。光に群がる虫のように、夢と栄光という黄金に誘われてやってきた人間を幽囚にする魔境である。
当代きっての名匠デイミアン・チャゼル監督は、都会的で洗練された、どこかデタッチメントな雰囲気を醸す筆致によって1920年代の黄金郷を見事に現代に再現してみせた。
過剰なまでに華美で露悪的な世界観はリアリティがあるとは言い難いが、監督の目指しているのは現実の再現というよりは人々が持つイメージの再現なのだろう。
「こうだったんじゃないのか?」「こうだったらエキサイティングだよな」という観客の夢を具現化しており、この夢物語の中で観客を3時間以上も遊ばせてくれる。
本作は舞台美術や衣装などの細かなディテールや、ジャズを基調としたクールな劇伴を思う存分味わいたいという観客には大変喜ばれることだろう。
チャゼル監督は、「夢を掴むための犠牲」と「女のいない男たち」を一貫して描き続けている。
本作でもそれは健在で、「夢」を叶えるための覚悟を観客に問いかけた上で、仮にそれを叶えたからといって幸福になるとは限らないことを提示する。
彼が紡ぐのはきまって残酷な物語なのだが、今回はより一層悲劇的で皮肉なものになっているように思う。
彼の作風のもう一つの特徴はエンディングのキレの良さ。
これは彼がまだ映画監督になる前、脚本家だった時代の作品にも見て取れる特徴であり、『ラスト・エクソシズム2』や『グランドピアノ 狙われた黒鍵』といった、作品自体の出来は「う〜ん…」といいたくなるようなものでも、そのエンディングははたと膝を打ってしまいたくなるような出色の出来である。
今回のエンディングも、優しさと映画に対する愛が詰まった素晴らしいものだった👏
偉大なことを成した者も、道半ばで息絶えた者も、全ては大いなる流れの一部でしかない。いままでにも増して非情で悲劇的な映画だったからこそ、このエンディングで救われたような気持ちになれた。
天才デイミアン・チャゼル。彼が撮るのだから最低限の品質は保障されている。箸にも棒にも引っかからない映画では断じてない。
その上で言いたい。
………ながいしつまらなかった(ボソ。
いやこれ、あまりにも長すぎやしませんか?「あぁ。もうそろそろクライマックスだな…」と思って時計を見てみるとまだ2時間しか経っていない。ここからさらに1時間もあるのかよっ!?と絶望的な気持ちになってしまった。
こんだけ長けりゃ、面白かった場面も色褪せちゃうっつーの。
本作は3人の登場人物をそれぞれ主人公にして描くアンサンブル映画。
正直いってこれが帯に短し襷に長しといいますか、無駄に長いのにも拘らず語りが足りていない。
冒頭のパーティーシーンや破茶滅茶な映画撮影シーンなど、一つ一つがメガ盛りマックスって感じの長さなのに加え主人公が3人もいるからまぁ物語の進行が遅い。そりゃ3時間超えるわ😅
だがしかし、190分は長いとはいえ、3人の栄光と挫折を描き切るには十分な時間とはいえない。
最も気になったのは映画人を夢見るメキシコ人・マニーのパート。ジャックの付き人だった彼が映画会社の重役に登り詰めるまでの過程がぶっ飛ばされているから、「えっ、いつのまに?」感が否めない。
ジャックに関しても、彼の遺作となったクソ映画がどのくらいクソな作品なのか映像として見せて欲しかった。
また、袂をわかったマニーのことをジャックがどう思い何を感じていたのかも描かれていない。師弟の確執なり対立なり和解なりは描いて然りなのでは?
ネリーに関してはレディになる為の特訓描写が一切描かれていなかったので、社交界をぶち壊すという一連のシーンも「そりゃネリーならそうするわな…」という感じで観てしまい、なんだか上滑りしているような印象を受けてしまった。
多分これ、ドラマ向けの脚本というか物語なんだと思うんです。尺が1話1時間で1クールあれば、十全に描き切れたのかも知れないが、一本の映画に纏めるにはちょっと厳しかったんじゃないの?
長すぎるランタイムと同じくらい気になったのは、後半マニー&ネリー編とジャック編の温度に差がありすぎたこと。
我が世の春が過ぎたことを知ったジャックが拳銃自殺するというトラジックでリアルな展開と、ギャングに偽札を渡してしまって大騒動を巻き起こすというコミカルでシュールな展開。この2つが並列的に進行するので、一体どういう感情で映画を鑑賞すれば良いのかよく分からん。
第一、この映画は1920年代ハリウッド残酷物語のはず。ギャングに偽札渡して破滅するって、それ1920年代もハリウッドも殆ど関係ないじゃん。
荒唐無稽な映画にしたいのであればもっとコメディ寄りに作るべきだし、純文学的な映画にしたいのであればもっと写実的な展開で物語を進めるべきだったのではないだろうか?
大便、小便、ゲロといった汚物や乱交パーティーが盛りだくさん。
とにかくドギツい要素がてんこ盛りだが、それら全てがあんまり汚く映っていない。
都会的で洗練されているのがチャゼル監督の持ち味ではあるが、ここはもっと汚く映して欲しかったところ。
絢爛豪華な夢物語的世界観を強調したいのであれば、汚かったり残酷だったりする描写はありのままスクリーンに映し出すべき。なんか気取ってる感が拭いきれていないんだよな〜…😑
とにかく、キャリアが進むにつれてどんどん冗長な映画を撮るようになってしまったチャゼル監督。
『セッション』の頃を思い出して、100分くらいの映画をサクッと作って欲しい。本作だって、もっと的を絞って物語を紡げば120分くらいで描き切れるだろうに。
パッと夜空に散る花火のような、景気の良い映画が観たいっす。
長けりゃ良いってもんじゃないよね。。。
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