バビロンのレビュー・感想・評価
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ハリウッド版『ブギーナイツ』……あれ?
冒頭の狂乱パーティシーンでロスコー・アーバックル似のデブが女優をオーバードーズさせ、なるほどタイトル通り『ハリウッド・バビロン』をやるのだなと、純粋な映画ファンの気持ちで鑑賞に臨みました。
しかし、混沌とした撮影風景などはまあ盛り上がるものの、ジョン・ギルバートそのまんまなブラピ、カエルのような声と揶揄される女優、ガルボとかタルバーグとかスワンソン等々、映画の教科書1ページ目に書かれているような捻りのない古いエピソード(というかゴシップ)の羅列ばかりで、なんだか下敷きにしている『雨に唄えば』よりも狭い世界に感じてしまいました。
そして2時間以上経過しても狂騒が終焉を迎えることは分かるものの、物語が何に向かっているのかサッパリ分からない。(おそらくチャゼルもよく分かっていないので)唐突にヤクザと揉める展開になりますが、これは杜撰ではないですか。
百歩譲ってハリウッドアンダーグラウンドを垣間見るスリラーとして楽しめれば良いけれど、禁断の最深部でマッチョがネズミをかじるだけという……
『雨に唄えば』はもとより『スタア誕生』『イナゴの日』『アメリカの夜』など参考作品は数あれど、ドラッグ描写やスピーディなカットバック、Fワード連発する台詞回しなど、一番影響受けているのは『ブギーナイツ』だと思います。ただブギーナイツは豪華絢爛な映画業界に逆立ちしても敵わない、ポルノ業界の栄華と衰退をミニマムに描いたから美しかったのであって、それをスター満載の大作でやるのは成功者の欺瞞というか、先祖返りにしかなっていないのでは。
狂気の描き方
ハリウッドの黎明期群像劇。ちょっと長い。
予告でハリウッドの黄金期の話、みたいなのを観てたから「華やかなスターたちが輝いていたオールドグッドデイズ」みたいなものが描かれるのを想像してたのけど、製作現場の大味さや出演者たちのアンモラルさのようなリアル(?)さが全面に出ていて、割とドン引いてる私がいた。笑
当時の映画製作の現場ってあんな場当たり的で、関係者みんなキレてて、危険で(リアルに死人が出る)、滅茶苦茶な感じなの?
当時の時代背景を考えると仕方ないのかもだけど…。
メインの登場人物はジャック、マニー、ネリー。なんだけど、割と3人ともどうしようもなくて、魅力的かと言われると個人的に「??」だし、感情移入もしづらく、群像劇型で視点がよく移り変わるので、「このエピソードはどこに繋がるの?この作品の中の地点なの…?」と途中ちょっと困惑しながら観ていた。
なのでどうもいまいち楽しみきれず…。
ネリーが数十年後に映画館で過去を思い返すシーンがあるから、輝く過去への懐古や郷愁が一つのテーマなのかと思ったけど、その割にその過去が割とどうしようもないエピソードばかりになってるので感情が迷子なのよな…。あとちょっと長い…。
ラストの色んな映画につながる演出は良かった。
監督、映画というコンテンツが大好きなんだろうなというのは伝わってきた。
色々な映画をオマージュしてたのだろうか?と思ったら実在の人物をモデルにしてるのね。
もう楽しすぎるぜ!
在りし日のトーキー映画に移り変わる時の葛藤(?)がひとつのテーマになっていて・・・
そんな映画あったなあ。あー!「雨に唄えば」だ。
雨に唄えばでは無声映画の女性大スターが、トーキー映画になってあまりに酷い声だったからアテレコすることになったヒロインが、ジーン・ケリーのサポートで女優の道が開かれるという話だったと思う。
奇しくもこの映画にも「雨に唄えば」の曲と、ジーン・ケリーが出てくるけど、ブラピのピンクのカッパを着せられてモブとして歌う滑稽かつ悲哀に満ちた墜ちたスターの悲哀に繋がるとは。
あんなことさせられたらその後の❌❌も致し方ない。
映画見てからは、Apple Musicで聴きまくってます。
さてこの素晴らしい「クソ映画」については「サブライズ」さんのレビューに私の言いたいことは全部書いてあるので紹介だけしておきたいと思います。
リタイヤ
ゴージャスでクレイジーな映画に命を賭けた者たち
最高にクレイジーで豪華絢爛美しさと汚さが入り混じった映画黄金時代のハリウッドで繰り広げられる栄枯盛衰をハイボリュームで描ききった本作。
画面一杯の黄金パーティ、アップテンポのジャズ、リアルかつ大迫力の映画撮影シーンハリウッド黄金期はこうじゃなきゃと言わんばかりの再現に信じられないほど心が躍った。
本作で無声映画黄金期の大スタージャックを演じるブラピの圧倒的なオーラ、溢れ出る色気全てが凄まじく、心を奪われて釘付けになった。ストーリーが進むにつれて纏う哀愁も渋すぎて後半は涙が止まらなかった。
ジャックの若者への温かい声かけ表情に勝手に励まされた。
マーゴットロビーの弾けっぷり、開放感、夢へとまっしぐらに突き進む姿に勇気と思い切りこそが1番美しいのだと気づいた。
そんなキャラだからこその挫折や落ちこぼれぶりは観てて心が痛くなってしまった。
後半満を辞して登場するトビーマグワイアは恐ろしい程の怪演で一気に場面を支配していた
登場からずっと不穏さを極限まで纏い、こちらの緊張感を煽り、独特な喋り方、ねっとりした表情で何するか読めない気味の悪さが最高でずっと心臓がバクバクしてた。
主人公達が見る世界の変化によって自分も
胸が高鳴り、不穏になるにつれ胸騒ぎをする
徹底的にキャラクターに感情移入することが出来る派手ながらも繊細な作品だと感じた。
たしかにあった映画の1ページ
アカデミー賞作曲賞にノミネートされているというバイアスがあってかも知れませんが、音楽がとてもよかったと思います。
テンポが良く、耳に残る音楽で鑑賞からしばらく経ちますが、通勤中にたまに聞きたくなります。
汚い描写や長尺のためか賛否が分かれているようですが、個人的には見て良かったと思います。
記者がジャックに言った「あなたの時代は終わってるけど、あなたの時代はたしかにあって歴史の1ページとして残り続ける」みたいな言葉が胸に響きました。(正確には覚えてませんが)
そして、1人拳銃自殺するジャック、闇に消えていくマニーは現実を受け入た結果の行動だったのでしょう。
本作のような映画の歴史に触れた作品は、見たことがないのでこれから見ていこうと思います。
重い、グロい
日曜日のレイトショーで観るには重い作品だった。昔の映画界があったからこそ、現代に繋がるは理解できるけど尺が長い。残業続きの疲れた身体には重かった。繰り返される撮影シーンで睡魔が‥‥1人で来てたら帰っていたかもしれない。途中、帰ろうかと思った。グロい描写、苦手。
ネズミのシーンは昨年のナイトミュージアムが思い出されて(;´Д`)
最近、ブラビさんはグロい作品の出演が多いなー。
気は狂ってる。でも、それにどこか憧れる。
「生き残るのは暗闇から見つめる私のような者だけよ」
デイミアン・チャゼル、大きく出たな、というか自分大好きだな。そうな...
バ・バ・バビロン
だから映画っていいよね ※一部ネタバレあり
途中よく分からなかったが、最後のシーンが言いたかったのだと思う。
恐らく本映画の脚本や企画があがったのがコロナ禍。
衰退しかける映画業界、業界内で諦めムードがある中で、同志たちを奮い立たせるメッセージを入れたのだと思う。
単に頑張ろうというメッセージではない、痛みは伴うが革命を起こせ、変化を恐れず立ち上がれと言う激励だと受け止めた。
これらのメッセージをより強固にするために今回のストーリーがあったのだと。
本編で触れられたように、映画は時代と共に変化してきていた。これまでのやり方に固執すると文化が消える。変化や革命が起きるタイミングは痛みを伴う。
本編では音声映画に切り替えた際を取り上げて、映画業界の過去も、同じような葛藤や苦しみを乗り越え、先代達が自分達の代まで映画文化を残してくれたのだと語られた。
今回の混乱で、ただ過去に固執して嘆くのでなく、自分たちが変化を起こすことで映画文化が受け継いでいくのだと。
そして、過去の栄光に囚われ抜け出せずにいるものは死があると。
映画はこうして、観る者を別世界に連れて行き、メッセージを与えてくれる。
現実世界に長くいると、こうして受け取ったメッセージが薄れていく時もある。
その時は、また映画を観るのだ。
p,s,
他の方の考察も気になり見てみた。
トップに出てくる考察や監督のインタビュー内容は、私の感想と真逆のものであった。
違った感想があって良しそし、消しかけた手を止めて残しておくことにした。
わざと汚く描いた理由は?
賛否両論を巻き起こしているデイミアン・チャゼル監督の新作。怖いもの見たさもあったが、観終わった感想としては、全くの失敗作だったとしか言いようがない。
なぜこの題材を選び、何を描こうとしたのか?わざと汚く描いた理由は?パゾリーニやマカヴェイエフの真似をしたかったの?
マーゴット・ロビーは頑張っていたが、登場人物がみな薄っぺらで深みがない。あえて言えば、黒人トランペッターと中国系の謎の女の存在に現代性を感じさせるが、本筋とうまく絡んでいかない。そもそも筋らしい筋はないが…
チャゼル監督の前作「ファースト・マン」は、世評は低かったようだが、人間がしっかり描けていて、イーストウッドの後継者になり得る才能だと思っていたのに。
このような凡庸で低俗な作品を世に出してしまった以上、次回作は余程頑張って、何とか挽回してほしい。このまま消えてしまうのは、本当に惜しい。
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