「至極のブラックユーモア」バビロン スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
至極のブラックユーモア
「ラ・ラ・ランド」「ファーストマン」のデイミアン・チャゼルの新作。「狂乱の20年代」と呼ばれ、アメリカの文化・芸術が大きく花開き、映画が一大産業に成長した時代のハリウッドを舞台に、サイレントからトーキーへと移り変わる映画業界を描いた作品。
大物俳優、新人女優、新人スタッフ、ジャズトランペッターの4人のメインキャストのエピソードを通してハリウッドの栄枯盛衰を物語るのですが、それぞれのエピソードのブラックユーモアがほんとに面白い。
舞台は「古き良きアメリカ」なのですが、決して当時を懐かしむような話ではなく、メッセージ性が強い映画ですね。「映画は何のため、誰のために作るのか」「時代の変化には抗えない」「ポリコレ、ホワイト化」。1920年代を舞台としながら、現代に通じる価値観の変化を訴える作品です。
感じたのは、クリエイターは時代の流れに逆らったり、適応するなんて出来ない。一度スポットライトを浴びてしまえば、捨てられるか、去るかしか選択肢はない。ただ、一つ確実に言えるのは、作品は残る、ということだけ。クリエイターはそれで良いが我々はどうすべきか?考えさせられます。
すごく面白いです。ただ、とても悪趣味な表現なので「観る人を選ぶ」かも。ほんとに卑猥で、グロくて、不条理な笑いなので、腹を抱えながら笑うか、終始不愉快になるか、です。しかも3時間近い作品なのでね〜、同伴者は慎重にお選びください。