ちひろさんのレビュー・感想・評価
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まったりと
『元風俗嬢であることを隠そうとせず、海辺の小さな街にある弁当屋でひょうひょうと働く女性。それぞれの孤独をかかえた人たちが、彼女のもとに引き寄せられるように集まり癒やされていく。』
──という概説読んだだけで、なんか癪にさわった。ので見た。わら
不憫なor苛酷な気配や環境をもった人たちを描き弁解がましく釣っていく。喩えが伝わってくれるか解らないが日本映画って授乳見せているTiktokerがおっぱいで釣るつもりは毛頭ありませんて言ってるようなもの。かわいそうと美醜にもとづいて善悪に二極化されてしまうおなじみの日本映画世界。
元風俗嬢だけどつましく生きてますよってのはYouTubeの釣りサムネみたいなもの。日本人はじぶんや他人の来歴に“汚れ”を探し、あるとそれをシンパシー得るネタにする。日本映画もそういうアピールを常套にしている。このマーケティングを解りやすく言うと“かわいそうなんだから金よこせ”。
──
ヤフコメなどには犯罪報道によせて“世も末”発言が無数にあがってくる。
ひとは過剰一般化するのが好きで身の回りの事態が世相を縮図していると思い込むが、じっさい統計的に犯罪は減っている。
たぶん間違いなく日本人はこの惑星でも一二をあらそえる平和な環境に住んでいる。
にもかかわらず、過酷な環境を訴えて不幸自慢してしまう習性を日本人はもっている。
それはおそらく甘い人間だと思われて舐められることを怖れる──からだ。
甘ちゃんだと思われないようになんらかの経験値をアピールする必要がある。──と考える。
そんな日本人が編み出した不幸自慢のフレーズがたくさんある。
以前こうツイートしたことがある。
『限界、ギリギリ、崖っぷち、ぼっち、ワンオペ。貧困や過労や孤独や確執、病気や心疾患。負の属性をうったえるマーケティングだらけ。かといって裕福で健康で友達沢山いて彼女or彼氏もいて・・・というのは日本ではアピールに使いにくい。みんな必死でじぶんの「負」をさがしている。平和です。』
YouTubeには「限界」や「ギリギリ」や「崖っぷち」という語の入ったサムネで釣っている動画が圧倒的に多い。
じゃあいったいなにが限界だというのか?なにがギリギリだったり崖っぷちなんですか?かりにそういう状態だとして、それは紛争でコロされた罹災者や慰留地で虐待される難民や食えずに死んでいく途上国の孤児よりも限界やギリギリや崖っぷちなのか?
そうでないなら、なぜそんな「負」を恥ずかしげもなく掲げるのか?
だってわたしもあなたも好きなものを食べ爆弾も叫び声も降ってこない暖かい布団のなかで眠るのであって、基本的に、なに不自由ない生活環境を享受しているのに不幸だと宣ってしまうのは虚偽ではありませんか?──とは思いませんか?
──と言いたいのは、不幸自慢が日本映画の特長になっているから。
なんだったらNetFlixにあがるほとんどの日本映画もそれだしとうぜん今泉力哉もぜんぶそんな感じ。
──という展開で日本映画全般をけなすのもじぶんのレビューのワンパターンになっているのは知っています。わら
──
こういうエクスキューズの映画でかならず出てくるのが悲哀を浮き彫りにするための“悪”側の人物像でここでは豊嶋花が演じる通称オカジの父親だった。ハラスメントと神経質とサイコパスを併せ持った継父でフェミやお涙系にはこういうわけのわかんない非人間的おっさんキャラが必ず使われる。
日本映画にでてくるおっさんはみんなペドかペドじゃなければサイコパスか汚部屋か全方向ハラスメントかいずれでもなけりゃ貧乏人。固定概念が植え付けられ迷惑だし安易。
とはいえ案外まったりと展開する話でお涙も抑えめだった。
典型的な日本映画だが目くじら立てるような映画ではなかった。
ヒトミっていう片親パン与えてそうなお水(演:佐久間由衣)がつくった焼きそば食べたオカジが泣き出すところはじわっときた。にんげんの温かみって高級品食ってるときは解んねえもんなあ。
ぜんぜん弁解しないでたんたんと描いて大団円になればよかった。気の毒な雰囲気をいろいろ描かないほうがよかった。
たとえばThe Spitfire Grill(1996)(邦題:この森で、天使はバスを降りた)と比べるとみずからの来歴を弁解するにしても巧拙のちがいがはっきりわかる。
主人公に同情するのは結構。だけど主人公が同情を請うのは演出上の負け。だと思う。
──
雑談だが、お涙ちょうだいなコンテンツがウケることに随伴してColabo問題みたいな“弱者”や“かわいそうな気配”というのが日本ではものすごい儲かるってことがよく解る。だからリテラシーが必要なんだ。かわいそうを押し出してくるやつに盲目的に金なげちゃだめだ。──という話。
USA釣具店が気になる
【”お弁当を美味しそうに、綺麗に食べる人に悪い人はいない。”海辺の小さな町に暮らす心の片隅に孤独を抱えた人たちと、同じく心に孤独と闇を抱えつつ飄々と生きるちひろさんとの交流を優しい視点で描いた作品。】
ー 今作ではちひろさん(有村架純)の過去は一切語られない。
弟が母親の死を伝える電話の声だけである。だが、彼女は母親の葬儀に出ない。
お弁当屋で働くちひろさんは、元・風俗嬢だという事も隠さずに飄々と生きている。
そんなちひろさんに惹かれる様に、色んな人が彼女と関わるが、ドラスティックな出来事はほぼない。
けれども、この作品には人の様々な形の優しさが詰まっている。
故に、観ていて優しい気持ちになれるのである。-
■ちひろさんと関わる人達とちひろさんの遣り取りで印象的だった事。
<Caution! 内容に触れています。>
1.ホームレスのお爺さん(鈴木慶一)に、ちひろさんはお弁当を上げて、自宅にまで招いてお風呂に入れて上げるシーン。そして、お爺さんが居なくなった事に気付き町中を探し、お爺さんの死体を見つけ、土に埋めるシーン。
ー ちひろさんの人を見た目で判断しない優しさ溢れるシーンであり、ちひろの過去の出来事を勝手に推測させるシーンでもある。ー
2.キャバ嬢の母(佐久間結衣)が忙しくて、孤独感を覚えているヤンチャな小学生、まことがちひろさんを揶揄っている時に怪我をさせてしまった時に、謝るシーン。
ちひろさんは”謝る時には人の眼を見て謝るの!”と諭す。
ー ちひろさんが、キチンとした考えを持っている事が分かるシーン。-
3.まことの母がちひろさんに対し”お弁当とか上げないで!私が変に見られる。と怒鳴り込んできた時にはちひろさんは謝るが、まことが作った母の誕生日の花束を、まことの母が”変な入れ知恵しないで!”とちひろさんの所に抗議に来た時には”まことの事を良く見て上げなよ!母親でしょ!”と言い返すシーン。
ー このシーンも、何となく、ちひろさんの子供時代が見えるようである。-
4.家族との食事が味がしないという悩み(家に居場所がない・・。冷たい雰囲気の家族4人での食事シーン。)を抱えるおかじ(豊嶋花)に、ちひろは”ヒミツの場所”を教えてあげる。
又、まことが家の鍵を無くして家に入れなくなった時に、おかじに電話を掛けて助けを求めた際に、おかじの母が作ってくれた焼きそばを食べているときに、おかじが流した涙。
ー おかじが、真の親の愛を感じたから出た涙であろう。-
5.父親との軋轢で父をバットで殴って、家を飛び出した青年(若葉竜也)がラーメン屋で高圧的な態度を取る男を一括するシーン。店に入ってきたちひろさんが、青年に掛けた言葉。
”もう一回会ったら、殺しちゃいなよ。”で、SEXをする二人。
ー ちひろさんのややダークな姿が伺われる。-
<有村架純さんは、今や国民的女優のお一人だが、今作は彼女の微笑みに癒される作品であり、有村さん演じるちひろさんの描かれない過去に基づくと思われる、やや不可思議且つダークな姿が、不思議なる余韻を醸し出している作品である。>
■手元のフライヤーを見たら、フードスタイリストを飯島奈美さんが担当されている。道理で今作に出てくる多くのお弁当や食事が美味しそうに見える筈である。
人間という箱に違う星の人の魂がそれぞれ入っているの。
この映画を観て、一番心に響いた言葉。
そして、人と人とが心の底から分かり合うことができない真実が、すとんと腑に落ちる。
人種や民族や宗教や、遺伝子や育った環境の問題ではなく、魂の出自かー。
何だかすごく、心が軽くなった。
ちいろさんは、おそらく家族との関係で、幼い頃にこの感覚を体得したんだろう。
言葉によるコミュニケーションはもどかしく、本心は半分も伝わらない。
聡明な彼女は、他人に期待をせず、孤独に居心地の良さを見出す。
時々、何も言わなくても、ふわりと自分の心に触れる人に出合う。
彼女は本音を言い、その一瞬の触れ合いになごむ。
でも、それは一瞬の邂逅だと知っていて、心は別れの時を探し出す。
ネットで常に他人と繋がる時代に、この作品かあ。
肩の力が抜けて、自分のペースで生きていこうと感じた。
有村架純さん、外見のかわいさとほんわかした雰囲気にごまかされるけど、いい女優さんだな。
今泉力哉監督、一筋縄でいかない作品を創るなあ。
半世紀以上生きてきて、私はまだ同じ星の魂の人には出会っていないので、2人も出会っているちひろさんが羨ましかった。
エンドロール後のワンシーン、レアなちひろさんが見れてクスリと笑った。
言葉の受け取り方は、ホント、受け取る側次第なのだ。
孤独を慈しむことをめぐって。
2023年。今泉力哉監督。元風俗嬢の「ちひろさん」は誰にでも真摯に向き合い、子供や老人など弱い立場の人たちを自然に助けて生活している。肩の力を抜いた生き方をしながら癒しようのない孤独を抱えて生きる主人公とその周囲の人々の話。
無理に孤独をなくそうとしない主人公が、他者への自然な心遣いの結果として人間関係ができあがっていくと、そのできあがった関係からも逃れたくなってしまう、という「ハリネズミのジレンマ」のような孤独の宿痾を上手に描いている。主人公の孤独は宿命的なもので、誰かと一緒にたら癒されるという程度のものではないのだ。だから「埋葬」が繰り返し描かれて、孤独の深淵を垣間見せている。やさしさから埋葬しているわけではない。
豊かな抒情性をたたえた映像で、主人公の有村架純がとても魅力的に映っている。いい映画。
大きな孤独
孤独の大切さ
元No.1風俗嬢のちひろさん。
不思議な雰囲気と魅力、歯に絹着せぬ物言いで関わる人々に寄り添い、受けれ入れて、何気なく諭していく。
原作漫画は読んだことがなかったのでそれも良かったのかもしれない。
有村架純さんの醸し出す"普通さ"と圧倒的な懐の深さのバランスがとても良いキャラクターになっている。
変に孤独にめげる事もなく、誰にでも優しい訳でもない。のらりくらりと男をあしらう事もできるし、自分自身の影を受け止める事もできる。
今の世の中、生き急いで色んなことを受け止めて、互いを理解しないと置いて行かれそうな雰囲気に飲まれそう。そんな風に感じることが増えた様に思う。
そんな時、もがけばもがくほど苦しくなって沈んでいってしまう。深く、深く、深く。
沈んでたって、それはそれで良いんじゃないかと教えてくれたように感じました。じっと今を見つめてみる。そうすると沈んでても良いし、心が軽くなればまた浮き上がって来てもいいよって。そんな風に思わせてくれたのが今の自分にとってとても居心地のよい優しい作品だった。
昼からビールを飲んで優雅に見たり、
早く起きた静かな朝にひっそりと見たり、
ふと寂しい深い夜に見てみたり。
いつでも受け入れてくれそうなちひろさん。それは孤独の大切さを身思って体感してるからなんだと。
だからNetflixという配信スタイルに作風もマッチしていたように思う。
出演され居る役者さんたちもまた良いところづくめで、若葉竜也さん、佐久間由衣さん、リリーフランキーさん、平田満さん、風吹ジュンさんと好きな役者さんが出てて良かった。
子役の嶋田鉄太さん、豊嶋花さんもハマって居たのが本作のより良いところだと思いましたねー。LOVE LIFEの嶋田鉄太さんは子だったとは気づきませんでしたが、人気監督の2作に出演してるの凄すぎる。
劇場鑑賞だとオマケムービーが見れたそうで、見たかったけど見れませんでした。近くの映画館でやってたら会いに行ったのに。
ちひろさん。
良い作品。
ちひろさんにまた会いたいと思いました。
孤独が好きなちひろさん
ちひろさん(有村架純)は元風俗嬢で、本人は隠していない。
お弁当屋の売り子で人気がある。
本人は孤独が好きなのだが、いつの間にかホームレスのおじいさんや不登校の女子高生、家族に馴染めない女子高生、シングルマザーに育てられている鍵っ子の小学生などと人間関係が生まれてしまう。
有村架純は私にとって癒し系ナンバーワンで、今回も癒やされた。
その女、孤独に寄り添う流浪人... 故郷を捨てた女性が行く先々で孤独に惑う人々を癒すも我が胸中は・・・な孤独の交通整理映画
2010年代にEleganceイブにて連載された、安田弘之先生による漫画作品の映画化。
掲載誌が大人の女性をターゲットとした女性漫画誌なだけあって、酸いも甘いも知る強かな女性が主人公ですが、安田先生の代表作である『ショムニ』のような群像劇感は継承しつつも、チーム一丸となって有象無象に立ち向かうテイストではなく、全体として優しいながらも寂寥感の漂う作風が得も言われぬ諦観も感じさせ、その"励ます"よりも"寄り添う"感じが象徴的です。
また、素性の知れない異邦人の風来坊が村人の問題に肩入れし、尽力するも縁が深くなる前に人知れず次の町へと去っていく・・・・・・言うなれば『木枯し紋次郎』あるいは『男はつらいよ』的なカタルシスの感じられるカッコ良さもあるかもしれません。
「2日前ラジオでくるり泣いてしまった」
「違う惑星から来た人」は意外と多いかもしれない
元風俗嬢現弁当屋の謎のお姉さん=《ちひろさん》。
家族じゃない、でも居場所を作ってくれる彼女に惹かれる人は多い。だが、彼女自身が何者なのかを知る人は、多分誰もいない。
弁当屋を舞台にした映画やドラマはたらふく観てきましたが、こんなにも美味そうな弁当を出す店は見たことありません。どこだよ、この弁当屋。毎日行くから場所教えてくれよ。
なお、この作品はNetflixでも配信しているそうですが、港町(ロケ地焼津)が舞台とだけあり、港町の風景や音はやはり映画館で触れた方が良いのではと思います。私は映画館で観ました。
秀逸な人間ドラマ。
家族が悪い意味で家族じゃない登場人物がいて、そこに家族っぽくないけど家族の温かみを届けてくれる人と、家族っぽくないけど本当は家族らしくしたい人が重なり合う。
寂しいと一言で言っても、かと言って誰かと一緒にいたいかと言えばそうでもない。そもそも《一緒にいる》という言葉のニュアンスは人によって微妙に違う。そのニュアンスの違いが、家族や友人という近い距離にありながらも、微妙な亀裂を産んだりする。
この作品の中で出ていた「違う惑星から来た人」を言葉にして表すのは難しい。けれど、なんとなく示そうとするものはわかるし、考え方も理解出来る。そして、ちひろさん。多分多いよ?思っているよりも。と。
良かったです。特に主演が有村架純さんだったのが良かった。港町の謎の女。なのに、あのほっこりした笑顔で全部持ってかれる感あった。
なんで3.5かと言えば、単純にちと長いなと思ったからです。ただ、どこを削れば良いのかわからんですが。
お弁当がふいに食べたくなる良い作品。
今年80本目(合計732本目/今月(2023年3月度)15本目)。
どうもnetflixでも同日公開だったようですが、私は映画館にいって、わからかった部分はネットフリックスで補いました。
元風俗業であることを「あまり」隠さずにお弁当屋で働いている主人公、ちひろさんがテーマの「ちひろさん」という映画です。
出自がどうであろうと、人(他人)を見るときには、その人の過去の生い立ちその他を考えることなく、「今のその人」を見て判断することが大切です(換言すれば、偏見を持つのは良くない、ということ)。
ごくごく当たり前のことですが、本映画はそれをまさに実行している主人公で、そのピュアさに好感が持てました。
ネットフリックス系映画というと1ランク下がると思われる方が多いですが、今でも普通に放映されている映画館もありますので、「その中では質が高いほう」です。
行政書士の資格持ちとして、「お弁当屋」について公衆衛生(衛生行政)の観点からやや描写が不十分かな…と思える点はあるものの、細かい話でしかないし、それをどうこうする映画でないのは明らかなので、見逃し(または、減点0.2まで。これだけでは4.5までの評価にならない)にしました。よって、減点なしか4.8で、4.8だとしても5.0に切り上げ満点ということになります。
「ちひろ」さんのまっすぐな生き方に共感が持てる方(予告編で結構わかると思います)はおすすめです。
あなたはどんな時も心をフラットにできていますか?
有村架純ちゃんいいね。映画としての構成も良かったような気がする。この原作割と長いから、なかなか2時間に収めるのは難しかったと思う。原作の着地とはちょっと違う感じだけどね笑。
ショムニの原作者が書いた漫画で、男性目線の理想像の女性を描いてるだけ、とかなんとか、かんとかいう方もいるみたいですが、貴方も女の立場から見ると、というその色眼鏡外してもいいと思うよ。なーんつって。
あと、原作もそうですが、敢えて彼女の背景はハッキリと描いていなのだと思います。それこそが言いたいことなのでしょう。型に嵌めたい気持ちは分かる。わかった気になりたいのもわかる。でも、その人の本質はそこにないのです。情報を得てもわかりはしないし、得たら得たで穿った分析をしてしまう。まぁ、色眼鏡や偏見なんて、誰だって外せないもの。だったら言い訳しないで矛盾してる自分ごと信じて愛してから、相手を見てもいいのかもしれない。
1人にならないと呼吸できない時もある。そんなふうにしか生きれない人もいるんです。
人を怒らなくなる映画。
ちひろさん、今日から浦和に来てくれました!
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