劇場公開日 2023年2月23日

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「人間という箱に違う星の人の魂がそれぞれ入っているの。」ちひろさん のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人間という箱に違う星の人の魂がそれぞれ入っているの。

2023年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画を観て、一番心に響いた言葉。
そして、人と人とが心の底から分かり合うことができない真実が、すとんと腑に落ちる。
人種や民族や宗教や、遺伝子や育った環境の問題ではなく、魂の出自かー。
何だかすごく、心が軽くなった。

ちいろさんは、おそらく家族との関係で、幼い頃にこの感覚を体得したんだろう。
言葉によるコミュニケーションはもどかしく、本心は半分も伝わらない。
聡明な彼女は、他人に期待をせず、孤独に居心地の良さを見出す。

時々、何も言わなくても、ふわりと自分の心に触れる人に出合う。
彼女は本音を言い、その一瞬の触れ合いになごむ。
でも、それは一瞬の邂逅だと知っていて、心は別れの時を探し出す。

ネットで常に他人と繋がる時代に、この作品かあ。
肩の力が抜けて、自分のペースで生きていこうと感じた。
有村架純さん、外見のかわいさとほんわかした雰囲気にごまかされるけど、いい女優さんだな。
今泉力哉監督、一筋縄でいかない作品を創るなあ。

半世紀以上生きてきて、私はまだ同じ星の魂の人には出会っていないので、2人も出会っているちひろさんが羨ましかった。

エンドロール後のワンシーン、レアなちひろさんが見れてクスリと笑った。
言葉の受け取り方は、ホント、受け取る側次第なのだ。

のりたまちび