劇場公開日 2023年2月23日

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「優しく切なく、消えてしまいそうなちひろさんでした。」ちひろさん さくらんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5優しく切なく、消えてしまいそうなちひろさんでした。

2023年2月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

優しく、心に寄り添ってくれる作品だった。
これを上回るものはあるんだろうか。
この作品のレビューにオリジナル原作じゃないと今泉監督らしさが出ないとよく言われているけれど、原作があるものならそんな今泉色は出さなくていいんじゃないかと思うし、ちゃんと会話や言葉の選び方、登場人物の一人一人の優しさや温かさが監督しか出せないものに仕上がっていたと思う。

ちひろさんの存在感。圧倒的でした。
有村架純でよかった。彼女にしかできない影の部分を魅せる演技だった。監督は前から有村さんの印象をそんな風に仰っていてまさに納得でした。
そんな彼女の周りには生きることに何かしらの不具合を抱えてる人間が集まる。
オカジの家族が切なかった。
裕福で美味しいご飯を家族で食べれても、そこには温かい楽しい団らんは全くなかったのだ。ただ窮屈で苦しい時間なのだ。ちひろさんと過ごすことで、人との関わりはこんなに楽しくて、食べることは幸せで、美味しいんだと気づいていく。

家族が一番大切っていうのは人間が作り上げた神話なのかもしれない。
のこのこ弁当の店長がちひろさんのことをこんなに美味しそうにお弁当を食べる人に悪い人はいないって言っていたけど、マコトだってマコトのお母さんだって、若葉くん演じた父親を憎むお兄さんだって、ちひろさんみたいなまっすぐな嘘のない人に関わることで心が浄化され、今まで見えなかった何か大切なものを見つけることができたのかなって思った。そんな人に私もなりたい。
それにしても、マコトくん、キミすごいよ。
ただ無邪気に台詞言ってるだけなのか、ちゃんとお芝居をしてるのか…

そして、いつか同じ星の人と巡り合う人生を生きれたらいいですね。

さくらん