ちひろさんのレビュー・感想・評価
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属性から解放される時
聖なる娼婦というモチーフは現代においては批判にさらされやすい。本作もややそういう傾向のものとして受け止められている面があるようだが、実際、風俗業に携わる人も、そんなに特別な人たちではない。見下すのも神聖視するのも、どちらも普通から除外するという点で差別的である。
しかし、風俗のような職業が、人間の様々な面を観る機会が多いというのも事実で、そういう意味では人生経験が豊富になるし、観察眼も冴える。この映画の主人公、ちひろさんのもとには生きづらさを抱えた人たちが老若男女問わず慕ってくるが、それはどちらかというと彼女の経験の豊かさゆえだろう。過剰に神聖視は必要ないが、彼女の経験値を否定する必要もまたない。
人は人間関係を築く時、しばしば「属性」に頼ってしまう。ちひろさんは誰にも属性を尋ねない、今目の前にいるその人とそのまま接するのだ。その属性からの自由になる感じに、人は惹かれていくのではないか。親の前では子どもでいなくてはいけないし、学校では生徒でなくてはいけないし、職場では労働者という属性として振る舞らねばならない、しかし、ちひろさんの前では、何者でなくても構わない。属性に疲れた人にはそれが心地いいのだ。この映画を見ている間は、観客も何か属性から解放されたような気分になれるはずだ。
たんたんと、、少し深く深く
たんたんと
特別にドラマチックな要素や、展開があるわけではなく、ただ、ちひろさんの日常がたんたんと描かれています。
ちひろさんが昔風俗嬢をやっていたという背景が、物語にアクセントにはなっています。
"ちひろさん"は源氏名ですが、その名前にもちゃんとエピソードがあります。
誰に対しても俯瞰的で、寄り添っているようで、ふわっとしている。
最後にたえさん(風吹ジュン)の
"あなたはどこへいっても孤独を手放さずに生きていける"と台詞を聞いた時に、ちひろさんの優しさは常に孤独な人だからこそ持てるんだと感じました。
リリーさん演じる元風俗店の店長と、ちひろさんが一緒にいるシーンは妙にエロくて、これは演技?それとももうオーラ?監督の腕?よく分からないけど、すごく合っていて、またこの2人の共演する作品を観たいと思いました。
誰かの孤独を包み込む優しさ
◾︎あらすじ
元風俗嬢が海辺の小さなお弁当屋さんで働き、それぞれ孤独を抱える人達と関わっていく話。
◾︎感想
孤独を抱える人達と交流し、笑顔にしていくちひろさんの姿には温かみを感じた。風俗嬢という仕事も、人の辛さを受け止めてあげたり、笑顔にしていくような仕事だと思うが、作中でちひろさんがやっていることは本質的にそれと変わらないかもしれない。名前も知らない浮浪者や家庭環境に難がある小学生にお弁当あげたりできるのは、風俗嬢として働いていたときに培った感受性や懐の深さがあったからではないかと思った。
印象に残った台詞は、ちひろさんが落ち込んでいたときの元風俗店店長の台詞。「しばらく沈んどけ、じたばたするからどんどん沈むんだ。人は浮かび上がるようにできてる」。私も仕事で上手くいかないことがあって気持ちが沈むことがある。この台詞はそんな自分にも投げかけられているようで「ずっと底にいるわけではないよ」って諭してくれているみたいであった。
惜しいと思った点は大きくわけて二点。一つはちひろさんが海辺の小さなお弁当屋さんで働こうと思った動機が不明瞭だったこと。ふらっと立ち寄ったお弁当屋さんにたえさんがいた事が影響しているのはわかるが、No1風俗嬢だった人がお弁当屋さんで働こうと思った理由がもっと明白であってほしかった。もう一つは生き物を大切にするちひろさんの性格の背景。カモメを埋葬したり、水に溺れそうになる蟻を助けるシーンは、ちひろさんの優しさが滲んでいたと思う。そういう性格の背景が描かれていると、納得感も増したのではないだろうか。
最後に、ちひろさんの生き方はある意味自分の理想だったと思う。関わる人々の孤独や苦しみを受け止めてあげること。罵倒されてもすぐに反論せず、本質的に大切なことを言ってあげられる落ち着きと優しさ。人との関わり方を考えることで誰かに小さな喜びや優しさを分け与えることが、本当の豊かさなのかもしれない。
心を覗けたなら 今すぐに楽になるかな
漫画アプリで3巻まで原作を無料で読めて面白くて良い雰囲気だったので見てなかった実写も見ました〜
全体的に優しいようなそっけないような雰囲気が流れてて良かったと思います
雰囲気映画だけにならずキャラクターも特徴掴めてた気がするので良かった
有村架純の底がわからないミステリアスな感じ出すの良いですねー 明るいけどどこか切なそうな雰囲気感じました🙋
お弁当屋さんのキャストみんな良かったですね!こういう渋い所のキャストが味があると土台がある感じして良いです😋
物語的には起伏も特になく日常の延長線みたいな感じでしたが逆にこれが良いです✌️
同じ星の下りは感動しちゃったなー
ちひろさんみたいな人と接したら心の奥底まで見つめられそうで怖いですが話してみたいですよね!(笑)
「元風俗嬢」であるかどうか関係ある?
レンタルビデオ屋で借りてきて宅飲みしながら友人と視聴。友人は有村架純かわいいと言うが私にはストライクゾーン外角高めで、それはさておき
これはアート映画でしたね。シュールギャグのアート。一貫した物語の起承転結はなく。冒頭、猫と戯れる美女のちひろさんと、それを隠れて撮影する女子高生が登場し、ガールミーツレディーで物語が動き出すのかと思ったら、ドユコトー?なまま終わっていきました…1人1人が人間的な動きをしないから、そうはならんやろという場面が続くなかで、時に現実にもありそうな場面を経由します。
ホームレスをいじめる小学生に「何してんの?私もまーぜーて」と口だけの笑顔で迫るちひろさんは、さながらダークヒーローでした。けれど自宅に上げて風呂に入れる、わけねーだろ!
ラーメン屋さんでムカつく客にキレたら、有村架純に逆ナンされてワンナイトに至ることもありません!バットで父親を殴って家出して、キレそうになったら腕の般若心経を見て落ち着かせる割に、ついさっきキレてただろ!ナンセンスギャグ的で、ここ面白かったです。
1人で生きることに慣れて強さを手に入れていたホームレスに、無責任に施しを与えてしまったが故に草むらで尽きているのを発見して、自分を責めて絶望に落ちるちひろさん…
等おらず、死体を埋めたあとのビールは美味い!とごちるちひろさん。これはシュール。
あらゆるものから自由なちひろさんが街を駆け巡り、ふれあった人たちがちょっとだけ、不自由から自由へと背中を押される感じ。予想通りの行動をしないトリックスターがいることで、この世界はそうなるようにしかならないという前提が揺らぎ、よくなることを期待できる感じ。キャラクター映画「ちひろさん」というタイトルも、「寅さん」的な、型にはまらないキャラクターがいて、その回りの普通の人たちが成長する感じがあります。。
だがちひろさんの周りはよくても、ちひろさん自身はどうなのだろうか?
この映画の主題は「元風俗嬢の弁当屋」である。冒頭で弁当屋のバックヤードで「(元風俗嬢って)隠してるのに広まっちゃうじゃない」「いいって、みんな知ってるし」というくだりが印象的なつかみとなっている。ちひろさんは、属性から解放された妖精ではなく、元風俗嬢の弁当屋なのです。そしてこの「元風俗嬢」という属性が、このちひろさんの立ち居振舞いのバックボーンにあると描くのは非常に危険です。
はっきり言ってちひろさんはかなり頭のネジがとんでいる。見知らぬホームレスを家に上げて二人きりの空間で薄着で、体を洗ってあげるちひろさん。まあ元風俗嬢だし、それくらいするよねって、なりません!ほぼ全ての元風俗嬢は、そんなことしないと思います。
そんなことを普通にする人がいても構いませんよ?けれどそれは圧倒的に特殊な人格形成を経ている人であり、「元風俗嬢」と喧伝してからこの動きをされると「元風俗嬢」の方々に風評被害がいきます。
元風俗嬢だからこんな頭おかしい世捨て人みたいになってんだなって、思わせてどうすんですか。やっぱ風俗やる女は変だって思われて。
その肩書きを前面にだすのであれば、「元風俗嬢だが」いや、「元風俗嬢だからこそ」得られた大事な価値観を描いてほしい。単に「職業に貴賤なし」とか平凡なこと言うなら、その看板は取り下げるべきだ。
風俗嬢という仕事はやっぱり特殊な仕事で、そうでない人たちと価値観の解離があると、今の社会のなかでは位置付けられていると思う。かくいう私も門外漢の側だ。だから向こうの立場から新たな価値観を提示してくれるのもまた一つだと思って、この映画を視聴したのだが…
今を生きている。でも、今しか生きられない。
猫のような身軽さで日々を生きている女性。掴みどころがなく笑顔が可愛い、でもどこか儚げな魅力を持つちひろさん。
ちひろさんの強さはどこから来るのだろう。同じ星の人がどこかには存在するという確信からだろうか。
彼女の過去については具体的な描写は少なかったけど、母子家庭だったのかな。。その母はきっと何億光年も離れた星の人だったのだろう。
持って生まれた性質と、もしかしたら母との関係性から孤独が寂しさを紛らわしてくれる処方箋になっている。
自然と人との繋がりを作ってしまう魅力溢れる人柄なのに、その繋がりが重しになり、水の底に沈んでしまう。
だからこそ人に対して期待したり、ましてやお願いなんてしないのに、マコトのママには見放すような態度でもどこか救いを懇願する気持ちが出ていた。もしかしたら幼少期の記憶に対する行動だったのかな。
ここではないどこかへ行きたい気持ちはとてもよく分かりますし、そのままのちひろさんを認めそばにいてくれる人こそが救いになるのでしょうが、その側に収まれるかは分かりませんね。
まだまだ先だけど、ちひろさんが年老いたとき、どうかひとりで寂しい死に方をしないで欲しいなと思ってしまうのは私のエゴでしょうか。孤独を好んでいるように見える一方、師匠への距離感からも孤独の寂しさも十二分に実感しているようにも感じました。
有村架純の可愛さから明るい気持ちになった気がするのだけど、観た直後の今すごく暗い気持ちになっているのは、きっと私の気持ちが沈んでいるせいでしょう。
ストレッチしてから寝よう。
そんな子もいたっていいと思います。 けれど…
原作を読んでいない者の感想です。
有村架純さんっていいなと、今さらながらに感じました。
漫画では納得しやすくとも、現実世界ではありそうにない行動をとる、ちひろさん。
わたしはそれらとっぴなシーンを見ても、なお先の展開を求めてしまいました。
彼女の笑顔のせいです。
共演者たちも、みなとても魅力的でした。
好きな役者が出演している、というファンの方々は、この作品を見てソンはないとおすすめできます。
小学生まこと役の嶋田鉄太さんの演技は秀逸でした。
わたしは今作で初めて見ましたが、彼には伊藤淳史さんや濱田岳さんのように活躍する未来が待っているのではないでしょうか。
ホームレス師匠を埋葬してしまうシーンでは、もう少しだけリアリティを持たせてくれれば、と思いましたが、それは作り手の意図的な部分でもあったと思います。
映像は優しく、役者さんたち全員がとても魅力的で、観てよかったと感じた作品です。
原作もいいのだと思います。
読んでみたい。
ところで、ちひろさんは、なぜ変わった行動をするのでしょうか?
リリー・フランキーさん演じる店長はバジルに言っていました。
〜面接のとき、普通の女の子だったけど、靴がすごく汚かった〜
師匠のとき以前にも、ちひろさんは地面を掘って死体を埋めたことがあるのだと思います。
他の方も、父親を殺したのではないかとレビューでおっしゃっていましたが、そうかもしれませんね。
朝ドラ「虎に翼」に登場した、尊属殺人を犯してよねさんたちに弁護してもらった女性を連想しました。
実の親だったかそうでないかはわかりませんし、腰の傷跡は誰が作ったのかも分かりません。
殺したのではなく、死人を埋めただけなのかも分かりません。
その死体が人間だったか、そうでなかったかも不明です。
ともかく、心に大きな傷を負っている彼女は、ずっと逃げる運命なのでしょう。
自分を好きでいてくれる人たちからも、靴を汚して死体を埋めてしまった過去からも。
逃げながらも、孤独な贖罪の毎日なのです。
であれば、自分の身体を売ったり、ホームレスの身体を洗ってあげたり、ストーカーっぽい女子高生に親切にしたり、刺されても笑い顔を作ったり、シングルマザーに言って聞かせたり、溺れる蟻を助けたりという行動が、腑に落ちます。
誰かを助けてあげることが出来なかったのかもしれません。
自分の命があるうちは、誰かを助けたいのかもしれません。
憎しみから殺した人間を埋めたことがあるなら、もう二度と埋めたりはしないと思います。
だから、ちひろさんは、やっていないでしょう。
街からいなくなってしまったのは。
いつ死んでしまうか分からないから、先にみんなの前から消えてしまったのでしょうか。
後ろめたいのかもしれません。
みんなを悲しませたくないのかもしれません。
変なことをする、優しくて、人を救って、みんなに好かれる子。
孤独で心の奥をひらかない子。
突然いなくなってしまう子。
そんな子もいたっていいと思います。
けれど、そんな子を作ってしまう行為には怨みを感じませんか?
病室で、風吹ジュンさん演じる多恵さんにドングリをプレゼントしたあと、昔のエピソードを語るちひろさんの表情が、いつまでも忘れられません。
自分の居場所が見つからない人たち
今泉力哉監督の作品は数本目だ。彼の作品は言葉に出来ない感情が積み重なっていく感覚がある。自分のような素人には分からない演出力なのだろう。
本作でもまたその力は発揮されていたように思う。物語や内容とは少しズレたところにある不思議なものを感じた。
有村架純演じる主人公ちひろはときに優しくときに厳しく、相手を選ばないコミュ力お化けのような人で、自身も芯のある強い人だ。
そんなちひろさんがすることは人と人を繋ぐこと。
ちひろさんは実に人気者ではあるものの彼女自身が中心になることはない。ドーナツの真ん中の空洞のような人なのだ。
マコトが鍵を失くし何か食べさせてと助けを求めたのはオカジであった。高校生のオカジよりも社会人であるちひろのほうがマコトが求めるものを提供しやすそうにもかかわらずだ。
観ているだけではちひろとマコトのほうが繋がりが強そうに思えても、見えないところでオカジとマコトのほうが強く結びついたということなのだ。
ちひろ本人は同じ星の人を捜していると言った。誰とでもコミュニケーションをとれるちひろは逆にいえば誰とも親密になれないようだ。星の話に置き換えるならば、相手が見つからないということになるだろうか。
エネルギッシュで魅力的なキャラクターであったちひろの中身は、くっつきそうでくっつかないバラバラのピース。彼女の繋がる相手を捜してくれる「ちひろさん」が彼女自身に必要なのは悲劇だ。
作中で輪を構成していくハートフルな物語の中で、ちひろだけが一人取り残されてしまった。
原作があり、まだ完結していないので仕方ないのかもしれないが、ちひろだけが幸せを掴めなかったように見えるラストは少々残念だった。
常にマイペースなちひろに惹かれた
周りに流されず常にマイペースなちひろに惹かれた。前職が風俗嬢だったと打ち明けるのはなかなか勇気いる。
自分は常に周りの目を気にしすぎて疲れちゃうタイプなので、ちひろのように緩やかに生きてみたい。
人間はみんな宇宙人で別の星から来た、という台詞が印象に残った。たしかに言われてみると、身内など親しい間柄だからといって必ずしも分かり合えるなんて保証はない。むしろ分かり合えないことの方が多いんじゃないかと思わせてくれた。
今後ピーン!とフィーリングが合うような人が現れたときはこの台詞を思い出して、「あ、同じ星の人だ」と思いたい。
ストーリー展開は全体的に起伏が少なく淡々と進み地味。また、登場人物は全員良い人で悪役的な意地悪キャラが登場しないのも物足りない。ちひろが何らかの形でピンチに陥る場面あっても良かった。
有村架純と佐久間由衣コンビが素敵
有村架純さんに引き込まれる作品。 本年度ベスト級。
有村架純さん主演&今泉監督作品と言う事で視聴。
悪い人が出て来ないホッコリ系の作品。
特別な事は起こらないけど色んな人間ドラマが組み込まれた作品だった。
彼女が演じる、ちひろサン。
過去の仕事も隠さずにお弁当屋さんで働きながら様々な人達に元気を与えて行くようなストーリー。
ちひろサンがお弁当を美味しそうに食べるシーンが印象に残る。
食べ終わった後の弁当容器が美しい(笑)
浮浪者や怪しい女子学生等、誰にでも優しく接するちひろサン。
そんな中でも女子学生のオカジとのやり取りが印象に残る。
シングルマザー役の佐久間結衣さんも良かった。
彼女が作る焼きそばが食べたくなる。
後半、リーリーフランキーさんも登場。
ちひろサンの前職のシーン。
あっさりした面接に店長の人間性を表現した感じで印象に残る。
皆に慕われている感じのちひろサンだけど孤独感がある感じに見えたのは自分だかなのか?
気になるところ。
何故、お弁当屋さんを辞めて新たな仕事をする様になったのか?
人間関係に疲れたのか?
新たな生き方を見つけたのか?
色々と考えるも答えが出ない(笑)
贅沢な秘密基地が羨ましかったです( ´∀`)
主人公の生き方には賛同できないが
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