劇場公開日 2023年6月30日

「何もかもチグハグで「新宿」の魅力が伝わってこない」探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0何もかもチグハグで「新宿」の魅力が伝わってこない

2023年7月1日
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FBIから宇宙人の捜索を依頼される導入部分はそれなりに面白いのだが、その後、娘に会いたがっている元ヤクザのヒットマンの話やら、ホストに入れ込んでいる若い女性の話やら、暗殺者として育てられた姉妹の話やらが続いて、どこに向かっているのかが分からなくなる。
2人の監督が撮影した3つずつのエピソードを繋ぎ合わせているせいか、まとまりも取り留めもなく、空中分解してしまっている感じで、監督の相性の良さも感じられないし、それぞれの個性が化学反応を起こしているとも思えない。
特に、コメディとも、ハードボイルドとも、SFともつかない中途半端で煮え切らないタッチは、どうにかならなかったものか?
せっかく通り魔やら、ヤクザやら、FBIやら、忍者やら、暗殺者やらを登場させているのに、それらを十分に活用できていないため、不完全燃焼な感じばかりが残る。
何よりも、マリコのキャラクターが正統派すぎて、二枚目半とか三枚目の個性的な役が似合う伊藤沙莉にマッチしていないのは、致命的だろう。
竹野内豊にしても、これでは無駄遣いしているとしか思えない。
危険で、猥雑な魅力を放つ「新宿」という街そのものが主人公だったのかもしれないが、脚本も、演出も、配役も、何もかもみなチグハグで、その魅力を引き出すことができなかったのは、残念としか言いようがない。

tomato