劇場公開日 2023年1月27日

「人生は死ぬまでの暇つぶし」イニシェリン島の精霊 どん・Giovanniさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人生は死ぬまでの暇つぶし

2025年5月3日
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鑑賞方法:VOD

知的

 ロバが大好きな主人公パドリック(コリン・ファレル)の話が、音楽を愛するコルム(ブレンダン・グリーソン)にとっては 関心がなくなってしまい 縁を切ろうとして指を切りました。コルムにとってパドリックは、話し始めると無駄に長く、恐らく独占欲も強くて 重く感じる相手だったのだと思います。

 ロバ等の動物たちと一緒にいるコリン・ファレルを見ると『ロブスター』(2015年)を思い出します。コリン・ファレルは ダメ男の役が似合います。
 ドミニク(バリー・コーガン)がパドリックの妹シボーン(ケリー・コンドン)の裸に言及したり、家に招待する場面は、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2018年日本公開)を彷彿とさせます。

 シボーンの結末と ドミニクの結末も 対照的でした。
 死神のような老婆が、「二人死ぬ」という予言をしていました。もう一人は誰になるのでしょうか。
 四面楚歌になって闇落ちしたパドリックは、これからどう生きていくのでしょうか。
 名言が沢山あり、考えさせられる良作でした。

どん・Giovanni