劇場公開日 2023年3月31日

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「どういう見方をするかによってある程度評価は割れるかなぁ…。」ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どういう見方をするかによってある程度評価は割れるかなぁ…。

2023年3月31日
PCから投稿

今年105本目(合計756本目/今月(2023年3月度)40本目)。

日本ではまだなじみが薄いですが(コロナ事情で「オンライン」の形では普及はした)、海外では普通に遊ばれている、いわゆるttrpgの、海外(特に、アメリカ・イギリス他)では「ほぼ定番」といえるこのルール体系をテーマにした映画です。

日本ではそもそもttrpgに関してあまりなじみがないし、諸般の事情(現在、日本では5.0版がメインですが、日本での翻訳権等の関係で2022年に一時期販売が打ち切られる等があった。現在は著作権をクリアにして再出発済み)でなかなか触れる機会もないし、いわゆるこの手の「ルールブック」は1冊7000円くらいしますので、そうそう簡単に始められる機会がないのは事実です。

 ※ ただし、日本では上記の事情はあるとしても、いわゆる「無料体験版」として、一定程度のルールに限定して遊べるようにいわゆる「体験版ルールブック」として公式から公開されていますので、それで「お試しプレー」自体はできます。

 映画として見たとき、本映画はこのような特異な事情があるため(日本で、ttrpgが扱われる映画は年に1~3本程度で、本映画のように真正面から扱った映画は本当に久しぶり)、どう解釈するかはかなり個人差がわかれます。このような事情があるため、字幕版(私は字幕版で見ました)や吹き替え版にせよ、「ゲーム上のルールに関する知識」はほぼ求められないものの(一部知っていれば有利、に過ぎない)、固有名詞はどんどん出てくるし、パンフレットがない、というのはかなりの痛手ではなかろうか、と思えます(一応、日本公式サイトのホームページがかなり親切です)。

 結局のところ、海外(特にアメリカイギリス等)ではとても有名なルールをもとにした映画で、日本公開にあたっては「ゲームとしてのルールの理解」はほぼほぼ前提にされていないため、気軽に楽しめる映画にはなっていますが、一線を越えて「この部分はルール上の解釈は何か」等を気にしても回答はない上(パンフレット等もない)、まぁ正直「映画としてストーリー自体を楽しむ」以上のことは「日本国内においては」無理ではないか、と思えます(上述通り、ルールブックが1冊7000円程度し、それを3~4冊買わないと遊べないシステムなので、かなりの初期投資が必要という事情から、専門のゲームサークルすら存在します)。

 「ゲームルールに関することをどうこう言わないのであれば」あまり気にするところはないですが、明確に気になる点(説明不足)もあり、どういう評価をするのか評価が難しいです。ただ、3月5週(4月1週)の作品の中では本命対抗の筋には入ってくると思います。

 評価は下記を参考にして、4.7を4.5まで切り下げています。

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 (減点0.3/「死者との会話」に関して)

 ・ 映画内では明確な説明がなく、また描写も紛らわしいのですが、ここで使われている呪文(スピーク・ウィズ・デッド(原文 speak with dead))は、「死者の蘇生呪文」ではありません。死体に対して使用し「10分が経過するか、5つまでの簡単な質問ができる」だけです(このどちらかが満たされると、強制的に呪文の効果は切れます。蘇生呪文では「ない」ので注意が必要です)。

 ※ 蘇生呪文はいくつかの種類(死亡してからの時間の短いことを条件にする即時蘇生、条件等(損壊等)を一切問わないが、レベルの高い完全蘇生等)がありますが、映画内で扱われている範囲では、蘇生呪文を使用することはできません。

 また、このことは、現行、日本で一般的に流通しているルールブック(5.0版)ではそうであるということであり、日本でこのシステムが熱狂的に遊ばれていた3.5版(や、そこから派生した「パスファインダーRPG」)においては、若干解釈のことなる部分があります。
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yukispica