ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
全143件中、121~140件目を表示
素晴らしかった
主人公が湿地の家で一人暮らしで移動はボート、近くにはワニがいる。そんな暮らしぶりがいい。『メカニック』のジェイソン・ステイサムか『ペイパーボーイ』のあいつみたいですごくいい。主人公はコミュ障なのだけど、それほど深刻な状態ではなく、環境からそうなってしまっただけで恋愛もする。しかも自然観察家として優秀で絵もうまい。本を何冊も出版して、美人で優れた人物だ。孤独な生活で不平不満を抱かない。
そんな彼女が実は手を汚すタイプであると最終的に知らされ、ますますいい。あんなことされたら、それは仕方がないし、やるべきだとすら思う。
2022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨
鑑賞後、原作本をぜひ読みたくなりましたね。
正直、ミステリーとしての面白さは50点ぐらいなんですが、そんな事がどうでも良くなるくらい舞台となるノースカロライナ州の湿地帯の自然描写の素晴らしさや、主人公カイヤや、彼女を取り巻く人々の人物像、時代の空気感などの描かれ方が優れていて、ホント沼地に足を取られたかのように作品世界にアッという間にはまって行きました。
本国アメリカの映画批評サイトでは、一般オーディエンスの評価が非常に高いのに比して、評論家の評価は軒並低いようです。
が、この秋、この作品を見逃すのはあまりにも勿体ないかな…と思います。
*ネタバレですが…
一体彼女はどうやって"1時間"の間に犯行をやり遂げたのか?そんな種明かしでもあれば、ミステリー・ファンも納得の作品になったかも知れません。
でも、その部分は重要ではないんですよね…。
死に際に母親の幻を見た場面は、この作品の最も人間くさい場面でした。
「感情などないのかもしれません、むしろ懸命なのです」
この映画、期待して望みました。
正直なところ期待し過ぎたかもしれません。
終始どうしてもヒロインに近づいてくる人間に下心、損得勘定?何が目的なのかを勘くぐる自分がいました。
ラブシーンが多くしつこく感じてしまいましたが、それを吹き飛ばすかのような湿地の自然の美しいシーンは圧巻です!
「人間は去るもの」
ラストの衝撃的な事実もですがこのセリフも切なかったです。
やたらとチューシーンが多いわ
まず、なんで家族は幼い娘を1人残して居なくなるのか? 疑問。
あとは、その幼い少女の切ない話を延々と見せられる。それはそれで、決して悪くは無いし前のめりになり、ラブストーリーを見せられる。
法廷のシーンは、それなりに良いし、決着もそうではあるが、いかんせん事件の真相の説明は無い。ラストのラストで想像を掻き立てる描写にはなるが、結局そこは、視聴者のイマジネーションに任せるということなわけだわ。
ラストのオチもそうだし獲物を捕獲するだとかは、なんか今まで見たことあるような気がするし……。悪くはないが。捻くれ者のオイラには、期待していた分、正直今ひとつだった。
法廷と人間ドラマ全く半々の映画でした
面白く鑑賞しましたが、半々なのでどちらももう一歩欲しいところです。
役者はみんな良かったと思います。特にジャンピン夫妻、弁護士はよかった。演出は悪くは無いのですがもう一歩かなあと。原作未読です。ザリガニのことはもっと詳しく書いてあるのかな?法廷でのやり取りももう少し描写があるのかも。私は犯人テイトかと思ってました。でも塔に初めて行った時伏線ありましたもんね。
それともう少し短く出来たのでは?しかし実際あんなポツンと一軒家に少女が1人で暮らせるものだろうか?周りは意外といい人が多かったのかも。他人に興味がないだけで。
ザリガニは1匹も見当たらなかったけれど
湿地の娘は独り暮らしにはなったが、決して孤独ではなかった。町民に蔑まれたが、無罪を勝ち取ることで復讐を果たした。ミステリーとして見たら少々がっかりするが、女の半生記としてだとかなり見応えがある。原作本を買って帰ろう
アメリカの美しい法廷ものと言う劇レア作品
アメリカ文学って日本じゃ誤解されてると思うんです。文章の美しさって言う点では、今の日本文学じゃ歯が立たない、的な感覚を個人的には持ってますが、それを映画で証明されちゃったよ、的な。
洋画の年一候補でした。
ラスト5分の多幸感からの、ダーーークな締めの心地良い緩衝撃。コイツはたまらーんw
暗い沼。美しい浜辺。
求愛の光。捕食のための発光。
分かりやすい対比と、意味的な二面性を、脚本と映像でしっかり描写して行きます。一本の劇場用映画としてのクオリティの高さが際立ってますし、要するにオチの示唆は、そこら中に振り撒かれてると言う。
そーなんですよ。
不憫な少女の物語りに始まり、美しい愛の物語りに騙されて、基本は法廷サスペンスだってことを忘れてしまうと言う。
この、狙い澄ましたフェイクが最高に好き。
良かった。
とっても。
コレは悩む事なく⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎だす。
と、年一候補だす。
----------
(11/21 追記)
グリーンビルのホテルで出版社の人達との会食で、カイアはこう話します。
「おそらく、そこには善悪は無い。ただ生きるために必要な事をするだけ」
その直後、彼女は、自らの口で語った、湿地帯の昆虫たちと同じ行動を取ったことになります。
本当に危なくなったら「ザリガニの鳴くところ」に逃げろ。
カイアを置いて出奔する兄が彼女に残した言葉。真意は、湿地帯の奥深く、誰にも気づかれることの無い暗い沼に隠れろ、だったかも知れませんが、これは所謂 Double Meaning . 別の解釈は
「自然に学び、自分の身を守れ」
でですよ。最初にポスターのデザインを見て思っったことは「羊たちの沈黙に似てる」だったんです。羊たちの沈黙の意味は「羊たちの悲鳴が止み沈黙が訪れる」=「羊たちに死が訪れた」。クラリスにとっては「トラウマからの脱出」と言うダブル・ミーニングが準備されていました。
カイアは羊たちの様に座して暴力に曝されるのを待たず、行動を起こして自分自身の身を守った。羊たちと逆なんですよ。原作出版は2018年とのこと。羊たちの沈黙の逆張りってのは、意識してるよねぇ、って勝手に思ってます。
ザリガニが鳴く描写がみたかったんですぅ😡
いつものように原作未読でございます
胡散クセェ金持ちの息子が死んで辛気臭ぇ湿地女が容疑者にされてるって話
私はねザリガニがキシャー!キシャー!って鳴くところが見たかったんですけど…ないじゃん!!そんなシーン😡(残念ポイント)
結局裁判で無罪は勝ち取るけど真相は闇の中にみせかけて…それが納得いかない
ようするに痴情の絡れってやつですよ
人間関係に恵まれないカイアには同情しますけど
要するにテイトにいろいろ変えるチャンスをもらっていたのにそれを拒んだ結果、口の上手いバカ男に騙された結果やっちまったわけでしょう
途中まで応援していたし信じていたんだけどラストで全部吹き飛んだ!!あれはどう解釈すればいいの?
最後にあんなもの見せられたテイトが哀れでならない
証拠隠滅して尚且つ似顔絵と一緒にもってるなんてテイトからするとNTRとほぼ一緒。荒々しいバカ男のカラダが忘れられなかったととれなくもない。
途中までテイトが犯人だろうと思っていた罪悪感もあってテイトにすっごく同情してしまいました
ちょっと考えすぎでしょうか
追記
観てる側からすればチェイスのバカなんて見えてる地雷。遊びのくせに逃げられたら暴力で服従させようとするようなヤバいヤツだから生かしておけんと思ったのかもしれんがなんとも後味の悪いお話でした
ノースカロライナ州の湿地帯で若い男性チェイスの死体が発見される。近...
ノースカロライナ州の湿地帯で若い男性チェイスの死体が発見される。近くには展望台があり、そこから転落したようだ。周囲には足跡が無い。
チェイスは裕福な家庭に生まれているそうだが、そういった描写は殆どなかった。
チェイスの殺害容疑で湿地の女カイアが疑われる。結論から言うと、その後の裁判で無罪となる。
カイアはとても悲しい育ちをしている。カイアは両親と兄妹で湿地に住んでいたが、父親の暴力によって、まず母親が家を出て行った。そして兄妹たちも出て行ってしまい、最後には父親にも出ていかれ、一人で湿地に住み続ける。
カイアは学校に通っていないので字を読めない。一度だけ登校したが、周りにからかわれ、二度と登校しなかった。カイアにはテイトという同じくらいの子と友達となった。
カイアは成長すると、昔の友人テイトが現れた。カイアは字が読めないが、テイトに読み書きを習う。やがて二人は恋に落ちる。
テイトは大学受験に合格し町を出ることになる。テイトは必ず戻るとカイアに約束するも、約束の日に帰ってこなかった。カイアは捨てられたと思い、失恋する。
しばらくしてカイアはチェイスと出会う。やがて二人は恋に落ちる。カイアはチェイスが見つけた珍しい貝殻を加工して首飾りにしてチェイスにプレゼントする。
テイトがカイアのもとに戻ってくる。カイアは激怒する。話を聞く気にもならない。テイトはチェイスとは関わらないように忠告をする。
カイアはチェイスが他の女性と歩いているところに出くわす。その女性はチェイスの婚約者だと言う。
カイアはまた孤独になる。チェイスが訪れてくるが接しようとしない。チェイスにレイプされそうになると、石で殴り難を逃れる。
カイアが暴力を受けたその夜、テイトが訪れる。カイアはチェイスに殴られて顔を怪我しているので出版社の編集者と会うことを躊躇っていたが、テイトはカイアに約束通り編集者に会いに行くようにアドバイスする。
カイアが編集者と出会った日にチェイスは死んだ。
チェイスは普段カイアから貰った首飾りを身に着けていて、その繊維からカイアに殺害容疑がかけられる。しかし死体発見時には首飾りが無かった。
また、死体発見現場には足跡が無かった。カイアの指紋も無い。編集者と会うために予約したホテルがバス停に近いことと、そのバスが深夜に湿地帯の町に往復していることから、事件を起こそうと思えば起こせるため、犯人がカイアの可能性はあるものの、証拠不十分で無罪になった。
無罪となったカイアはその後にテイトと和解し、そして二人は幸せに暮らした。時間が経ち老いると、カイアは湿地のボートの上で亡くなる。テイトが遺品整理していると、チェイスの首飾りを見つける。カイアがチェイスを殺害したと思わせて物語は終わる。
カイアが足跡を消す行為は描かれていた。展望台の床が外れていることも知っていた。カイアは頭脳明晰である。なので計画的に殺害することも可能だと思う。
なぜ殺害したのか?
チェイスはカイアの父親に似て暴力的だった。やがて自身の危機を招きかねないと思い殺した?
ミステリーではあるが、切ないラブストーリーでもあった。カイアもテイトもインテリで教養が高く、羨ましい。
映画としては見て損はないだろう。
恋愛映画だったのか
ミステリーと思って見たら恋愛映画だったので、おおっとって感じ。
最後はミステリー風に終わってしっくりこない。結果もどっちかだろうから、あまり驚きがないし。この結果を少し残念に思うのは自然は美しいものであってほしいと言う気持ちの現れなのかな。でも、「湿地に罪はない」。
主人公の孤独が胸に迫って本当に良かったけど、そこがテーマではないのかともやもや。
自然の風景も美しい、彼女を支えてくれる人々も美しい、犯人をミスリードする部分などミステリーも良かったとは思うのだけれどもバラバラになっているように感じた。
映画の中で描かれている主人公はただ運命に翻弄されているだけだけど、実際には主体的に選択し行動し多くのものを勝ち取っている。
ミステリーだから仕方がないけれど、そこがあまり描かれてないのも感情移入しづらいのかも。しかし、あそこまで周到な犯人が、どうして貝のネックレスを持って帰ったんだろう。
あと昔の日本のDV男に対する対応が容疑者xの献身で、今のアメリカのDV男に対する対応がこの映画と思うと、本当に良かった。いやー良かった。
DV男と付き合う時ってあんな感じなのかな。DVする側も貝のネックレスを大事にしたり本人なりに愛情はあるんだろうな。主人公はずっと父親にもらった鞄を大事にしてる。などいろいろと描かれていない所も多そう。
原作も読んでみようと思います。
---------------------------------------------
他の方のレビューでこの映画はドキュメンタリーという話で腑に落ちました。
ストーリーではなくドキュメンタリーなのか。だからバラバラなのか!
母親以外に強い執着をしない。それぞれの男は孤独を埋めるために見える。
彼女は愛の言葉を語らないけど父親からの鞄、貝のネックレス、に彼女にもどうにもならない気持ちがあるだろうな。切ない。
ロマンス✕ミステリー
変わったタイトルに惹かれて原作も読んだ
どうやら時間軸が飛ぶ作品を掴んでしまうらしい 1950年代と1960年代と交互にジワジワ核心に迫る作品 湿地で独りで逞しく生き抜いてきたかに焦点、この辺りはいかにも動物学者さんの作品ぽい
marsh girl=湿地の娘になってましたけど、原作のニュアンスは中々伝わらなさそう 本当はいろいろと訳アリの人達が最後に辿り着く吹溜りみたいな場所
子供の貧困、親切に面倒みてくれたのは雑貨屋の黒人夫妻(かなりオマケしてくれてたのではないかと)、無関心で差別したり偏見を持つコミュニティとかそういう問題も描いているんだと思う
ミルトン弁護士の終盤の弁護が見事、そして裁判では主人公以外結局皆真実を喋っていた 真相はカマキリ、ホタル、貝のネックレスがヒント 女(雌)は怖い、墓場まで持って行くってやつです
面白い!
偏見や差別といった社会問題、主人公の成長と恋愛を描きながらのミステリー。
散漫になりそうですが、丁寧に描かれていて面白いです。
真犯人は予想通りでしたが、証拠の品をそこに隠すとは、、、。
犯人がわかってとしても、裁判の判決まで丁寧に描かれるので、ストーリーに引き込まれます。
景色もきれいで、最初から最後まで楽しめました。
予告のあらすじが間違ってる
法廷で主人公は一切喋りません。
ミステリーでなくラブストーリーです。
その辺抜きにしても湿地の自然美はとても良い。
小説は買ってあるので、これから読みます!
【11/27追記】 「ザリガニの鳴くところ」とは何か?/映画の趣旨上、採点内容でネタバレを含みうる可能性があるので安全のため伏せています。
今年335本目(合計610本目/今月(2022年11月度)22本目)。
他の方も書かれている通り、ある事件について容疑をかけられた女性が無罪を証明できるか?という趣旨のお話で、ジャンルとしては「法廷もの」という扱いかと思いますが、その背景としては職業差別や偏見などが見え隠れしています。
日本でいえば、刑事訴訟法の知識があればかなり有利ですが(立証責任はだれが負うのか、等の論点)、日本では司法試験(=弁護士になるための試験)以外では扱いませんし、一般の土日のドラマものでやっている範囲で一応足りますが、アメリカですので、やや応用的にみる知識も必要です(それでも何がなんだかわからない、ということにはならない)。
さて、圧倒的に不利な状況から彼女は無罪を主張し、それが認められるのか…。そこが問題になってきます。
この部分、そして「何が」トリックになっているのか等はどうしてもネタバレになってしまうし、ネタバレありにしようがどうしようが、映画の趣旨的に「書いちゃダメでしょ」ですので省略します。
さっそく採点いきましょう。
「日本での」(×アメリカの)法律系資格持ちの観点で気になったのは下記の部分です。
どうしてもこの部分は気になるのですよね…。しかもいくら文献調査(at 大阪市立中央図書館)しても出てこないという…。
-----------------------------------
(減点0.3/日本の似た制度との比較において、理解に妨げが生じる)
・ 日本には陪審員制度はありませんが、重大な刑事事件の第一審(地裁)においては裁判員制度が設けられていることはご存じの通りです。すべての方が最終的に選ばれるわけではないので、ある程度余裕をみて「多めに」選ばれています。
しかしこの映画のように、「その事件の有罪無罪を扱うにあたって、明確に先入観が入ってしまう」場合、多めに呼ばれた「候補」の中からはずされるのが普通です。そうしないと公平な裁判にならないからです。また法律上、検察官・弁護士側も「理由を示さず」数名までは(通常は4人、特例3人)除外できます。これはどちらにとっても「公平な意味での裁判員制度」を目指すためのものです(裁判員法36条)。
ただ、日本は裁判員制度の導入からそうなっていますが、映画内ではそうなっておらず、「明らかに利害関係がありすぎる人」、換言すれば「有罪無罪について思い込みが最初からもう決まっている人」がずらずらっとならんています。要は「同じ町に住んでいる人」で「この被告人、嫌な人だったなぁ」というような感じだからです。
この点については、アメリカの陪審員制度においても日本と同じく同趣旨(明らかに利害関係のある人の除外や、理由を示さない除外等)があるのかないのかが不明で、その部分がわからないとこの映画、「評価がやや困難」になってしまいます(最悪、陪審員がついているとはいえ、裁判そのものが不公正であり成り立っていない」という考えも可能)。日本のそれと同じなら構いませんが、全く異なる(つまり、利害関係のありすぎる人が普通に来るというような状況も「起こりうる」ということ)のなら、それは追加で説明を入れないと、映画の趣旨・評価が大きく変わってしまうのです。
-----------------------------------
(参考/減点なし/「地目」って何?)
・ 映画の中で、土地のやり取りが描かれますが、そのときに「地目は何にしようか」というセリフがあります。
行政書士の資格持ちというよりは、むしろ宅建よりの事案かなと思いますが、土地などの「使用用途」のこと(例えば、「宅地」や「畑」など)です。
(参考/「ザリガニの鳴くところ」とは何か」)
・ 日本には圧倒的に文献がなく、26日(土)に大阪市立図書館で調べてきた内容(英語を翻訳した内容)によります。
この映画はもとは小説(ディーリア・オーエンズの小説)ですが、彼女は小さいときからいじめを受けており、親(母親とされるが、父親とする資料もあり)、「いじめられたらいじめ返すのではなく、とにかく(殴り合いになるのではなく)逃げなさい」と教えられていた過去があります。
このことが、この「ザリガニ~」の小説にも色濃く残っています(この映画の小説はかなり分厚いです)。そのなかのいくつかのチャプターに、「ザリガニの鳴くところまで逃げる」と(映画内の主人公の関係者が)教えている部分があります。ザリガニは当然鳴きませんから、結局これは「何か不当なことがあったら、(当時の差別事情などを勘案して、まともにとりあうよりも)「どこまででも」逃げたほうがよい」という考え方があったようです。
※ 参考:大阪市立図書館
【”湿地の娘。危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ!”親兄弟に捨てられ、自力で育った少女の恋を絡めた成長物語とマーダーミステリーが絶妙の匙加減で描かれた作品。ストーリー展開も一級の作品。】
ー カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)はDVの父により、母は家を去り、兄弟たちも次々に家を出て、独りノースカロライナの湿地帯で暮らす少女。
学校にも馴染めずに一日で辞め、町の人達からもいい加減な噂をされながら、逞しく生きて来た。
そんなカイアの前に、ある日テイトという青年が現れ、二人は恋に落ち、テイトは無学だったカイアに字を教え、一方テイトは湿地帯の貝について、彼に教える。
だが、テイトは進学のため町を離れ、約束した日にも戻って来ない。
嘆くカイアの前に現れた優雅な家庭で育ったチェイス。彼はカイアに対し、最初は優しいが、実は婚約者がおり・・。
そして、チェイスは湿地帯を見渡せる、櫓の下で死体で発見される。
◆感想
・前半は、独り残されたカイアが、近くの雑貨店の黒人夫婦にのみ優しくされながら、逞しく育って行く姿が、描かれる。
ー 町の人達の、”湿地の娘”に対する態度。これが、後半の法廷シーンに効いてくる。-
・そして、カイアは、テイトと出会い、文盲だった彼女は凄い勢いで知識を付けて行く。だが、テイトは大学の生物学科に進学し、約束の日にも帰ってこない・・。
ー この時のカイアが約束の日に帰って来るはずのテイトを湖の海岸で待ち、一夜を過ごし、朝になっても帰ってこないテイトに対する嘆きのシーン・・。”何やってんだ!テイト!”-
・そこに現れた表面上は優しい、ボンボンのチェイス。だが、次第に本性を表し始める。カイアのDVの父と重なるチェイスの姿。
そして、幼かったカイアに家を出る時に兄の一人が言った言葉
”危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ。”
ー この言葉も、ラストシーンに効いてくる。-
・そして、チェイスの変死体が発見される。その胸には、カイアが贈った貝の首飾りはない・・。
■この映画が面白いのは、一人の少女の恋と成長を描きながら、マーダーミステリーとしても、一級品であるところである。
そして、カイアがチェイス殺しの重要参考人として、法廷に召喚された時の、法廷劇も実に面白い。カイアの弁護士トム・ミルトンが傍聴人や陪審員になった町の人達に言った言葉。
”貴方たちは、カイアが幼い頃から苦労して育った姿を見て見ぬ振りをしながら、過ごして来た・・。”
そして、言い渡された”無罪”判決。
<ラスト、念願の貝の本を出版し、テイトとも一緒になり、幸せな日々を送ってきたカイア。
年老いた彼女は家を出た母に導かれるようにこの世を去る。
そして、テイトがカイアの遺品整理をしている時に見つけた、且つてチェイスにカイアが渡した貝の首飾り。
”湿地の娘”カイアは、自分に危害を加えるチェイスを自ら、排除していたのである。
”危なかったら、ザリガニの鳴くところまで逃げろ!”
実に見事な作品である。>
切ない
湿地で育った彼女が真犯人なのかどうか、、という物語でしたが、
もう、そもそも論として小学4年生くらいの女の子が一人でずっと生きていく経緯が悲しすぎる。
父親の暴力と、それに耐えられない母、上の兄弟、姉、兄が順に家を去り。。。
最後に父も出て行って、湿地に生息する貝を採取して売って生計をたてる?小学生くらいの女の子一人が???
学校へ、ボロボロの服、手荷物無しで通う子どもに教師は違和感持たないのか?ずっと不登校だったから?家庭訪問とか最近は無いの?福祉局が確認するのも初めての彼氏がもうすぐ大学進学だから、まぁ年齢が正確には分からないけどでも同年代っぽいから17歳くらいとして、行政は、福祉局は6〜7年も子どもの一人暮らしを把握出来なかったの??
雑貨屋夫妻はその頃からの唯一の味方だけど、父親がいなさそう、って思ったら通報だけでもしないのかな。。確かに他人の家のことにはやたら口出し出来ないのも分かるけど。。
育児放棄されて一人ぼっちになった、街から少し離れた土地にぽつんと暮らす子どもへのケアはどうしたらいいんだろう、と考えさせられました。子どものほうが湿地から出ることもグループホームも望んでないし。
最終的には一応幸せを手に入れる期間は訪れるにしても、家族が去ったあと、最初の彼も次の彼もまずは去るという人生が切なすぎました。。
絵の才能を開花させられたこと、最終的には彼女の一番の理解者が戻ってきてくれたことは良かったです。
そして逝く時に母さんが迎えに来てくれるのは、鬼滅の刃の煉獄さんと同じ。この死生観は海外でも共通なんだな、と思いました。
お婆さんになってはしまったけれど、これからゆっくり、お母さんと過ごしたかった穏やかな少女時代を改めて過ごしてほしい、と切に願いました。
アメリカの良心に触れる作品
とても良かったです。
アメリカの良心に触れる作品。
湿地帯に一人で住み
疎まれ続けた少女カイアが
殺人の疑いをかけられる。
そんな彼女に偏見を持たず
手を差し伸べる存在の尊さ。
良心を色々な意味で試されますが
観客の想いは一つだと感じます。
真実を知っても。
一般的な人々との生活から距離を置き
自然の生物と共生して来たカイヤにとって
人間が作ったルールに
どれだけ意味があったのか。
殺人を肯定は出来ないけれど
絶対にと言えなくなる
価値観が揺れる特別な作品。
自然と音楽と絵の美しさ
ノースカロライナ州の湿地帯で、金持ちの青年の死体が発見された。犯人として疑われたのは、そこで育ち湿地の娘と呼ばれてるカイアだった。彼女は6歳の時に父のDVで母が出ていき、兄姉達も出て行き、父と2人で暮らしていたのに、その父も出ていき、それから学校へも通えず、湿地でたった1人で貝を採り売って生きてきた。そんな孤独なカイアが心優しい青年と出会い、読み書きを教えてもらい、愛し合ったが、彼は大学へ行き音信不通となった。その後、金持ちの青年と付き合ってたが、その彼を殺した容疑者として法廷で裁判を受けることになった。さてどうなる、という話。
美しい自然美、音楽も心地よく、法廷での検察と弁護士の闘いも面白く、衝撃のラスト・・・驚いた。
全て悪いのは父親だけど、どうして一番ちっちゃな子どもを残してみんな出ていったのか、不思議だったが、そんなことはどうでも良いくらい自然な演技に引き込まれた。
初恋?の心優しい青年と結婚し、めでたしめでたし、で終わったら単純すぎるなぁ、って疑問に思ってたが、凄いラストだった。ストーリーも素晴らしかった。
カイア役のデイジー・エドガー=ジョーンズが美しくて、可愛かった。
期待し過ぎたかな
原作は読んでいません。素直に観終わった感想は、”でしょうね”でした。
ドキドキ感や考察はありません。特異な少女との恋愛がメインで流れていきます。
裁判での闘いや判決もあっさりしており、えっ?!まさか・・・これで終わり?
この流れでは、犯人は二択でテイトかカイヤになります。
ラストに期待しましたが、やはり”でしょうね”となってしまいました。
彼女は湿地になった
とても面白い作品でした。
どこをとっても映像が綺麗で、きっと湿地に行きたくなる。
見る人によって解釈が変わってくるラストも良かった。
結局チェイスは誰に殺されたのか。
監督のオリヴァア・ニューマンは「自然の摂理も描いている。(カイアの考え方は)社会の法則と一致するとは限らない」とコメントしている。
きっと、彼女は生きてる間もうすでに、湿地の一部になっていたんだと思う。
そんな彼女の心情は描かれることはなかったけど、彼女の書いた小説の一部と、エンドロールで流れた【Carolina】という曲が、すべてを物語っていたのではないでしょうか。
とてもいい作品でした。
全143件中、121~140件目を表示