ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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移りゆく自然と変わらない彼女。
変わるもの、去るものにとって捨てるのは簡単で、殻を閉じたもの、変化を受け入れないものは忘れられさられる。
二人の男が対象的に描かれているのがとても印象的だった。端々に本当に愛しているものとそうでないものの態度が出ている。それでもチェイスを許してしまうのは彼女がどうしようもない孤独を抱えているからだ。
自然を1番に愛し、湿地を愛しているからこそ孤立していくこのジレンマがなんとも言えないものです。
映像も綺麗でとても良かったです。
ラスト驚愕!
父のせいで、奥地の沼で1人生きた少女のミステリー。
恋人だった男性の殺人容疑から、少女の半生を語られるドラマで、描かれる場所も沼が殆どだが、話が面白く夢中で終わった。
幼き出会った少年と生涯過ごせて良かった。
不幸な環境の元に育った彼女を唯一救ったのは彼だったから。
そして、ラストはまさかの。。。
彼女は人生に勝ったんだと思った。
中々のミステリー作品。
湿地と周縁に生きる人の伝説
手付かずの湿地の風景と、主人公カイアと、カイアの描く絵が美しかった。
法廷を軸に過去と現在を行き来する脚本、2時間飽きることなく一気に鑑賞。
小説の中でイメージしていた彼女はもっとワイルドだったけど、ファッションも含めて綺麗すぎじゃない?と思わないでもなかったが、リアリズムよりも映像美を優先したということで納得することにした。
時代は半世紀以上前の設定だけど、普通の人々による悪意のない差別意識、デートDV問題など、現代の私たちをも責めてくるものがある。
対照的な性格の青年が二人登場したけど、あの時代のいわゆる白人のイケメン。最初区別つきにくかったですわ。
「正義」「善悪」とは何か?!
殺人事件は、当該作品の付録でしかない。
主題は、「孤独」だ。
コロナ禍で誰もが感じた「孤独」。
主人公は強く生き続け、恋人は将来を提案し続けた。
人を殺してはいけないという「正義」「善悪」は、
所詮、人間が決めた価値観でしかない。
カマキリは、交尾後にオスを食す。
生き物の世界によって、変わってしまう正義・善悪。
生き抜くための殺人は悪いことなのか?
生き続ける価値、命をつなぐ価値は?
生物学者なりの視点と69歳という高齢著者の視点
考えさせられました。。。
Michi
湿地帯で逞しく生き抜く女性の半生とともに描かれる重厚で美しいミステリー
「ザリガニが鳴く」と言われる湿地帯で青年が遺体となって発見される。
殺人容疑にかけられたのは、町の人から疎まれ、嫌われる湿地帯の1人逞しく育った美しい少女・カイア。暴力を振るう父によって、家族がバラバラになり、6歳の時から学校へも通わずに、湿地の自然とともに生き抜いてきた。
法廷で語られる彼女の半生と、事件の真相、そして、ある青年との恋…少しずつ事件の真相が紐解かれていくが…。
ラスト、まさかの展開で最後の最後まで目が離せない。前のめりになって物語に引き込まれていく、あっという間の時間だった。
本作は、マイノリティに対する集団差別が大きなテーマとなっている。全体的には1人の女性の人生を通して描かれるミステリー作品ではあるものの、その中に法廷劇、ラブストーリーなどが掛け合わせた重厚な作品となっている。
ストーリー的にどうしても悲しみや怒りが込み上げてくる場面があるが、何度も映し出される湿地帯や海、浜辺の美しい景色がその感情をリセットしてくれたので、暗さより美しさのほうが大きい。
そして彼女に手を差し伸べる人たちも優しさにも救われる。
美しさの中には、絵になるキャストたちも含まれている。カイア演じたデイジー・ジョーンズ、テイト役のティラー・ジョン・スミス、チェイス演じたハリス・ディキソンが目の保養になる。
(湿地帯で暮らす世捨て人があんな美女なら誰だって恋に落ちるわな…)と、カイアが美人だからこのような展開になったんでしょーが。と、突っ込みどころはあるものの、映画としては満点でした。素晴らしい作品に出会えてよかった。オススメです!
本格文芸ミステリ映画を堪能
1969年米国ノースカロライナの田舎町。
町はずれの湿地帯で、若い男性の墜落死体が発見される。
チェイスという名の彼は金持ちの息子で、町での人気者。
容疑者として逮捕されたのは、湿地帯にひとりで暮らす若い娘カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。
幼いころに家族から見放され、湿地で暮らしてきた彼女は「マーシュ・ガール(湿地の娘)」と町のひとびとから蔑まれていた・・・
といったところからはじまる物語で、映画は50年代、幼い頃のカイアの家族の物語にとぶ。
町から離れた湿地畔で暮らすカイアの一家は子だくさんの一家で、軍隊還りの父親は暴力的。
何かなく母親を殴りつけている。
ある日、母は何も言わずに去り、カイアの姉兄たちも順々に去ってしまう。
テイトという貧しい家の少年と湿地で出逢ったカイアだったが、父親から会うこと禁じられる。
しかし、その父もカイアのもとを去り、ひとりで生きざるを得なくなってしまう。
それから数年・・・
ハイティーンになったカイアは、成長したテイトと再会し、彼から読み書きを教えてもらう。
昵懇となったふたりであったが、テイトは貧しさから抜け出すべく、大学に進学し、カイアのもとから去ってしまう・・・
といったことが、裁判前後の様子を挟みながら進行します。
この前半が秀逸。
久々の本格文芸映画の雰囲気があり、米国湿地帯の風景の美しさも存分に、アメリカ映画の浪漫を感じます。
で、テイトが去った後、カイアが出遭うのがチェイスで、金持ちのボンボン。
「みてくれ」はいいが、中身はペラいのがすぐわかるという代物ですが、世間知らずのカイアにはまぶしい・・・
と、やはり!な展開。
以降は、風景の美しさを排除し、若いふたりの人物接写中心の演出で、少々、飽きが。
さてさて、そんなこんなで、映画を観ている方としても、カイア怪しい・・・と思うのですが、幼い頃から書き溜めた湿地の生物の絵が出版社に売れ、本となり、事件当日の夜には彼女は遠方にいたことが判明。
裁判は、「マーシュ・ガール」と蔑まれてきた彼女への偏見を払い去ることができるのか、というあたりに焦点が移っていくが・・・
と、ここから先は書きません。
ですが、この映画を観て思い起こした映画をいくつか挙げると、『アラバマ物語』『きみに読む物語』『黙秘』など。
最後に挙げた一編は、カイアに寄り添う弁護士役をデイヴィッド・ストラザーンが演じているせいかもしれません。
ストラザーン、この手の米国片田舎映画には欠かせない存在ですね。
久々に、本格文芸ミステリ映画を堪能しました。
ということで、評価は★★★☆(3つ半)としておきます。
令和を代表する歴史的名作、時間経過でさらに評価される気がする
基本的に恋愛物は苦手だし興味もないが
本格ミステリーという触れ込みなので視聴しましたが
この作品は贔屓なしに稀に見る傑作だと素直に感じました
その根拠としてはアメリカの善と悪というか闇とされる
・白人同士の差別、マイノリティへの集団迫害
対する善の部分は
・アメリカの美しい大自然
・健気な少女が大人へと成長する過程
が絶妙に描かれているからです
と言うのはミステリー色が強くなる良質な作品ほど
だんだんと感情移入をするので
結果的には残忍なシーンやトリックなどに目を奪われ
それ以外は強度や記憶が薄まってしまうのです
しかし本作「ザリガニ----」は主人公を苦しめる
父親や住民やボーイフレンドがどれだけ憎くても
その後に気持ちを晴れやかにする美しい自然美が
画面に登場をすると不快さが一瞬で消えます
これが日本の部落問題を作品にしたら
心が痛み居た堪れない気持ちにはなるが
美しさを感じるのは難しいです
主人公の女優が圧倒的に美しいという反則級のズルさもありますが
アメリカとは時々このような超絶作品を何気なく作り上げるので
どうしても映画ファンを止められないと思い直しました
最後の終わり方や裁判の進め方は個人的に少し不満もあり
満点評価から少しだけ下げましたが
ここは受け手の捉え方次第で大勢の人は不満ないでしょう
まとめると、誰よりも強く美しい主人公が逆境にも負けず
立ち向かい幸せな人生を掴む内容ですが
最後「んっ」と思わせるオチもあり
あっという間の2時間です
湿地の少女の物語。素晴らしい映像と彼女の衝撃的な人生と出会う。
湿地の少女、それはアメリカの田舎地域においては、移民と同じ差別対象。地域住民は、彼女が子供の頃から忌み嫌われる存在だった。そんな彼女に、殺人事件の嫌疑がかかる。このシチュエーションから、ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark:2000年)の主人公への死刑判決が頭をよぎる。上映時間は、2時間を超えるが、物語は湿地の少女の幼年時代から始まり、最後までつづく。そして、最後まで見ないと、事件の真相はわからない。大湿地帯という美しい景色の中で、恋愛あり、ハラハラドキドキありのいい映画でした。
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