「原作が細かく描くところを読んでみたくなる」ザリガニの鳴くところ グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
原作が細かく描くところを読んでみたくなる
【文庫化が待ちきれずに単行本で読みました】
約500ページ、文庫化される時は上下巻になるかも、という
長編でしたが、それに見合う奥深さがありました。
自然の摂理には善悪は無い(カマキリやホタルの雌が交尾のタイミングで雄を喰らう例や、負け組の雄が雌を騙してちゃっかり交尾してしまう例などが描かれる)。
子を捨てるのも生物が生き延びるためのひとつの選択肢。
テイトの人間性の懐の深さ。
ボランティア弁護士の清々しいまでに毅然かつ堂々とした正論。
カイヤの学びの過程(生物学だけでなく、文学的素養の豊かさも描かれており、更に魅力的)。
どれもこれも映画のそれぞれのシーンを思い浮かべながらじっくりと味わえる。
そして、ラストには、映画のアレに加えて、〝そんな隠し事〟まであったのですか!とますますカイヤの無垢さや健気さが愛おしくなりました。
地域的には湿地帯という限定的な範囲での出来事なのに、億年単位の生命の脈動とそれに比べればちっぽけな〝人間社会〟、それでもそこで生きていかなければならない今を生きる人間(カイヤだって自然から見れば、感情に左右されるただの人間なのだが、隣の小さなコミュニティーの人間から見ればカイヤは自然の側にいるケダモノの一種)、そういう大きなスケールでの視点も意識させられる。
映画を見る前でも後でも是非読んでいただきたい傑作でした。
(以上、2022.12.1 追記)
鑑賞後、メチャクチャ原作が読みたくなりました。
あの湿地帯や自然を文章でどう表現しているのか。
あの精緻に描かれた図鑑のような絵の数々、沼地を進むボートのエンジン音、鳥の羽根の繊細さ、彼女が読み書きを覚え、生物学的な知識への興味と学びを深めていくさま、等々。
そして、映画では少し雑に見えた、家族が散り散りになっていく過程や彼女と弁護士との出会いと絆と独白。法廷での弁護士による渾身の訴えと駆け引き。
欧米の法廷ものやサスペンスは、緊迫感や臨場感が生々しいくらい細かく描写される作品が多いので、きっとこの原作も細部の描き方が相当に凝ったもののように想像を働かせています。
映画でこれほど◯◯◯◯たのだから、原作ではもっと深く細部にまで行き届いて◯◯◯◯させられるのだと期待してます。
でも、まだ本屋さんのハヤカワ文庫の一角にはおかれていないようなので、映画の内容を忘れた頃にでも文庫化されて発売されるのを待つことにします。
原作を先に読んで感動し、映画もと思っていたのに見損ねていましたが、
Amazon primeで鑑賞。
素晴らしかったです。
グレシャムさんの仰る通り、原作は細部が描かれているので、まだ読んでない方にお勧めしたいです。
グレシャム様、コメントありがとうございます。
そんな隠し事って・・・まさか父親のこと?だったら私のレビューって陳腐ですよね。
猛烈に気になります。
今、原作を探しています。なかなかないんですよ。
下記の住所に送って下さい。
えーと
削除されるよ‼️
グレシャムさん、
小説ほどの情報量を映画には盛り込めないので、脚色の力次第なんですよね。
やや、原作で確認したいと思わせる部分が多かった気がします。
それは、原作の評価が高いのを知ってるからなんですけどね。
映像美と主演女優に💮です❗
原作の小説、読んでいないので参考になりました。今日は千葉のイオンシネマにて月の満ち欠けの映画を観てきました。
人間の生まれ変わり、自分に前世があるかもしれないなんて、、姿形は変わっても亡くなった人が
自分の近くで見守る、主護霊のような存在感、
私が生きていたとき、お父さんが私にたくさん優しくしてくれたこと、忘れないの台詞が心に響きました。
思わせ振りな感じが作品に興味を持たせてくれるので、グレシャムさんのレビューいつも楽しく拝見させて頂いてます(^^)
最近ペースが落ちてきたのでレビューを参考に時間が出来たときに観賞するつもりです!