劇場公開日 2023年1月13日

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「自分が自分でいられること」ひみつのなっちゃん。 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5自分が自分でいられること

2023年1月14日
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鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

1月13日公開は楽しみな映画ばかり。
本当は「映画 イチケイのカラス」「そして僕は途方に暮れる」の2本立てでいこうと思ったのですが、あいにく時間が合わずで、急遽予定変更。1月13日公開映画の中でも、それほど期待していなかった本作をチョイスしたのですが、まさかの大当たりでした。

ストーリーとしては、昨年公開された永野芽郁主演の「マイ・ブロークン・マリコ」とほぼ同じ。家族同然だった友人を失い、喪失感に浸りながらも、前に進む物語。あの作品は少しシリアスめで、クスッと笑えるシーンがちょいちょいあるというような作りであったのに対し、本作はかなりコメディ寄りで、何度も大笑いできる。前野朋哉がホント、ツボ。「近江商人、走る!」「嘘八百 なにわ夢の陣」そして本作という、現在劇場のスクリーンを3つも独占する彼だが、今回のキャラが郡抜いてハマっていたし、良さが出ていて最高だった。100万点〜!

各々が「自分は自分でいいのだろうか」という壁にぶつかり、悩み、苦しむ場面が100分以下の短い尺であるにも関わらず、本作ではすごく丁寧に描けている。どれも、グッとくるものがあるし、でも終わりは笑えて幸せな気持ちになれるし。こういう、背中を押すのではなく、そっと横に居てくれる映画って、心の底から元気が出る。ああ、毎日自分らしく、明るく生きよう、ってそう思える。

この映画に出てくる人はいい人たちばかりで、すごく癒される。どこにいっても、こんな人たちで溢れていたらいいのに。さりげない言葉も非常に秀逸であり、どんな人でも1つや2つ、胸に刺さるものがあると思う。そして、世界は美しいもので溢れているんだ、ということがこの映画を見て感じられる。前に進む彼女らもまた、とても美しい。そんな素晴らしい作品です。

会話のテンポ良さ、話の盛り上げ方が上手い一方、そのシーンを作りたいからこの展開にしようという無理やり感もある。少し粗い部分もあったけど、幸せいっぱいで涙が出るくらい心温まるストーリーだったし、渋谷すばるの主題歌も前に進みたくなるような曲であり、すごく勇気が貰えた。滝藤賢一という俳優の化け物具合を知らしめられ、彼のこの役に望む姿勢はこれまでに無いほどの熱量で、総じて最高の映画でした。

ぜひとも、多くの人に見て頂きたい。
こんないい映画、なかなかお目にかけれない。もう1回見たいと思えるほどの作品でした。ああ、強く生きよう。どんなにみにくくとも、君は、自分は、とても美しい。自信をもて、誇りをもて。シンプルながらに最高だよ。

サプライズ