劇場公開日 2023年1月13日

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「3人のドラァグクイーンが素敵!」ひみつのなっちゃん。 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.53人のドラァグクイーンが素敵!

2023年1月8日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

今日は2023年最初の金曜日で、公開作品がめじろ押し。で、上映スケジュールを考慮して3本目に選んだのが本作。

ストーリーは、元ドラァグクイーンのなっちゃんの訃報を受けて、病院に駆けつけた友人のバージンとモリリンは、なっちゃんがドラァグクイーンであることを親に内緒にしていたことを知り、ズブ子も加えて3人でなっちゃんのアパートでその痕跡を消していたところに、故郷から来たなっちゃんの母が現れ、葬儀への参列を求められ、なっちゃんの故郷の岐阜県郡上市をめざすというもの。

そもそもドラァグクイーンというものを初めて知りました。Wikipediaによると「女装で行うパフォーマンスの一種。女装パフォーマー。纏った衣装の裾を引き摺る(drag)ことからこう呼ばれる。」だそうです。一つ勉強になりましたが、自分の中ではオネエということで解釈しました。

鑑賞後に最も強く感じたのは、自分らしくありたいと思いながらも、それがかなわない息苦しさやもどかしさです。LGBTQ+の理解が進んできたとはいえ、まだまだ一般社会が自然に受け入れているとは言い難いのが現状だと思います。自分も身近にそういう人がいれば「自然に接しなければ」と逆に身構えてしまう気がします。だからこそ、バージンたち3人は、なっちゃんの秘密を守ることで、なっちゃん自身を全力で守ろうとしたのだと思います。

そんな3人が、時にはぶつかり合い、時には認め合い、支え合う姿に心温まります。なっちゃんの故郷の岐阜県までの旅は、3人の人柄や変容がうかがえる、ロードムービーとしてのおもしろさがあります。お世話になったなっちゃんに最後のショーを見せたくて3人分の衣装を持ってきたモリリン、テレビの人気者として陽気に振る舞いながらも心の支えを求めるズブ子、ステージからしばらく遠ざかって思い悩むバージン。年齢も立場も異なる3人が焚き火を前に肩を寄せ合うシーンは、なんだかとても素敵でした。

また、郡上市の人の温かさ、郡上おどりの懐の深さも、本作の魅力に花を添えていると感じます。この地のおかげで、3人は本当の自分として、なっちゃんと最期のお別れができたのだと思います。バージンもズブ子もモリリンも、何かを失っても、何かに悩んでも、きっとこれからも自分らしく新たな一歩を踏み出していくのだと思います。LGBTQ+の方に限らず、誰の背中をもそっと押してくれるような優しさを感じました。

主演は滝藤賢一さんで、バージンを演じています。ズブ子は前野朋哉さん、モリリンは渡部秀さん。三者三様のクイーンでしたが、それぞれにしっかり役作りして臨んでいる姿がすばらしかったです。ズブ子とモリリンのダンスパフォーマンスもお見事でしたが、圧巻だったのは滝藤賢一さん。立ち居振る舞い、細かな所作まで気をはらった完璧なクイーン!それでいてお姉さんとしての風格さえ漂う演技は秀逸です。できれば、その後もう一度ステージに立つ姿が見たかったです。脇を固める松原智恵子さんも、喪主としての挨拶が涙を誘います。岩永洋昭さんに至っては、渡部秀さんとのシーンで「久しぶりにオーズとバースきたー!」って、一人でニヤついてしまいました。あと、カンニング竹山さんの扱いが斬新でした。クイーン姿を見たいわけではないが、出番がすべて死体役とはなかなか思いっきた起用で驚きました。

おじゃる
YOUさんのコメント
2023年1月20日

なっちゃん、写真のみで回想シーンすらなかったですね(笑)

YOU
NOBUさんのコメント
2023年1月9日

今晩は。
 今作は、心に響きましたね。
 レビューも、拝読させて頂きましたが、とても素敵なレビューだと思いました。
 ”LGBTQ+の理解が進んできたとはいえ、・・だからこそ、バージンたち3人は、なっちゃんの秘密を守ることで、なっちゃん自身を全力で守ろうとしたのだと思います。”全く、同感です。
 以前もコメントさせて頂いた記憶があるのですが、何処かの劇場で可なりの確率でおじゃるさんとは、ニヤミスしていると思います。
 終末、もしくはレイトショーで、劇場のど真ん中のやや前の席で、踏ん反り返って観ている眼光鋭いオジサンが居たら、それは多分私です・・。
 では、又。返信は不要ですよ。

NOBU