「氷魚が美しい」エゴイスト soleilヾ(´ε`○)さんの映画レビュー(感想・評価)
氷魚が美しい
予告を見て、てっきり氷魚に裏切られてエゴが出始めて破滅していく、、みたいなストーリーかなーと思ってたけど、全然違った。
のっけからゲイの世間話に笑かせられたと思ったら、婚姻届を二人で書いて壁に貼って幸せを噛み締めるとか、笑えない現実にふぅ〜ってなったり、現実のLGBTQの切なさを痛感。
亮平の部屋が、また人間味のない部屋で。
コンクリート打ちっぱなしの壁、コーヒーしか淹れないキッチン、リビングにドーンっと大きいヴィンテージソファと全身鏡。
亮平らしさはどこにもない。センスがいいだけの部屋。
これがまた孤独さを感じさせるのよ。
前半は鈴木亮平と氷魚のラブラブイチャイチャを延々を楽しむ作品で、シングルマザーを助けるために高校中退して売春をしてると告白する氷魚、氷魚を独占するために愛人契約をする亮平。
月20万円で足りない分は昼夜働く、という生活に。
(184cmあってあの美貌で亮平が雑誌の編集者だったら、氷魚をモデルとか編集部で働かせればよかったのにー。なぜあんな昼夜働かせるの??いや、働くところまで甘えられないってことなんだろうけど)
これが男女だったら、結婚して扶養に入れて、ってできるのにね。むむむむむむむ。
男女の愛は世の中的に決めたルールで繋ぎ止められるのに、お金で繋ぎ止めるって方法になってしまうのね。
それも愛なんだけどな。
車も亮平に買ってもらって納車、初めてのドライブって日の朝、過労か寿命か氷魚がひっそり死ぬ。
氷魚のお母さんの阿川さんが、まぁ自然な演技で。
ここからは自分の亡くなった母と阿川さんを重ね合わせて氷魚の分まで息子のように。ゲイなだけに、息子でもあり親友でもあるような不思議な関係に。
そんな唯一の心の安息場の阿川さんも最後膵臓がんのステージⅣで入院。
氷魚の死後、お金も渡してなにかと面倒みていた阿川さんに同棲を持ち掛けたらやんわり断られ「まぁ、そうだよね…」って納得するも、いやここも男女ならさ、結婚して義母と住むって普通のことになるわけよ。むむむむむぅ。
後半、阿川さんの病室でボケちゃった同室のおばあちゃんに毎回「息子さん?」って質問されて、亮平はいつものとおり「違います」って言うところを食い気味で阿川さんが「そうです、自慢の息子なんです」って言い切るの、泣けちゃうな。んもう。阿川さんったら。
で、〆のシーン、酸素マスクつけてる阿川さんの手を握りながら、そろそろ帰ろうかな、ってしたら「もうちょっといて?」って甘えてくれた阿川さん、ここここここここ、嬉しいよね。
仲良くなっても、ずっとどこか遠慮してた阿川さんが、甘えてきてくれたんよ。ほんとの息子みたいに。
ここで終わらせるの、好きよ。
最初は氷魚、次は阿川さん、孤独だった亮平がこの親子に出会って感じたものは、愛だったんだなぁ。
亮平は、お金で繋ぎ止めてるのはのエゴだと思っていたけど、この親子には、ちゃんと愛が伝わってたんだよね。LGBTQ、って言葉さえなくなる日がくるといいな。愛は自由なんだよ。
あ、途中のゲイ友とVOGUE WALKを真似しながら歩くところ、アメリカドラマのPOSEを思い出した。POSEの頃から少しは良くなってると思うけど、まだまだだよね。
テレビでクチコミは全部見る、って言ってたのでこれも見られるかもしれないので謝っておきます。呼び捨てにしてごめんなさい。愛の表れです!
亮介の孤独はよくわかりました。二丁目で仲間と楽しく話している場面は自然で好きであんまり孤独感など最初は感じませんでした。でも、どんなに故郷が嫌いでも母の命日には必ず行く。母と息子の関係ってそうなのかも知れない。書いてらしたように、ゲイだからこそ息子はお母さんと親友になれるように思います。私は「お母さん」の側で何だかすごくわかっちゃいます
レビューに共感しました!氷魚、身長180超えでスタイルよく美しいのだから亮介(浩輔)が自分の分野から仕事を氷魚に提案できたかも知れないのに!自分だけの氷魚にしたかったのか、職場で勘ぐられたくなかったのか・・・