「ゲイの恋愛映画だと思って観ると肩透かしをくらいます。」エゴイスト あささんの映画レビュー(感想・評価)
ゲイの恋愛映画だと思って観ると肩透かしをくらいます。
原作者はすでに天国へ…。ほぼ、実話をベースにした作品だからこそ切なくて愛おしい。
ゲイの浩輔は龍太の見た目やピュアな部分に惹かれたのは言うまでもないが、中学生の頃に母を病気で亡くした浩輔にとって、病気がちな母を懸命に養っている龍太の姿に自身を投影していたからこそ、余計に惹かれていったのかもしれない。
“龍太のために”が、いつしか龍太の母の為に…。
高級弁当から始まった浩輔の“与える愛”。それが龍太の生活費、龍太が旅立った後は、龍太の母の生活費、さらには生活の面倒なども見るようになり、一見与えてばかりの浩輔の愛は、別の見方をすれば浩輔の“エゴ”なのかもしれない。
浩輔ができなかった後悔や亡き母への想いを、龍太や龍太の母を通して行い浄化しているようにも。
ただ、たとえエゴだとしても、龍太や龍太の母にとっては紛れもない“愛”だったのではないだろうか。
「愛って何なのかわからない」
「受け取る側が愛だと感じたら愛なんです」
愛にだっていろいろある。
物やお金というわかりやすい形で支援するものは、キャバクラ嬢やアイドルファンやパパ活なども当てはまる。
一昔前だと男性側から女性側へのパターンが多かったが、
今では推しカツやホストクラブという女性から男性のパターンも多く見られる。ここにゲイ同士というのも新鮮味があった。
それにしても、鈴木亮平の演技力の高さときたら…!目線、手つき、仕草、話し方…、完全にゲイの男性になりきっていて、何から何まで完璧だった。
宮沢氷魚の頬を赤く染めるところや、時折見せる寂しさと色気…。これぞ適役!素晴らしかった。ウリをしている描写もかなりリアリティがあり、ベッドシーンもかなりギリギリのところまで描いていて、2人の渾身の演技には脱帽だ。
ゲイ同士の愛のさらに深い愛を描いた傑作、後半にこそ大きなメッセージが込められてあると思う。
BL作品が女性に好まれている理由が分かった気がします。男にもいろいろな愛はありますが与える愛って違和感があるんです。本能的に。サプライズやプレゼントは楽しいですよ?ゲイの方が「体と金でしか繋がれないからエゴな関係 」と考えるのは男からすると納得なんです。すごく寂しい関係に感じる。本能的に。でも女性には与える愛って前向きな愛。女性がBL作品みると、とてもピュアで1つの理想的な愛に見えるんじゃないかな?
意味真逆になりますもんね。深いです。
僕とあささん、レヴュー真逆になりますしね。笑 性別の違いって深い。
「大切な人が男でも女でもどっちで良いじゃないの」
こんな寛大な母親中々いないよなー。昔から息子の所作とか趣向とかで、何となく気づいていたのかもしれませんね。
今晩は。
コメント有難うございます。
仰る通り、今作は、私は鈴木亮平さんの品性ある”目線、手つき、仕草、話し方…、”に魅入られた作品でしたね。
鈴木亮平さんは「俺物語」で大増量した姿にビックリし、それを数か月で減量した日本のロバート・デニーロだと私が勝手に思っている方ですが(彼の持論、”鰻は完全食”に一時期嵌ったなあ・・。)今作でも年齢を感じさせない姿に、相当鍛えているんだろうな、とも思いました。
今作は何よりもストーリー展開が、素晴らしく・・。
久しぶりに映画館で落涙したシーンが幾つかあった映画でした。(普段は人前では虚勢を張っているので絶対に涙しませんが、映画館ではオジサンになったせいか涙腺が緩い・・。けれど、その涙で色んな垢を落としていると信じています。)
敢えてレビューには書きませんが(映画は絶対的名作以外は人によって見方が変わりますよね)、今作は私にとっては佳き作品でありました。では。