劇場公開日 2022年12月9日

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「1990年に41歳の若さで自殺した作家・佐藤泰志」夜、鳥たちが啼く 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.51990年に41歳の若さで自殺した作家・佐藤泰志

2023年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

の6作目の映画化作品。没後30年で6作は多い。
1、海炭市叙景(2010年)
2、そこのみにて光輝く(2014年)
3、オーバー・フェンス(2016年)
4、きみの鳥はうたえる(2018年)
5、草の響き(2021年)
そして
6番目の映画化が「夜、鳥たちが啼く(2022年)
監督は城定秀夫。

正直言って、山田裕貴が小説家の役を演じて演技の幅を広げる。
それを目的のしたような映画という気が観る前からしていた。

だか山田裕貴の演じる小説家・・・
意外と違和感がなかった。
冴えない普通の人に見えた。
スターオーラは消されていた。
彼が32歳になっていたことに少し驚いた。
もう少し若いと思っていた。

原作は知らないが、
同棲していた恋人に嫉妬して恋人の上司に暴力をふるったりして、
嫌われて別れた売れない作家。
その慎一(山田裕貴)は、友人の元妻・裕子と小学生のアキラに、
住んでいた一軒家を明け渡して住まわせる。
自分は向かいのプレハブに越すのだった。

この設定は中々面白い、と思います。
同棲するでもなく、家を差し出す。
家を貸す行為に下心のない慎一。
裕子も強いて夕食を共にしたりしない。

ここで裕子の夜遊びの件り。
一人の夜が寂しい裕子はアキラを寝かしつけて夜な夜な一夜の
男漁りに出かけている。
ボーツ見てたら、
「えーっ、そんな描写、どこにありましたっけ??」
そう思ったのでちょっと見返しました。

はい、夜中に男とバーで酒を飲み嬉しそうに笑う裕子・・・
それだけでした。
(夫に去られた裕子は欲望を持て余して、男漁りをしていた・・・?)
慎一の「俺と結婚してないのに、家庭内別居しないか?」
「もう毎晩出かけなくて済むよ」とか、
裕子の、
「今日はまだ、他の人としてないから・・・」
などの会話で仄めかされる。

大体に、夜に発情した鳥が啼く?
夜中に鳥が鳴くのは、聞いたことがない。

この題名は、夫と離婚して夜中に一人で過ごせない裕子を、
「夜、啼く鳥」に重ねたのかもしれない。

作家を目指す男の、売れないことのストレス・・・
事実「草の響き」の主人公は自殺未遂をする程、
メンタルがやられている。
「草の響き」はヒリヒリする映画だった。
今振り返ると心に残像が残っている。

佐藤泰志の映画化作品なら、「海炭市叙景」と「そこのみにて光輝く」が
頭抜けている。
山田裕貴からは暴力を振るったシーンや、
元恋人に嫉妬深い面は窺えたが、
作家志望の男の認められたいとの強い思いは、真に迫って来ない。
裕子は普通の優しい母親にしか見えない。
慎一も多少は変わり者だが、
2人とも情念に身を焼く男女には到底見えないのだ。

この映画は、一つか二つのシーンが心に刻まれ、残像として
残るのだろうか?

琥珀糖
りかさんのコメント
2023年10月17日

こんばんは♪共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
作家さんのこと全く知りませんでした。40歳で自殺⁉️
没後、注目❓
生きている時に注目してあげていれば‥‥⁉️
詳しく書いていただいていますので、見つけたら観たいですね。🐒

りか
りかさんのコメント
2023年10月17日

こんばんは♪
原作者の方のことを教えていただきましてありがとうございました😊

りか
chikuhouさんのコメント
2023年6月11日

共感 コメントありがとうございます
佐藤さんの作品が映画化されるたびに、作品そのものよりもこの作家の生き様に引きつけられていきます

chikuhou