窓辺にてのレビュー・感想・評価
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今泉力哉監督の力量が発揮された一筋縄ではいかない「恋愛映画」。稲垣吾郎×玉城ティナの化学反応が特に面白い。
今泉力哉監督らしい、一筋縄ではいかない「恋愛映画」ですが、脚本の登場人物の雰囲気が稲垣吾郎に合っていて、なかなか展開が面白く143分という時間を感じずに引き込まれていく作品となっていました。
今泉力哉監督は小説家の資質もあり、本作では、その要素を上手く自身のセンスで映像化できています。
タイトルの「窓辺にて」とは、カフェなどの窓辺でガラスのコップに手をかざすと、手に光が映り込むわけですが、その映り込む光は様々な形や温度に変わることを意味しているようです。
冒頭の稲垣吾郎がカフェの窓辺にいるシーンがラストシーンにつながることでタイトルの意味が、より理解できる仕組みになっていると思います。
ラストシーンの時系列はどうなっているのかを考えると、いろんな伏線がキチンと回収出来ていて、1本の映画として上手く完結しているのが分かります。
本作ではそれぞれのキャストも光っていて、中でも「フリーライターを自然体で演じた稲垣吾郎×17歳の小説家を演じた玉城ティナ」の化学反応が引き込む力を発揮していました。
目に映らないこの世界の空気感を表現してみせる。
やはり今泉力哉監督作品は、オリジナル脚本でこそより深く味わうことができることを改めて感じた。独特な会話劇、他者との間、物語世界を照らす陽光や抑制された生活音、そしてなんとも繊細な主人公の苦悩と恋人たちの心の揺らぎなどが、今泉的“リアルな恋愛観”で巧みに描かれる。
まるで異世界からやってきたかのようにも見える、渦巻く複雑な心を持った主人公の市川に、稲垣吾郎がその佇まいと眼差し、台詞の繊細な言いまわしによって説得力を与えている。そして今泉監督が紡ぎだす言葉や、カフェの窓辺や公園などで登場人物たちの顔や手を照らす陽光が、目に映らないものや、市川が見ているこの世界の空気感を表現してみせる。
人にはどこか欠落している部分があるもので、それで悩み苦しむこともあるが、それでもいいじゃないかと、静かに見る人の心を包み込んでくれるような作品だ。
監督の事後トークも含めて考えたこと
留亜の文学賞授賞式の会見で、茂巳の丁寧な質問に対して留亜は関心を深める。その遣り取りで語られた愛を手放すかどうかという問題に関係して、監督の事後トークでは、愛を手放せない人物を描いた『愛はなんだ』に対照した本作のテーマであり、福島出身だけれど、東日本大震災後の家族の絆の強調には疑問があると言い、稲垣吾郎氏の台詞は監督の当て書きなのかという参加者からの質問に対して肯定された。文学書を読む場面が多いのは意図的なのかという質問に対しては、監督自身は学生時代は文学は苦手だったが、映画では意図的に入れ、自分で創作した内容をつくっている、と話していた。テレビドラマ『アンメット』に監督自身が出演したことに関係した質問に対して、二回出演し、そのときの若葉竜也氏の演技が、映画のときの演技と同じ動きにして、二人で楽しんでいた、と話していた。最後にパフェを二つ注文して一つに減らした理由についての質問に対しては、単純に相手が店から出て行って帰って来ないと思った、というのが一つの答えだが、観客がそれぞれ違う答えを考えるのも面白い、と話していた。画面のサイズに関する質問に対しては、スタンダードより少し横長にしているが、近年はスタンダードで制作する人が増えている、と話していた。対話の場面が多く、視点はどこに置いているのか、模範として小津監督や濱口監督を意識しているかという質問に対しては、観客と同じ目線に置いている、と話していた。贅沢に関して、パチンコで大勝ちするのもその一つだ、という話もあった。確かにパフェや焼肉は美味しそうだった。不倫をする役回りの男優二人が揃って髭面で、女優二人が揃って髪が長いところが、見分けがつかず、関係性がわかり難かった。
後悔は、人生を味わい深くする。
*
クスッとできる所と
考えさせられる所のバランスが絶妙だった
140分って長尺だなと思ったけど
バランスがとれていると観られるもんですね
*
茂巳は浮気されて怒れなかった自分に
落胆していたけど
怒り狂って自暴自棄になるより断然良い
嘘を付かず、付けず、
正直に話せる人でとても信頼できる
「僕にこの小説は必要ないと思った」
これが一番好きな台詞
*
人生には後悔がつきもの
それでこそパフェ
味わいながら生きていこう
*
ぼくとつな感じ
稲垣さんが、木訥な感じで話すのが、なんとも自然でよかったです
授賞式での玉城さんの受け応えが作家らしくって好きです
不倫の相談により、話が複雑になっていましたが、それぞれにとって、落ち着いた結果になったのでしょうか
WOWOWで今泉さんが言っていましたが、タクシー運転手のおもしろのたっちゃんとのやり取りに続きがあったらしく、滝田みずうみという名前に関してのくだりで、名前と顔だけはいいんだと答え、面白いのは?と聞くと、俺の周りには面白いやつがいないんだと、稲垣さんのとリンクしており、意外に重要な役でしたが、尺の関係でお遊び部分をカットしたみたいです
パーフェクトな食べ物をひとつ注文するところは、ただ単に、相手がもう帰ってこないからで、稲垣さんが教えるより玉城さんから聞いた方がいいとか深い意味は無いそうです
気に入った
お洒落な雰囲気の作品にひかれて鑑賞。
稲垣さんが主人公にぴったりでした。玉城ティナさんとの相性が心地よかったです。マスカットの色が綺麗でした。
パフェからの義母とのチーズケーキがパーフェクトで良かったです。この女優さんコケティッシュ感あって好きです。
好きな場面は、自宅の玄関先で志田未来さんと立ち話をしたとこです。それまでの自宅シーンは夜で暗く部屋の造りも二人の気持ちもわかりずらかったのに対して、明るくて見える向きも逆で部屋の造りも二人の気持ちもわかった。
ラスト、玉城さんの恋人役の読書感想が良かった。文学的な表現て時にエロティックさを感じるなと共感。SFて表現もなんか理解出来ました。おもしろい場面でした。
鑑賞して良かったです。
パフェ= 完璧‼️
主人公はフリーライター‼️編集者である妻は、担当している人気作家と浮気をしている‼️その事実に気づいている主人公は、自分が妻への怒りや嫉妬心を全く覚えないことにショックを感じていた・・・物語は同じく不倫をしている主人公の友人とその妻、そして主人公がふと知り合った高校生作家である女の子との、ほのぼのとした交流を交えて描かれる‼️自分は本当に妻を愛しているのか❓自分は人を愛するという感情があるのか❓感情的な不感症ではないのか❓自らのアイデンティティーを見つめ直す主人公‼️感情が大爆発するようなこともなく、あくまで淡々と会話劇の面白さ、話術の妙で少しも飽きさせない今泉力哉監督の演出力は素晴らしいですね‼️まるで小津安二郎監督作品みたいです‼️そして、一つ一つの心に刺さる台詞の数々‼️「人は信頼しているからこそ繋がれる」「人生は手に入れる、手放すの2つしかない」などなど‼️個人的にはタクシーの運転手のパチンコ話「時は金なり。パチンコは時も金も失くすから最もぜいたくな遊び!!」誰かに語りたくなります‼️主人公の稲垣吾郎は好演‼️しかしそれ以上に高校生作家役玉城ティナが魅力的でした‼️
無駄な時間を大切に!
吾郎さんの茂己は穏やかで感情の起伏が無くピッタリの役なのですが、、、せめて妻の紗衣に怒るか浮気相手の荒川を殴るかして欲しかった。
映画の中でいくつもイイ言葉出てきましたね。
無駄な時間を大切に!イイ言葉です。忘れられなかった。タクシー運転手の走らされてる!
パチンコは金と時間を浪費するもっとも贅沢
誰かに必要とされているのかな?
等物凄く覚えています。
等強烈な言葉が幾つも出てきました。
イヤー観に行きます!
アンダーカレント!
ハマるわーこの世界観❗️今泉ワールド。好きです
【窓辺にて】2022年
去年気になってて映画館で観そびれてたこの作品。
WOWOWで観てみたら。
独特の今泉ワールドにハマってしまった。
「愛がなんだ」の今泉監督作品は宮沢氷魚のボーイズラブの「his」しか観たことなくて、でもそのhisが良かったから好印象で。
今回の窓辺は143分と長いんです。簡単に言うと稲垣吾郎夫婦と,その友人夫婦の結婚生活におけるある節目に、高校生天才作家の玉城ティナのカップルの話が絡む。
独特の空気感があって、緩いんだけど,全然眠くなくて、セリフの一つ一つが心地よくて。脚本の素晴らしさってこういうのかな、て。まるで純文学を読んでるような。
そしてキャスト陣の演技もとても良くて、吾郎ちゃんこんな上手かったんだ!
思慮深く心優しいからこそ悩める主人公を絶妙なさじ加減で演じていて、唸りました。
【妻の浮気を知っても少しも悲しくない自分】に気づいて、あらためて結婚というものを考え、妻と、自分自身と向き合ってみる。
奥さんも寂しかったのかもしれないけど、結婚て難しいところありますよね。でもやっぱり浮気は裏切りなわけで。心から謝罪して、やり直したいと思った時にはもう遅くて。
ここまでくるまでに夫婦はちゃんと向き合うべきだったと思う。
友人夫婦は夫の浮気で破綻寸前。
愛人役が志田未来なんですよ、綺麗になりましたね、そして夫役これ誰?と調べたら,大衆演劇出身の若葉竜也。上手い!まったりした口調の中にも思いがこもってる。
でも今回めちゃくちゃ良かったのは玉城ティナちゃん。この子、抜群に光ってた。
キュートで、子生意気で、利発で、そして泣き虫で。目が離せない。
この映画の魅力を上手く書けないのがもどかしい。
「なんとなく映画でもつけてみよかな」って気分の時にピッタリの映画ですよ。でも、観出したらなんかハマりますよ。
愛と本と人が深く結び、じわじわ熱を帯びる
2022年劇場鑑賞87本目 優秀作 74点
待望の今泉力哉さんの最新作
相変わらずの最後の怒涛の回収劇は巧みで、その分というか今作はそれまでがとりわけ落ち着いている印象で少し退屈に感じてしまった時もあったけど、今泉力哉さんのことだからその些細なシーンにも必ず意味があって、より一層含みを感じるはずなので、配信されたら必ず見返したい、いやなんなら早くまた観たい。今泉さんはどの作品にもこの感情を抱かせるから凄い。
当方僭越ながら稲垣吾郎さんの出演作をちゃんと鑑賞したのが今作が初めてで、比較しようがありませんがすごくハマり役だった気がします。落ち着いた雰囲気や余裕があるというか、ガツガツしていなくて欲もなさそうな感じが、稲垣吾郎についての知識が殆ど無い私のような人のイメージ通りな気がしてまさしくでした
内容についてや考察、感想は配信にて見直してからしたいと思います
是非
あなた、必要ですか?
フリーライターの市川茂巳(45歳=稲垣吾郎)は
妻の紗衣(37歳=中村ゆり)が、担当作家の荒川円(佐々木詩音)と
浮気しているのを知っていた。
茂巳は妻の浮気に怒りを覚えない自分にショックを受けていた。
妻を愛していないのか?
自分は人を本気で愛することの出来ない人間なのか?
茂巳のアイデンティティを揺るがしていく。
妻の浮気?!?!
夫が埋めることの出来ない「心と身体の隙間」
それを埋め合わせる「行為」
その生々しさはこの映画には微塵もない。
市川茂巳は、見れば見るほど不思議な人だった。
昔風のレトロな喫茶店が好き。
コーヒーカップも高価なブランド品。
茂巳はブレンドを注文する。
氷の入ったグラス。
光(自然光というよりランプの灯り?)
を受けて、氷入りのグラスを通して、影が手の甲に
光の輪を作る。
じいっと見つめる。
多分、茂巳の心は満たされている。
喫茶店の窓辺に座り、光の反射を受けて、
ブレンドコーヒーを味合う。
自足しているのだ。
芳醇な時が流れる。
茂巳はこんな時間で心が満たされる。
一人で生きていける人間なのだろう。
純文学的な映画で、
それと「物語を書く人と女の関係」
恋愛と恋愛観、
浮気と本気と。
頭で考える恋愛?
うーん、
本当に人を愛するってどういうことなのだろう?
茂巳は考え続ける。
茂巳は悩む。
浮気している妻と別れることは、彼女のためになるのか?
優しさなのか?解放することになるか?
妻が浮気をする。
それは、夫に不満があるから・・・。
この簡単な理由では足らないのでしょうか?
私は非常に単純で下世話な考え方の人間なので、
妻の浮気!!
それって、夫のsexに満足してないからなのでは?
第一に茂巳と紗衣は寝室が別だ。
セックスレスを疑ってしまう。
子供が居ないのも、理由は分からないけれど、
夫婦にとっては大きな問題です。
この2つを避けて論じられても、さっぱりピンと来ないのです。
(もしかして稲垣吾郎はベッドシーンがNGなのかも?)
・・・とか、要らない心配までしてしまう。
経済的な問題も論じない。
妻の方が高給取りである・・・とか、
フリーライターって不安定な仕事で、高収入とも思えない。
更に性格の不一致という都合のいい理由もある。
(早く言えば、気持ちが通じ合わないこと)
なんか茂巳と紗衣をみてたら全部当てはまる。
高校生作家の久保留亜(玉城ティナ)は文学賞の授賞式で、
鋭い質問をした茂巳に興味を持つ。
留亜(るあ)に向き合い茂巳は、とてもリラックスしていて楽しそう。
ときどき瑠亜のナレーション(彼女の小説のフレーズ)に
落ち着いたBGMが重なる。
音楽はここしかない。
あとは雨音、パチンコ店の喧騒、そして生活音。
茂巳は瑠亜に呼ばれればどこまでも駆けつけて、
茂巳は珍しく、ある頼み事をする。
小説「ラ・フランス」のモデルに会いたい」
と、留亜に頼みます。
この映画、浮世離れしています。
稲垣吾郎に生活感は全くない。
(生々しくないのです)
女子高校生で瑠亜の書くものが純文学なら、芥川賞だろうし、
いくら可愛いからって、この出版不況。
授賞式にあんな沢山の記者が詰めかけたりしない。
まあ、クスッと笑える所も結構あります。
登場する人物は全員が優しい。
そりゃぁ、手練れの今泉力哉監督ですよ。
粘りに粘って最後には、
ちゃあんと感動してる。
稲垣吾郎と玉城ティナとの絡みは、特に面白い。
留亜の金髪の彼氏があまりにも頭悪そうで、
(頭悪い・・・というより考えるのが苦手なんだろう・・)
頭の良い面倒くさい女には、
こう言う頭空っぽで、心理なんて深読みしない彼氏がお似合いなのだ。
ともかく玉城ティナは可愛かった。
若葉竜也は今泉力哉作品の常連だけど、良いポジションに居る。
稲垣吾郎の優しさ!
無駄に優しい!!
これだけ妻に無関心で自分を主張しなければ、
そりゃあ浮気もされるわと、
妙に納得する映画でした。
最後に一言。
馬鹿でマジで本気の恋愛映画を観たい。
「愛がなんだ」の岸井ゆきのみたいな。
「街の上で」は青(若葉竜也)が彼女の雪(穂志もえか)に浮気されて、
一方的に非難される。
それでも雪を忘れられない青。
2人には、茂巳と紗衣にはない絆があったような・・・。
青と雪の10年後が、茂巳と紗衣・・・って事には絶対にならない。
馬鹿でマジで本気で愛を信じる2人の映画を観たい。
茂巳と紗衣が互いを必要としていないのならば、
やはり悲しいな。
(愛なんて、つまりは必要としてるか?されてるか?)
かも知れないんだ。
映画を観た終えたら、無性に、
「肉が食べたくなった!!」
理解されたいけど、されたくない。
「ヒトをどこかで見下しているんですよ。だから相談できない。他人には相談されても。」
「正直であることは、必ず誰かを傷つける。」
でもそれは、他人より自分の本音(その存在)に気づけるからだと思う。
観ていてそんなことを考えた。
純文学
テアトル東京とテレ東だ。けっこういい組み合わせなんじゃない?と期待しちゃう。そして期待は裏切られなかった。
傑作小説を書いた後、小説を書いていない男が、妻の浮気を知るが、それに怒りを覚えない自分に大いにショックを受けて日々を過ごすという話。
フリーのライターをしている彼が文学賞受賞式のインタビューで知り合い、なんだかウマがあうというか兄か父のように慕われる女子高生小説家との関係をまじえながら、今泉監督・脚本ワールドは、今日も淡々と語られる会話劇。
今回の作品は、今泉大人ワールド。小説でいえば、純文学。芥川賞であって、決して直木賞じゃない。その分、俺には少し敷居が高いらしい。
例えば「帰って来て手を洗う」という行為。繰り返されるので、何かを象徴しているのだろうな、と思うけれどわからない。面白い映画、楽しい映画なんだけど、そういうところがわからない自分がもどかしい。いつか、俺も成長したら、フルにわかるようになるのかな。それとも、「わかる」ものじゃなくて、「感じる」ものなのかな。
とはいえ、楽しかった。さすが今泉監督。ありがとう。
おまけ1
ラストでパフェを一つにしたのは、「いや、やはり彼女に言われて二人で食べるべきだよな」と思ったからなのかな。きっと主人公にとって、パフェの時間はちょっと幸せな時間だったんだろうな…
パフェ=フランス語でパルぺ。へえ〜。
おまけ2
ナレーション、誰だったんだろう?
以下は、劇中セリフなのでネタバレかも。観てない人、ご注意ください。
・手に入れる、手放す、生きているとその二つしかないのかな。
・相手を信頼することでしか繋がれない。
・喧嘩も手放すことも、相手を知りたいから起きること。それは、自分のためじゃない。
・嫉妬心や恋心が恥ずかしくて。
・周りの人間を見下しているから、誰にも相談できないんだよ。
映画が与えてくれるもの
この作品を観て映画って自分にとって非日常を見せてくれる素晴らしい時間だと改めて思いました。
私が主人公の立場になったらどうするんだろうか?
吾郎ちゃんになったらどうするだろうか?
なんて
作品はドライブマイカーと似た感じでしたが、人間がいかに自由と不自由との間で葛藤する生き物だと思いました。
今度はビターな味、大人の恋も煩わせる今泉力哉監督作品
と言っても、大人は大人である。上映前後に今泉力哉監督が劇場ロビーで挨拶している時にちょうど足を運べた。ちょっとビターで、苦味のする作品。
「私も31ぐらいの時に結婚して、40/50くらいがターゲットになるかなと」正直な、嘘を付けない私の感想に真摯に答えてくださった今泉監督。結婚していて満足しているものの、妻の浮気にショックを受けないことにショックを受ける男の、全然パーフェクトじゃない物語。大人っぽさを纏わせながら、やや重いトーンの中で作品の会話が巡る。優しく、心地よく、刺々しく。
雰囲気は好き。ただ、自分の経験値が足りない。もう少し距離が近くなったら仲良くなれそうな気がする。夫婦にしかわからない空気、大人でしか味わえない痛み、そんなものを感じたり、振りまいたりしながら彼らは考える。陽が差し込んで、影の模様を楽しむように。
言葉をフラッと使いつつ、愛を契約している彼らに何が足りなかったのか、何を求めているのかを弄る。一緒にいる2人なら見えているものが見えていない部分は何か…。気持ち悪いような感情でも、それが自分の抱いたものであり、理解に及ばなくとも、感情に偽りがない。まだ自分には難しいが、もう少し大人になれば見えそうだ。
主演は稲垣吾郎さん。落ち着いた雰囲気の中に何処かソワソワした役どころが印象的。自身を省みながら取れないバランスを模索する辺りが繊細。また、本作は可愛いというより綺麗な顔立ちの女優さんが多い。中村ゆりさんに玉城ティナさん、穂志もえかさんと、まさにヒロインに相応しいキャストたち。一方で志田未来さんや若葉竜也さんといった実力派が固めているのも魅力的だ。
また数十年したら見方が変わってるかもしれないですね、その頃はこの作品がどうなってるか分からないですけど。監督は優しく微笑みながら、一端の大学生の私に言葉を寄せてくれた。境遇が変われば見方が変わる、そんな可能性を持っているのも映画の魅力と言えよう。もう少し大人になれること、楽しみにしてみる。
かなり面白かったです(&個人的マイナス2箇所)
(完全ネタバレですので、必ず映画を見てから読んで下さい)
かなり面白かったです。
特に主人公の市川茂巳(稲垣吾郎さん)と高校生の女流作家の久保留亜(玉城ティナさん)との会話が心地良く、2時間20分を超える映画としては長尺でかつ淡々として進むストーリーなのに、最後まで全く退屈することなく見てしまいました。
この面白さの根幹は、私的には、主人公の市川茂巳が一見、他者に関心が欠けていて心に空虚さを持っているように描かれながら、逆に出会った全ての人々に対して丁寧に心を配りながら接しているという、矛盾めいたズレがあるところだと思われました。
この市川茂巳の丁寧に心を配る人に対する接し方は、女流作家の久保留亜に対してだけでなく、妻の紗衣(中村ゆりさん)や紗衣の母親の三輪ハル(松金よね子さん)、取材対象で友人のスポーツ選手の有坂正嗣(若葉竜也さん)やその妻の有坂ゆきの(志田未来さん)、留亜の彼氏の水木優二(倉悠貴さん)や留亜の叔父のカワナベ(斉藤陽一郎さん)、妻の紗衣の浮気相手である作家の荒川円(佐々木詩音さん)などに対しても、映画の始めから最後まで一貫していたと思われます。
この主人公である市川茂巳の、心の空虚さと、一方で丁寧な人との接し方との、どこか矛盾ある心と態度がズレたまま進む時間が、映画の心地良さの基盤だったのだろうと思われました。
そして映画のラストで、主人公の市川茂巳は、留亜の彼氏(だった)の水木優二から留亜の新作小説の感想を聞かされます。
留亜の彼氏(だった)の水木優二は、留亜の新作小説の中での主人公の市川茂巳がモデルになった人物に関する描写は、「エロい描写」であり、妻の浮気に対して感情的にならないその(市川茂巳がモデルの)人物は、「SF」的で理解出来ない人物である、という感想を述べます。
このラストシーンで水木優二が語った留亜の新作小説の感想から、留亜は、市川茂巳との関係に対してエロチックな感情も持っていたことが分かります。
しかし実際は、最後のホテルでの会話以降に留亜と市川茂巳は連絡を取っておらず、(私の解釈では)映画の中で留亜と市川茂巳は大人の関係には至っていません。
つまり、実際の留亜は、市川茂巳と男女の肉体関係にはならず、一方で、留亜が肉体関係を持っているのは(市川茂巳と全く真逆で感情的な)水木優二に対してなのだということがこのラストシーンで分かります。
しかし、留亜が男女の関係を持っていたのは感情的な水木優二でありながら、留亜が男女の関係になっていない市川茂巳への理解の方が精神的には深く、市川茂巳との関係にエロスも感じていたということが、水木優二が語った留亜の新作小説の感想から伝わります。
そして、この留亜が肉体関係ある者と、精神的な深い理解の関係ある者とが、違っているという矛盾は、市川茂巳の空虚さを救済する物語の着地になっているように思われました。
(水木優二から見れば全く「SF」だと見えても、逆にその水木優二の無理解が、市川茂巳と留亜との精神的な関係性の深さを純化します。男女の肉体的な関係性の深さとしては真逆であっても‥)
この映画ラストの、主人公の市川茂巳の心の空虚さと丁寧な人との接し方の矛盾を、留亜の精神的な深い関係性と肉体的な関係性との矛盾で救済している描写によって、この映画は優れた作品になっていると思われました。
余韻としては最高のラストだったとも思われます。
ただマイナスポイントとしては、久保留亜の記者会見の場面で、作家であればもう少し説明に言葉の表現の豊かさがあっても良かったのではないかという点が1つ。
もう一つのマイナスポイントは、妻の浮気に対して感情的にならないという主人公のテーマが、映画『ドライブ・マイ・カー』にあまりにも似ていた点が1つです。
どちらの企画が先だったのかはわかりませんが、観客としては世界的映画になってしまった『ドライブ・マイ・カー』と作品のテーマが類似してしまったのは、惜しすぎるところだとは残念ながら思われました。
しかしその2つのマイナスポイントがあったとしても、それを凌駕する素晴らしい作品だったなとは思われました。
不倫したことない奴が作ったみたいな映画
とにかく長い
壮大な映画でもないのに2時間半くらいあった。
時間配分も考えて作って欲しい
最後の方だいぶ飽きてた
登場人物全員心情語りすぎ
あと不倫てそんな感じじゃないですよね?って描写ばっかり
ほんとつまらん
とにかくつまらん
何も得ることなく会話劇として面白い訳でもなく、感動もなく、淡々とすぎていく2時間半
女はすぐ感情を爆発させてすぐ怒鳴る
男はバレてないと思い込んで不倫して、あまり語ることなく寡黙で静か
と言うステレオタイプの登場人物しかいなかった
ちゃんと不倫してから脚本を書けよ
活きる稲垣さん
もう、これは個人的感情揺さぶられまくりで…
市川夫妻は、もう別れてええやん。
お互い、なんやかんや言うて、自分自分やん。
まぁ、この結果で正解でしょ!
っとの見解だったので良しとして、
有坂となつよ!
焼き肉屋やホテルや、ありとあらゆるふたりの会話での
なつの言葉が解りすぎて...
痛くておかしくて、胸ん中グルグルになって笑い泣きしそーになった。
めっちゃ、好きやねんな、なつが有坂を。
バランス取れてへんねん。
アホボクサーめっ!!!
こっちの人間味溢れる二人のやりとりに心、翻弄されまくりでした 笑
にしても、稲垣さんが素過ぎて、実際そんな人なんだって思ってしまっている…
これは、稲垣さん的に良いのか?!
留亜と彼氏の関係も、可愛かったなー。
とくに、男の子の幼さと、少し先に大人になっていく女の子、
ふたりの演技がとても良かった!
総じて、稲垣吾郎さんが非常に活かされ作品かと。
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