愛する人に伝える言葉のレビュー・感想・評価
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愛の哀しみ
ステージ4の膵臓がんで治らないと宣告された39歳の演技指導をする無名な俳優と母親の話。
診断を受け入れられない主人公が葛藤しながら緩和ケアを受け入れて行くと共に、自身と向き合っていく様や子離れ出来ない母親との関係をみせていく。
死に向かって行く人達に寄り添う医師とホスピスのスタッフ達の作り出す明るく優しい空気感が素晴らしいし、流石は第一人者な医師の思想と対応に悲しい話なのに悲壮感を感じない優しい流れ。
日常の一部である演技指導も別離を題材にしたもので気付きの一旦どころか、もうモロで胸アツ。
そして過干渉な母親と主人公にもう一組の母と子と…ただこの息子に関しては会ったこともないのに何故そんなに?という程で、その思想は母親から一方的に仕込まれたものですよね…と、ちょっと個人的にはやり過ぎな感じた。
物語そのものがあまりにもキレイ過ぎて、泣けなかったり物足りなさもあったけれど、死生観と自身の将来を考えると共に温かさをとても感じた。
孤児という言葉はあっても、子供を失った親に対する名称はない
上記の件、初めて気付きました。確かにレアケースだからでしょうか?日本だけではなく世界的にもないのですね。
その他作品中、特に担当医師の言葉に凄く説得力があり、また緩和ケアの現状など、これは関係者に家族を癌で亡くした人がいるのかと思いきや、本当のお医者様が演じてるとはびっくり‼️
私の親が緩和ケア病棟で亡くなりましたが、映画ほどではないにしても、日本でもコンサートやボランティアの方が沢山いらっしゃって手厚い対応をしてくれました。
また私自身も癌経験者ですが、最初に「不安、罪悪感、不公平感」→「何も成し遂げていない感」→「受けいれ」→「人生の整理」という大体の流れは、体感したことです。そして最期は本人が死を迎えることを、家族が「受けいれる」。
凄くリアリティのある映画でした。
俳優陣はそれぞれが素晴らしい演技でしたが、ストーリー的には、認知されなかった息子さんの葛藤などは良かったのですが、演劇のカットの長さや、単調な病院のシーンが多く、その分⭐︎0.5マイナスとさせていただきました。
オススメしたい
末期ガン患者であり先生であり父であり息子である主人公と関わる周囲の人間のストーリーなのだが、主人公以外も主役とまで言わないが準主役ぐらいの存在。
医者とのストーリー、生徒とのストーリー、息子とのストーリー、母とのストーリーが時に絡んだりしながら同時進行。主人公の最後に向かってそれぞれのストーリーもラストに向かう。彼の死をもって各々ストーリーも終了。その後は描かれてない。ここでやはり主人公は亡くなった彼なのだ感じる。
過剰なシーンもなく、淡々としてるわけでもなく、日常の起伏を持たせながらのストーリー展開。この映画すごい!
残念なのは、バカップルが終始おしゃべりしていたこと。落ち着きないから足が座席にぶつかるし…映画館ではなく家で鑑賞して下さい。
言葉と音楽とダンスと触れ合い
話の内容・テンポと映画自体の長さがぴったりだった。急ぎ過ぎず説明過ぎずもたつくこともない。それに感動した。
全力と過剰は違う。
嘘は言わない。
最後の五つの言葉。
僕(私)を赦して
あなた(君)を赦すよ
ありがとう
愛している
さようなら
演劇学校入学を志望する生徒達へのレッスン場面から始まる。厳しい指導に泣き仲間や先生と哲学的なことや抽象的なこと感情などについて述べ合う。ドクター・エデは勤務先の病院で看護師らスタッフと定期的に患者や家族など仕事の中で思うことを語る、笑う、泣く、歌う、ダンスをする。患者の好みの柄のネクタイをネットで探して身につけるドクター。患者も看護師もドクターもみんなで楽しむアルゼンチンタンゴ。愛と抱擁と生死のタンゴは死を待つ人たち、つまり全ての人を慰めてくれる。ドクターも看護師も週末には休みをとる。
誰だって死ぬのは怖い、死ぬ覚悟はできているけれど。自分は何をなしえたんだろう。何を残せたんだろう。
お涙頂戴でなく怒鳴り声も破れかぶれもない。シニカルで怒りと恐れから始まる彼=バンジャマンの気持ちが、生徒の演劇の台詞から、ドクターとの会話から、看護師ユージェニーとの見つめ合い、母クリスタルの抱擁でゆっくりとだんだんに落ち着き優しくなっていく。「存在感」が何かわかったと言う。まだ見ぬ息子が扉の向こうに居ることもわかったんだと思う。
母が彼を赤子のように抱く姿はマリアとイエスのようだった。
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