神々の山嶺(いただき)のレビュー・感想・評価
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精緻な描写が圧巻
当方、登山を少し囓ったことがあるので興味があり鑑賞。といっても、「山屋」というほどではなく、ハイカーに毛が生えた程度だったのだが・・・
そんなことは抜きにしても登山に関心のない人でも引き込まれるくらいの秀作だと思う。
何よりアニメーションの出来の良さは特筆モノ。特に峰々はまるで写真で撮ったかのようだし、登山する場面の描写も細かくリアリティーがあり、なかなかスリリングだった。ビバークした際の孤独感や不安感もよく伝わってきた。
また、単なる山岳アクションに終始せず、泥臭いヒューマンドラマとして展開したのも物語に厚みを与えていて良かった。
上映館が少な目なのは残念だが、夏休みに子供連れで見るのもアリな良作。
限りなく形而上に近い山嶺
原作では羽生(ついでに深町も)の人間的な掘り下げとなる各種ドラマをバッサリ切り捨てることで、神の世界に手を掛けようとする恐ろしいまでにストイックな羽生が屹立しました。
涼子の改変には賛否ありそうですが。
答えを描写しない「美」という方向でまとめた、フランスチームに拍手を。
……同日に観た心底下らないBAD MANのアホなフランスチームにもついでに拍手を。
これ、本国の人にもできれば大塚ボイス+吹き替えで観て欲しいなぁ。
ぶんたろー!!
命を懸けて登りたくなる危険な山。 記録は更新されより難易度が望まれる。
それでも命懸けで登りたくなる気持ちが少しはわかった気がしました。
スリルのある登山シーンは本当に観ていて肩に力が入ります。
自分が登山している訳でもないのに踏ん張ってしまう。
ロープで宙ぶらりんになる恐ろしさもアニメとは思えないリアリティを感じました。
気圧の変化に耐えうるか、体調、訓練の度合いもあるが、天気の変化により運もあるんだろうなあ。
タンクを背負っての登頂はどんなに重いのだろう、しかし背負わなければ無酸素でどれだけ苦しいのだろう。
ダイビングで浮力があるなか背負うタンクとは重さが違うし。
1984年、折りたためるワープロはあったけど、こんなカラー画面じゃなかったよなあ。パソコンだと四角いでっかい箱形だったよなあとか。武富士の看板があるなあとか。
色んな余計なことも考えながら観ていました。
山に登るのに理由なんてないんだな。その魅力、いやむしろ魔力に取り憑かれたら登らずには居られないんだな。
音楽も良かったし、とにかく想像よりずっと素晴らしかった。
何故、フランスでアニメ化?
という第一印象だったけど、フランスでアニメ化されてよかった。下手に日本でアニメ化するよりは。7年もかけて丁寧に作ってくれてありがとう!
ジャッキーチェンの出ていたクライマーズよりはずっと良かったなあ。
何でフランス製作なの?
あの谷口ジローの漫画のアニメ化ということで、楽しみにしていましたが、2つ気になる点がありました。
まずは、あの分厚い原作本を、全編映像化するのは時間的に無理なので、カットカットになるのでは?
次は、そもそも何でフランス製作なの?という点です。
ところが、映画が始まるとそんな2つの心配は消え、どっぷり作品に見入りました。
映像の方は、外国のアニメだね・・と言うような作画ですが、羽生の山にかける執念と昭和の泥臭さが、逆に作画にマッチしている気がしました。
それに羽生の声を、大塚明夫さんが担当していたとは!
(最近ゆるキャン△のナレーションを担当していたので、ゆるい方だと勝手に勘違いしており、不意打ちを食らってしまいました)
しかし何でフランス製作なんでしょうね。
個人的にジョージ・マロニーの登頂より謎です。
堀内賢雄×大塚明夫のコンビといえば『メタルギアシリーズ』でスネー...
堀内賢雄×大塚明夫のコンビといえば『メタルギアシリーズ』でスネークと雷電の掛け合いを思い出すが、この映画もカメラマンとしての信念を燃やす深町と一匹狼の登山家羽生がどうしても雷電とスネークと重なってしまった。
登山カメラマン深町はネパールで伝説の登山家マロリーが持っていたカメラを200ドルで売るといってきた男から物語が始まる。その夜、その男から強引にカメラを奪った男を深町は目撃した。その男は左手に薬指と小指がない屈強な男で、深町は登山家羽生であると確信した。なぜ羽生がカメラを奪ったかに興味を持ち、そこから深町は羽生の過去と行方を追跡することにした。
アニメーションでしかできない迫力と臨場感はすごかった。アイスクライミング中に真上から落ちてくる雪の描写や文次郎がロープで宙づりになったシーンはこの上ない絶望感を感じた。
残念だったのがマロリ―のカメラに関しては影が薄い印象を持ちました。登山の歴史が変わるような大発見だったのに、羽生と深町の友情で幕が終わったので、少しもったいないと感じました。
同時期公開のアルピニストと比較
アニメーションは圧倒的。
実写かとみまごうばかりの雪渓が美しい。
ストーリーは実写のドキュメンタリーのアルピニストにも通ずるもので「何故危険を侵してまで高い山に登攀を目指すのか」というもの。
ラスト近くで羽生がその答えのようなものを言っていて、少なからず共感。
山登りたくなります!!
重厚感のある男たちのドラマ
山登りは全く好きになれないのに、登山もののマンガは妙に好きだった。村上ともかの「岳人列伝」、石塚真一の「岳」、塀内夏子の「おれたちの頂」とか。ザイルで繋がれた仲間との絆、命の危険にさらされながらも未登頂の山に魅せられてしまう男たちの物語に震えてしまうのだ。
本作の原作漫画は未読(登山ものが好きなくせに)。マロリーの所有していたカメラの行方とエベレスト初登頂の謎を追う山岳ミステリー。と思っていたが、ミステリーより、男はなぜ命をかけて未登頂の山に挑んでしまうのかを描く物語だった。ミステリーとしてスッキリする結末は待っていない。それでもあまり残念な気持ちにはならなかった。山岳シーンの映像がとにかくキレイだし、声優(日本語吹き替え版)の演技も素晴らしくて、重厚感のある人間ドラマだったから。でも、個人的にこの重厚感は大塚明夫さんの声の効果が大きいと思う。
そして、山に魅せられた男たちのドラマが好きだから、基本的なベース点数が高めなことも影響している。それは仕方ない。
山岳の描写が美しい
登山するので、原作も読んでいたので、この映画は「マスト」の映画。
美しい描写。観ていて冷気や吹きすさぶ風、痛み、過酷さまでが感じられた。
映画館には(同類っぽいおじさん達)、10人ほど入っていましたが、息を呑みながら、皆さんと(きっと)同化して鑑賞できました。
しかし、こんな一般受けしない、ある意味『間口の狭い』作品を創って大丈夫?と思ったけれど、フランスが7年越しで創ってくれたんですね。あとから知りました。
ありがとうございます。
登山とかマジ無理
日本の小説と漫画を原作にしてフランスで映画化された作品。日本の漫画は欧州で人気があるのかな。フランスの作品なのに登場人物が日本人ばかりで、新橋の飲み屋なんかが出てくる。
命を懸けて過酷な登山に挑戦する登山家の気持ちとかこれっぽっちも分からない。
そんな辛いことやめとけばいいのに。
作品としては、謎解きやサスペンス風ありで、なかなか面白くできてた。
フランスクリエーターに感謝
フランス映画ですが舞台は東京とエベレストがメインでとにかく登山シーンの背景と人物描写が素晴らしい。
登山経験はなくとも張り詰めた命がけの登頂を目指す羽生と深町の姿は神々しく見えました。二人の声優の熱演も光ります。
なぜ生死をかけた過酷な状況でクライマーは山頂を目指すのか、自分自身と見ている人に強く問いかけます。
多くの課題に立ち向かってこの作品を完成させたフランスのクリエーターに感謝です。
アニメという表現の限界を超えた見る価値のある作品です。
公開期間も残り少ないです。少しでも興味を持った方は早めに劇場に足を運んでください。
素晴らしかったです! 百聞は一見に如かず・・・ 見逃すのは本当にも...
素晴らしかったです!
百聞は一見に如かず・・・
見逃すのは本当にもったいないです!
繊細な心理表現と、雄大な山嶺の絵のような美しさ
東京の平凡な街並みすら、美しくて
緊迫感は尋常ではありませんが、それをどのように
醸成するかに、上質のセンスを感じました
もちろん、優れた原作とジローさんの漫画があったからこそ
よくぞここまでの完成度にしてくれました!
妥協がない、じつに濃密なアニメでした
骨太の生き様を描き切っています
東京と日本人が描かれれるのに、全く違和感もなくて
ぐいぐい引き込まれていきました
あ、これはフランス発のアニメ
描かれているのは日本人ばかりなのでした
そういう点でもとっても興味深かったです
エベレスト初登頂の謎
山登りが好きで、夢枕獏原作、谷口ジローの山岳コミック・神々の山嶺、を全巻購入してるファンなので、映画化されるのを知って楽しみにしてた。しかし、公開日になっても広島では上映してない。1番近いのが福岡と尼崎だったので、尼崎に遠征し観賞した。
記録の上ではエベレストの初登頂は1953年だが、イギリス人登山家のジョージ・マロリーが1924年6月にエベレストの山頂付近で消息を絶っていたことから、マロリーが初登頂を成し遂げていたのかもしれない、と言われていた。取材でネパールのカトマンズを訪れた雑誌カメラマンの深町誠は、消息不明になっていた日本人登山家・羽生丈二が、マロリーの遺品と同じカメラを持って去っていく姿を目撃した。羽生を見つけ、マロリーの謎を突き止めようとした深町は、羽生のこれまでの行動を探り始めた。調べるうちに、異常なほどの執念と卓越した技量で危険な山に挑み続ける羽生を知り、彼の人間性に次第に魅了されていった。やがて2人は交流し、冬季エベレスト南西壁無酸素単独登頂に挑む羽生に、深町もカメラマンとして同行することになった。さてどうなる・・・という話。
日本人作家と日本人漫画家の作品をフランス人が映画化しようとしたことにまず驚いた。そして漢字も含めた日本の情景が細かく描かれていて凄いと思った。
内容的にも多少省いた所は有り薄いと感じる部分はもちろん有るが、ストーリーはほぼ原作通りで、羽生の凄さ、エベレストの美しさと厳しさが描かれてて良かった。
強いてあげれば涼子がコミックほど可愛くなかったのがマイナス。フランス人のアジア系美人には違和感があった。
谷口ジローのキャラクターデザインで誰かアニメ化してくれないかな。
これがフランス映画とは信じられない。
映画そのものより、
この作品がフランス映画となったことが、
この映画の主題ではないか。
つまり、
登山道というものがあれば、
何故、山に登るのか?
何故、危険な山を冬山を危険なルートを…
仕方ない、
魅入られてしまったのだ。
いや、
魅入ってしまったのだ。
これ以上は蛇足となるので省略する。
惜しむらくは、
もう少し登山シーンを長くして欲しかった。
昭和風のアニメ作風
原作も読んだ、漫画も読んだ、で映画も鑑賞しました。
やっぱり書籍が情報量多くて、想像力も掻き立てられて一番良かったかな。
映画はフランス作という事ですが、日本のアニメ力って凄いなぁと逆に感嘆させられた。ストーリーは理解していたので、映画のアニメ化の荒さ、昭和風な作風が残念だった。
不屈の精神
頻繁にレイトショーへいで向かないといけないくらい作品の多い7月。「アルピニスト」と今作で迷いましたが、近くでやっていたのがこっちだったのでこちらを。
独特なタッチのアニメーション、超豪華な吹き替え、山という孤独なフィールド、面白そうな要素てんこ盛りでした。実際面白かったのですが、記憶に残るかというとうっすらしているのが現状です。
羽生丈二の生き様とマロニーのエベレスト初登頂の証明を94分通して深町誠が探っていくという物語で、途中羽生の過去の苦い経験だったりを展開していくのですが、これらを94分という短い時間という制約はありながらもちゃんと描き切っていたと思います。山登りのシーンも雪山の白や山岳のゴツゴツした岩のグレー、森などの緑と色が少ないながらも豊かな表現も良かったです。
ただエンタメとしては盛り上がりに欠けており、淡々としていたなーというのが率直な感想です。もうあと15分くらい長くして深町の鍛えるシーンや、羽生の空白の時間を描いて欲しかったです。まぁワガママにはなっちゃうのであまり多くは言えませんが。
色々と惜しいところはありますが、ちゃんと一定水準の面白さはある作品でした。
鑑賞日 7/13
鑑賞時間 19:45〜21:25
座席 B-4
大塚明夫を堪能する
面白かった。
昭和の匂いがプンプンした画像と骨太に描かれる男たち、女たち。
ことに女性は え?ゴーギャンが描いた女性?!と思わせる容貌、ちょっとあんまりじゃないか😓
主人公の羽生と深町はちょっと顔の区別がつかず、声で判断。羽生役の大塚さんの声はぴったりでとても良かった。
冒頭の山のシーンは実写?かと思われた素晴らしい雪山なのに、ビルディングはまるで斜めに並べた牛乳パックの様にチープ。
だが、私には おもしろかった。
ミステリーを交えたストーリーもさることながら、雪山、ことに未踏ルートに己を賭ける羽生の凄まじさ、山男にとって 勲章なのだろうけれど、『二番じゃダメですか』と突っ込みたくなってしまったけれど それほどまでに魅せられていく魔力登山、そんな男が居たんだ、と思わされた。
中盤 腰のロープだけで宙づりになった場面などは思わず声が出てしまった。自分しか考えてなかった羽生がこの場面以降 大人になったのか、悟りを開いたのか 変わっていった様子も良かった。
ただただ 安穏としてシートに身を沈め 音とストーリーを堪能出来た映画だった。これは 実写じゃ無理、アニメだからこそだと思った。
全87件中、41~60件目を表示