「実体がわからない恐怖」NOPE ノープ カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
実体がわからない恐怖
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この類の映画って相手(敵?)の実体がわかってからは少し怖さが薄れてしまうものだが、本作の場合は実体がわかっても得体や目的を最後までわからないままにしておく事で恐怖を維持させる事に成功した良い例かなと思った。まあその分いくつか疑問は残ったままになってしまうが。
過去のチンパンジーの悲劇から、いかに人間に近い存在であっても完璧に理解し飼い慣らす事などできないのだから異星生物?など言わずもがなでしょ、という説得方法は良いように思った。
そして教訓を活かせず反省しない者はしっかりと罰を受ける、という正しい道徳感はベタだが嫌いではない。
映像に納め一攫千金を目論むが、途中から命あっての物種でしょと言いたくなるぐらい死と紙一重の攻防を続け、最期に刺し違える覚悟で挑んでいく姿は少し理解し難いものがあるが、父親の仇を打ちたかったのであれば倒すまで頑張って欲しかったりする。
ハイテンションの妹との対比をより色濃く出したかったのだと思うが、主人公がかなりクールでカッコよく描かれ過ぎていたのは個人的にはあまり好みではなかった。
ゲットアウトやアスのような何とも言いようのない気持ち悪さではなく、割と正統派なSFスリラーなので、難しく考えなくても観る事が出来るおすすめの映画だと思う。
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