アウシュヴィッツのチャンピオンのレビュー・感想・評価
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命と尊厳
第二次大戦中のポーランド。”テディ”の愛称で親しまれたボクシングの元チャンピオンはアウシュビッツに送られ、『囚人番号77番』と呼ばれることになり・・・
実話なので主人公が生き延びた事は分かっていても、警護兵の気まぐれでいつ殺されてもおかしくない状況は緊張の連続でした。
「あきらめずに希望を捨てずにいれば、きっと夢は叶う」というきれいごとは通用しない、狂った世界。いや、希望を持つのは大事だけれど、将来の事など考えられない、その日その日を生き抜く事がやっとです。
ガス室送りになる人々を見て、どこに行ったか分からない妻と息子の事を考えたでしょう。
こういう状況で正気を保ち続けることの難しさ。
「今この場で服を脱げ」と言われて拒否した少女。自分を気遣ってくれた人を攻撃することを拒んだ少年。
では、生き延びる為に憎い相手に媚を売る行為を責められるのか。
テディは人としての尊厳を守り抜いたけれど、本人の強さだけではなく、幸運だったんだろうと思いました。アウシュビッツを出られることになった時にも、テディに笑顔は無く、笑える日が来るのはもっと先なのでした。
非常に重い作品ですが、観て良かったです。
アウシュビッツの惨さ…
アウシュビッツを生き延びた実在するボクサーの話だけど当然のことながらそこにはいざという時に助けてくれるヒーローもなし。ただただ非人道的なアウシュビッツでの暮らしが描かれる。ボクサーという武器があることで生き延びることはできたが、そう考えるとどれだけの幾多の他の人生が絶たれたことか。見る価値あり。
映画館で見るべき作品
アウシュビッツ収容所から生き残ったボクサー、タデウシュ・“テディ”・ピトロシュコスキの伝記作品。 かなりの減量をして撮影に望んだ主役のピョートル・グロバツキの迫真の演技に感動します。 22年にポーランドのアカデミー賞とされるイーグル賞で主演男優賞も頷けます。 ホロコーストの無残なシーンも多々ありますが生き残りをかけ、さらに仲間の命を救うために見世物試合を続ける姿は胸をうちます。 監督は、ポーランド出身でホロコースト生存者の孫でもあるマチェイ・バルチェフスキ。劇場で見るべきの必見作品です。
ARBEIT MACHT FREI
アウシュビッツの最初の囚人の一人で元ボクサーの男の実話をもとにした話。 囚人番号77番のテディが、カポの仕掛けたパンを賭けた悪ふざけに巻き込まれたことが切っ掛けで、収容所内のボクシングの選手となっていくストーリー。 衛兵達の娯楽として始まったボクシングで強さを認められて重労働からは外される様になり、ボクシングに勝つことで大量に与えられる食料をみんなに配り、そして生き長らえていく様や、彼と仲良くなった若い囚人との様子をみせていくけれど、主人公そのものにはあまり変化がなく少し単調。 まあこれと言ってというところで、他の囚人のストーリーを繋いでいるのだろうし、その内容はちょっと選択を誤れば常に死に向かう恐ろしく悲しいものではある訳だけど。 そういう意味では常に先の読めない展開でスリリングさはあったし、一つの映画として良かったけれど、アウシュビッツのチャンピオンのテディをみせる映画としては波も小さく盛り上がりに欠けるものではあったかなという感じ。
チャンピオンのやりたかったこと!
テディ、ラスト幸せそうでしたね(^o^) 実話なんですね。終わってから知りました。 きつい収容所でしたが、協力者がたくさんいてよかったですね! ラストファイトは、グローブなしだったのはなぜ?
拳ひとつで生き抜く
僕はボクシングが大好きである。拳ひとつで生きるボクサーを敬愛している。 この映画の主人公テディもまた拳ひとつでアウシュヴィッツ収容所を生き延びた。この映画のなかでユダヤ人が次々にガス室に送り込まれ、撲殺され、銃殺され、吊るされ、目を覆いたくなるほどの残虐な光景が描かれるが、そんな地獄のなかで彼のボクシングにユダヤ人たちは癒され勇気をもらい、またナチスの鬼畜どもも魅了され、彼に食料や医療を与えた。これは結果的に飢えた人達を救いもした(焼け石に水かもしれないが、その時には地獄のなかで大変な幸せを感じたと思う)。なぜ人は強いボクサーにひかれるのか。特にテディは防御に優れ、相手のパンチを「霧のように」かわすテクニシャンだった。収容所の中で彼のボクシングスタイルは何か暗示的でもある。 褐色の爆撃機ジョー・ルイスのライバルであり、ボクサーを引退した後に経済的に困窮したジョー・ルイスを匿名で援助し続けたとも言われるドイツの英雄マックス・シュメリングのスクラップ記事を見ながら収容所所長の息子が「なぜ偉大なドイツ人が負けたの?(多分ジョー・ルイスにだろうな)」という場面、何気に感動してしまった。ここで映画の中の地獄と現実の世界との繋がりを実感した。因みにこのマックス・シュメリング、実は反ナチスの人(ナチスはドイツの英雄を入党させようと何度も試みたが断固として拒否し続けた)で、収容所の所長が息子に「トレーナーがユダヤ人だから負けたんだよ」て言ってるのは別にジョークではない。史実に基づいて所長でもある父親にそう語らせたのだと思う。
実在の人物らしいが。
実在の人物なのだろうが、少年や少女のエピーソードは、あまりに映画的な脚色て、結果訴えるものが希薄になってしまっている。 実在の人物のエピソードだろうが、周辺はあくまで映画的なアレンジがされていて、作為性に醒めてしまう。
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