アウシュヴィッツのチャンピオン
劇場公開日:2022年7月22日
解説
ホロコーストを生き延びたボクサー、タデウシュ・“テディ”・ピトロシュコスキの知られざる実話をもとに描いたポーランド発のヒューマンドラマ。第2次世界大戦中の1940年。戦前のワルシャワで“テディ”の愛称で親しまれたボクシング・チャンピオンのタデウシュ・ピトロシュコスキは、アウシュビッツ強制収容所に移送される。彼には「77番」という名が与えられ、左腕には囚人番号の入れ墨が刻まれる。十分な寝床や食事も与えられず、過酷な労働を強いられる日々。そんなある日、テディは司令官や看守たちの娯楽としてリングに立たされることになり……。「イレブン・ミニッツ」のピョートル・グロバツキが主演を務め、絶望的な状況に置かれながらも不屈の闘志と尊厳を保ち続けたテディの半生を熱演。短編作品「My Pretty Pony」で高く評価されたマチェイ・バルチェフスキが長編初メガホンをとった。
2020年製作/91分/G/ポーランド
原題:Mistrz
配給:アンプラグド
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本作を観る前、ある種の型にはまった内容なのではないかという危惧の方が強かった。しかしいざ蓋を開けてみると、まるでボクサーの肉体のように90分台のスリムさの中に必要な要素が凝縮されていることに驚いた。特徴的なのは、主人公を始めとする登場人物たちの過去がほとんど描かれないことだ。彼らは自分のことをベラベラ喋ったりせず、ただ現在を生き抜くことに必死。けれどこのある種の地獄の中での相貌や行動、ほんの些細な振る舞いを見ているだけで、これまでどのように生きてきた人なのかが如実に伝わってくる。主人公の場合、それは当然、リング上でのリアルなファイト場面、そこでの一挙手一投足においても言えることだ。感動的ながら仰々しく感情を煽り立てはしない音楽や、端々まで緊張感を身に纏ったエキストラ、収容所内の美術に至るまで、作り手の情熱にも圧倒される。なぜ戦うのか。言葉にせずとも、映画そのものが答えを誠実に体現している。
2022年9月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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サロン・シネマ2さんで、この日の三本目。客席中央の三列21席について空席をカウントしてみた。一本目「なまず」が16/21。二本目「プアン」が15/21。三本目の本作が5/21です。ナチス・ヒトラー・アウシュビッツがネタとなると、高齢者が席を埋め入りが良い印象がありましたが、実際そうだったw
ここ数年、ナチスものが多く、かつ良作傑作は皆無だったと思ってますが、コレは良かった。一番好き。
ボクシングものに無条件に燃えてしまう習性のせいなのか。少年少女をネタにされると、どうしても感情移入してしまうからなのか。
Holocaust とは、元々宗教儀式で丸焼きにされ神に捧げられた生贄の事。
一服盛られ試合に負け、一晩吊るされていた「77番」は死体を焼いて処分する穴の底をのたうち回り、丸焼きになった木彫りの天使像を見つける。ヤネックが少女に贈った守護天使ミカエル。
人間が生まれる前は皆、天使なのだと。
絶対的な力の差。守ってやれなかった絶望感。出来る事はただ一つ。ボクシングに命を掛ける。
そうですよね、やっぱり。ボクシングものの文法でホロコーストを描いたら、こうなると。
ラストのボクシング・ジムの風景に、ポロリーンですよ。
良かった。
とっても。
2022年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
アウシュヴィッツ収容所に入れられたポーランドのボクサー視点で見たホロコーストサバイバル映画。
テディと称されるボクサーが、パンをもらうためボクシングの試合をしていくのだが、
彼が色んな相手を付けられ、戦っていくいく姿は、彼の生きる意志と同時に、彼が生き残れば誰かは死ぬという不条理を表していた。
また彼の視点で描くナチスの蛮行が包み隠さず表現されている。
もちろんナチスの犯した行いを描いた映画は多々あるのだが、この映画は飽くまでもボクサー視点なので、フォーカスが当たってないところで、ナチスがアウシュヴィッツでやった蛮行が垣間見えるのだ。
この作品は、テディというボクサーのアウシュヴィッツ体験記のような描き方をしているが、
根本にはナチスのひどい行いを決してオブラートに包むことないよう描く、と言う監督の意思を感じる。観る側をテディと同じような視点に立たせ、疑似体験をしてもらう意図も感じられた。
それだけ彼は家族、親戚からナチス体験談を叩き込まれてきたのだろう。
しかし、毎年のようにホロコースト映画が公開されるが、毎回ドイツ語で蛮行が行われる映画を観させられるドイツの映画関係者はきっと複雑な想いだろう。それほどナチスの行いは現代史に傷を残したという事だが。
2022年8月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
120本目。
最初の方で全てを否定される所から始まる。
分かって観てはいるけど、キツいしツラい。
もし自分がと想像しようするが、自分自身が負けそうで考えない様にはするけれど、それって作品から逃げようとしてるのかと、葛藤したりもする。
主人公目線でみれば、あぁ良かった、だろうけど、収容所に残っている人の方が多いんだから、そう思っちゃいけないだろうな。