「アウシュビッツからの素晴らしい帰還者」アウシュヴィッツのチャンピオン りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
アウシュビッツからの素晴らしい帰還者
第2次世界大戦中の1940年、ワルシャワのボクシング・チャンピオンだったタデウシュ・ピトロシュコスキ(通称テディ)は、アウシュビッツ強制収容所に移送された。彼には77番という呼び名が与えられ、捕虜のため十分な寝床や食事も与えられず、過酷な労働を強いられる日々が続いた。その間、老人、女性、子どもは怪しい建物に連れ込まれ、虐殺が続いていた。
そんなある日、テディは司令官や看守たちの娯楽としてリングに立たされボクシングをすることになった。負け知らずで勝つたびにパンやソーセージなどの食料や薬を貰い、囚人仲間に分け与えていた。そして、終戦までなんとか生き延び、ポーランドに帰った後は子どもたちにボクシングを教えた、という実話に基づく話。
アウシュビッツってユダヤ人の収容所かと思ってたから、ユダヤ人じゃなさそうなテディがなぜアウシュビッツの強制収容所に送られたのかと思ってたが、ポーランドに侵攻したナチス・ドイツは、愛国主義になるとスポーツを禁じ、愛国心の強い危険分子とみなしたスポーツ選手を強制収容所に送ったんだと知った。
Arbeit macht frei(働けば自由になれる)の看板はナチスの強制収容所が映る作品を見るたびに見ているが、果たして働いて自由になった囚人が何人いたのだろうか?戦後まで生きて戻れたテディは貴重な体験者だったんだと思う。
テディ役ピョートル・グロバツキが良い体を作ってて素晴らしかった。
戦中の日本も戦地でこんな事をしてなかったのか、今のロシアは?なんて事を考えながら観た。
やはり戦争はいけない。やっちゃいけない、と強く思った作品でした。
多くの人に観てもらい、戦争の悲惨さを体感してもらいたい作品です。