逆転のトライアングルのレビュー・感想・評価
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長いが、楽しめる
3部構成になっていて、ブラックな会話に鼻白んできた頃に次の章へいくので、まあまあ飽きない。
しかし2部のゲロ攻勢にはへきえきしたが、今のロシア叩きを思い起こせば痛快 そして戦慄へと誘うストーリー
3部は1部のジェンダーロールへの鮮やかな逆転の展開になっているのだが、家父長制のあたまが女性になった時その生き写しのような男社会への皮肉にも感じて、この一筋縄ではいかない監督の才能をみた
難しい
1.捻くれ者の私は、面白かった。
2.何故、船は爆破したのか?何で結構助かったのか?
3.結構前のロスト的に見たら良い?
4.折角のビーチなのに若くて可愛い娘ひとりしかいない。
5.最後のリゾート、エレベーターは現実か?幻想か?
6.最後に走ったエケメンは、彼女のためか?おばさんなためか?
7.船沈没前のゲロ多めは、皆同じを暗示?
8.結局ヒトは立場が変われるだけ、人を支配したい。
9.ヒトは自分のために生きる。
レストランと船上と無人島で起きたこと
『リューベン・オストルンド』監督の前々作、
〔フレンチアルプスで起きたこと(2014年)〕は
何とも皮肉な映画だった。
フレンチアルプスの高級リゾートで
スキーを楽しむ若い夫婦と幼い子供達。
ところが人工的に起こされた雪崩が
計算を誤りレストランのデッキ迄流れ込んで来る。
パニックになった夫は、妻と子を置き去りにし、
自分だけが逃げ出す。
結果、誰も怪我をせずに済むのだが
夫婦の間には気まずい空気が漂う。
また、自分が我先に逃げたことを友人たちにも認めない夫の態度に
妻は不信感をつのらせる。
観ていても気まずく、不愉快になる一方、
男は常にマッチョで家族を守るものとのテーゼにも
疑いを持つのも確か。
本作は先の作品とも、かなり近似のテイストを感じるのだ。
物語りは、三つのパートで構成。
先ずはレストランで
若い男女のモデルが食事の支払いを巡って言い争いに。
男性モデルの収入は、女性のそれに比べ1/3程度しかないとの知識が観客に与えられ、
且つ、今回は女性が言い出した食事であることにも触れられる。
それでも払いは男性がするの?との
世間的な通年への疑念。
二つ目のパートは豪華客船の中。
乗船しているのは、クルージングを楽しむ
世界の富豪たち。
そこには先のモデルのカップルも乗船しており、
なんとなれば彼女のインフルエンサーとしての影響力を期待しての
試乗との役どころ。
しかし、乗り込んでいるセレブの面々は、
装いこそ煌びやかであるものの何処かいかがわしい。
武器の製造で財を成した者、或いは
「オリガルヒ」とも思えるロシア人。
またクルーたちも、乗客達からの多額のチップが目当てで
多少の我儘には目を瞑る所存。
資本主義の原理原則とは言え、
親の資産や真っ当でない金の出所に辟易をしてしまう。
そして最後のパートは無人島(?)。
豪華客船は海賊に襲われ沈没。
乗客と乗員の数人が流れ着く。
そこでは、社会的地位や金は何の役にも立たず、
サバイバル技術だけが全て。
実権を握ったのは、
清掃人チーフの中年女性との何とも皮肉な流れ。
社会的な通念はとことんコケにされ、
立場の逆転は環境次第で容易く起きてしまうとの寓意。
それがブラックな味付けで描かれ、
時として嫌悪感さえも覚える。
一方で若さや美への憧憬があるのは
何とも皮肉。
大揺れする船中での食事をした結果
吐瀉物まみれになるシークエンスは
長々と執拗。
富裕層を貶める描写は他にもあったのでは、と
かなり眉を顰める場面ではある。
直近の〔バビロン〕もそうだったが、
金持ちを描く際に、似た表現になってしまうのは何故に?
エンディングが中途半端
豪華クルーズ船に乗り合わせた富裕層の面々が、サディスティックな演出でこれ以上ない程散々な目に遭います。その徹底ぶりに笑わせていただくと同時に爽快感も感じました。
その後の展開で更に面白いシチュエーションが発出するのですが、「これはエンディング次第で快作となるか、駄作となるか大きく分かれるな」と思いながら観ていました。
結果、表題にもした通り中途半端極まりないエンディングで終幕してしまい、とても残念でした。どんなエンディングにしようとも賛否両論極端に分かれるでしょうが、明確な結果を描いてもらった方が観る側の気持ちの整理がついたのではないかと思います。
映画評論家には高評価。しかし人間の醜悪な部分を抉りだし、観客の気分を気まずくさせる本作を好きになれませんでした。
男女の役割について考えさせる「フレンチアルプスで起きたこと」や、多様性への問いを投げかける「ザ・スクエア」など、人間の欲望と虚飾を辛辣に描きつつも、観客を気まずくさせる作品を撮ってきた(^^ゞリューベン・オストルンド監督。社会に遍在する格差を徹底的に風刺したこの喜劇で、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したのです。
作風はそのままに、格差社会を描く本作ではシニカルなユーモアが過去の作品よりも先鋭的になっている印象です。わたしの好きなタイプの作品ではありませんでした。
人間のダークサイドを暴くセリフだけでなく、本作では吐潟シーンやあふれ出すトイレなど強烈な場面が次々と登場し、思わず目を背けたくなったほど。悪趣味スレスレの描写もありますが、限られた空間で最後まで飽きさせずに見せる手腕は見事でした。
3部構成の映画は、男性モデルのヤヤ(チャールビ・ディーン)と売れっ子モデルで恋人のカール(ハリス・ディキンソン)が狂言回し。置かれる状況に応じて2人の関係性は激変し、そこに性や経済、階級などさまざまな社会格差が暴露されていきました。
第1部では唐突に、殺風景な部屋での男性モデルのオーディション風景で始まります。そして女性モデルの華やかなファッションショーに続き、高級レストランで食事を終えた2人、机の上に伝票が置かれて、どっちが食事代を払うかで口論となります。「ありがとう。ごちそうさま」とカールが払うのが当然のように振る舞うヤヤに、カールは「昨日は君が払うと言った」と言い出していたのです。女性モデルは男性の倍を稼ぐといいます。どうして男が払うのかと怒るカール、私を養えない男と付き合うのは無駄とうそぶくヤヤ。男女間の力学がモデル業界では逆転し「対等でいたい」というカールの叫びが皮肉に響き、激しい口論が延々と繰り広げられるのでした。
第2部では、ヤヤと仲直りしたカールは、彼女がインフルエンサーとして招かれた豪華客船クルーズに同行します。客船内では、有機肥料で財を成したロシア人の男や、武器製造会社を営む英国人夫婦ら、くせ者のセレブたちと出会います。セレブたちはわがままし放題でスタッフを振り回します。彼らからの高額チップ目当てに彼らに隷属する白人船員たち。さらにその下層の船倉にいるアジア系の下働きと、船内のスタッフの階級は歴然とされていました。
しかしその頂点に立つトーマス・スミス船長(ウディ・ハレルソン)は、船長室に閉じこもり酒浸りの毎日を過ごしていました。無責任な船長は、乗客をもてなすキャプテン・ディナー中には渋々顔を出したものの、泥酔した乗客と意気投合。船長室にふたりで閉じこもり、船内放送で「共産党宣言」を読み上げるのでした。
その間船に嵐が直撃します。船酔いして嘔吐する乗客が続出。船内は下水が逆流し、吐しや物まみれになってしまいます。
そして圧巻の第3部。客船が難破して生き残りが無人島に漂着し、ヤヤとカール、乗務員、数人の大富豪が無人島に漂着。生き延びる方策を探る中、海に潜ってタコを捕獲したトイレ清掃員・アビゲイル(トリー・デ・レオン)が「ここでは私がキャプテンだ」と宣言するのです。アビゲイルの寵愛を受けるカールと、飢えるヤヤ。人間の卑しさがあまりにリアルに描かれました。
第1話の痴話喧嘩での一連の丁々発止は、監督自身の経験から着想したそうです。社会的にすり込まれた男女の役割への皮肉にも取れます。カールが吐く「対等でいたい」というセリフは、男女平等をうたう社会を味方に付けた虚勢なのかもしれません。
第2話での船長の無責任さには、ヘキヘキとしました。船内放送で自分の主義主張を喧伝し私物化。嵐が来ているのに乗客の安全を全く考えない酔っ払い船長には、全くリアルティを感じませんでした。
また観客が嘔吐するところや下水が逆流するシーンはここまでするかと、気分を害される映像が続きます。さすが観客を気まずくさせる作品に定評のあるオストルンド監督だけのことはあります。
そんな驚かされる映像のBGMに、頭を上下に振る動作を促すヘビーメタルをかける演出は爆笑必至です。
第3部では、アビゲイル役のデ・レオンの演技が出色です。舞台出身で、国際的な映画に初出演なのだそうです。うっぷんを晴らすかのように権力をふりかざし、男に色目を使う姿を生き生きと演じていた。
そしてネタバレになるので、紹介できませんが、最後の結末の意外性が圧巻。自分の地位が脅かされない島の秘密を知ったときのアビゲイルどんな行動を起こすのかお楽しみに。とにかく最終盤は緊張感がピークに達し、すごいものを見た満足感に浸れることでしょう。
全体的に支配と服従、反発。社会構造を凝縮したような面々のサバイバル劇。笑えないジョークで心を抉るシーンも多々あり、人によって評価が大きく割れそうな作品でした。 なお、ヤヤ役のチャールビ・ディーンはこれが遺作となりました。32歳の若さでした。
下品な映画だと思う。
セレブな人たちをひねくり、ブラックユーモア満載映画として評判だが、私には楽しめなかった。嘔吐と汚物で溢れ、気持ちの良い映画ではなかった。
セックス描写がないのが救いか。まぁ、見たい人は見たらと思う程度。
一般指定で見るのはちょっと配慮不足かな…。
今年63本目(合計715本目/今月(2023年2月度)29本目)。
映画の趣旨としてはここのサイトや公式サイト、あるいは他の方のコメントにもありますので、そこは思い切ってカットします。
個人的には、2021年だったと思いますが「オールド」という映画が趣旨的に近いのかな、というところです。
ここでも評価が割れていて、フランス映画ではないのですが、「結末は自分で考えてね」というフランス映画らしい「余韻の残し方」をする映画です。また、これも監督さんの過去作品の好き好みになると思いますが、過去作品と同じように、「趣旨は一応わかるが内容が哲学的過ぎて理解が難しい」という点は明確に言えます(複数の解釈が可能)。
ただそれよりも深刻なのは、多くの方が書かれているとおり、この映画では「船が嵐の中を航行して船が揺れて船酔いを起こす人」が出てくるのですが(この映画は3章立てで、その2章)、ここでのいわゆる「吐しゃ物表現」がかなり厳しいです。公式サイト等も確認しましたが、一般指定で正しいようですが、PG12くらいつけられても文句は言えないだろう、というところです。少なくとも「積極的にポテトだコーラだの持ち込んでみる映画ではない」という点に注意が必要です。
先述の通り、「フランス映画らしい余韻の残し方」をする映画で、解釈は個々分かれそうな映画ですが、趣旨としては(一部わからない点はあるとしても)理解はできるし、吐しゃ物の件は明確に気になりましたが(表現としてもう少しマイルドにできなかったのか…)、それとて減点幅は限定的です。
採点は以下の通りで4.7を4.5まで切り下げています。
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(減点0.3/吐しゃ物に関する表現の配慮が足りない)
・ この映画がPG12以上であれば減点なしの扱いですが、この映画はれっきとした「一般指定」です。その前提でこの描写はちょっと厳しいのではないか…(正直、ポップコーンだのチキンだの食べている人がこんな展開でこんな表現になると、ポテトもポップコーンも食べたくなくなる)という印象です。
ただ、結局はそれのみであり、個人攻撃や人格否定など、「明確に人の気分を害するような発言はない」ので、減点幅としてはこの程度でしょう。
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割り勘エピソードにリューベン節を感じる
個人評価:3.8
人間関係の哲学を掘り下げるリューベン・オストルンドのテーマには毎回引き込まれる。
メインストーリーはさることながら、冒頭の割り勘エピソードが最もリューベン節を感じる一幕だった。
過去作よりも深度は浅い気がしたが、本作も文化人類学の哲学をしっかりと感じた。
楽しみにしてたけど全く自分に合わなかった洋楽。 本年度ベスト級。
出だしからハエの飛ぶ音や動物の鳴き声等の雑音が多い。
船酔いする人達が下品過ぎる。
タイトルにある「トライアングル」の意味は予想外でした。
自分も船酔いしそうでした( ´∀`)
ブラックユーモア満載
三部構成で繰り広げられる、富裕層と中間層と貧困層の人間模様。「ザ・スクエア」は高尚過ぎてちんぷんかんぷんでしたが、今作は分かりやすく2時間半でもテンポ良く、クスクス&ゾッとしながら楽しめました。
美男美女カップルだけど、関係が歪でモヤモヤするヤヤ&カールを中心に、豪華客船のクセ強すぎセレブ達のバックボーンが分かっていく会話劇も細かなところまで皮肉たっぷりのブラックユーモアで見応えがありましたし、島に漂着してからは更に笑ってしまう展開に。ツッコミ入れつつも、ただのコメディ作品ではなく様々な考え方や現実の問題、価値観が盛り込まれているのがさすが。
期待以上に面白かったです。
船酔いシーンが長くてエグくてキツかったけど。笑
アカデミー賞楽しみ!
パルムドールだから、
わかった、とか社会風刺が秀逸だ、とかなんとか言いたいところだけど、過剰な汚演出の気持ち悪さが上回り、お腹いっぱいに。
最初の男性モデル達のくだりいる?とか思いつつも、それも含めてメッセージ、、、なのか??
ごめんなさい。
無理でした。
娯楽作品と言うより、皮肉な芸術作品
お金持ちたちが乗っていた豪華クルーズ船が沈み、お金持ちと下働きの従業員たちが島に流れ着く。
そこでリーダーシップを取ったのは、トイレ掃除係りの女性だった。
主従関係の逆転がこの映画のテーマ。
内容的には娯楽作品っぽいけど、モデル兼インスタグラマーのカップルがこの映画の主軸。
前半に、このカップルの人柄とか、お金の価値観についてのやりとりが長く続く。
それが皮肉な芸術作品っぽくしているんだろうな。
こんな離島ツアーが有ってもいいんじゃない?
第一話がせこ過ぎの上に、
話が長過ぎて、全てのオチが見えてしまった。
造りが丁寧過ぎたかな?
それにしても、
船長とロシアの大富豪の世界観対話バトルは最高だったなぁ
あの船長は何処に行ったのかな?
まさか、船と一緒に?
スウェーデンの鬼才リューベン・オストルンドが、
ファッション業界とルッキズム、そして現代における階級社会をテーマに描き、
2022年・第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した人間ドラマ。
Part1のところがちょうど今SNSで少し話題の男が奢るべきか論争...
Part1のところがちょうど今SNSで少し話題の男が奢るべきか論争でタイムリーだなと思ったりして。
これの前のパルムドール受賞作の『TITANE』がぶっ飛び過ぎてたのでものすごくまともな映画にみえるのは感覚がマヒしてるのかな。
期待していたのと違ってた
セレブいじりとか富裕層への一撃や皮肉だったら「ザ・メニュー」の方がセンス良くて好みで共感できた。この映画は初っ端から、金とブランドと外見至上主義が身も蓋もなくてガクッときた。カールはイケメンには私には見えなかったし、島の「キャプテン」も同じ穴のむじなだし。
おまけ
ちょっと調べたら、この映画の中の繰り返し台詞、”In den Wolken" (= in the clouds)は、この豪華客船に乗ってるほぼ全ての人間は現実から遠く離れた地に足のついてない輩だ、という監督の考えだとあった。真っ当過ぎるなあ。ドイツ人に言わせてるからドイツに対する皮肉かと私は思ってた(夢見がちな理想主義者とか)。でなければ車椅子のこの彼女はコンピュータのクラウドで大儲けした人の関係者?「クラウド・コンピューティング」を提唱したのはGoogleのCEOだったエリック・シュミットというドイツ系アメリカ人(全く知らない分野なので調べた。合ってるのかな?)だった。
男女の間の常識や階級社会を揶揄する快作
㊗️パルムドール受賞、そして㊗️アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞ノミネート。
リューベン・オストルンド監督作としては「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いて2度目のパルムドールということで、カンヌの審査員はこの手のブラックユーモアが好きなんかなあ。
内容は盛り沢山だし、富裕層をコケにするところも嫌いじゃない。十分楽しめたんだけど、、、
「エンパイア・オブ・ライト」と続けて観たので、どうしても見劣りしてしまう。ホント申し訳ない。
モデル&インフルエンサーを演じたチャールビ・ディーンさん、かなり好きでした。しかし、お亡くなりになったのですね。残念でなりません。
社会そのものを描く
少し長めの上映時間ですが、全く退屈する事なく全編通して楽しめました。
作り込まれたセリフ(日常的には遣われない言い回し多々あり)やあまり説明的ではないアイロニックな描写をベースにじわじわビルドアップしていくスタイルは好みが分かれるところかもしれませんが、かなり好みでした。
英語がもっと分かれば更に楽しめそうな気もするので、そこはすこし悔しいです笑
ヤヤ役のチャールビ・ディーンの事を全く知らなかったので色々調べていたら既に昨年夏頃に病死されている事が分かり、ショックです。ご冥福をお祈りします。
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