逆転のトライアングルのレビュー・感想・評価
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現代世界の縮図としての豪華客船
同監督の『ザ・スクエア 思いやりの聖域』と同様にブラック・ジョークに満ちていたが、少なくとも私の周囲の観客から笑い声はほとんど聞こえなかった。如何にもヨーロッパ的なジョークと言うべきか。
ここに描かれた豪華客船はまさに現代世界の縮図という感じ。新興財閥(オリガルヒ)のトップのロシア人、武器製造会社を経営する英国人夫婦、M&Aで巨額の金を得た人物、SNSのインフルエンサーなどが客で彼らに直接サービスするのは白人の乗組員。東南アジアなどからの有色人種の乗組員は機関室とか清掃の仕事をしている。船酔いで金持ち客たちが吐いたゲロを彼らが拭き取っている場面は哀しい。船長は自らをマルクス主義者だと言い、税金逃れで巨富を築いた客たちを相手にすることを苦々しく思っているのだが、飲んだくれでどうしようもない。ロシア人客とレーニンやマルクス、ケネディ、レーガンの言葉の引用合戦してた。
サバイバル能力がすぐれたトイレ清掃婦が漂着した島で君臨し、白人のイケメンの若者をペットにしてしまうのは現代世界へのキョーレツな皮肉。
最後のシーンは果たしてどうなったか観客に判断を任せている終わり方だった。とにかく日本ではウケない映画だろうなぁ。もし日本人や中国人が登場するとしたら、白人客に媚びを売る乗客のような役回りかしらん。
あーなんかめんどくせー、まどろっこしー、タコ食いてー!
面白い、と言えば面白いんですよ。でも、南の島に流れ着くサバイバルものとしての時間帯に関して言えば、諸々のシナリオが雑すぎて、合理性なさ過ぎて、萎えます。
でですよ。
脚本が、かなり技巧に走ってるって言う感じがするんです。かつ、概念的。狙いは「立場の逆転」と「三角関係」と言う状況を作り出すこと。
男の方は、いわゆるダメンズです。プライドだけは高いけど、稼ぎがどーたらこーたらごねまくります。実質ヒモ男。陸上でもこれですから、その特性は無人島でも変わりません。
で、このダメンズを回転軸にして、「売れっ子モデル」と「トイレ清掃係」の立場が逆転した上での、三角関係が発生。
島の裏側のエレベーターの前で、再度軸が回転し立場が入れ替わることを拒否するトイレマネージャーは、「付き人」の一言に激高する。
ラストショットは走るダメンズです。誰のために、どこに向かって走ってるのかは不描写です。何がどうあれ、この男は役に立たないんだけどね。こんな男をめぐって、人生掛けた三角関係なんて、哀しいよ。
って言う映画。
面白かった。
けど、まどろっこしくて、寝落ちしそうになりました。
と言うか、最初、すこし寝たw
腰を痛めて劇場のシートに身体が耐えなくなってしまい。暖かくなり、ほぼ回復したので、久しぶりの一日4本にチャレンジしました。これが、この日の2本目でしたが、腰がかなりヤバイ。立ち上がった後、5分は普通に歩くことが出来ないw
毒を利かせた風刺劇で楽しめる
富める者と貧しき者の悲喜こもごも、人間の浅ましさ、エゴのぶつかり合いが、時に過激に、時にシニカルに表現された風刺性の高い作品である。
監督、脚本は「フレンチアルプスで起きたこと」、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」のリューベン・オストルンド。前2作同様、今回も毒を利かせた笑いを全編に散りばめながら2時間半という長尺を飽きなく見せた手腕は見事である。
最も強烈だったのは中盤の嵐に見舞われたキャプテンズ・ディナーのシーンだった。ここまでやるか!という感じでもはや呆気にとられるしかない。例えるなら「モンティ・パイソン人生狂騒曲」のインテリジェンスとトロマ製作「チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット」の下品さを足して2で割ったような阿鼻叫喚の地獄絵図と言ったところか。オストルンド監督は必ず劇中にこうした強烈なシーンを1か所は入れるのだが、これまで以上に過激で露悪的で下品で凄まじかった。
但し、個人的にはここをピークに映画は盛り下がってしまったように思う。
映画は3部構成になっていて、第1部はヤヤとカールの痴話喧嘩を描くパート。第2部はクルーズ船内の悲喜こもごもを描いた群像劇。第3部はクルーズ船を脱出したヤヤ達が無人島を舞台にサバイブする話になっている。地位も名誉も無に帰した中で、それまでの優劣関係が文字通り”逆転”していく様を赤裸々に描いているが、前段のキャプテンズ・ディナーのシーンのインパクトの後ではどうしても弱く映ってしまう。
同様のシチュエーションで言えば「マタンゴ」や「吸血鬼ゴケミドロ」といった作品も連想される。多種多様な人物が極限状態で本性を曝け出すというのは、この手のサバイバル物の一つの醍醐味であるが、そこを超えるものがなかったというのが正直なところである。
ラストは観客の想像に委ねるような終わり方になっている。賛否あるかもしれないが、余韻を引くという意味では見事な締めくくり方だと思った。明確な答えを容易に出せない所に今作のメッセージの重みも実感される。
尚、ヤヤを演じたチャールビ・ディーンは腹部に事故による手術の痕が残っている。本作の水着姿でそれを確認することができるが、術後に細菌性敗血症にかかって昨年の8月に他界したということである。今後の活躍が期待される中での突然の訃報ということで誠に残念である。
舞台転換の狭間に結構げんなりする描写があるが、全体的に風刺的群像劇として完成度の高い一作
予告編から受ける印象どおり、セレブ達を乗せた豪華客船が沈没後、生きながらえた人々の中で清掃スタッフの女性がリーダーシップを発揮する…、という割と明確な物語上の筋がある作品です。そのため鑑賞始まってすぐに、「あれっ、予想してた映画とは違う」ということはなさそうです。
中盤の「げんなりする描写」も、何が待ち受けているのか予告である程度察することができるんで、あまり不意打ち感はありません。しかしおそらく想定以上のえげつなさなので、やはり鑑賞直前の飲食はよく考えた方が良いかも。
登場するセレブ達は、いろいろ立場は異なっていても、「エゴイストで金の亡者」という点では一致しており、乗務員も彼らのおこぼれにあずかろうとしつつ、やはりいいように使われることに苛立ちを募らせています。
まぁ、何か起きるだろうな、というか起きてくれ、と期待値が高まる中、登場人物達にとって最悪のタイミングで最悪の事態が勃発、そしてサバイバル劇へ。ここまでの展開に隙がなく、鮮やかな手際で多数の登場人物を描き分け、絶望的(なのに虚飾は忘れない)な状況を体感させてくれます。
後半の展開は、いわば「汚れた大人達による『蝿の王』」な訳で、生存者たちは生き残るためにルールを作ったり役割分担をしたり、新たな上下関係を受け入れたりしていくんだけど、それらの新たな「生活様式」は現実に帰還する際にどうなってしまうのか…。その段階に至って、これまで直線的だった物語の筋が急に謎めいてきます。特に最後のセリフについては、展開上ある程度予想はつくんだけど、それでも抉り方が結構こたえます。
本作のパンフレットを最初に手に取った時は、誰もが混乱し、でもその巧みさに唸ってしまうような、実に凝った作りになっています。値段もそれほど高くないので、内容の充実度はもちろん、モノとしての面白さの観点からも購入をおすすめします!
今村昌平、坂本スミ子。
まさにクソ映画
予備知識無し、思うのと違ってた。
資本社会を露わにしたサバイバルが無人島を舞台に繰り広げられ上流階級と下層階級が逆転、生きるため至上主義が繰り広げらていた。
面白そうだと思い観てみたがブラックユーモア、生き残りをかけた天外な生活たったけどそれなりに楽しめました。
観た後に『ザ・メニュー』や『オールド』を思い起こしてしまいました。
ヤヤに一途なカールが体を張るヤヤ役の女優さん眼福映画 これでアクシ...
ヤヤに一途なカールが体を張るヤヤ役の女優さん眼福映画
これでアクションだと銃でマウント取り始めるけど今回はその要素がないのがいい
皮肉のきいたジョークは楽しいのだがテンポがイマイチ
予告見ないで軽いノリで見るのが楽しめると思う
ここに出てくる人たちってあんまり悪そうに見えないので気持ちがついていかない
老夫婦も醜態とかさらすキャラがよかった。武器売る人が必ずしも悪い人ではないと思う
ディミトリも悪い人じゃないと思うしな
アプリ商人のおっさんとか何でいるのか意味不明
まあテロは理不尽だ
ポテチ食わなそうな人たちがパリパリ食ってるシーンはおかしい
アビゲイルがやってることも結局富豪と本質は一緒
ヤヤの食べないパスタはオーケーで、どこの馬の骨かもわからないヤロウが食べきれない食事を映すのはアウトってなわけ
いやあ美しいってお得。
始めはルッキズム最後は欲望
今更ですが、個人的には頂けない作品でした。
(完全ネタバレですので、必ず鑑賞後にお闇下さい)
カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した作品でもあり、今更、私のような者がレビューもないのですが、書いておいた方が良いと思ってしまい書いてみます。
率直に言うと個人的には頂けない作品でした。
この映画を超絶雑にまとめると、
【LGBTQなど、言ってる方が差別的で、そんな人たちにゲロとクソの汚物を!】
だと思われました。
主人公のカール(ハリス・ディキンソンさん)は男性ファッションモデルですが、男性モデルは女性モデルの1/3のギャラであり、ゲイに狙われる存在だと映画の冒頭で示されます。
つまり今、一般的に女性差別やLGBTQ差別に反対など言われていますが、主人公カールがいるファッションの世界では、逆に差別されているのは男性でありLGBTQ側が加害者であると、暗に今一般的に言われている”差別反対”の方を皮肉っています。
そして映画の第1章で主人公のカールは、彼が付き合っている彼女であるヤヤ(チャールビ・ディーンさん)に対して、レストランでの支払いについて自分より収入の多い彼女のヤヤが昨日このレストランの支払いをすると言ったと、口論を始めます。
この場面で1観客としての私はかなり不快感を持ちました。
その理由は、言った言わないや食事代を払う払わないや男女の問題など以前に、主人公カールが【相手に対する思いやりの全くない】理屈を押し通す人物であったからです。
【相手に対する思いやりの全くない】人物に対して付き合うのは時間の無駄だと思われるので、彼女のヤヤの方からさっさと別れを切り出して、この2人は別れた方が良いと思って見ていると、なんと主張を折らない主人公カールの元にヤヤは戻って行きます。
観客の私は、なるほどこのバカップルには付き合いきれないな、との感想を早くも第1章で感じることになります。
しかし、これはそう思わせる「逆の」意図ある表現なのかなと(なにせ邦題が『逆転の…』なので)思い直して見ることになります。
ところが、第2章では、豪華客船の船の中の話になるのですが、嵐で乗客が船酔いしディナーの席で船に酔った乗客がゲロを吐き続ける、そして船のトイレからクソが逆流する描写が最後に続きます。
そして、クソ(肥料)で儲けたロシア人の資本主義者のディミトリ(ズラッコ・ブリッチさん)と、ずっと酒に酔って部屋から出てこなかった社会主義者の船長(ウッディ・ハレルソンさん)が、嵐の中で、特に船長は自分の仕事を放棄したまま、2人が泥酔して口論を続ける場面が描写されます。
この第2章で描かれているのは、雑にまとめれば
【資本主義はクソであり、豪華客船に来ている金持ちにゲロとクソと浴びせかける!】
との話です。
私はここでさすがに呆れ果てて苦笑するしかありませんでした。
その後、海賊に豪華客船は爆破され、主人公のカールや彼女のヤヤ達など生き残った数名はある岸に流され、そこから彼らの無人島生活が始まります。
映画の第3章のこの無人島生活で、豪華客船のトイレ清掃係だったアジア人のアビゲイル(ドリー・デ・レオンさん)が、魚を獲る才覚などで、自分は(豪華客船、あるいは普通の社会の時とは違い)この無人島ではリーダーなのだと皆に誇示して高圧的に認めさせ、周りもアビゲイルが獲った魚などの食事欲しさに彼女に従います。
このアジア人のアビゲイルの振る舞いも、【相手に対する思いやりの全くない】人物として私に伝わり不快にさせます。
アジア人アビゲイルはその後、無人島でリーダーとして振る舞い、主人公カールがアビゲイルのリュックからスナック菓子を盗んだことをきっかけに、終盤にはアビゲイル自身の性欲を満たすためにカールを毎晩のように救助船の室内に誘って己の性欲を満たします。
ところでこの映画は、皆が無人島だと思っていた場所は、実は開発されたリゾート地であったと、ヤヤとアビゲイルが自分達がいた場所から遠く離れた海岸にエレベーターを発見することで気がつくシーンでラストを迎えます。
そしてアジア人アビゲイルは、エレベーターから元の世界に戻ったら自分はまたトイレ清掃係のような生活に逆戻りだと恐れて、リゾート地であることを隠すために口封じでヤヤを殺害しようとする場面でこの映画は終わるのです。
ところで、ではこのアジア人アビゲイルは、彼女が<<アジア人だったから>>豪華客船のトイレ清掃係だったのでしょうか?
私にはまったくそういう風には感じられませんでした。
アビゲイルが豪華客船のトイレ清掃係だったり【相手に対する思いやりの全くない】人物であったのは、(アビゲイルがアジア人なのが理由ではなく)彼女の【個人の要因】が
大部分であると私には強く思われました。
私はこの無人島の場面を見ながら、アジア人アビゲイルに、かつての日本での連合赤軍によるあさま山荘事件の永田洋子死刑囚(死刑執行前に拘置所で病死)の姿を見ていました。
永田洋子死刑囚もまた【相手に対する思いやりの全くない】人物として私には伝わっています。
しかしその要因はやはり【その人自身の問題】として(社会に対してでなく)彼女自身に問いかける必要があったと思われます。
私は、【相手に対する思いやりの全くない】(主人公カールやアジア人アビゲイルなどの)自身の正当化のためにこの映画が作られているように感じました。
女性差別もLGBTQ差別も厳然と存在し、それへの対処は言うまでもなく必要です。
しかしそれと【相手に対する思いやりの全くない】彼ら(あなた)自身の問題とは別の話なのです。
この映画は、豪華客船に乗るような身分でアジア人に対する潜在的な差別意識を持っている欧米の人達が、”アジア人であるアビゲイルが差別されていて可哀そう”とラストで思ってしまい、その自身の潜在的な差別意識を悟られないためにこの映画を評価してしまっているのではないかと私には感じられました。
しかし、アジア人でもあり金持ちでも全くない私から言わせてもらえれば、<アジア人を舐めてもらっては困る!>とこの映画を見て思われました。
【相手に対する思いやりの全くない】主人公カールや無人島で反動的にふるまっていたアジア人アビゲイルの問題は、大部分は(カテゴライズされた男性モデルやアジア人に対する差別が要因なのでなく)【その人自身から出た本質が要因なのだ】と、厳しく指摘しておきたいと思われました。
以上のような理由から、私ははっきりとこの映画は「NOだ」と、残念ながら思われました。
今回の評価はそれが理由になります。
カール君の女難体験記/働かざる者食うべからず
原題は Triangle of Sadness 。
第1章から第3章の構成。
第1章はインフルエンサーの美人モデルとなかなか芽がでない男性モデルのカップルがレストランでの食事代の支払いを巡って面倒くさいやり取りを繰り返す。男の方はキングスマンでのカンバーバッチの息子役、ザリガニの鳴くところでは復讐される裕福な御曹司役の新進若手俳優。なかなか顔芸も達者。
美人モデルヤヤ役の女優さんはこの映画の公開を待たずして亡くなったんだそう。クルーズ船でのビキニ姿。おへその上下に手術の傷痕がくっきり。
公開写真ではなんにもないように修正されています。
若いから卵巣癌?
脾臓破裂で開腹手術を受けたときの傷痕のようです。
なんやら動物の口腔内にいる細菌がもとでの感染症で亡くなったらしい。
ネコとキスばっかりしていたんでしょうか?
変ったおてんば娘だったのかな?
なかなか個性的で、ステキなモデルさんでした。
第2章はインフルエンサーの彼女が豪華客船の旅に招待されて、カール君もお供で乗船。クセの強いお金持ちたちと接客クルーたちのやり取りでは接客係の女の子を無理矢理プールに入らせる老婦人が印象的。ロシアの肥料会社の社長は酔っぱらって、シット、シットと叫びまくり。
CGはゲロ描写のために特化した映像技術だと確信。
第3章は難破した客船から救助ボートで無人島にたどり着いた数名がサバイバル能力によるヒエラルキーの逆転を体験することに。フィリピン人の中年女優さんが、千葉のいすみ市の釣り船でよく一緒になるおばちゃんによく似ていて、えっ👀⁉️って思ってしまいました。よく釣るんですよ。ちっちゃいおばさんなのに。で、旦那じゃないオジサンを連れて泊まりがけで来るんです。船宿の女将さんは欲求不満が溜まっているのか、物凄くやっかんでいました。なぜか、ボクにだけうっぷんを晴らすように言うんです。誘っていたのかも。商売ですから、お供を連れてきてくれる本人には文句は言いません。そんなわけで、人生至るところにトライアングルは存在するんだなぁと思いました。
ちなみに、いすみ市はタコ🐙の水揚げで日本有数の所です。
カール君は女将さんとちっちゃいおばちゃんの間で、気を遣いながら釣りをしていました。結構、ストレスでしたよ。
最後の場面はそのあとどうなるのか?カール君にとってどんな悲劇が待っているのか考えるとドーンと気持ちが沈みこみます。
社会規範の戯画化
雲の中
これぞカンヌ!!!
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