リバー、流れないでよのレビュー・感想・評価
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実写版ロールプレイングゲーム
大好物だわ。こういう脚本、こういう雰囲気。
ある旅館の敷地のみで展開するというこじんまり感もよし。
「四畳半神話体系」と同じジャンルね。そういば向こうも舞台は京都だったなあ。京都は「こじんまり」「質素な」「バタバタ」「奇怪な」が合うのよね。
映画というより演劇を観ているような感覚に陥ったが、実際に劇団ヨーロッパによる映画だったとは。へえ〜。
貴船といえば夏の風物詩「川床」。「かわどこ」と読みますよ。ちなみに四条付近の鴨川沿いに並ぶ「川床」は「かわゆか」と読みます。豆知識。貴船は夏のイメージだったが、冬の貴船も趣があっていいもんだなあ。というか冬も旅館やってるんだ。今度行ってみよう。(貴船の観光戦略映画だったりして。)
こんな風に何度もやり直せたら、どんどんよくできるしよいな。でも現実はそれは望めない。どうするか?ダルビッシュが20歳の時に言っていた言葉が参考になる。
「40歳になってクビになって仕事がなくなった時に、神様が現れて‟1回だけチャンスあげるから20歳に戻っていいよ”と言われ20歳に戻ったのが今の自分だと思うようにした。同じ失敗はしたくないから絶対努力するに決まっている。次の日から気持ちを切り替え、行動もすぐに改めた。」
ダルビッシュのように「今人生2回目をやりなおしている」と思って、後悔のない行動と選択をしていこう。(決してまだ10回あると思わないように、、笑)
・演劇調の群像劇。それぞれに時間を止めたい理由がある。脚本秀逸。
・タイムパトロールのマシンが学芸会レベル(笑
・「私の初期位置、あそこなんで。」笑
・変な題名だなあと思っていたけど。「時間よ、流れないでよ」なのね。
スケールの小さなSFから感じる、優しさと丁度良さ。
◯作品全体
ヨーロッパ企画・上田誠が手掛けるSF作品の一番好きなところは、登場人物の手が届く範囲でSFをやっているところだ。
世界や宇宙を巻き込んだスケール感は、確かにSFでないとできないかもしれない。一方で、登場人物の手が届く範囲の世界で繰り広げられるSFによって、ドラマを描くには弱いけれど、その登場人物にとっては大問題であることにスポットを当てることもできる。
それに気づかせてくれるのが上田誠のSF作品だと感じた。
本作で言うならば、旅館で働く主人公・ミコトと彼氏のタクが離ればなれになる、というドラマがある。しかしこのドラマは誰かに強制的に引きはがされるわけでも、タクの強い意志があるわけでもない。今生の別れになるわけでもないし、二人が離れることで世界を揺るがすわけでもないし、語るには少し弱い。
しかし、ミコトにとっては本当に深刻な事件なのだ。それこそ、宇宙と同じくらい遠くに感じる異国の地へ、貴船という小さな世界から旅立ってしまおうとしているのだから。
そこでその感情をドラマチックにするのが、2分間をループするSF設定。タクが居なくならなければいいのに、という願いにリンクするように、貴船から出ていくことのできない時間だ。小さなスケールがまた良い。ミコトが内に秘めた、小さな感情を置き去りにしないSFのスケール。他愛のないことで揉めたり、二分という制約がほどほどに登場人物を苦しめている感じが、ミコトの感情を描くうえですごく丁度いい。
ループの原因をミコトとするのでなく、未来人のタイムトラベルマシンの故障とするところも良かった。誰のせいとかそういうのでなく、それぞれがループする時間で自分自身を見直すことができたのだからそれでいいじゃないか、と諭すような優しさを感じる。
故障を直す手段も小さなスケールなのは思わず笑ってしまったが、背伸びしていない感じがして、それはそれで作品らしさがある。
小さなSFによって登場人物たちの内なる世界を小さく揺さぶる。その描き方が優しく、そして丁度いい。
〇カメラワークとか
・2分のループをワンカットで撮っていた。その時間だけは地続き、というのが視覚的に分かりやすい。
〇その他
・序盤はミコトの初期位置からいろんな方向へ進んで、いろんなイベントを見に行く感じが面白かった。この感覚、既視感あるなーと思ったけど、ヨーロッパ企画が昔作ってたゲーム「名探偵スワー」がその正体な気がする。あれもいろんな方向やアクションを選んで、総当たりしてみたくなる感じがあった。
・先輩後輩の二人組が良い味だしてた。最初は仲良さそうな感じだけど、ループの中で本心を吐き出して対立し、最後は吐き出しつくして理解しあうっていう。断片的にしか映してないからこそ、その間にあった出来事を想像しやすい。
・登場人物たちがループの法則を理解するまで少し時間がかかったり、イマイチ理解してないもどかしさにちょっとイライラするけど、多分これって脚本の手のひらで踊らされてる。理解したあとの展開を早く見たいって思わされる感じがした。『サマータイムマシンブルース』もそんな感じ。
・最近のヨーロッパ企画のメンツを全く知らないから、みんな老けたな~って思ってしまった。ちょっと前に見た『サマータイムマシンブルース』では若々しい大学生たちが、みんな中年おっさんになってる…
2分のタイムループでできることをとことん追求。
2分というタイムループでこれだけのことができるのかと、発想と工夫が面白くて、最後まで繰り返しがダレずに楽しめる。それだけでも作り手の自信とスキルに感心するし、舞台となる料亭の高低差、段差を利用し手動きまくる長回しの撮影が生きていて、キャストとスタッフが一丸となっているパワーみたいなものも感じる。
いやあ、これは面白いですよ!と手を叩きたい作品、なのだけれど、ギミック的なウェルメイドを目指しているがゆえに、面白さが予想外のところまで跳ね回らず、予定調和という天井でひっかかっているようなもどかしさはある。
あともうひとつ、これはもう呪いのようなもので、この映画が、というか、脚本の上田誠が選択した「舞台は京都だけど方言は使いません」という選択肢が、わりと地元が近い者としてどうしてもノイズになってしまう。
むしろ方言のえぐみがこの物語や作品にとってノイズになるだろう、と判断するのもわかる。上田誠が関わった『夜は短し歩けよ乙女』も「四畳半神話大系」も似た趣向で方言話者がほぼいないが、あれは原作者の森見登美彦が選んだ表現でもあった。
そうなんだけど、目の前に映っているのは京都の(というか貴船限定だけど)の風景で、そこには京都の文化も根付いていて、なおかつ方言のグルーヴ感も知っているので、もったいないと思ってしまうのだ。これはこの作品だけの問題ではないのでこれくらいで一旦棚に上げるが、ご当地映画と方言については、どっちが正しいかではなく、一つ一つ検証していく価値のあるテーマだと思った。
動線の工夫が楽しい
「2分間の時間ループ」という一風変わった設定を、ユーモアと工夫で魅せてくれる作品。
限られた空間と短い時間の中で、動線の工夫やカメラワークをうまく使って、同じ場面でも何度も新しい発見があるのが面白かったです。
トンデモ設定の部分もありますが、そこは重要ではないのでご愛嬌。
時間も比較的短めで、コンセプト映画としては十分に楽しめました。
わくわくできる作品
ループものは見飽きたが
時間がループ
初期位置
タイムリープやタイムループが大人気の昨今。全体的にユルい時間モノSFとしては上田誠、ヨーロッパ企画が一番得意とするところなのだろう。ちょっとややこしい設定などは劇中の会話で軽く済ませるところが好き。映画しか知らないけど、個人的にはやっぱり『サマータイムマシン・ブルース』が一番好きかも。
2分間という短い時間ながらもループする設定は各自が記憶を保持していることで成り立っていると感じるが、本来ならばもっと綿密に計画を立てるべきところだ。多くのループもの作品は主人公が死んで生き返るという原則があったように思うけど、その点日本の作品は平和的。ただ作家(近藤芳正)と猟師と刺された男が一度死んでいるけど、二度目は無かった。
面白いと感じる反面、ズルいと感じる設定も多い。デートしようと誘い、2分で打ち切りになったとしても、記憶を保持出来ることから時刻が変わらないだけで様々なデートを楽しめるということ。緊急会議で提案が途切れたとしても次の2分間で続きの話をすることが出来るという点だ。
ま、深く考えなくても真剣に前に進もうとしている被害者たちの姿は楽しく映る。雪の降り方積り方が極端に差があったことは考えなくてもいいのかな?単に撮影する順番や編集の仕方でこうなったのか?この作品が仮にハリウッドリメイクされたら、タクシーの事故シーンが何度も登場するだろうし、やはり低予算なりに楽しめるということでしょうね。タイムマシンの安っぽさは『サマータイムマシン・ブルース』にも通じるし、いいアイデアだと思います。
プロットも緻密だが、ワンシチュエーションなのに飽きさせない動線のバ...
劇場公開したんだ
昨今、このタイプの作品は配信サイトが製作して配信オンリーと言うのが有るから、そのパターンかと思った。
如何にも、舞台の人たちが作りそうな設定。
雪が降ったり止んだり、積もったり、全く雪の形跡が無かったり。撮影スケジュールの都合なのか、なんか作中で時間軸云々言ってたけどw
他の方のレビューでも多いけど、「2分?」と言う短さのリープで・・・・作れるもんだね。
しかし、2周目で「あれ?おかしい」。3周目には「おい!」となる早さ。まぁ、上映時間も短いしね。
認識したら記憶が引き継がれると言うのは定番だが、体力も引き継がれている(「疲れた」)と言うのは珍しいパターンかな。
面白いけど、さて映画館で観たいか?というと・・・・配信で良かった。って感じかなぁ。むしろ、舞台で観たいわ。
いろいろ詰め込まれている
「2分間のループを抜け出す」というのが面白い。
とりわけ、ループ後も周辺にいる人全員が記憶が継続される、というのも新しかった。
それゆえに狂ってしまい狂気的な行動をとってしまうのも人間らしい。
本作は「群像劇」に括られるが、群像劇には人間らしさは必要不可欠。
そのあたりもケアしているのは納得感がある。
また、ストーリーも、シュールなコメディ、ラブロマンス、サスペンス、SFといろいろな面を見せ、ループもの特有の“ダレ”を防げている。
短いながらもきれいにまとまった良作。
たまにはこんなことがあってもいいかも
時間が繰り返してるー
登場人物の人のよさが冒頭数分で伝わってくる。
何からそう感じたかわからないけれど、とても雰囲気がよい。
この演出をしたスタッフの方々、演者の方々の力がすごいと思う。
冒頭の雰囲気を裏切ることなく、ずっといい感じで進む作品。
癒しでした。
サスペンスにもなり得る設定を、この感じで描いてくれたことに感謝。
そして突如出てくるキンザザっぽい乗り物が好きです。
あとくるりのエンディングも最高。
忙しすぎる現代。
自分があの状況になったらどこまで楽しめるだろうか。
登場人物それぞれ違った立場から、みんなそれぞれに幸せを見つけていく。
毎日も24時間の繰り返し。
大体同じようなことをしながら、少しずつ前に進む。
どうせ進むなら幸せに向かいたいと思わせてくれる作品。
ちょっとずつ変化して
時々休んで
でも幸せの方向へ。
きな臭い世の中だけど、自分の手の届く範囲は
笑顔が溢れるように行動していきたいな。
え、これ、低予算映画ってことですよね? 期待しなくていい、おもしろい
スラップスティックSFラブコメ
ループ時間がたったの2分でどうやって物語ができるんだろうと思って見たが、そういうことだったんだ!と、ちゃんとオチる、しかもキュンとする恋バナになっていてびっくりした。
ループ時間の短さによるドタバタにロマンチックな興趣を添えたのは自然の雪。冬のロケではあったが雪の想定はしておらず、セリフを足したそう。雪の貴船神社参道は画になる^^
タイムトラベラーのお姉さんのからみがもう少し欲しかったかも…。
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