「【”インド独立の為に。1920年代の英国領インドを舞台にした流転する数奇な物語。”伝統的インド映画あるあるシーン満載作品。鑑賞後の爽快感が堪りません。インドの民の喝采が聞こえて来るような作品である。】」RRR NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”インド独立の為に。1920年代の英国領インドを舞台にした流転する数奇な物語。”伝統的インド映画あるあるシーン満載作品。鑑賞後の爽快感が堪りません。インドの民の喝采が聞こえて来るような作品である。】
ー 「バーフバリ」シリーズのS.S.ラージャマウリ監督の最新作という事で、大いに期待して劇場へ。そして、大変満足して映画館を後にした作品である。-
■無慈悲な英国領インド帝国総督、スコットに妹マッリを連れ去られたビームは、妹を取り戻すために村を出て、デリーへ向かう。そこで出会ったラーマ。彼はビームには隠していたが、英国警察に所属しながら、”大義”を秘めていた・・。
◆感想
・今作は、正統的、且つ伝統的インド映画(マサラムービーね!)あるあるに満ちた作品である。
<正統的、伝統的なインド映画あるある。
(大分”バーフバリ”のイメージが入っています。)>
1.主人公の男性(今作では、ビームとラーマ)は、不屈の精神と、尋常ならざる体力を持ち、常に”正”である。序でに言えば、アクロバティックな動きも軽ーくこなす。
2.主人公の男性の声は、テノール、もしくはバスレベルの低音だが、良く通る。
序でに言えば、効果音は大体爆音に近いレベルである。
3.主人公に関わる女性(大体、恋人。)は、エキゾチックな超絶美人である。
4.戦闘シーンでは、VFXを”これでもか!”と使用する。
ノーラン監督の様にVFXを使わない姿勢は、潔いまでにない。(キッパリ!)
但し、これは推測だが、エキストラは本物である可能性が高い。(インドの方は、エキストラでも良いから、映画に出たいらしいと、インド・バンガロールで聞いたことあり。)
5.同じく戦闘シーンでは、スローモーションを効果的に使用する。今作で言えば、飛んでくる弾丸、矢のシーンである。
6.勧善懲悪を徹頭徹尾貫く姿勢に、一切迷いはない。
- スコットのサディスティック妻とスコットの最期。インドの民の喝采が聞こえて来るようである。-
7.一糸乱れぬ多数の俳優の踊りと歌のシーンは、欠かせない。
- スーパースター、ラジニカーントの「ロボット」では、イキナリストーリーとは、全然関係ない場所で主人公たちが踊り始めて、驚いたモノである。-
8.上映時間は、3時間越えは当たり前である。けれども、体感は2時間もない。(個人的な意見です。)
更に言えば、インターミッションという言葉が中盤で流れるが、(今作では、珍しく”インターバル”と出た。)日本では、中座は出来ない。だが、相当にシーンをカットしている。
故に、インターミッション後に辻褄が合わない事が、頻繁にあるが気にしてはイケナイ。身を任せるのがベストである。いつの間にか、辻褄が合っているから、大丈夫なのである。
<いやあ、今作品、面白かったなあ。
インド国民の万雷の拍手喝采が聞こえて来るような作品である。
今作のようなインド映画を観ると、”映画って娯楽だよなあ・・。”と再認識してしまうのである。>
<2022年10月22日 劇場にて鑑賞>
<2022年11月6日 余りの人気の為、上映を開始した劇場にて再鑑賞。
評点を4.5に変更しました。悪しからず。>
いや、そうなんですよ。
NOBUさんの仰る通り、歴史にツッコミ入れたり歴史を学んだりするような映画じゃないんです、これって。(だから水戸黄門の悪代官なだけw)
監督もその辺りめっちゃわかっていて敢えて少年漫画・青年漫画にしてる。それがわからない人が大多数なんだなぁ、と少し落胆してしまって。
でも、NOBUさんやmasamiさん始め少数の「わかっている方々」に出会える場がここだから、そこに目を向けて映画comを続けていこうと思います。
そ・し・て、、、
凄い!凄い〜!NOBUさん、インド映画、めちゃくちゃお詳しいですね。他の方へのレビューで見かけてしまったけれど、出張レベルじゃなくて結構長くいらしたのですか?
インドの大学に行っていた友人もいるけど特別映画ファンでもなかったからこれだけインド映画情報を頂いたのは初めてです!
いやー、NOBUさんの博識の新たな一面を見せて頂きました。
映画情報と一緒に元気も頂きました。お勧め作品、少しずつ観ていきますね。ありがとうございました^ ^
↓念の為補足。
厭世ポイントは英国とか歴史の部分じゃなくってね。
作品の「ターゲット層」って事かなぁ。
10〜20代にとって面白いものと中年、壮年、老年が面白がるものがおんなじってのは、、、という落胆でしょうか。
世界的にこういう風潮なのか、それとも昔っから世界とか人間ってこの程度だったのか。
考え込んでしまいました。
NOBUさ〜ん、、、!
遅ればせながら鑑賞しまして、本作そのものは「映画」として大変秀逸な出来栄えだと思うのですが。
ただ、これを大絶賛する「大人達」の声に、なんだか厭世観を感じてしまいました、、、。
鬼滅の刃やアナ雪の大ヒットに感じた思いと同じですが、今回はもっとはっきりと。
NOBUさんの書いておられる通り「1920年の英国領インドを舞台に」しただけであって、史実に「無慈悲な総督夫妻」がいたわけではなく「流転する数奇な物語」において「完璧な悪役」として設計されてるだけじゃないですか。水戸黄門の行脚先に残酷な悪代官がいるようなもの。インド人も英国人もみんなそれはわかって観ていると思う。わかった上で作品の世界観を楽しんでいる。でもレビューを見ているとそういう人は非常に僅かみたい、、、。(セポイの反乱辺りから勉強し直してこーいw)
日本人、どーしちゃったのかなぁ。
それとも昔っからこんなもんだったのかなぁ。
ちょっと衝撃受けて時代を憂えてしまいました。NOBUさんに聞いてもらっちゃってごめんなさい。
観賞したあとの爽快感、まさにありましたね。
波瀾万丈、数奇な運命、家族の絆を首に掛けたアクセサリーに感じ取りました。
スローモーションのアクションもダイナミックな動きで面白かったです。また、どうぞよろしくお願いします🐿