線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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家族を亡くした喪失感からの水墨画を通じての再生ストーリー。 水墨画...
奈落からの再生青春ドラマ
水墨画という、常人にとっては何だか縁遠くて高尚な芸術の世界に、偶然踏み込んだ一人の青年が、その魅力と奥深さに魅了され、それまでの生き方そのものをリセットしていく青春ドラマです。
百人一首を題材にした『ちはやふる』のような、芸道に全力を懸ける青春熱血ストーリーのような体裁をとりながら、実は無気力・無表情・無感動という主人公の精神の奈落の日々からの再生の物語です。
本編巻頭での主人公の寄せアップの長回しは、いきなりの映像としては違和感があるものの、これが本編を通じた伏線になっていることがラストで分かってきます。
徹底して主人公・青山霜介の一人称で描かれますので、主人公の視野にないエピソードは一切出て来ず、映像は忠実に主人公の日常行動に従って展開します。そのため話が非常にシンプルに進み、観客は青山霜介の日常に連れ添い疑似体験していきますので、スクリーンに自然と没入していきます。
水墨画という馴染みのない深遠な世界を殊更に解説しようとはせず、基本に触れつつも決して理屈っぽくなく、誠に取りつきやすいものとして描いていて親近感が持てます。特に人間国宝の水墨画の巨匠・篠田湖山に扮する三浦友和の、飄々として気さくで人当たりの良い、けれど根は頑固で教え下手の無器用なキャラクターが、水墨画という壁を低くしてくれます。
ラブロマンス、アクション、サスペンスといった要素は一切なく、芸道ものによくある、芸を極めるために不休不眠で刻苦精励するような悲壮なシーンも少なく、穏やかで淡々としたリズムで進みますが、それが却って奈落からの再生を際立たせます。
主人公を演じた横浜流星、兄(姉?)弟子の清原果耶、互いに紆余曲折しつつも一つの道を究めようとする、それぞれの青春像を爽やかに演じました。
ラスト二人が描く水墨画のカットが続く中、本作の重要なモチーフでもある、本来モノクロである水墨画の椿の花が、私にははっきりと鮮やかな赤い椿に見えました。
水墨画に魅了
あまり観ないジャンル。でも横浜流星と清原果耶、推しの若手2人が出るんだから観なければ!
家族を失った喪失感から水墨画に目覚めた青年が周りに支えられながら成長する姿がとても清々しく描かれていて、水墨画の美しさにも魅了され、観賞後に爽快感をかんじられる。
ソウスケが湖山先生に見出される場面は、映画ならでは、実際にそんな恵まれたことはほとんどないだろうが、そんな出会いや友達も優しい。
見所は湖山先生と湖峰さんが描く場面。湖峰さんが先生の代役で龍を描く場面、Tシャツを筆がわりに、とてもカッコ良い場面。あれは画家の小林早雲さんが海外で筆を持っていなかった時にいきなり壁に描いてくれと頼まれて着ていたTシャツを脱いで描いた事があったらしい。凄いなあ。
主演2人の他、ベテラン勢の演技ももちろん素晴らしく、水墨画にも興味を持てた良作でした。
横浜流星くんの静かな演技が新鮮
「ちはやふる」の水墨画バージョン。
水墨画をテーマにした青春映画。小説の映画化なんですね。
水墨画について詳しくないのですが、描いたこともなく、興味すら
なかった人物が、こんなに短期間で上達するものなのかな?
と疑問を抱きながら見ていました。展開としては、「ちはやふる」ほど
ドラマチックでもなく、淡々と進んでいきますね。
まあでも、退屈することもなく、最後まで楽しめました。
三浦友和さん、江口洋介さん、この二人の演技が素晴らしいですね。
あ〜と思ったシーンが一つ。柱が見つかるという描写。
「柱の傷」が何度も出てきたので、どこかで回収されるのだろうな、
と思いましたが、必要ないんじゃないかな?
泣かせようとする描写に感じて、あまり好きじゃないな。
一言「劇場で見ても、良かったかも」。
やさしく心に入り込む作品でした
音楽と絵の迫力で魅せるも小綺麗すぎたかなぁ
2022年劇場鑑賞86本目 佳作 59点
清原伽耶目当てで鑑賞
まあ横浜流星は外さないけど、、なんかこう上手く言えないけどその他の若手俳優よりも上手く演じてますよ感が拭えない。必要十分にこなせるけど本当の部分で期待や想像を裏切ってきたことがない、、、声はすごく良いと思う。淡々と沈むような声質はグッと押し寄せてくる感じがする
お目当ての清原伽耶ですが、相変わらず真面目なムスッとしたキャラクターが多いけど、凛としていて暫くこの手の真面目な役は十八番になるだろうなあと引き続き思ったし、2.3年いないくらいに松坂桃李みたいに真面目役以外で一皮剥けて欲しいです
作品についてですが世間の評価ほど高評価に感じなかった、というのも結局当方には2時間にわたる水墨画の世界に魅了を感じなかったからで、のめり込めなかった原因です
大学時代、悶々とした日々に転がったチャンスや機会を掴み魅了されそれで生きるのを決めるほどの何かに出会える方が稀で、ある種これに憧れを持っている人が大多数を占めているからこそドラマになる青春群像劇なんだろう
何かに出会える人生でありたいですね
山崎賢人
何をどう勘違いしていたのか、山崎賢人が主演だと思っていた。
観始めて違う??横浜流星?
この勘違いに最後まで引きずられた。
ずっと山崎賢人だったらなぁという思いが残った。
横浜流星は嫌いじゃないが、強さが出すぎていて繊細さが感じられない。
私の勝手な思い込みで真っ新な見方ができなかった。
それでも水墨画の世界は幻想的で美しく、
それに関わる人々の心象風景を静謐に浮かび上がらせていた。
若い頃はこういう静かな映画は大画面でなくてもと思っていたが、
この作品は雑念の入りにくい映画館で没頭したかった。
近隣で上映はあったが、タイミングが合わなかったのが返す返すも残念。
三浦友和、江口洋介の佇まいが心地よかった。
原作付きの映画化としては出色の出来
水墨画の世界を映画化しただけあって、全体的に抑えた落ち着いたトーンの映画になっていて好感が持てました。もちろん劇中で山場となる場面や賑やかな場面というのはあるのですが、それらの場面もチャラチャラした印象を与えることなく描いていて落ち着いて楽しむことが出来ました。
主役の2人を筆頭に、江口さん等の脇役もそうですけど、役者さん達の演技のよさがそれに貢献しているのもあるし、邦画にありがちな安直な恋愛描写を入れていないのもそれに寄与している様に思います。原作では多少の恋愛描写めいたものもあるのですが、映画化に際しては多少薄味にアレンジされています。邦画って原作にないのにこれでもかと浮ついた恋愛描写とか足してしまい、蛇足が何本も生え散らかしてしまいがちですが、本作は水墨画が題材ということもあるし、主人公が深い悲しみから立ち上がる話でもあるのでこれが正解なのではないかと思います。
この様に映画化に際して原作との差異が発生するわけですが、個人的には絶妙なアレンジだったと思います。小説原作の映画化としてはかなり出色の出来なのではないでしょうか。原作との差異でいうと割と重要人物の斉藤さんが省かれてしまっているのは少し残念でしたが、枠の限られた映画の中で出していたら話がとっちらかった可能性もあるし、仕方のない改変だったと思います。
原作もそうですが、この物語には「嫌な奴」というのが出てきません。主人公に嫌がらせをしたりとか登場人物の足を引っ張ったりする様な人物は一切出てきません。それが故に勧善懲悪的カタルシスは得られませんが、安心して気持ちよく観ていられるのも事実。
そういった様々な要素がこの水墨画の世界に相応しい落ち着きを持って表現されている素晴らしい映画だと思いました。
ただ、これだけは本当に意味がわからないのですが、エンディングテーマは何故あの曲を選んだのでしょうか。全く劇中イメージにもあっておらず、余韻を台無しにしてしまうという最悪のエンディングテーマだったと思います。せめて挿入歌の「Lost」をエンディングに持ってきた方がまだよかったのではないでしょうか。yamaさんの歌そのものが悪いわけではありませんが、とにかくミスマッチでそれだけが残念でした。
線が変える世界、線で変わる世界
「真っ白な紙にある無限の可能性」
この言葉に惹かれました。
人それぞれ持って生まれし違うものは山ほどあると思います。性格や価値観、容姿。それと同じように人によって書く線も違う。
この作品を鑑賞して、人間には全てにおいて無限の可能性があると改めて気付かされました。
霜介が放った「何もないところにぽつんとある感じがいい」
その何もないところに生まれる奇跡に感動しました。
「ちはやふる」チーム再結集で誕生したこの作品。
一本の線が描きだす水墨画の美しさに震えました。
本質を描く、思いきりの線
Paraviで鑑賞(レンタル)。
原作は未読です。
競技かるたの世界を鮮やか且つダイナミックに描き出していた「ちはやふる」三部作のスタッフだけに、水墨画の世界に魅せられた主人公の青春模様を瑞々しい映像と音楽で描写する手腕が流石の一言。その線で何を描くのか、と云う主題はかなり王道な部類の問い掛けながらも、主人公とヒロインの悩みや葛藤と結びつき、己の心や家族と向き合うことになる展開は青春映画らしかったし、否応無しに感動的でした。
[余談]
水墨画を描くシーン、文章でどう表現されているのか気になったので原作を読みたくなりました。
画は、僕を描き変えていく
『ちはやふる』のスタッフが次に挑んだのは、再び日本ならではの芸術の世界。
大学生の霜介。バイト先で魅了されたのは、水墨画だった…。
競技かるたも知られざる世界だったが、水墨画もまた。
それがどういうものか漠然とは知っているけど、深くは知らない。
水墨画の大家・湖山に誘われ、弟子入り…いやまずは生徒として始めた霜介。
見る我々も彼の視線になって。
この水墨画の世界に触れていく…。
色彩豊かな絵画と違って、墨一つで創り上げていく。
白と黒のコントラスト。
シンプルだが、非常に高度な技が要求される。多彩な色での表現とは全く別物。
繊細さ、向き合い、己をも投入。
描き出したものは、自分そのもの。
“線は、僕を描く”とは上手いタイトルだ。
奥深き水墨画の世界。
勿論、水墨画の基本もレクチャー。入門編としても。
『ちはやふる』同様、全くの素人でも難なく見れる。
水墨画の魅力と並行して描かれる物語の主軸となるのが、主人公・霜介の再生と成長。
家族に関する悲しい過去を抱える霜介。それはあまりにも悲劇的…。
悔やんでも悔やみきれず、それから逃れようとすればするほど背負い込み続け…。
今尚苦悩し続けるのは、振り返って向き合ってこなかったから。
確かにトラウマに等しい悲しい過去だ。が、そこから新たな一歩を踏み出すには、必ず向き合わなければならない。
水墨画に真摯に向き合う事で、自身の過去にも真摯に向き合う。
悲しく複雑だった僕の色が、シンプルながらも澄み透り、新たに描かれていく。
何かになるのではなく、何かに変わっていく。この台詞が印象的で心に残った。
キャストは皆、好演。
横浜流星のクリーンな佇まい。さながら真っ白な紙のよう。そこに、実直さや繊細さを画き表す。猛訓練したという見事な水墨画も披露。昨年から躍進著しく、水墨画の表現のように可能性がどんどん拡がっていく。間もなく公開の『ヴィレッジ』も期待大。
三浦友和はさすがの存在感。ただ威厳たっぷりじゃなく、温かさ、柔らかさ、優しさを兼ね備えた人間味のある先生。何だかうっすら、樹木希林が被った。
この師弟二人も良かったが、特に良かったのが…
湖山の弟子の一人で、実の孫。“美人すぎる水墨画家”として人気の千瑛。才能あるが、最近伸び悩み。自分の“画”が描けない。突然弟子となった霜介をライバル視するが…。
クールビューティーだが、霜介の通う大学で講師として招かれ、同世代の若者たちと触れ合った際の素顔。
が、水墨画に向かうとキリッと切り替わる。
もう清原果耶の為のような役。力強い眼、表情、演技力、存在感、魅力、着物姿、横顔…全てが美しい。
湖山の元で料理や身の回りの世話やイベント事の準備などの雑用や仕事、関係複雑な祖父と孫娘の間も取り持つ。新弟子の霜介の面倒見もいい。
江口洋介が演じる西濱。本当に“あんちゃん”。時々暑苦しさある江口だが、自然体の超好演。
彼はお手伝いさん…? 否!
実は、湖山の一番弟子。あるシーンで代打でパフォーマンス水墨画を披露。圧巻の腕前で、一気に場をさらってしまった。チョー美味し過ぎる役回り。
小泉徳宏監督の演出も正攻法。
美しい映像や音楽。
知られざる水墨画の世界を見易く。
一人の青年の再起を心染み入らせ…。
『ちはやふる』に続いて、本作もまた“悪くない”作品であった。
が、『ちはやふる』を超えるような名画とはならず。腑に落ちない点が幾つか。
まずは物語の入り。霜介が水墨画に魅了されたきっかけ。
ある一つの水墨画に涙するほど感銘受けてとなっているが、何故どう魅了されたのか、ちと吸引力に欠けた。
湖山が霜介を弟子にした理由も。突然、「弟子にならないか?」。霜介は水墨画の嗜みあったのか…? いや、ナシ。序盤で水墨画をするシーンがあったか…? 声を掛けられたのは開幕すぐだったので、そんなシーンも勿論ナシ。あまりにも突然。
後々霜介が水墨画に魅せられた訳、湖山が霜介を弟子にした理由も語られるが、これらもまたちと説得力と納得力が弱い。
きっかけは些細な事だってある。それが自分を決める。“運命”や“必然”とも言えるが、描きが弱いと映画としての“ご都合主義”になってしまう。
『ちはやふる』は主人公の千早が“かるたバカ”で、その熱が周りの皆を突き動かし、自身にもなっていく“絶対的な必要性”があったが、本作はそこの弱さも感じた。一心不乱の没頭と魅了されていくでは、作品に引き込まれる熱量も違う。
まあ『ちはやふる』はスポ根的な要素あり、本作は繊細な作品であるから全く印象も引き込まれる魅力も違うのは致し方ない。
『ちはやふる』はあの作風がぴったりハマるし、本作はこの作風がしっくり来る。
全三部作の『ちはやふる』と本作一本の見応えと深みの差は如何ともし難いが、作りにちと難があっただけで、作品的には偽りなく良かった。
EDの主題歌は作品世界とあまり合わず。静かな美しい音楽で終わって欲しかった。
水墨画に、自身の人生に、真摯に向き合い、描いていく。
そこに描かれた意味、可能性。
あなたなら、真っ白な紙に何を描くか…?
画は、僕を描き変えていく。
分かり易い芸術とは?
TSUTAYAは新作5本レンタルすると1週間レンタル出来るので4本選んだあと、もう1本何にしようか迷い、たしか一般評価が高かったと記憶していたので本作を借りました。原作は未読です。
主演は横浜流星ってことで、私は『流浪の月』で見た若手俳優さんでしたが、『流浪の月』と同じ役者には見えませんでした。
テイスト的には青春映画の雰囲気で『ちはやふる』の監督さんだったのでなるほどでしたが、個人的にはう~~んという感じでしょうか。
物語は冒頭から何の必然性もなく話がトントンと進み、物語の為の物語という感じで途中で本作はテーマよりも水墨画の美しさのデモンストレーションをしたかったの様に感じられました。なので、その点では成功していたと思います。
作品としては、三浦友和が出演していたので例えば『ケイコ目を澄ませて』と比較すると、『ケイコ~』の方のオーナーは寡黙であり、本作の先生は饒舌であり、他の登場人物も全て同様でした。
そうした脚本や演出の違いで、本来観客が感じなければならない物語の核心を『ケイコ~』の方は映像から読み取る作業を(観客は)要するのですが、本作は台詞と演出ですべて理解できる親切設計の作品になっていました。
映画をあまり見ない観客にとっては非常に分かり易いのでしょうが、映画を見慣れた観客にとっては読み取る楽しみを奪われてしまっているので、残念ながら物足りなく感じてしまいますねぇ。
かなりオリジナル突っ込んでる
コミカライズで知って、原作小説も既読。
映画化と知って、(楽しみではあるけど、映画化かぁ。うーん、題材としては地味だし、文芸映画的に作るのかなぁ)と思った。
コミカライズの印象が強いので、(えっ、先生を三浦友和?格好良すぎでしょ。それに、もっと歳上じゃね?存命なら、好々爺バージョンでの津川雅彦さんかなぁ)(江口?先生と違って逆にオッサン過ぎるでしょ)。しかも、本当は男性のキャラが富田靖子に・・・・。他のキャラもイメージ違うなぁと。
原作だと、両親が事故で死んでいるのに、映画途中までだとオリジナルで出した妹が死んだ?って思う描写、最後の方で家族全員かって分かるけど、妹必要?
先生が青山を弟子にしようと理由自体はまぁ、演出は過剰だけど基本同じもの。ただ、先生が青山に興味を持った部分がザックリと切られているので、原作未読だとなんで水墨画の大家が初対面の学生を弟子にしようとするのかが分からないだろうなぁと言う始まり方。
まぁ、その辺が原作からの違和感。
100分強にまとめるため、映画は青山の描く水墨画の成長には殆ど触れず、青山や先生、千瑛、西濱との関係のみに絞った感じ。なので、原作ではもっと才能があり成長している水墨画家としての青山ではない。
と言うと、映画として良く無いみたいだけど、原作を知らずにこれだけ見れば悪くない。最初の先生が青山に興味を持つ部分の違和感さえ気にしなければ、スムーズに見られる。むしろ、オリジナル部分の終盤、流された家の跡地で椿が映された時はハッとなる。
映画でオッサン化された西濱も、水墨画を描くパフォーマンスの迫力は若い役者では出ない、江口だからだろうな(だから、オッサン化した西濱が「茜さ~ん」と若い女に寄って行く所は再現しないで欲しかったw)
ラストもオリジナルだけど、この展開だったらアレで正解かな。
ただ、エンディング曲がいきなり作風と違うイントロで始まったのが・・・・・・曲は良いと思う。結構、好き。だけど、あの終わり方なのにエンディング曲としては・・・
力みの無い、青春映画。
私事ですが、幼い時から書道をやっています(下手の横好き程度ですが)。
書道と水墨画ってジャンルは全く違いますが、筆遣いや墨一色だけで表現する事など物凄く親和性が有って、昔から観るのは大好きでした。
そんなテーマのお話で、個人的に大ファンの清原果耶さんが出演と聞き、イソイソと観てきました。
白い紙を前に筆を持った時の緊張感…、観ていてゾクゾクしました。一度筆を下ろしたら、もう後戻り出来ない感覚はやってみないと分からないものです…。「線を書きなさい」も同じだなぁw。
なんて話はさておき、主人公が全くの初心者設定のお陰で、自分も一緒に入門したような感覚で、とても楽しく鑑賞しました。ドタバタした展開は無く、ただ真っ直ぐに水墨画と向かい合う、坦々として静かなんだけれども心的葛藤はスゴく激しい、素晴らしい青春映画だと思いました。
技術レベルは違えども、どんな名人でも悩み、壁にぶち当たる様子は、本当に観ている此方も苦しくなる程で、清原さんと主人公、それぞれの葛藤が本当にツラくて、でも悩んでいる姿が何とも眩しくて、つい涙が出そうに成りました。
後半、ただの助手かと思っていた江口さんが、あんな豪快な画を描く画家なのだとは思わなくて、あのシーンはちょっと笑ってしまいました。師匠とも全~然違う画風でしたしねw。
それでも最後、主人公の彼が「何かを」乗り越えた時、その眼に見える風景は一変したんだろうなぁと感じて、我事の様に嬉しかったなぁ。
清原さんの吹っ切れた際に見せた笑顔も、本当に素敵でした。
三浦友和さんは、いよいよこういう役柄もこなせるお歳に成ったんですねぇ…(あんなに大人しい「師匠」は羨ましいですよw)。
昔、黒革ジャンの刑事だった頃が懐かしいww。
水墨画を主題とした小説(原作)は解りますが、それを映画化するのは相当に大変だったと思います。
表面的な芝居ではなく、心の内を覗かせる様な抑えた演技に惹き込まれました。
賞レース等とは無縁な、のどかで穏やかな作品ですが、個人的には2022年一番だと思えた佳品でした。
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