セイント・フランシスのレビュー・感想・評価
全45件中、21~40件目を表示
社会に潜む問題をカジュアルに描く
息抜きにと思って見てみたら
意外と社会に隠れている問題をサラッと描いていて興味深い作品だった。
それでいて、説教臭くなくみられるのも良い。
今の生活や社会の中で、なかなか言語化できない生きにくさを
感じている人には共感する部分も多いと思う。
アメリカと日本という背景の違いも興味深い。
薬による中絶の描写や、それにつきそうパートナーの描写
未就学児の少女との会話の中からも、国の教育の差も感じられる。
全体的にリアルさもありつつ、説教くささのない描き方で好感が持てる。
男女問わず見てほしい作品。
今の自分がイヤだから何かのフリをし続ける
34歳独身職なし彼氏なしのブリジットがレズビアンカップルの子守りバイトを始め、共に過ごすうちに友情のようなものが芽生え始める話。
劇中、中絶による出血で終始血を流し続けるブリジットは、その血を劇中の登場人物ほぼ全員に見られる。その一方で血を見ない人(親とレズビアンカップルの働いてる方の人)もいて、それはブリジットが本音らしきものを話す人なのかなと思った。
母とは子供について話し合い、アニーとはひょんな事でポロッと本音をこぼし合う。現実の世界では隠される"血"がこんなにも晒されるのに、ブリジットは本音を隠し何かを演じてるっぽい。女には生理の血なんかよりも、もっともっと隠してるものがあるんだぜってか(笑)
でもブリジットの「全然理想の自分じゃないからいつも何かのフリをしている」的な発言はめちゃくちゃわかる。会う人によって言ってること全然違ったりするし、カッコつけようとして思ってもないことをずっと喋り続けたりしてる(笑)薄っぺらいんじゃなくてそうやって必死に自分を守ってるんだよわかってくれ。
そして、30代女性に聞くとなんだか重い「子供は欲しい?」「彼氏はいるのか?」という質問達をそのまま6歳の子にも聞き返すブリジットのクレバーさがすごく好き。6歳の子に聞くのが無意味なように、何歳の人に聞いたって本来その質問は無意味なはず。きっと私は永遠に「子供は欲しい?」にはっきり欲しいなんて答える日は来ないと思うな。
あとは、さりげなく神様だけに頼るの危険じゃね?みたいなのが示されてたのも良かった。信心深いマヤが産後うつなのに神様としか対話しないの、結局神様って概念だから自分との対話になって内側にこもりがちになったり、怪我した子にまじないとなえるより絆創膏の有能さよ。
友情物語
ベビーシッターとして働く主人公とその家の家族とその中心になる女の子との友情物語でした。
主人公に対して、年齢に相応しい仕事をしてないとする社会の厳しい目が描かれていましたが、実際には正しい道なんて一つもないんだということを忘れずに自分の道を半歩ずつでも歩んで行けたらなと思いを改めてさせてくれるような映画でした。
多様性を優しく肯定する良作
「35歳過ぎると高齢出産」ストーリーの冒頭から放たれるセリフ、事実なんだけど、人によっては耳を塞ぎたくなるだろう。
生理、妊娠、中絶、出産、産後うつ…
女性の性と身体にまつわるあらゆることが本作に描かれている。きっと多くの女性がどれか一つでも本作の描かれるエピソードに共感するのではないだろうか。
産後うつについては心が痛かった。子育ては“クソ孤独”、もう、これはほんとに経験した人にしか分からないこと。
中絶について、わりと淡々と描かれるんだけど、結局は傷つくのは女側。ブリジットが感情を爆発させるシーンにはもらい泣きしてしまう。
本作の年下の彼氏は割といい奴だったけどね。
子を持つも持たないもその人の自由。子どもが好きで、または子どもを望む人たちだけが産めばいいんだと思う。
(だからこそ、避妊はしっかりと)。
本作にはブリジットのような人も、マヤのような同性カップルも、いろんな人たちをさりげなく、そして優しく受け入れ、肯定している。
色んな生き方があっていいよね、色んな考え方があるよね、幸せの形って人それぞれなんだよね。そういったメッセージを感じた。
少女・フランシスの生意気さと可愛さのバランスが絶妙でスクリーン越しにハグしたくなる。本当に可愛い♡
ラストのブリジットに話すセリフには爆笑しちゃった笑
女性のリアルに正面から体当たりしている映画です。 性の話題をタブー...
女性のリアルに正面から体当たりしている映画です。
性の話題をタブー視する社会では性の悩みを抱えていてもなかなか大っぴらに話すことができませんが…
毎月の生理、中絶のダメージやバッシング、出産の痛み、出産後の満身創痍や寝不足、学歴や結婚、身体のことや自分の生き方に不安に駆られる姿が赤裸々に描かれてます。
同年代ならではの悩みに共感出来る部分はありました。
『セイント・フランシス』を観たら、ぶきっちょな自分でもまいっか…って思えました。
新たな“ブリジット・ジョーンズ“
シュールで、一種グロテスクなシーンが冒頭から散りばめられている。生理、出血、中絶、ゲイや差別…etc,。
日常に嫌気がさしたり、自己嫌悪で落ち込んだり。主人公ブリジットも周囲の人間も、皆、えっちらおっちら、息切れしながら生きている。でもその細やかな頑張りや品位を、誰かが認めて応援してくれたら、また新しい一日を迎えることが出来る。
"等身大ヒロイン”はブリジット・ジョーンズのみにあらず。こちらのブリジットも一生懸命に奮闘している。
なんといっても子役が上手い。観客は、子供の存在はそれだけで“セイント=聖なるもの”であることを、ブリジットと一緒に納得してしまうのだ。
漂流する人生と同性愛と中絶。
34歳の女性ブリジットと6歳の少女フランシスの心の交流を描いた物語。
そして、中絶とカソリックという宗教的テーマも"ゆるく"描かれている。
大学を1年で中退し、今はレストランのウエイトレスとして働くブリジットだったが、パーティーで知り合った26歳の男とSEXし妊娠してしまう。
男とは付き合うとも付き合わないとも言えない関係が続くブリジットだったが、子供を生むことはまったく考えず、あっさりと中絶手術を受けて堕胎してしまう。
そうこうするうちに、夏の間、レズビアンのカップルの家で子守の仕事をすることになったブリジットは、フランシスの世話をまかされることになり、ウエイトレスをやめ、レズビアンのカップルの家に通うようになる。
レズビアンのカップルはカソリックの信者だが、カソリックでは同性愛もタブーだと思うので、宗教的には認められない同性愛と中絶という問題をテーマとして描きたかったのかもしれない。
主演のケリー・オサリバンが自身初の脚本を手がけ、私生活ではパートナーということだがアレックス・トンプソンが長編初監督を勤めた作品。
初めてとしてはまとまった作品になっていると言えるだろう。
前半出てきた"付き合っていない彼氏"が後半は出てこなくなる。ブリジットの両親も含め、様々な登場人物との成り行きを描けたら、もっと厚みのあるストーリーになっていたかもしれない。
ぜひ、劇場でお確かめください!
#147
ひと夏の経験
まぁ〜賢いわ!気分屋だわ!おませだわ!
そんなフランシスから目が離せなかったわ!
演じるラモナちゃん!大人達が霞む程の完璧な演技!恐るべし!
…何の取り柄も無いアラサー主人公ブリジットのひと夏を描いたハートフルドラマだが
中々題材になり難い生理や中絶を時にリアルに時にコミカルに描いてる様も潔い!
赤裸々な「女性あるある」ではあるものの
学歴、人種差別や同性婚…現代の社会的要素をたっぷり折り込み見応えの濃さをも感じられた
決して派手な仕上がりでは無いが結末の締め具合も心地良く、夏の終わりに出会えて良かったと思える作品でした!
…この先、何回目かの夏にブリジットとフランシスがランナウェズの曲をシャウトし演奏する姿が見れたら素敵ですね!
もっとポップに
女性が抱える悩みや苦悩を、出会った純粋無垢な少女が身近な問題、そしてライトな感覚にしている。男性としては、デリケートであまり触れないように避けている部分があったが、これを観て理解というよりは、これらについてもっと聞こうと思った。映画館で例のナプキンを貰えたようだが、生理用品をポップなものに扱おうとする試みが素晴らしいと思う。しかし、俳優陣が素晴らしく良かったなあ。
いうほど
いうほどフランシスの言動が影響力を持つわけではない。どちらかと言えば象徴的な感じで、むしろ30代独身女子あるあるを自嘲気味にやってみせるのに受け止めやすい態度をフランシスが見せくれる。
経血絡みの描写も映画では初めて見た気がするが、あるある的な着地。とても現代的な作品とは思うけど。
まさに女性の映画
レストランで給仕として働いている平凡な30代の独身女性ブリジット。彼女が同性婚(女性同士)家庭で育てられている6歳の女の子フランシスのナニーとして働いたひと夏に起きたさまざまな出来事を綴った映画。
同性婚と偏見、女同士の夫婦間の嫉妬、セックスと避妊、中絶と宗教また男女間の負担の違い、中絶後の身体の変調、産後鬱、やたらに出てくる生理の話。ブリジットの母親の子育て時の話(育児ノイローゼ)等々。また、公園で授乳するマヤにクレームをつける白人女性とのやりとりは、所謂典型的な保守的常識的女性たちの考え方を表したものなのだろう。そして、ギターを習うフランシスを褒める時にギターの講師は、懐かしい女性だけのロックグループ、ランナウェイズのギタリスト、ジョーン・ジェットを引き合いに出す徹底ぶり。まさに女性の映画なのである。じゃあ、男にこの映画は関係ないのか?男の回りには妻、恋人、娘、憧れの人、都知事、文部科学大臣(関係ないか)、…会社にも学校にも女性はたくさんいるよね。男なら尚更女性について知り考えるべきなんじゃないですか?(因みに僕は男です)
20年の変貌。
女流監督シャロン・マグワイアが2001年に公開したコメディ「ブリジット・ジョーンズの日記」は、レニー・ゼルウィガーが、恋を求める32歳の独身女性を演じて、大ヒットした。
主人公は、イマイチ恋愛に不器用な、小太りなアラサー超えのプチブスなキャラクター設定。理想のイケメン&玉の輿へなかなか到達できないチグハグ、感情のスレ違い、間の悪さ、ゴージャス&ナイスバディ女性へのコンプレックス、など盛りだくさんの恋愛喜劇だった。当時はそれで、観客席は沸いていた。
20年後に、いみじくも『ブリジット』という同名で34歳の独身女性が主人公。彼女がナニーとして雇われる先は、黒人と白人のレズビアンカップルで、そこの黒人側の娘の子守り。白人側は子供を出産したばかりで、産後鬱に悩んでいる。一方ブリジットも行きずりの性交渉で妊娠し、中絶したばかりで体調はすぐれない。こちらのブリジットは20年前と違い、恋愛にこれっぽっちも憧れを持ってないようだ。それでも、温かみあるエンディングは(とりあえずの)ハッピーエンドなので、コメディと言って良いのだろう。
この20年の間に、ここまでアメリカの文化は変貌しているのだ、という驚き。2001年は平成なら10年以上経っている。それから考えれば、僕らにとっては、つい昨日のような「昭和」は、世の感覚では、遥か古代の歴史でしかないのだろう。
現代のいろいろな考えるべき要素が盛り込まれている
セックス・生理・避妊・中絶・学歴・同性愛・子育て・学歴・宗教など、現代のテーマが全て盛り込まれている。
普通は隠されるようなことが、丁寧に描かれていて、そうだよなと思い出してしまう。
普通の目線から、現代アメリカの状況が見られ、それは日本と変わらない。
これらの課題を受け入れて、前向きに行こうとしている、というか、しょうがないなぁ的に行く主人公に共感。
母親の言葉は、自分にも響いた。
静かに元気づけられる映画でした。
どう評価すべきか?
恐らく何らかの主題があるんでしょうけど、個人的には特になにも感じない。
妊娠、中絶、レズ夫婦、辺りらしいけど、どうも狙いがわからない。
1時間40分のちょうどいい長さで飽きずに見られたので、つまらなくはないものの、面白かったとも言い難い。
女性ならわかるのかもね?感受性に訴える作品が苦手の人には不向きです。
さりげなく現れた奇跡のような傑作だ。
予想を遥かに超えた傑作。すべての女性に観てほしいし、すべての大人の男性にはもっと観てほしい。ひと夏のナニーの仕事を得たフリーターの30代女性。対象の子供やその家族、ボーイフレンドらとの関わりの中、生理や経口中絶薬による中絶等の女性性をユーモラスにリアルに描く。
ボーイフレンドが、こういう場合によくあるクズとかではなく常識もあり優しい点や、ナニーをする相手家族がレズビアンカップルであったり、これまで「常識」と思っていたことを「思い込み」として払拭することで、更なる「ほんとう」が見えてくるのがとても面白く、奇跡のような作りだ。
中絶に対する彼女の気持ちや選択はこれまでの「女性へのお仕着せ」を脱ぎ捨てさせる。レズビアンカップルの葛藤や悩みが男女の夫婦とまったく同じなのも、子育てやパートナーとの問題に性別は実は関係ないのだと気付かされ面白い。かといってフェミニズム的啓蒙映画ではなくとても愉快で温かいのだ。
経血とか普通に出てくるけど、ところどころクスクス場内には笑いが起きるようなユーモラスな描き方。でもわたしは何ヶ所か、笑いが起きてる場面やシリアスな場面、いろんなシーンでけっこうな涙が出たわ。なんか隠して我慢してたところを掬い上げられた感じ。でもほんと「男女みんなの」映画だと思う。
幸せの形は自分が決めればいい
男で性的にはストレートである自分にとって、共感できるポイントは少ないにもかかわらず、なぜか自分も救われた気がする。
夏休み中の6歳児とナニーの日常を中心にストーリーは進んでいく。大きな事件が起こるわけでもなく、燃え上がるような恋があるわけでもない。それでも、スクリーンに観客を惹きつける力がすごい。
リー・オサリヴァンが素をさらすようブリジットを演じていることが伝わってくるし、演技をしているようには見えないほど、自然な表情を見せるフランシスを追いかけていると、あっという間に時間がすぎてしまう。
幸せの形というのは、周りが決めるものではなく、自分が決めればいい。フランシスの笑顔を見て、そう思った。
妙にいろいろなものを突っ込んだ結果、難易度が高くなりすぎ…。
今年251本目(合計527本目/今月(2022年8月度)27本目)。
30代女性と6歳の少女のひと夏を描くヒューマンドラマ。主人公を誰にとるかは難しいですが、ブリジットさんととるのが妥当でしょうね。
ブリジットさんは良い人で、たまたまうまく回らないがためになかなか良いことに恵まれない、「それだけ」なのだけど、さらにこの映画には「血」というものが多く登場します。「女性に特有の現象」です(一応ネタバレ回避)。この「血」の描写も結構出ますので(グロ映画ではない)、それにも何らかの意味があるのかな…というところです。
一方、この映画がそれらを超えてさらにわかりにくいのは、突然男女同権思想の話や黒人差別の話(出てくるのは看板だけ)、さらに「持続可能な社会」がどうだのという話まで出るかと思えば、今度は教会のシーンだったりと、映画のストーリーやここの紹介に反して出るものは結構多いです。
こういった事情もあって、主人公のブリジットさんはそんなに「悪物」でもないのに、ストーリーがあっちこっち飛ぶために、「結局、彼女誰だっけ?」となりかねない(余計なストーリーが多くてブリジットさんさえ忘れそうになる)点など、「妙に関係のないシーンが多くて混乱させる」パターンです。正直「オムニパス方式」だとか「2話連続放送」でもやってるのか??とすら思ったくらいです。
なお、「ナニー」という語(ここの特集にも出てきます)は立派な「とある職業」です。このことを知らないと映画でハマリが生じますが、これを書くとネタバレになります(ただ、一般的な日本の教育を受けていれば、「ナニーをやらない?」と呼ばれていった先で何をやっているかで「ナニー」がどういう職業かはある程度推測はできる)。
採点に関しては下記を考慮しました。
--------------------------------------------------
(減点0.3) ブリジットさんは良い人で彼女こそ描かれるべきなのですが、他にLGBTがどうだの地球温暖化がどうだの持続可能がどうだのといった(多分、どこかから横やりが入って)話を入れまくった結果、あっちこっち話が飛んでわかりにくい点は確かに存在します。中には「どう考えても無理やりのセリフでしょ」みたいな「一応入れましたからね」みたいなセリフすら存在します。
ただ、他の方も書かれているように、ブリジットさんがそういう活動をしているシーンがいっさい存在しない以上、LGBTだの地球温暖化だの何だのというシーンは、横やりが入って無理に入れた結果理解が困難になっているのだろう(換言すれば、それで映画の製作費の一部を、それらを主張する方から寄付していただいているのだろう)と考えることができる現状では、減点幅としてはこの程度です。
--------------------------------------------------
何をすべきかは人それぞれ
レストランでサーバーの仕事をする34歳未婚彼氏なしの女性が自身を見つめる話。
大学を1年でやめて以来サーバーの仕事をしている女性が、将来を少し考え始めてシッターの仕事を探してみたら…とはじまって行くけれど、経済的にもスキル的にも何も持たないフリーターみたいなものですよね?
シッターの仕事に有りついてからも、まともに仕事をする気もなければ責任感もなしというクソっぷり。
タイトルとあらすじ紹介からフランシスちゃんが凄いのかと思ったら、可愛らしくはあるし、「いつもそうだね」は強烈だったけれど案外普通で、兎に角主人公のクソっぷりからの脱却というか成長というかとか、そんな彼女にだって良いところはあるし、誰かにとっては大切な存在なんだっていう良くあるお話しで、面白くはあったけれど、特段唸る様なものはなかったかな。
それにしても某団体の方針のせいで人種とか信仰とかLGBTQとか、何でもかんでも詰め込まなきゃいけないのはなんとかならんのかね…。
キュートなフラニー。
30代、独身、女性。学歴、仕事、結婚、出産、子育て。生理や中絶など、なかなかシビアな内容をよく触れたなぁ、というのが率直な感想。でも、映像や音楽は軽やかで、なによりフランシスが可愛くて、重いテーマに沈まない展開で良かった。
十分に理解できていない部分もあるけれど、単純に、あるあると、共感できる部分も多かったです。
30代独身女性の日常。
独身で暮らしているとどこかの年代でこんな感じで日常を右往左往する。女も男も同様。今作もきっと共感する部分が多いんだと思う。思い通りにもいかず、悩むことが多くても人生は進んで行くんだな、と。
全45件中、21~40件目を表示