さかなのこのレビュー・感想・評価
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世間の普通や見栄に疲れた心が癒された
約2時間上映なので、寝てしまわないか心配だったが、ストーリーに引き込まれて、あっという間に観終わってしまった。内容としてはキラキラと笑えるだけではなく、夢を見る者の挫折や苦渋も描かれていて、決して軽くはない。ミー坊をとりまく登場人物が明るく思いやり深いので、心が洗われる。のんの演技も素晴らしかった。(本当にさかなクンに見えた) 個人的には、ヤンキー達が喧嘩してるなか、地面でカブトガニが散歩してるというシュールな絵面が最高だった。劇場だったので、笑いを堪えた。
さかなのこ
面白かった!
観る前はやはり、さかなクンを女にするのはどうかと思ったが杞憂だった。
魚が好きのたった一つを貫き通した天才。そこから絵や人脈などの才に繋がったんだろうな。すごい。
のんはかなり役にハマってた。可愛い。
#68 あまちゃんを思い出した
さかなクンの話なのに、なんで女性ののんが主役なのか不思議だったけど、ウェットスーツ姿を見たら納得した。
海の中が似合うからだ〜。
どこまでが本当の話かわからないが、見てて微笑ましいのはミー坊のまわりには友達がいっぱいいること。
普通あんなに変わった人なら友達を作りにくいでしょう。
友達から仕事が回ってくるようになったのも全てミー坊の人柄のおかげ。
最後に海に飛び込むシーンが、やっぱあまちゃんを彷彿させた。
好きに勝るものはない
予告の段階ではあまりそそられず、ふんわり映画かと思ってたら…
一見、色物扱いされがちな「さかなクン」
のんも素晴らしいのだが、本物のさかなクンはまさに孤高の存在で、一歩間違えれば劇中のように危ない存在なのだろうが、好きこそものの上手なれで、生き方そのものを問う映画
大谷翔平やさかなクンのような生き方は、必ずしも真似はできないが、本人からしたら幸せな人生である
優しさに包まれた映画です。
あの頃の時代は、人と違うことを異端とされていたのに、ちょっと変わった子として、周囲が温かく見守っているのが。ステキな環境だったんだね。って個性を伸ばす、お母さんの強さに感服です。
今や、NHKに、番組を持ち、大学の客員準教授でもある、さかなくん。好きを極めて、成りたいモノになるってステキな生き方です。
ミー坊の生き方に憧れてしまう、心洗われる良作‼︎
もともとキャストに好きな人が多かったから見ようとは思っていたけど、先に見た人からよかったと聞くことが多かったので、期待して見に行った。それでもどちらかというとキャスト目当てで観に行ったので、想像以上に話も良くていい意味で裏切られた。好きなことを突き詰めたさかなクンが大人になるまでのサクセスストーリー!みたいなのを勝手に予想してたから。(多分私と同じように思って観てない人多いんじゃないかな)ちょいちょいくすっと笑えるところもあり、ほっこりもあり、考えさせられるところもあり、観てる最中もなんだかマスクの下でにやけてしまっていたし、鑑賞後感もとてもいい映画だった。
好きなことを突き詰めて生きていくことの大変さについて、中盤以降かなり描かれているところ。それが、この映画が単なるサクセスストーリーで終わらない、いろいろと考えさせられる部分。確かにミー坊みたいに好きなことして生活するのって憧れるけど、実際には上手くいくことばかりじゃないし、生きづらさを感じることも多いよねって改めてこの映画で気付かされるし、実際に自分はそういう生き方怖くて選んでないし、、それでもその生き方で突き進むミー坊すごいよな、みたいな。
ミー坊の周りの人たちもとても魅力的なキャラばかりでほっこり。優しい世界が広がっている感じ。一見すると、ミー坊は周りの人たちに恵まれすぎてると思ってしまうけど、ミー坊の人柄があの優しい周りの人たちを惹きつけてるんだろうなと感じた。不良たちをも絆すミー坊。たぶん誰にも真似できない魚を介した人とのコミュニケーションの取り方。
映画の最初に「男か女かは重要なことじゃない」みたいなテロップだけ出て、のんさんがさかなクンの役を普通に演じてる映画内世界が始まる。たぶん男の人の設定だけど、全然違和感なく演じてるのんさんが凄すぎた。これ、のんさん以外にこの役を演じられる女優さんっているのかな、ほんとにすごい。柳楽さん、磯村さん、岡山さん、最近出てたら気になって作品を見てしまう3人の俳優さんたちもいい味を出しててとても良かった。カミソリ籾が個人的には一番ツボだったな笑。
始めから終わりまで優しい世界
ずっと前向き。
ずっと平和。
ただ今回私にはそれが良くも悪くも単調に感じてしまい…
まさかの前半から欠伸との戦いになってしまいました。
とは言え、決してつまらなくは無いです!
心の癒しを求める時に欲しくなりそうな作品。
ミー坊と関わる人達の思いやりが溢れたストーリーです。
そこまで褒める??苦手なタイプの映画
さかなクンがどうしてさかなクンになったのかを
明るく楽しく伝えるファンタジー映画でした。
そう、あくまでもさかなクンをモチーフにしたファンタジー映画!
「好き」を突き詰めると常人がたどり着けない境地に
降り立つことができる!
「好き」の追求は絶対的に大事なことですよ!
という部分と、「好き」を追求するには
状況と周囲の協力と、最後は「運」!!
まあ、そういう映画です。
沖田修一監督の「南極料理人」とか「滝を見に行く」などの、
そこはかとない間の妙味がお好きな方は楽しめるかな〜
目まぐるしい映画は苦手な方向けの
ゆるい笑いがホッとする映画です。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
この映画、多くの方が絶賛しているんですよね。
のんさんがさかなクンを演じる!それは見事だったし
冒頭「男とか女とか関係無い!」と言い切っているのも潔い。
確かにさかなクンのあのキャラクターを
演じることができる男性俳優はちょっと見当たらない。
うまいとか下手とかそういうレベルでは無く
ファンタジーとして成立させるには
浮世離れ感の強いのんさんは見事なキャスティングだと思う。
菅田将暉だと、ドキュメンタリーになってしまうかも〜〜。
「好き」なものがあることは絶対的に大事なことですよ!
でもそれには、それなりのリスクがあります。
一歩間違えば「危ない人」扱いされる時もあります。
さかなクンに成れなかった魚好きを
本物の「さかなクン」が演じているあたり
チクリと監督からのメッセージも感じる。
さかなクンがまだTV東京の『TVチャンピオン』に出ていて
さかなクンに成れなかった仲間達をごぼう抜きにしていた頃を
知っている私としては、この演出は深いな〜〜と思いましたね。
でも私は「天才は社会性が多少欠如してても良い。」
みたいな表現が嫌いなんです。
時給を貰う以上、アルバイトだってある程度は
真面目にやって欲しいんです。
出来なくてもいいんです。真摯な態度を見せて欲しいんです。
ファンタジーなので仕方ないのでしょうが
初めっからやる気の無いシーンは私は本当に嫌いです。
沖田修一監督の「南極料理人」とか「滝を見に行く」は
私、大好きなんですけど、
この映画への他の方の手放しの褒め言葉には
私は違和感があります。
あなたはどう思いましたか??
別の世界のさかなクン
さかなクンに興味があったわけではないが、予告ののんに魅かれて鑑賞。
小学生時代は、正直キツかった。
子役に多くを求めてもとは思うが、ミー坊役は棒だし、他の子たちは大人の(演技の)真似をしたようなイントネーションが多く、違和感が強い。
逆に、高校以降は素晴らしかった。
のんの中性的な顔立ちに、純粋さを体現する声や表情、無邪気な動きはミー坊であり、さかなクンであり、のんであり、境目を感じない。
また、男性が演じていたら夏帆との同居に余計な印象が加わってしまうので、その意味でも起用は大正解だと思う。
ヤンキー達も皆かわいかったし、井川遥の穏やかながら芯のある包容力も良かった。
島崎遥香はチョイ役かつ損な役回りだったけど、大人っぽくなったなぁ。
ただ、マイナス点も少なくない。
まず冒頭のメッセージは文字ではなく、内容で表現してほしかった。(のんの演技はそれを十二分に果たせる)
また海に落ちてカジキ(?)を見るシーンは、エピソードとして回収されるわけでもなく、不要に感じる。
全体的にテンポも良くなかった(悪いとまでは言わない)かな。
さかなクンの半生という触れ込みだったが、自分は別の解釈として観た。
ギョギョおじさんは成功しなかった世界線のさかなクンであり、しかしその『好き』がミー坊に引き継がれ、またモモコの娘へと繋がっていく。
成功しなかった『好き』にも意味を持たせる意図があったのではないかと。
しかし、子供ながらに苦手な魚を我慢しつづけたお兄ちゃんが一番偉い気がする。笑
「不思議」な映画、、?
この映画には、いくつかの不可解な点が存在する。
・主人公「ミー坊」は周りにはどのような存在(性別)に見えているのか
・主人公が男性であるならば、男子制服や性同一性障害であることの示唆、海辺での老夫婦の会話は必要だったのか
・さかなクンを映画内に登場させる必要があったのか
・冒頭のシーンに最終的につながらない
ここまで「不思議」だと、映画としてはもはや奇妙と言わざるを得ない。
ただ、ミー坊の高校時代はコントのようで面白かった。
社会性も大切でギョざいます🎣🐠
思った以上に陰影がありました。
好きなものを大切に、を全面的に押し出す、明るさ一辺倒の映画かと思っていたので、意外でした。
好きに勝るものなし、はもちろんで、それで一生を貫き通せれば幸せですが、誰もがさかなクンみたいにはなれません。
最低限の社会性はどうしても必要で、それに加えて一生愛せるものを持ち続けられたら天下無敵なのだと思いました。
明るくて飄々としたのんちゃんがハマり役で、ミー坊にしか見えませんでした。
のんという生き物、ミー坊という生き方
大好きな沖田監督作品。しかも、さかなクンの半生を描くなんて面白くないわけが無い。時間が合わず1週間遅れの鑑賞となりましたが、、、最高すぎた。いい映画すぎた。さかなクンの半生を描いただけの物語ではない。深い、深すぎるぞ、、!!
なしてこんな純粋な演技ができるのだろうか。
俳優としても声優としても、もっともっと世に高く評価されるべき才能の持ち主・のん。彼女が持つパワーが底知れなくて、もはや怖い。役にハマっていたなぁ、とかレベルじゃないのよ。何をどう説明したらいいのか分からないが、今年一の衝撃だったことは確か。演技ってなに?って思っちゃう。胡散臭さゼロ。ミー坊になっているというか、実はのんはミー坊だったって感じ。異次元。
ミー坊はのんしかいない!と思ったのと同時に、この映画を撮るのは監督は沖田修一監督しかいない!と思いました。やはり、この監督は日常を描くのが上手い。そんな些細な日々の中に、小さな光が不意に現れる。その小さな光を見つけた主人公が、前へ前へと足を進める。その姿に心を打たれ、感動し、自分も頑張らなくちゃと思える。この監督の作品はいつもそうだ。「子供はわかってあげない」で超感動したのだけど、更に超えてきた。これからオススメし続けるだろうな...。
「さかなのこ」と言うだけあって、多くのおさかなさんが登場するし、イラストや豆知識だってある。水族館なんて退屈だろ!というひねくれ者の私が、初めて水族館に行きたいと思ってしまった。おさかなさんについてもとことん描かれている。そして、わたしたちは生命を頂いているんだということも。残酷に見えるが、それは普段見ないからそう映るだけ。小学校の授業で見せるにも、いい映画だと思う。長いか笑
ミー坊という生き方に憧れを抱いた。
純粋で素直で、言っちゃえば単純なポンコツ。でも、その性格が周りの人を救い、時に飽きられ、愛される。そして、ミー坊もまた周りの人に救われる。人は一人では生きていけない。でも、一人応援してくれる人がいれば人は変わる。「広い海に出てきなさい」と背中を押してくれるお母さん、「ミー坊のことをもっと知って欲しい」「変わんねぇな」と笑ってくれ、支えてくれる友達。心が自分でも驚いてしまうほど、震え、感化され、癒された。
磯村勇斗、柳楽優弥、岡山天音などのヤンキー集団との絡みには大笑い。ミー坊だけではなく、それぞれの登場人物のエピソードもあり、本当に飽きない。特に柳楽優弥。笑いをかっさらうし、不器用なりに頑張ってる姿がめちゃくちゃ応援したくなる。微笑ましくなったり、くすくす笑えたり、心が温まったりするシーンも多く、のんという強烈な演技をする中で、しっかり爪痕を残していた。岡山天音の雰囲気もたまらなくよかったし、磯村勇斗も相変わらずヤンキーが似合う。磯村勇斗の快進撃が止まらない。「前科者」「ビリーバーズ」「異動辞令は音楽隊!」と全部面白いんだけど。
若干のツッコミどころと、違和感、そして回収出来ていない要素があり、もうちょい長くてもいいからしっかり描いて欲しかったなとは思った。さかなクンの映画、というよりも、さかなクンを元にしたフィクションって感じだから、ん?と思うところはあっちゃう。だから、さかなクンの半生を描いた物語とはあんまし言わない方が良かったのかも。実際のエピソードもあるのだろうけど、本人が登場しちゃってるから真偽の境目が分からなくなったし笑
自分のやりたいことを思うようにやる。
簡単そうに見えて、全く簡単ではない。現実はそんなに甘くない。「夢みたいなこと言ってるんじゃないよ」「大の大人なのにバカなの?」と言われて当然、仕方ない。そんなことを何度言われようと、ミー坊は決して諦めなかった。ずっとずっと、好きを愛していた。こんな風にハッピーエンドを迎えることは中々無いかもしれないけど、周りが言うから、心配をかけたくないから、という理由で挫折してしまうのはなんだか悲しい話。好きに勝るもの、無しでギョざいます。だから、もし夢を追いかけている人がいたら、全力で背中を押したい。心の支えとなる周りの人になりたい。それでもし、その人の人生がミー坊のようになるのなら。
始まって直ぐに出てくる手書きの白文字。
この映画は、夢追い人の話でありながら、気付かぬ間に男女の間に距離を作ってしまっている我々に向けたアンチテーゼ映画なのかもしれない。ミー坊という役にのんをキャスティングしたこと、男が女に素直に好きだということ、分け隔てなく接すること。随所に描かれる男女問題に心を打たれてしまった。どれだけ深いんだ、この映画。
沖田修一監督の秀逸さに脱帽したくなる、最っ高にいい映画でした。間違いなく、ここ2ヶ月でベスト。この映画に対する思いが強すぎるせいか、かなり長いレビューを書いちゃいました。多くの人に見て欲しいのです。映画も少し長いですが、ぜひぜひご覧下さい。特に夢を抱く中高生に見てほしい秀作です。
※追記 2022年9月13日
鑑賞から2日が経ちました。時間が経つにつれて、魅力がどんどん増してくるこの作品の力に圧倒されています。どのシーンも鮮明に、印象強く残るほど濃厚で見応えがある作品。じわじわと作品愛が強くなっていき、「この映画を満点評価にしなくてどうする!」と心の中の自分が叫んだため、★5.0とさせていただきました。
この映画を見ると、心の中にミー坊が宿ってしまう。
いつもの変わらない日常が少し煌びやかなものに見えて、小さな幸せに喜びを感じるようになる。なんだか今までよりも生きることがちょっと楽しい。悩むのも馬鹿らしくなっちゃう。素直に生きること。悪態をつく暇があれば、今できる新しいことに挑戦したい。今まで類を見ないくらい、影響を受けているサプライズです。
さかなクンの半生を...とレビューしましたが、この作品をきっかけにさかなクンについてもっと知りたい!となり、思わず調べたのですが、よく考えたらこれまんまと好きになっちゃってますね笑 実写映画化、大成功じゃん。しかも、忠実に描く必要ないよね。エンターテインメントとしての面白さ、芸術作品としての美しさ、人間ドラマとしての質の高さ。沖田修一監督らしい、ちょっぴりファンタジックな演出もいいエッセンスになっている。映像作品としての大切な要点の全てが兼ね備えてあるこの作品は、完璧と言って過言ではないでしょう。
映画見た直後に席が立てないほど衝撃を受けた、ってのも私が満点評価を付ける評価点なんですけど、鑑賞後に何度も予告を見たり、作品について調べてしまうというのも、観点に入れてます。まさにこの映画はこれ。見てから何度予告を見たか分かりません。見すぎて、ぎょぎょぎょが口癖になりつつあります。
という訳で、レベチで面白く深みのある大傑作。
ぜひ、劇場でご覧下さい。私も、また見たいな。
大人は自らの現在地について考え、若者は将来へと思いを馳せる
言うまでもないことだが、人の人生はさまざまだ。
その中で、「好きなこと」「好きなもの」を自分の人生のどこに置いて生きていくのか―。
「好きなこと」「好きなもの」を大事にしながら、あくまで趣味のひとつとして生きていく人。現実の厳しさに「好きだったこと」を思い出す余裕もなく、日々を懸命に生き抜く人たちもいる。
「好きなこと」「好きなもの」を人生の中心に据えたまま、豊かな人生を送れる人はそう多くはない。本人の実力や努力に、運や縁がうまく重なった者たちだけが、「好きなこと」で大成功を収めることが可能なのだと思う。世の中には、さかなクンのようになりたいと願い、「好きなこと」を懸命に追いかけながらも、実際にさかなクンのように成功できる人は多くない。
この映画を観て、多くの大人たちは自らの幼少期や学生時代を思い、自分の現在地を考えるに違いない。「自分の中で、好きだったものはどうなったのか」「自分は好きなこととどう折り合いをつけ、生きてきたのか」。一方、これから人生を切り開こうと考える若者や学生さんは、好きを貫く尊さや、そうすることの難しさを思いながら将来について考えるに違いない。この映画は、さかなクンならぬ「ミー坊」の半生をファンタジーを交えてユーモラスに描くと同時に、深く普遍的なテーマを持った作品なのである。
ミー坊役をのんちゃんに託したことが作品の色を決定付けたと言ってもいい。のんちゃんとさかなクンには、どこか似た匂いがする。2人とも、いい意味で子どもがそのまま大きくなったような人物。こういう人間は、ややもすると海千山千の大人社会からはじき出されかねない。実際、のんちゃんも大人の事情でいろいろと遠回りを強いられる境遇に陥った。それでも、「好きは身を助く」。演技や絵画、音楽に対する「好き」を貫き、それを支持する関係者やファンの応援も得てしぶとく成長を繰り返してきた。
周囲の縁にも恵まれ、厳しい経験を経て浮上するミー坊の姿と、のんちゃんの生きざまがシンクロする。また、中性的な魅力にあふれるのんちゃんを主人公に据えることにより、回りくどい恋愛やお色気の要素にほとんど踏み込むことがなく、ストーリーがよりすがすがしいものに仕上がった。
役者さんたちが微妙な表情の変化で、状況を表す表現力が見事だ。のんちゃんと柳楽さん(ヒヨ)が海岸線を連れ立って歩くシーン、レストランでミー坊を笑う恋人に、柳楽さんが嫌悪感を抱くシーン、直後に「お魚博士? ミー坊なら楽勝だよ」と乾杯するシーン。幼馴染みゆえの愛情や絆の深さが画面にあふれている。のんちゃんで言えば、ペットショップで宇野祥平さんと会話するシーン、歯科医で豊原功補さんと向き合うシーンも、表情豊かなのんちゃんの本領発揮だ。磯村勇斗さん、岡山天音さんら不良たちとのシーンは、実に楽しく、笑える会話の連続だ。
沖田監督は、やはりうまい。ミー坊の存在によって家庭にはひびが入ったようだが、そこは具体的に説明しない。レストランの場面でも、ヒヨ(柳楽さん)と恋人の間に何が起きたのかを省き、観客の想像力に委ねている。
開始直後の水族館の場面で、母(井川遥さん)は幼きミー坊に魚の図鑑を手渡す。最終盤の水族館では、ミー坊の幼馴染みで、一時はミー坊のアパートに転がり込んだモモコ(夏帆さん)が、ミー坊が監修した魚の図鑑を娘にプレゼントする。ミー坊に寄せた母親の愛情が、成長したミー坊を経てモモコの娘に引き継がれる。
さかなクンは幼少期のミー坊に影響を与える「ギョギョおじさん」として登場する。話題性を重視しただけの起用と思いきや、これが大きく違う。「ギョギョおじさん」は言わば、さかなクンのようになりたくてもなれなかった大勢の人々を象徴する存在として描かれているのだ。
ミー坊の幼少期、雨の降る路地でミー坊と遭遇するギョギョおじさんの手には、長ネギが入った買い物袋が握られている。時は流れ、「お魚博士」として世に出たミー坊が路地で子どもたちの前に現れると、その手には長ネギ入りの買い物袋が。ミー坊は子どもたちを先導するように、海へと走って行く。ギョギョおじさんの教えや思いが、ミー坊に引き継がれ、それがまた、次世代の子どもたちにもつながって行く。
好きを貫いたところで、誰もがさかなクンやのんちゃんや沖田監督のようになれるわけではない。しかし、さかなクンになれなかった多くの人々がいることで、さかなクンもまた輝く。好きなことに強い愛情を寄せ続け、熱く語る名もなき彼らの教えや情熱が、子どもたちの新たな思いや関心をはぐくみ、次世代のさかなクンを生み出す畑を耕すのだ。
とてもよかった
さかなくんの成長ストーリーなのにさかなくんがギョギョおじさんとして登場して、さかなくんにはモデルとなったギョギョおじさんが存在していたというのが面白い。ヤンキーがユーモラスでキュートだ。
好きなことを追及していれば成功するよというメッセージは尊いのだけど、成功するのはレアケースで相当運がいい。周囲に恵まれている。しかし、そんな周囲を呼び寄せるのもさかなくんの実力だから、人柄がよくてよかった。
幼馴染が子連れで同居し始めるのだけど、急にいなくなるのはすごくやめて欲しい。つらい。
面白かったけど、ただちょっと長い。
ほのぼの系&心が暖まる邦画。 本年度ベスト級。
昨日観た作品が人が殺されるだけの映画だったので気分転換で本作を選定。
嫌な人が一切登場しない作品。
この為か落ち着いてまったりと鑑賞できた感じ。
ミー坊が「さかなクン」となるまでのストーリー。
井川遥さん演じるミー坊の母。
幼馴染みのヒヨ。
不良少年達。
皆さん素敵なな方々。
大人になってもヒヨや不良少年達との付き合いもあり素敵な仲間達。
ミー坊のお母さんが寛大過ぎた。
子供を信じ、好きな事をやらせ続ける優しいキャラ。
好きに育ったさかなクンは成功例だけど子供を信じる親って素晴らしい。
後半の寿司屋での母親のカミングアウトも凄すぎた(笑)
のんさんも良かったけど幼少期のミー坊の子役さんも良かった。
後半。のんさんがさかなクンに見えてしまいました( ´∀`)
好きこそもののなんとやら
のんの屈託のない笑顔に救われた
眩しいぐらい真っ直ぐでどの人物も愛おしい
ヒヨも総長もその周りにいたみんなも、ミー坊と関わっていくと穏やかな表情になっていく
もっと広い世界を見に行ってからも、そのつながりからミー坊もたくましくなっていくのが、素敵な縁で羨ましく思えた
観賞後は視界が少し明るくなった気がしたし、なんかニヤニヤしてしまった
さかなクンが怪しいキャラの割にはBurberryのコートが似合いすぎてたし、力が抜けてる割にはスタイリングがとても好みだった
海人の店長が宇野祥平で、ビリーバーズの怪演を思い出しつつも、優しいおじさんで踏みとどまっていて一安心したし、突然の賀屋や長谷川などの登場にもびっくり
笑える場面も多くあって、温もりのある作品として完成されていた、ギョギョ。
不思議な映画
前提として本作はさかなクンさんの自叙伝が原作だが、主人公は女性が演じているが性別は男性。
原作は未読だが、映画は作品としてなりたっていれば原作から大きく変わっていても問題ないと思っているので、ここらへんは許容範囲内。
沖田監督の作品はもともと好きでよく観ていたのでかなり期待していたが、予告では謎な部分が多く不安も感じていた。
予告での印象的なセリフ「普通ってなに?」は異常なほどの魚好きである自分が普通から外れていることについての言及だとしたら何か嫌だなと思っていたが杞憂だった。少し泣けた。
本作を一言で表すと「不思議な映画」だ。
主人公の幼少期から20代半ばくらいまでのストーリーなのだが、全てのエピソードが一筋縄ではいかないというか摩訶不思議。けっこう悲惨な場面もあるのだが主人公の空気を読まない性格で明るい方向へもっていく。現代社会で生きるのには難しい特性だがこの性格は羨ましくもある…
キャストの皆さんたちがすごいハマっているかつ全てのエピソードが作り込まれていて中弛みなし!
だが、さすがに2時間半は長い…
私と同じ上映回にはお子さんもいたが終了後はぐったりとしたご様子でした…
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