シャイロックの子供たちのレビュー・感想・評価
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「今日も一日頑張るぞ!」が普通に見えてしまう
たまたま聞いたラジオに本木克英監督が出ていて、崔洋一の後を受け日本映画監督協会の9代目会長になったことを知った。なんとしてもヒットさせねばという松竹のメンツがこれだけ劇場での予告ヘビーローテ含め大プロモーションになる所以であろうか。私とほぼ同世代、大卒で松竹に入り森崎東や木下恵介の助監督を7年間やり自身も「釣りバカ」を3本撮っているだけあってどっぷり松竹カラーというかなんとも懐かしいオールドスタイルの日本映画を久々に観た気がする。(大学の頃映画研修会でポスターのビラ下券が手に入り大宮セントラルで松竹の封切り映画をいつも只で観ていたことよ)オーソドックスな寄り引きのアクションでつなぐカット割りやカメラワーク、冒頭の「ヴェニスの商人」の舞台演技をそのまま本編に持ち込んでしまったかのような大きな芝居で分かりやすい演出。嫌いでは無いのだが佐藤隆太が帰宅して奥さんが「お風呂にする?ご飯にする?ビール飲む?」なんてやっているのを見るとなさけなくもなる。阿部サダオがこの映画の現場で「死刑に到る病」の台本を読んでいたというのだからこちらが先にクランクアップしていたであろうのにバッティングを避け公開まで時間が掛かったということか。銀行員がこれだけ簡単にATMの裏から札束を出し入れできるとしたら大問題でしょ。ありえないというか。ちょっとねぇ。
面白いんだが
ストーリーはまぁまぁ無茶苦茶。誰も彼も不正しまくりだし、証拠を拾っても上司に報告しないとか、組織としてのガバナンスも倫理観も足りなさすぎる。もちろんフィクションとは思っているが、銀行ってこんなにとんでもないところなのか?
だいたい、腐った組織ならなおさら、銀行からの指示も無いのに、下っ端行員3人であんな探偵のような調査活動や不正工作はしないでしょう。
とはいえ、流石池井戸潤作品。悔しいが安定の面白さだ。
貸したものを返せばいいという訳では無い
私にとって初の池井戸作品だが、本作は原作やドラマに対し、大幅な改編があるという。そんな事は露知らず、いつも通り何の予備知識も無いまま鑑賞。物語は佐々木蔵之介扮する検査部次長の黒田と妻(森口瑤子)の『ヴェニスの商人』の観劇から始まる。タイトルのシャイロックの説明かと流していたが、この劇が重要だったのだ。シャイロックは強欲な金貸しとして描かれるのだが、妻は『貸したものを返せと言ってるだけなのにね』というと黒田は相槌をうつも『貸したものを返せばいいという訳では無い』と呟くのだった。
赤がシンボルカラーの東京第一銀行の長原支店には、さまざまなタイプの人間がリアルに配される。主役の阿部サダヲ扮する営業課課長代理の西木雅博、じっと構える支店長の九条(柳葉敏郎)、典型的なパワハラ副支店長の古川(杉本哲太)、お客様一課では腰巾着的な課長の鹿島(渡辺いっけい)、課長代理の滝野(佐藤隆太)、後に精神を病む遠藤(忍成修吾)など。滝野は赤坂支店から異動後間もないが融資営業成績も良く、支店のエースと目されていたが顧客の石本(橋爪功)からペーパーカンパニーの10億円の架空融資を持ちかけられる。前の赤坂支店時代の融資に伴い1000万円のリベートをもらった経緯があり、“真っ当な銀行員でなくなった”滝野は断れない。さらに石本は利払いの建て替えで100 万円を要求。切羽詰まった滝野は二課の田端(玉森裕太)が目を離したうちに100万円を横領してしまう。その“帯封”を社食で見つけた二課の麻紀(木南晴夏)は気に入らない営業課の愛理(上戸彩)のロッカーにそれを忍ばせる。愛理に嫌疑がかかるも西木が庇い、上司4人の折半で済ませてしまうが、先の10億円の架空融資が発覚し、黒田が乗り込んでくる。黒田は100万円紛失の件を知り追及するも、過去に黒田が競馬につぎ込むため横領した金を戻すときに落とした“帯封”を突きつける九条に屈して不正の告発を見送る。そこで西木は10億円架空融資の裏に石本と九条が絡んでいることを掴み、馴染みの顧客の沢崎(柄本明)の持つ耐震偽装物件を西木曰く『ハッキリと詐欺だな』という手口で石本に売り抜けて15億円せしめる“倍返し”を果たすのだった。その後、滝野は黒田に不正を告白し、滝野と石本、九条も逮捕。2年の刑期を終えた滝野は妻子に迎えられ、黒田も転職して小売で販売に従事。一方、西木も銀行から去ってしまう。愛理と田端が『ヴェニスの商人』を観に行こうとして劇場へ向かう時にエレベーターから降りてくる西木を見かけるが、愛理は西木と行き違い見失ってしまうというところでエンドロールを迎える。
ハッキリと詐欺な展開は爽快感が無いので、上映後しばらくは疑問に思っていたが、これが本木克英監督の狙いだろう。原作では西木が100万円紛失の実情を掴んだ早い段階で失踪してしまい、羽田沖で同年代男性の死体が見つかるが西木ではないというところで終わるようです。映画では西木もこの詐欺的展開を主導し、“真っ当な銀行員でなくなった”ことで穏やかにはいられないということなのだなとだいぶ時間が経ってから気付かされる奥深い作品。
やられたらやり返す、詐欺返しだ
池井戸潤原作映画にオオハズレはなし。安定の面白さでした。
阿部サダヲさん大活躍。上戸彩さんが可愛い。痛快な騙し合いバトル。
やられたらやり返す、詐欺返しだ!
*休日にもかかわらず館内の客層は年配の方だらけで若い子がいなかったのですが、池井戸作品って若い子には人気ないの?
ストーリー進行の上で無理矢理感な箇所も感じますが
総じて面白かった。
大物俳優の一騎打ちはストーリーより
演技の方に魅入りました。
劇中の擬装ビル、角地だとしてもあの金額3億なのかしら、、余程場所が良いのかな?
【最高傑作】とまでは言い切れないが、エンタメとしては十分見応えありだった!!
原作は既読です。
映画版は、原作とは180度くらい内容が違いますが、どちらも甲乙付け難いくらい面白い作品でした。
池井戸潤氏の作品は、某作家(ご想像にお任せします)の作品と比べ、当たり外れが少ない印象があります。
内容は、ストーリー展開はベタで、トリッキーな演出もなく、テンポもよく進みました。
合理性や整合性も、きちんと処理されているので、見応えある仕上りでした。
そして、救いのあるクライマックスは、とても良かったと思いますが、それでカタルシスを得られるかは、人により微妙かと思います。
結論は、全体を見渡せば良作ではあるけど、池井戸作品であるからこそ、鑑賞する側の要求は高いので、ゆえに邦画全体の最高峰とまでは言い切れないかもしれません。
完全に詐欺には詐欺で返します
勧善懲悪ではないのでスキット感が足りないがこれが現実に近いのも間違いない。銀行ストーリーのひとつとして観ましたが銀行マン以前にコンプライアンス欠如が甚だしい。チェック機能の欠如、ダブルチェックなし、など現在ではあり得ない。
内容としては帯封が無造作に扱われて証拠を残す展開をリピートするのはちょっと安易過ぎる。まして代わりに振り込んだ振込控を職場のゴミ箱になんて絶対捨てないでしょう。私の犯罪を見つけてくださいと言わんばかりで疑問が?
色々言ってますが作品はとても面白く楽しめるものでした。キャストも良かったと思います。
是非映画館で🎦
27
横領と窃盗と詐欺は別な犯罪です。 そして、借りた金は、犯罪を犯さずに 返すなら、無問題
何度も劇場で、予告編を繰り返し見た昨年の段階から、本作は必ず観ようと決めていました。
題名がいかにも"ティーン映画"なので、「シャーロックの子供」の単数形にしたほうが、感覚的に大人も観れて、良かったのではないでしょうか
最初の10分間で、題名の理由が解るが。。。
どちらにせよ、「ベニスの商人」と この映画には関係がなく、裏テーマにもなっていない。
「10億円の詐欺事件」を舞台にした映画なのだが、100万円クラスの生活詐欺とは違い、1億円以上の詐欺は発覚した段階で、必ず警察が介入しないのは非リアルで、典型的な内社会である銀行と言え、内々で処理される事はない。
シナリオは超ご都合主義の連続で、"やっぱり"題名通りのティーン映画だった。
ヒロイン的な存在である 上戸彩さん は、半沢直樹の若奥さんの面影はなく、
篠原涼子さんを彷彿させる名演技をしていたが、すっかり"おばさん"=オールドミスキャラだった。
柳葉敏郎さんは悪人を演じさせても、雰囲気が良かったが、ただし、前職から、ここまで出世するのは、リアル社会の主要都市銀行ではありえない。地方の信用金庫なら、あるかもしれないが。
阿部サダヲさんは安定した演技をして、合格点なのだが、個人的な希望としては、今回の主演は華がある 堺雅人さん あたり に演じて欲しかった。
社内防犯カメラがない銀行は。。。舞台背景は昭和に違いない。
横浜駅から歩き10分? であのビルが20億円以上はしない。
築が浅い訳でもないし、せいぜい8億円 未満 位ではないでしょうか。
この物件を破格値段で売買するなら、せいぜい3~5億円が相場です。
近年の池井戸潤さんの映画は稚拙で雑な展開なものが多く、どの作品も"残念"なものばかりだが
ドラマ「半沢直樹」「下町ロケット」を観て、下がりに下がった評価を中和させた方が良いでしょう。
おもしろかったが
展開としてはやはり半沢直樹と似ているけれど、最後まで楽しめた。
映画館で声を出して笑う人がいるが、映画によってはいいとして、精神的に追い詰められた遠藤が神社の狛犬に幻覚を見てしまうシーンで、笑っている人が複数いたことには妙な気持ちになった。そこは笑うシーンではないと思う。
面白かった🎯
阿部サダヲさんは勿論間違いないが、柳葉さんや佐藤さんやキャスト皆さんが主役級だと思う。それぞれのストーリーがあって飽きさせない時間でした。スカッとして帰りは何故か大股で帰りましたわ。銀行の話だと難しい言葉も出てきてと思いますが、とにかく笑いあり最後まで楽しく見れます。阿部さんのは、やはり間違いないです
テレビドラマな
銀行内で横領を2時間の映画にしちゃった作品。
登場人物が大物俳優ばかりで誰が主演か錯覚してしまう。前半目立たなかった阿部サダヲさんがいきなり事件に興味をもち次々とナゾを解明していく。大掛かりな(?)詐欺まで仕組む。まあ、痛快と言えばそうなんだけど、映画はこう来なくっちゃと思わせたりもした。
スッキリ。
池井戸作品の映画を見るのは初。
だいたい最後にはスッキリするか、悪党がちゃんと暴き出されるんだろうなーと思ったけど、その通りに!
疑われることや、利用されていること、あぶく銭の循環、それを思うとき、真っ当に生きるとは何ぞやということを考えさせられる。でもって自分はどうなの?と跳ね返ってくるような思いにも。
オセロゲームじゃないけど
人が白から黒に黒から白に変わる瞬間が描かれる。
鑑賞後この作品のポスターを改めて見ると、内容が物語っている。七つの会議と同じく2度楽しめて芝居も完成されてるので登場人物の表情に注目しながら駆け引き取り引きが面白い。
とても良い邦画です
とても良い作品でした。主演の阿部サダヲさん、上戸彩さんともに最高でした。ワキをかためる柳葉敏郎、佐藤隆太、柄本明、橋爪功、佐々木蔵之介といった濃いめの人達の抑えたお芝居もとても良かったです。杉本哲太さんはパワハラ被害にあった人は見るのも要注意です。玉森裕太さんもジャニーズの人達いろんな映画出ていますがこの人は将来、とても良い役者さんになりそうです。久しぶりに良い邦画を観られて良かったです。
さすが池井戸潤さんの作品だけあります。
とても面白く素晴らしい作品でした。緻密な描写はさすが元銀行員だからこそ描けるのだと思います。私も昔銀行員を12年間やってました。係わったのは渉外、出納、預金、融資、新規開拓とほぼ経験してきましたので作品を観ていてあの頃の実感か沸いてきました。映画では主に融資先を開拓する事が主題でしたが、私の頃は主に預金です。それも定期預金や積立預金を勧誘するのが主でした。
映画同様に鬼のような支店長がいて、与えられたノルマで毎日毎月追い込まれ悩やみ何度も辞めたいと思ったものです。そして実際、映画のような事はどこの金融機関でもあり得る話です。例えば行員が集金した500万円を競馬に使ってしまい、銀行側は警察には黙っていて隠蔽しその代わりその行員の給与から毎月天引きで返させるとか、要するに買い殺しです。
というような表には出ない話もいくらでもありました。ですからシャイロックの子供たちのような事は決してあり得ない話ではないのです。
池井戸先生の作品はどれも面白い。アキラとあきらも七つの会議も映画もドラマも殆ど観ています。
金融機関に興味のある人には堪らない作品だと思います。
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