グッバイ・クルエル・ワールド : 特集
【クズ野郎にゲス野郎にクソ野郎が──全員集合】
“あの”超人気俳優たちが、完全にイッちゃってる…!
快感! 刺激!! 映画の熱を感じたいなら本作に浸れ
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映画を観る前の大事な判断材料である特報や予告、場面写真。映画好きはそれらを吟味しつつ「これは自分的にアリか? ナシか?」をジャッジするものだが――ここに1本の「ヤバそう」感が抑えきれていない映画がある!
9月9日公開の「グッバイ・クルエル・ワールド」だ。ポスターには「狂乱の世界」や「クズ同士の潰し合い」という物騒な言葉が並び、場面写真や予告には西島秀俊や斎藤工といった人気俳優たちのキレた表情が収められていて……。
観る前から熱気と刺激性ビンビンのこの映画、劇場で観た日には一体何が起こってしまうのか!? 映画.comが確かめてきた!
映画.comも熱視線! 予告から匂い立つ、この“予感”
GCWが見る前から気になって仕方ない【5つの理由】
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まずは、我々が「グッバイ・クルエル・ワールド」(「GCW」)に注目した……いや、注目せざるを得なかった理由を改めて整理しよう。以下の5つのポイントに絞った。
①西島秀俊に斎藤工、宮沢氷魚、玉城ティナ、宮川大輔、大森南朋、三浦友和…この“並び”だけでそそる! しかも全員がクズofクズ! ②全身タトゥーにピンク髪!その手にはショットガン‼ とにかくキャラのビジュアルが強烈!③視聴制限はR15+! “攻めた過激描写”が待ち受けているのは確定!④ポスターに踊る「狂乱」の文字…スタイリッシュビジュアルも脳髄を刺激!⑤監督は「MOTHER」「星の子」の大森立嗣! 突き刺してくるに違いない!
まずはやはりキャストの豪華さ。しかもただゴージャスなだけではなく、全員が“どクズ”を演じるという。西島秀俊や斎藤工、宮沢氷魚といった“善玉”な役のイメージが強い俳優陣がどこまでゲス野郎になるのか――。想像するだけでクラクラしてこないだろうか?
しかも斎藤は全身タトゥー、宮沢はショッキングなピンク髪&ショットガンとビジュアル時点で攻めに攻めている。
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これは普通の映画ではないぞ……とワクワクしていると、目に飛び込んでくるのはR15+のマーク。15歳未満は観られない=それだけヤバい映像が詰め込まれている証明!
しかも監督は大森立嗣! 長澤まさみの衝撃的な演技が話題を呼び、各方面で絶賛された「MOTHER」や、昨今再評価されている「星の子」を手掛けた同監督の手により、しっかり“突き刺さる”映画になっているに違いない!
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【体験レポ】実際に観たからこそ伝えたい…この熱量!
演技も演出も物語も気合入りまくり!ガチ狂乱がここに
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様々な角度から判断し、映画.comは「グッバイ・クルエル・ワールド」を「どこを切り取ってもヤバそう」と結論付けた。そして某日、本作を先んじて鑑賞。その体験記をいまから、ネタバレなしで語っていきたいと思う。
が、まず一言。期待していた部分は想像以上、実際観たら新たな“ヤバさ”も大量に発見してしまった……! この映画、観ないとわからない部分にもとんだ伏兵が潜んでいるぞ! クレイジーなのに満足できる、まさに快感一色の映画体験だった!!
●いきなり狂乱の世界へ引きずり込む…開始直後からアクセル全開!
映画体験において「いかにノレるか」は冒頭シーンにかかっているといってもいい。その点「グッバイ・クルエル・ワールド」は最高オブ最高! イカす音楽×金とバイオレンス、エロスな映像が断片的に挿入され、嵐の前の静けさ……からの覆面強盗団登場! そして一気に現金強奪シーンへとなだれ込む!! こちらのエンジンがかかる前に怒涛の勢いで突き進んでいくさまが気持ちよくてしょうがない!
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●西島秀俊のスゴみ、斎藤工のクズ演技が想像以上! 新たな魅力開花!?
「グッバイ・クルエル・ワールド」を鑑賞して最初に感じるのは、斎藤工のヤバさだろう。初登場シーンから常軌を逸したサイコなキャラを(目が血走った状態で)熱演し、頭のネジが外れた暴力大好きクズ男を強烈に印象付ける。
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その隣にいる西島秀俊は、一見クールな人物だが「逆らったら殺される」と本能で直感してしまうような、ドスの効いたスゴみを見せつける。「シン・ウルトラマン」とは180度異なるふたりの共演――いや“狂演”におののくがいい!
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●宮沢氷魚&玉城ティナの“豹変”が強烈! 大人しそうに見せかけて…
宮沢氷魚&玉城ティナはキレイめで線の細いパブリックイメージがあるが、劇中を通してどんどん狂乱の世界に染まり、“化けて”いくプロセスが見ごたえたっぷり!
ラブホテルの店員と風俗嬢だったふたりが、底辺の生活から抜け出そうとした結果ヤバすぎる大人たちのカモにされていく……といったところから事態は急転。タガが外れ暴走していくふたりの“手が付けられないジャイアントキリングっぷり”は狂気に満ちており、恐ろしいを通り越して、いっそ快感だ!
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●三浦友和、奥田瑛二、鶴見辰吾らベテラン勢の“本物&哀愁”の重厚感…!
若手キャストがエネルギッシュなら、ベテランたちは一朝一夕では生み出せない重厚感で、作品に趣をもたらしてくる。
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三浦友和はへらへらと軽口をたたきながら、目がまるで笑っていないの怖さ(それでいて人生に転落した男の哀愁もにじませるのは流石)。奥田瑛二&鶴見辰吾は、裏社会を長年生き抜いていた猛者の風格を漂わせる渋みある演技――。本作が飛ばしすぎにならないのは、彼らの存在感が非常に大きい。
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そして、濃い面々の中でパッと見はまともに見える大森南朋演じる刑事も、実はネジが飛んでいる役どころ。ヤクザに雇われた汚職警官という犯罪映画好きの“大好物”な悪党を、実にゲスく演じ切っている。各キャラをつなぐ潤滑油としても、貢献度は計り知れない!
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●一番ヤバかったのはこの人…! 「最愛」奥野瑛太の怪演が鳥肌レベル
そして……。編集部が最も驚かされたのが、奥野瑛太である。映画ファンには「SR サイタマノラッパー」のMC MIGHTY役で知られ、近年はTBSドラマ「最愛」など話題作への出演が続く奥野。中盤から登場する重要人物だが、そのハマり具合が異次元レベルなのだ……。
誰が見ても「その筋の人」にしか思えないほどの仕上がり具合、感情が爆発する際の怪演! 彼を観るためだけに入場料金を払っても余裕でおつりがくる、といっても決して過言ではない。もう一度言うが、「グッバイ・クルエル・ワールド」の奥野瑛太は本気でスゴいぞ……。
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●「死刑にいたる病」高田亮による渾身のオリジナル脚本! 人物描写の深みに唸る
しかしキャストがスゴかろうが、物語が面白くなかったら興ざめ、という意見もあろう。その点も抜かりない! 秀逸な人物描写が芝居のヤバさと相乗効果で弾け、物語全体の強度がしっかり担保されている。
というのも、脚本を手掛けたのは高田亮。スマッシュヒット作「死刑にいたる病」や「さがす」の共同脚本、話題のドラマ「空白を満たしなさい」や傑作と名高い「そこのみにて光輝く」などで知られている。映画ファンからの信頼が厚い精鋭が描き出す狂乱の世界は、ヤバいだけではなく“深い”!
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●容赦ないバイオレンスと人間ドラマが融合! 大森立嗣監督の演出力
そしてやはり際立つのは、大森立嗣監督の演出の妙。爆発力たっぷりなバイオレンス&クレイジーな世界をゴリゴリと描きながら、決して能天気なハイテンションムービーで終わらず、「なぜ彼らはそうなったのか?」という闇をしっかり見せてくる。
これまで多くの力作で社会の理不尽さ・そこからこぼれ落ちた人々が犯罪者と化すさまを見つめ続けてきた彼ならではの鋭い目線が、本作にさらなる深みをもたらしているのだ。
以上、ここに挙げたのはあくまで一例。未知の魅力がまだまだ詰まった「グッバイ・クルエル・ワールド」を、映画館でいち早く目撃してほしい!
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