日の丸 寺山修司40年目の挑発
劇場公開日:2023年2月24日
解説
寺山修司が構成を手がけた1967年放送のTBSドキュメンタリー「日の丸」を現代によみがえらせたドキュメンタリー映画。
街ゆく人々に「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」といった本質に迫る挑発的な内容のインタビューを敢行した同番組は、放送直後から抗議が殺到し閣議でも問題視されるなど大きな反響を呼んだ。
TBSのドラマ制作部所属で本作が初ドキュメンタリーとなる佐井大紀監督が、自ら街頭に立って1967年版と同様の質問を現代の人々に投げかける。ふたつの時代を対比させることで「日本」や「日本人」の姿を浮かび上がらせていく。
2022年製作/87分/G/日本
配給:KADOKAWA
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2023年3月31日
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う〜ん…
とてもディープで興味深い内容ではあったが…
監督本人がラスト近くで語っていた通り、迷路に嵌まってしまったまま終わってしまい、なんとも肩透かし…
そもそも、50年以上が経過したからといって、あの問いから、なんらかのアップデートされた「今」が浮き上がるとも思えない。
それに監督自身、ドキュメンタリーが本質的に抱えている「制作者の加害性」という問題性は相当に意識していたらしく、街頭インタビューは、あえて自らの加害性を随分と強調していたらしいのだが…
本家本元において、寺山&萩元が狙っていたであろう暴力的な「凄み」に遠く及んでいない。
同じ手法にも関わらず、どれもこれも、回答の印象が予定調和に見えてしまう。
元の白黒の映像で見せているタブーの鍵を抉じ開けるような「危なっかしい」までの生々しさが殆ど見えて来ない。
寺山や萩元が狙っていたのは、回答の言葉ではなく、真にリアルな虚を突かれたような反応や表情であったのは間違いない。
寺山修司が目論んでいたであろう詩的なアジテーションという意図を、そもそも理解してはいなかったか。
あるいは頭では理解していても、実際のアウトプットまでに至らなかっということか。
本作の最新版の街頭インタビューに於いては、その殆どが質問それ自体への純粋な反応というよりは、今どきのユーチューバーなのか?といったような、質問の意図の本質と少しズレた反応が色濃く出ているように見える。
ここが最大の失敗要因だったと思う。
まあ、1967年当時の日本人の方が今より遥かに素朴だったゆえ、寺山と萩元の思惑がバッチリとハマったとも思えるが。
今回も、元のオリジナルと同様にするため、TBSとは名乗らず質問しているのだが、今この時代において、今回のああいった反応は十分に想定できたはずで、もうちょっと対策は練っておくべきだった。
そして、特に後半の方は、寺山修司や萩元晴彦の狙いについて、当時の関係者に取材するだけでなく、この企画の加虐性、まさに「マイクの暴力」に関して、メディア論を展開した方が、だいぶ観応えはあったと思う。
それに関しては、もはや当事者の萩元や寺山に直接、話を聞くことが出来ないとはいえ、一連の騒動の後に萩元自身が、当時の状況を克明に記録した本も出版していた訳だから、そちらのフォローアップは是非やって欲しかった。
というか、それに関する萩元や寺山へのインタビュー映像も、アーカイブを探せば出てきそうだし、しっかりと現在の視点で改めて検証して欲しかった。
あと、やっぱり、なんてったって、本家本元の番組の方は、当時の完パケを丸々ノーカットで見せて欲しかったよ。
本作の監督は、DJが曲をマッシュアップさせるが如く編集したかったようなのだが(ウルトラセブンからの引用もそれに該当するのだろう)
マッシュアップの方はオリジナルを完全に観せた後でも良かったと思う。
そういえば、オープニングの開始直後、ん?『気狂いピエロ』のパクリ?と思っていたら、やはりゴダール・オマージュというか、元々はジガ・ヴェルトフ集団みたいなポエティックなドキュメンタリーを作りたいという気持ちもあったようだ。
それにしても、上映当日、有楽町での最終日18:30スタートだったから、まあまあ混んでるのかと思いきや、観客は私を含めて、たったの3人…
この現実が一番の肩透かしであった。
2023年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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40年前のドキュメンタリーが寺山にとって詩的なアジテーションなら、国家についてもっと考えようという扇動ということなのだろうか?
それと比べるとこの作品は監督の私情が強めに感じる。寺山に影響された1人の青年が“やってみた”みたいな。
それでも、40年前の「質問」らに惹き付けられた気持ちは個人的に感覚で良く理解出来たし熱意も伝わってきた。面白い作品だと思う。日本は国家に対して無頓着だと思っていけど、あんな風に街頭インタビューされると皆大なり小なり身構えるのだなと知った。
インタビューはとても興味深かったけど、国旗のカメラマンとアイヌの人のインタビューはちょっと長いなと感じた。あんなに熟考したら街頭インタビューの人と比べられないなと。
40年前のと今の街頭インタビューをもっと見たかった。
2023年3月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
第一印象は、不愉快な作品。不躾に質問をして、ただ街頭の人を困らせるだけの映像。しかし、その先にはちゃんと意図、物語があった。最後まで観ると、なるほどな、と思う。
鑑賞中、ずっと自分にも問われている感覚。自問自答しながらみていた。
結局、それぞれの考え次第、ということであるし、ドキュメンタリー映画としては面白かったのだが、日の丸に向き合っているのか、寺山修司の話なのか、脱線があったりと、まとまりはなかった。
いずれにしろ、考えるきっかけにはなるし、これが作られてた公開されることに意味がある。
まさに「あなたは戦えますか?」を本当に問われる日が来るかもしれない。
2023年劇場鑑賞47本目
1メートル四方1時間の国家
とは1m四方内だけは、
治外法権で、
義務も責任も放棄して、
国家元首として、
自由を、権利を謳歌してみろ、
つまり、
【情念の反動】に挑戦する、
という事は、
情念(もっと自由であっていい思いなど、心の動き)の反動(自主規制、冷笑など)を刺激する、
人力飛行、街へ出よう、
そして、
自分の心に向き合おう、
隣の人の心に向き合おう、
などの呼び掛けではなかったか。
実社会でも、
もっと自由であるはずなのに、
本来の自由度の半分、
その半分くらいに自己規定してないか。
おやつは300円まで、
と決められて以来、
マスクの着脱すら、
誰かが決めた事に従う、、、。
そんな寺山の呼び掛けに、
呼応した昭和の突撃街角インタビューと、
令和の、これ、は全く趣旨がちがうような気がした。
内容は1点。
頭で考えるだけではなく、
街へ出たことは1点。
同じテーマで作品を作り続ける事を願って2点、自由→解放→暴走→覚醒、、そして、、、少年、、でもなさそうな演出家よ神話になれ。
あくまでも、
日の丸とあなたの自由は関係ありますか。
が原点という解釈のもとで。