破戒のレビュー・感想・評価
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差別とはいかに重い罪かを教えてくれる作品。
もう、随分昔に「新潮文庫の百冊」の一つとして読了しました。今回Netflixで何気なく見たのですが、とても良かった。今がどうか分からないが私の頃は確か教科書で「穢多非人」を教わりました。
丑松を演じた間宮祥太朗さんが良かった。特に猪子の事件後に仰向けで顔を歪めている場面が印象に残った。
父の教えを破って出自を隠さずに生きようと決めるまでの丑松の葛藤が丁寧に、ある意味淡々と描かれていて共感できました。
アメリカを笑えない酷い差別があからさまにある時代が日本にもあったのだという事実と、これほど赤裸々ではなくても現在も様々な差別があることを考える機会となる映画でした。
差別は弱い者がすること
山深い田舎で暮らす知人が結婚する時に、祖母が結婚相手が部落の出か調べたと言っていたことを思い出し根深いんだなと思った。差別はそう簡単に無くならないと言うセリフと重なった。弱い者が差別をする、差別をして自分が上の身分だと思うことで自分を保つのだろう。差別に苦しむ間宮祥太朗の表情泣けた。
特に情報もなく有名な小説だったということも知らずに見ました。 今で...
特に情報もなく有名な小説だったということも知らずに見ました。
今では簡単に配信で見られるので、その前にしょーもない映画を見ていて
なんか時間を無駄にしたなーと思い、次はいつもは選ばないような
映画でも見ようという軽い気持ちでした。
静かだけど美しく良いストーリでした。
言葉遣いも所作も美しくていいなあと、
もうこんな日本は見られないんだなと違う視点で
寂しくなってしまいましたw
部落差別は教科書で習っただけで、ふーんくらいの知識。
今でもどうして出自で差別されて忌み嫌われなくてはいけないのか
理解できない。
私でも思うのだから当時の当事者の方たちは
筆舌に尽くしがたい思いをしたに違いないと思う。
どんなステータスの人でも孤高に信念を持ち
生きていく人は素晴らしい人だと思う。
逆に人を見下し影口ばかりを叩く人たちは
どんなに地位が高くても名誉な職に就いていても
さもしく寂しい人なんだろうなと思う。
そんなことを考えさせられる映画でした。
差別は無くならない…
悲しいけど、本当だ。すごく有名な作品なので、どんなお話なのか知りたくて観た。そんな安易な気持ちて観たのだが、思いの外感動してしまった。後半は涙が止まらなかった。大体、破戒の意味も理解していなかった。恥ずかしながら、破壊という言葉の別字かなと思っていたくらいだ。今はわかる。父親の戒めを破ったということが… 117年も前の小説だから、古さを感じてしまうのではと心配していたが、そんなことは全くなかった。原作を読んでいないので、よくわからないが、とても真面目に作られた印象を受けた。丑松が少し良い人過ぎるが、だからこそその誠実さに涙なくしてはいられなかった。自分が教える生徒たちにも、大事な親友にも、好きな人にも、自分の出自を隠さなくてはならないなんてどんなにつらいだろうか? 最後の決断は頭が下がるばかりだ。 丑松にはどうか幸せになってほしい。
脚本の加藤さんが小学生にも見てほしいと言われていたので小4の娘も一...
脚本の加藤さんが小学生にも見てほしいと言われていたので小4の娘も一緒に鑑賞。
まだ難しいかなと思ったけど、娘がこんな無意味なことをしていた時代があったんだと言っていたので見せて良かったなと。
主人公の決意や覚悟が繊細に描かれて希望に向かう終わりは強いメッセージとして残った。主人公の間宮祥太朗さん、親友の矢本悠馬さんのお芝居がとても良かった。
思ったよりハッピーエンド
もっとエグイどろどろした話と映像かと想像していましたが、綺麗な俳優さんたちとサラリとしたストーリー展開で高学年の子供たちと観られる映画作品だと思いました。
ただし、主人公の心情を思うと居たたまれない壮絶な内容で、世間や子供たちに嘘をつき通す罪悪感と好きな人にも告白できない後ろめたさと色んな感情が沸き上がり考えさせられる作品でした。誰にでも一つや二つ人には言えない隠し事があるとすれば、誰でも共感できる内容かなと思いました。ただし自分に非が無く自分では改められない隠し事を抱える重さは計り知れないものがあると感じました。
周りではすすり泣く方が結構いらして心に何かしら刺さる作品だと思います。
恋愛ものとして捉えるとハッピーエンドなのかなと感じました。
60年ぶりにリメイクされた見応えのある不朽の名作
現在でも存在すると言われる日本の部落差別をテーマに自分の出自を隠し生きている人々やその周辺で起きる出来事を描く骨太のドラマ
テーマは重いですが、作品全体の雰囲気はそんなに暗くなく、むしろ爽やかな後味の残る秀作で観やすいです
島崎藤村さんの名著の3度目で実に60年ぶりの映画化とのこと
主人公である被差別部落出身の青年 瀬川丑松を間宮祥太朗さんが熱演
見た目が男前でシュッとしてて誠実そうで、且つ出自をひた隠しにして生きているためか常に不安を背負いどこか落ち着かない雰囲気と憂いのある難しい役をしっかり演じており素晴らしかったです
瀬川が惚れる女性 志保役を演じた石井杏奈さんが和装が似合い清楚でとても綺麗です
志保もまた瀬川に思いを寄せますが告げられない、控えめな女性を確かな演技で好演しています
明治後期を描いた映像もノスタルジックで美しい
所々酷い差別描写がありますが、今でも根深く残ると言われる本当にあった日本の歴史、皆が知っておくべきと思いました
小説の題名は有名だが、このような内容だとは知らなかった
かなり前だが自分が大阪の某大学に入った時、教養課程の中に部落問題の講義があり、生まれて初めてこんなことがあることを知ってショックを受けたことを思い出した。映画の中で主人公が自分の出自を子供達に説明する場面には涙が出た。
名作を損なわない出来栄え
島崎藤村の破戒、中学で受験のために読んだときはあらすじを追っただけで終わってしまったが、大人になって読んだ時、ものすごく衝撃を受けた作品だった。
どの国にも身分制度の歴史はある。日本にももちろんあった。けれど、差別はそれとは根本的にちがうのだと思い知らされる。
この時代の部落民の扱われは壮絶で、でも事実なのだ。
丑松が親友に漏らす心の叫び、そして最後に子供達に語る言葉の一つ一つが心に沁みた。子供達が強い心で差別とは無縁の大人になってくれる、そんな未来を描ける良い映画だった。主演の間宮祥太郎の演技が素晴らしかった。
部落差別問題を扱った重厚な作品。 部落出身であることを堂々と明かし...
部落差別問題を扱った重厚な作品。
部落出身であることを堂々と明かして活動する作家が最高にかっこいい。
一方、出身地を隠しながら教師をする主人公も決して責められない。
部落差別は現代でも存在すると聞いているので、明治時代はまだまだあからさまに行われていたことは想像に難くない。
その中でも希望を持ったエンディングは爽やかだった。
勧善懲悪っぽい。辛口でしょうか。
原作を読んでいないのですが。
多分、人生は複雑です。多層的で、矛盾だらけで、混とんとしている。一部を切り取ると、そこには一定の一貫性はあるのだけれど、それだけでわかったつもりになるのは表面的にすぎない。明治の文学を現代によみがえらせるとしたら、複雑さの味付けが不可欠です。
明治においては藤村は偉大な作家であったろうし、部落差別は重い問題なのだけれど。これは児童向けの映画を見ているような気分になりました。
差別する側にも、される側にも、もっと何かがあっていい。
いつかもう一度、どこかの監督に、大きくアレンジした現代の『破戒』を描いてほしい。分かりにくさの中に、真実のようなものが滲み出してくる、味わい深い『破戒』があるとすればどんな作品になるのか。そんな作品を見てみたい。
ちょっと、欲張りでしょうか。
藤村藤村
昔のお話ということもあり間宮祥太朗さんがどのような演技をするのか楽しみにしていました。しっかり馴染んでいました。変にエロ要素など入れてないので見やすいなと印象がありました。上手く恋模様が描かれていて良かったです。
研修会で鑑賞。でも自腹でも見たい作品。
戒を破るというのは、2つの意味があると友人が教えてくれた。
・僧侶が不倫するという不邪婬。
・自分の出自を明かさず、誰も信用してはいけない、という父親の言いつけを破るということ。
人権問題だとも思われていない時代。穢多という身分だとバレるとどこでも生きていくことができない。それを隠して教員になったものの、バレないかヒヤヒヤしている。
そんなところに神経を使わないといけない現実。これは遠い昔のことではなく、今も根強く残っている。それに対してどう向き合うのかは自分次第。
池の水面に波紋が広がる!!
間宮祥太朗さんが役作りを通して
古い時代に部落差別があったことを
戒め、波紋が広がる、世間に影響を及ぼすことに例えていました。
部落差別がありそれを隠して生きなければ
ならなかった胸の内、教師だった瀬川丑松が
それを子どもたちに打ち明けたときの
面持ち、袴姿の凛とした佇まい、日本の美しい伝統を感じました。
自然豊かな山、水のせせらぎ
観終わった後に、行雲流水のように
淀みのない気持ちになりました。
いい映画でした
キャストがよかったのか古めかしさは感じられませんでした。
でも100年前の差別の実態は本当に厳しいものだったんだと実感。
瀬川先生が
「隠していて申し訳ありません。」
というようなことを子どもたちに謝っていたけれど
先生が謝ることは無くて
隠して生きなければならないような
世の中の間違いこそ申し訳ないことなのにと思いました。
ラストの志保や銀之助,子どもたちに救いや
先生のその後への光を感じました。
間宮祥太朗さんの代表作になりそう…
…原作は高校時代に担任から薦められて読んだ。主人公の心理描写に引き込まれて一気読み。藤村作品の中で一番記憶に残る小説。
憂いと苦悩を秘めた瀬川丑松が間宮祥太朗さんによって体現されていた。
彼の代表作になる予感。
被差別について詳しくないが未だに残っているだろう。
映画のなかには他にもたくさんの差別や不平等が見えていた。
自由や平等を謳う現在。
そんな社会のなかで苦しんでる人たちは想像以上に多いにちがいない。
令和の今、破戒を映画化する理由がわかった気がした。
シンプルがゆえに物語の深さが沁み入る。日本文学の素晴らしさを再認識させられる作品
島村藤村の名作「破戒」60年ぶりの映画化だったそう。
日本文学と間宮祥太朗さんの組み合わせが眩しいほどに美しく、
間宮祥太朗さんってこういう雰囲気にもピタッとハマるのかと鳥肌が立った。
『部落』という差別問題も含むナイーブな題材ではあるが
時代背景もあって前を向き進んでいく意志の強さや
真っ直ぐに人を想う気持ちは
物や真相のわからない情報に溢れる今と比べて
改めてシンプルであることの直進性の大切さを考えさせられた。
今の日本って自由だとつくづく思う。
ただ自由があるから幸せとは限らないなぁ、とも思った。
苦しみや不条理や我慢があるから、打破や解放の自由をこんなにも感じることが出来る素晴らしさ。そして何より強さ。
真の意味で男も女もない強さが身体の底から炙り出され、
胸が苦しく涙が溢れた。
眞島秀和さんの孤高的存在感が時代背景も含めてさすがで
大東駿介さんの独特な悪色も素晴らしかった。
そしてウーイェイよしたかさんが良きアクセントでした
重厚なテーマではあるが、とても美しく
観終わった後にはどこか清々しく
苦しくも心が強くなる前向きな作品だった。
丁寧な作りの良作
美しい映像、当時の生活感が感じられるセットや衣装、そして悪役たちを含む役者たちの演技。間宮祥太朗も石井杏奈は共に美形すぎる気がするがそれでこの話に興味が集まるのであれば良し。不勉強にして原作を読んでいないので原作通りなのかはわからないが、ラストにかけてのハッピーエンディングが、とりあえずは良かったと考えよう。
少し気になったのは冒頭の父親の指導とそれが後々リフレインされるあたりがかなり芝居がかった演出になっていたこと。志保とのシーンでは桜や目線で思いを表現するところはモロ恋愛映画でした。あと石橋蓮司は、息子とソリが合わなかろうが、先生に言われる前に、もう少し孫を援助してあげてほしかったなあ。
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