カラーパープルのレビュー・感想・評価
全200件中、61~80件目を表示
ミュージカルはさすがの素晴らしさだけど、ドラマの内容は相当につらいものがある一作
本作と同じアリス・ウォーカーの原作をスピルバーグは1985年に既に映画化しており、さらに本作の製作にも携わっているということで、逆光を活かした画面構成など、本作からは特に映像面で、スピルバーグの強い影響を感じ取ることができます。もっとも本作における陽光は明らかに、神の恩寵を意味しているため、スピルバーグ的撮影術の踏襲にとどまらず、作品の主題としっかりかみ合った映像となってます。
また本作は、主人公セリー(ファンテイジア・バリーノ)と歌手のシュグ(タラジ・P・ヘンソン)との関係性がより親密さを増しているなど、単なる前作リメイクではない変化を加えています。セリーを演じたバリーノは、ミュージカル版でも同じ役を演じていることを考えると、本作はスピルバーグ版のミュージカル映画化というよりも、ミュージカルの映画化、と言ったほうがより適切なのかも。
冒頭から素晴らしいミュージカル場面が展開しますが、ドラマパートもしっかりと描いていているため、鑑賞中は「ミュージカル映画」という認識はさほど持ちませんでした。
しかしそのドラマパートで展開する話の内容はなかなかきつい…。20世紀初頭以降の米国社会に生きる黒人の人々に焦点を当てているため、どうしても人種差別の問題が物語に絡んでくるんだけど、セリー達を直接的に苛む脅威は、白人による抑圧以上に実の父や夫らが振りかざす暴力的な父権主義です。
その抑圧に対してセリーやシュグらは立ち向かい、結末において一応の決着があるんだけど、それで彼女らが受けた受難の対価として十分なんだろうか…、と考えずにはいられませんでした。
なおこれまでの作品と比較してみると、シュグの人物造形や人間関係などの描写が異なっているようなので、それぞれ見比べてみるのも興味深いかも。
アメリカ版のおしん
私は生きている
スピルバーグ監督のオリジナル版は、冒頭からセリーが背負わされる過酷な運命が容赦なく突きつけられるので、観ていてとても心が重くなった。
その分、今回のミュージカル版は少しファンタジーの要素が入ったために、そこまで憂鬱な気分にはならなかった。
特に前半はセリーとネティー姉妹の絆が強く印象づけられる。
利発で垢抜けた妹のネティーとは対照的に、セリーは内気で頼りなく地味な存在だ。
しかし物語が進むうちにセリーが忍耐強く、慈悲深く、実はとても聡明な女性であることが分かってくる。
大まかな筋はオリジナル版と同じだが、ミュージカル版はより逆境に抗い、自立していく女性の強さにフォーカスが当てられた作品だと感じた。
ただ、ひとつひとつのシーンのドラマティックさではオリジナル版の方が勝っていると思った。
個人的にはとてもミュージカル向きの作品だと思っていたが、なぜか歌唱シーンもダンスナンバーもあまり印象に残らなかった。
キャラクターの魅力もオリジナル版に比べて乏しいとも感じた。
ただオリジナル版よりもセリーがありのままの自分を受け入れ、自分の生きる道を見出していくまでの過程がとても丁寧に描かれているのは良かった。
散々に醜いと言われ続けてきたセリーが、初めて自分に対して自分は美しいのだと認めるシーンは感動的だ。
そしてミスターのキャラクターも後半になって印象に残った。
ダニー・グローバーが演じたオリジナル版のミスターは、やはり非道い奴ではあるのだが、どこか不器用で憎めない部分もあった。
一方、こちらのコールマン・ドミンゴ演じるミスターはどこまでも冷血で擁護できる要素がひとつもない。
しかし、彼は自分が孤独になって初めて自分がセリーに対して行った仕打ちの残酷さを思い知る。
オリジナル版ではさらりとしか描かれなかったが、彼はセリーへの償いのためにネティーを呼び戻そうと働きかける。
ミスターがセリーの洋品店を訪れ、絶対似合わない派手なパンツを買うシーンも印象的だった。
改めてスピルバーグ監督の構成の上手さを実感させられはしたものの、今の時代に必要な要素を持った『カラー・パープル』であるとも感じた。
お父さん二人、旦那が嫌いすぎる
男尊女卑の時代に本人の意思もなく嫁ぎ、世話を焼く。
他の登場人物は自らの考えがあると歌い出すが、主人公は終盤になってやっと自らの歌を歌う。
自分のお父さんは本当のお父さんではないし、夫の父も古い考えで女性のことを貶す。そんな二人に人生を狂わされたと思うと苛立つ。そして旦那はあれだけ主人公に酷いことをしておきながら、侘びながらも主人公の職場に訪れるし、平然な顔して主人公の復活祭に参加する。主人公が許したことを表現したのだと思うけれど、もし自分だったら絶対許せない。
歌やダンスは圧巻だし、歌詞で気持ちを最大限表現していたのはとても素敵だった。
壮大なゴスペル
アリス・ウォーカーのピューリッツァ賞受賞作品をスピルバーグが映画化、その後ブロードウェイでミュージカル化され、今回ミュージカルとして再映画化。
魂の叫びが歌声となりダンスとなり発せられる。まさにミュージカル向きのストーリーだったのだ。
主人公はじめ主要キャストの歌声はパワフルで素晴らしく、群舞シーンはワクワクが止まらない。
ただ、歌とダンスが入った分、ストーリーが端折られたのか少し分かりづらい。
1985年のスピルバーグ版、ウーピー・ゴールドバーグもオプラ・ウィンフリーもダニー・グローバーも初めて観たけどキラキラと輝いていた。
スピルバーグ作品の中で一番好きな映画だった。DVDも買った。(今、一番好きなのは「1941」です)
今回の主要キャスト、既に舞台でも同じ役を演じており歌唱は素晴らしい。ただ映画向きではないのか、個人的にはオリジナルのキャストほど魅力は感じなかった。
原作者のアリス・ウォーカーさん、映画公開(1985版)から数年後、サンフランシスコの教会で講演された際に紹介してもらい握手してもらいました。とても小柄で笑顔の絶えない可愛らしい女性だった。この人が(この人の親の世代が)映画みたいな体験してきたんだなぁ、と思った覚えがあります。
黒人でも(日本人でも何人でも)、女でも(男でも)、貧しくても、醜くても、それでも私は生きている。
生きる勇気を与えてくれる、映画はこうでないとね。
(セリーはおそれていない)
時代の流れを感じた
1985年スピルバーグ監督のカラーパープルは以前、レンタルして2回見ました。それが20年くらい前?
なのでこの映画は公開前から楽しみにしてて、やっと見に行けたんですが違う映画のように感じてしまいました。もちろん今回のはミュージカルだし、私の感性も以前より大人になって擦れてしまってるかもしれません。
やっぱり時代の流れでDVとか差別シーンなんかが抑え目になっているんでしょうね。以前よりムカつく事がなく、そのせいか感情の起伏が大きく揺さぶられることは無かったです。
でもそれを差し引いても良い映画!主人公のセリーみたいな強い女性に憧れます。弱い犬ほどよく吠える、セリーの周りの男性に強さをねじ伏せられていただけで、本当に強くて賢くて心がキレイな女性です。
いつかは本場でミュージカルを見てみたいなー
その前にもう一度、スピルバーグのほうを見たいと思います!
じんわり心に花が咲く
もっとミュージカルを!
鑑賞後、改めて思ったのはスピルバーグ監督の「カラーパープル」はすごい出来だったということ。演出力は言うまでもなく、演者はみんなここからスターになっていった。
このミュージカル版は舞台版ミュージカルのリメイクでもあるけどそれは未見。スピルバーグ制作なのでセルフリメイクでもあるけど、どうしても比較してしまうと不利になるのは仕方ないが、ならば役者の魅力とミュージカルスコアを期待したが、出だしこそゴスペル炸裂で「おっ!」とのめり込んだ。それ以降も楽しめたけど、ドラマが多くミュージカルシーンはやや平凡。そのためスピルバーグの演出とどうしても比較してしまった。
でもこの「カラーパープル」が初見の人はかなり楽しめると思います。
期待を裏切らない作品
重い話でもミュージカルならば観られる
音楽は良いけど
ブロードウェイミュージカルの劇場版リメイクとのこと。
私はスピルバーグの映画の印象が強く、そもそも持っていたイメージが違うということで評価は低めになったかも知れない。
当たり前なんだろうけど、音楽はすごく良い。一曲一曲が名曲だと感じるゴスペル調やブルース。
もちろん歌声も素晴らしい。
演者たちの存在感も凄い。
ただ、物語との「噛み合わせ」が良くないというか、お話の展開がかなり強引で「次の曲への繋ぎ」みたいな話運びのように感じてしまったシーンもいくつか。
あの妹は、可哀想な割に最初から悲壮感がなく、あの時代にあの家庭に産まれてもなお危機感をあまり感じないまま生き別れ、そのままラストに至る流れとか、お父さんの急な改心とか、飲み込み難い部分が複数あったのは否めない。
黒人女性のおかれた酷い境遇を描いてはいるものの、女性にパワフルな登場人物が多いので、それほど観ていて辛くはないのは救いかな。
暗い話を明るく
黒人女性の歴史
酷な中から幸せをつかむ
こういうリメイクはいいね
自分を取り戻す痛快さ‼
生きるものの美しさ
心の中にこそ神(希望)がある
話題作でもあり、レビューの評価も良かったため鑑賞
ミュージカルパートの力強さはダンスを含めて圧巻であり、最近ではトップガンに匹敵するくらい映画館で観て良かったと思える作品でした
生き別れた家族との再会を願う主人公セリーと、強く生きるその友人たち。重苦しいテーマで目を逸らしたくなるシーンも少なくないですが、それでも2時間半を没入できるのは黒人差別や女性蔑視に立ち向かいながら自分は生きているんだという実感を取り戻す希望をそこに見るからと感じました
物語では希望は神であり、誰にでも心の中に宿っているという語り口も良かっです。ラストシーンの画もそれを示唆してた様に思います
こういう部分は原作小説由来の秀逸さでしょうか
そして、一際存在感を放っていたダニエル・ブルックスさんのアカデミー助演女優賞受賞を応援したくなりました。セレモニーが楽しみです
おまけ)ハーポさん見覚えがあると思ってたらイン・ザ・ハイツにも出てました
ありがとうございました
全200件中、61~80件目を表示











