PARALLEL パラレル

劇場公開日:

PARALLEL パラレル

解説

心に傷を抱える少女と、アニメの世界へ行きたい殺人鬼が織りなす心の交流を描いた異色のスプラッターラブストーリー。

幼い頃に両親から虐待されていた舞は、自身のつらい過去と折り合いをつけることができず、親友・佳奈とただ時間を忘れて遊ぶだけの毎日を送っていた。そんなある日、舞は美少女アニメキャラクターのコスプレ姿で殺人を繰り返している殺人鬼に遭遇する。舞に興味を抱いた殺人鬼は、正体を隠して彼女に接近。舞は自身の心の傷を、殺人鬼は自分の本当の姿を隠しながらも、2人は強くひかれあっていくが……。

舞役に「いつまでも忘れないよ」の楢葉ももな。監督は、大学の卒業制作として手がけたヒーロー映画「FILAMENT」が高く評価された田中大貴。第15回田辺・弁慶映画祭のコンペティション部門に出品され、映画.com賞を受賞。2022年9月、田辺・弁慶映画祭の受賞作品を上映する「田辺・弁慶映画祭セレクション2022」で上映。2023年7月に単独で劇場公開。

2021年製作/84分/R15+/日本
劇場公開日:2023年7月21日

その他の公開日:2022年9月25日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

3.5自主製作映画の極み、作家の内から溢れ出た結晶

2022年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

 他人とのコミュニケーションがさらに希薄になった時代に、必然的に産み落とされた傑作か、それとも問題作か―。田中大貴監督が製作・脚本・撮影・照明・編集・特殊造形・VFXも兼任した本作は、自主製作映画の極みの一本と言え、作家の内から溢れ出た結晶である。

 ボカロ的な音楽とともに、劇中のアニメ作品はそれだけでしっかりと世界観が構築されている。また殺人描写や、過去の記憶、現実世界の日常の映像が、赤と青を基調とした色彩とともに押し寄せ、見る者を圧倒する。その一方で、懐かしい記憶や、静寂の風景と音楽、そして2人のどこか悲しげでありながら、愛を乞うような表情が、それまでの狂気との対比になっている。

 楢葉ももなが長編映画初主演とは思えない存在感で舞を演じ、殺人鬼の多面性を芳村宗治郎が繊細に演じ分けている。振り切ったスプラッター映画としてだけでも充分濃度は高いが、ラブストーリーの形をとりながら、現代社会の壊れた心、稀薄化した人間関係、そして現実世界での本当の自分とは何なのか、という田中監督の真の思いが、見終わった後に響いてくるだろう。

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和田隆

4.0so beautiful !!

2024年7月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

なんて美しく残酷で優しい映画!
というのが鑑賞しての素直な感想。
それぞれに親からの壮絶な虐待を受けて育ったパパ活女子とコスプレ殺人鬼の純愛ホラーもの。
「私たちが受けたどんな傷も、どんな苦しみだって、いつか強力な魔法になって・・・必ず・・・輝くから!」
この劇中アニメキャラのセリフが映画のメッセージとして胸に刺さった。
闇の奥に繋がる傷と傷の美しい絆!

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フランケン

4.5自主製作と映画館で流せる範囲のギリギリのライン

2024年7月15日
PCから投稿

今年253本目(合計1,345本目/今月(2024年7月度)16本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

(前の作品 「呪葬」→この作品「PARALLEL パラレル」→次の作品「」)

 他の方も書かれていますが、自主作品とミニシアターで流せるギリギリの範囲かなという気がします。実際、放映されていたのはミニシアターでしたし…。

 80分ほどの映画なのでストーリーは発散しないかなと思いつつ、児童虐待の問題を問いたいのか、映画内で参照されるアニメ(何とかカイニがどうこう)の話なのか、あるいはある種ホラーなのか、展開が色々発散して読みづらいといったところです。幸いにも現在はVODで見られるようなので、それ優先もありなのかな…といったところです。

 この「何とかカイニがどうこう」については、過去に上映されていた映画館ではそこだけ切り取ったアニメ作品を両方上映されていた映画館(ミニシアターが中心)があったようですが今回はなし。この点も、この映画内ではこのアニメの話はちらっと出るか出ないかなので(極論、出なくても問題はない)、さらに混乱させてくるような気がします。

 近畿圏では放映されている映画館があったのでみましたが、ここ(映画.com)ではVODでも見られるようですし、VODでもよいのでは…という気がします(上記に書いたとおり、この映画で触れられる「カイニ」の話が含まれない上映形態だと理解度が落ちるため)。

 採点にあたっては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/金銭債権は履行不能になるか)

 金銭債権は履行不能になりません(419条)。「スマホがない」(映画内)は言い訳にならず、「不可抗力をもって抗弁することができない」ため(419条の3)、金銭債権(金銭の貸し借り)は、極論、大地震などでATMが止まっている状況でも期限が来れば「返して」に返して対抗できません(権利濫用の問題除く)。これは、金銭を貸している側の保護をはかったものです(実際、民法大改正のときには、「大災害等は除くべき」といった意見も出たようですが「貸した側の権利を守るべき」ということで改正はされていません)。
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yukispica

5.0新時代のヌーヴェルヴァーグ監督作品

2024年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

怖い

興奮

『PARALLEL パラレル』を映画.com配信で観た。
もう中高年である私が若き青春時代に観た映画を思い出した。パラレルはどこか懐かしいが新しい作品で奥深く味のある、何度も観てみたくなる作品だ。
フランス・ヌーベルヴァーグの旗手であるジャン・リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』(P・ベルモント/ジーン・セバーグ主演)や日本の大島渚監督の『愛のコリーダ』や松本俊夫監督の『薔薇の葬列』なども同時代のヌーヴェルヴァーグで、若い時代に観たそれらを彷彿とさせる作品である。
新時代のヌーヴェルヴァーグとして次回作品をも期待できる監督作品だ!

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ken