PLAN 75のレビュー・感想・評価
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安楽死に妥協を許さない作品
安楽死を容認する近未来を描きながら、それををよしとしない視線。
そこに新しさは感じないが、命を右から左に流すことの是非を鋭く抉る。
命の選択は、けっして役所のやっつけ仕事ではない。
事務的に済ませるものではない。
PLAN75を選択する者も執行する者も、心なしではすまされない。
そこは譲らない。そこはぶれてない。
居場所のない孤独に甘んじてはいけないし、許してもいけない。
そこは粘り通さなければならない。
アメリカ映画では安楽死を正当化する作品が散見される。
だが、早川千絵はけっして妥協を許さない。
倍賞千恵子は、監督に倣って、抑えに抑えて、運命に抗っている。
その姿がいつまでも心に焼き付く。
なんて素晴らしいプランなんだ。惨めに生きるぐらいなら、安らかに健や...
泣きすぎてあたまいたい… 嗚咽出るくらい泣きました。 フィクション...
静かで深く濃い映画でした
登場人物の気持ちを表すような影の使いかたなど
小説で言うところの【行間】の開け方・・・というか
間を置くことで考える時間を持てる絶妙さを感じました
個人的には内容も無駄が少なく重要な描写を綺麗につなぎ合わせていて
登場人物の気持ちの変化がしっかり伝わってきました。
内容は非常にセンシティブで
登場人物それぞれの立場で考えてもハッピーエンドが一つもない
・利用者・・仕方なく尊厳死を選ばされる→実際は産業廃棄物の残骨灰として処分
実際利用者が増えたら・・周りからあなたはなぜ・・・という雰囲気もでるだろう
・担当者・・事務的に業務として行っていたが、身内の利用により考えが変わり遺体泥棒
・オペレーター・・相手が人だという事に気が付き考えが変わり、途中でやめることが出来ると暗に進めてしまう。
・外国人労働者・・職業需要は増えて収入は良くなったが・・死の上に成り立つものを受け止められるのか
・主人公・・逃げてしまって夕陽を見て心機一転のような雰囲気で終わっているが、実際ならどうなるだろう? 住んでいたところは引き払ってもう借りられない・・仕事もない・・・10万円やそこまでの費用も返す必要が出るかもしれない・・・身内も居ない・・・
完全にバッドエンドにしか見えない。
かと言ってプラン75に代わるような政治的な解決策もなかなか出そうにもない・・
日本の良くない分岐のパラレルワールドを見た気分です。
「間」がやや長すぎる
素晴らしい映画だと思う
75歳になったら自由に自らの死を選ぶ権利を国民1人1人に与えます。そんな世の中になったら、という世界で生きる人達の姿を描いた作品でした。
人が生きる中でお金や仕事、自分の存在意義。
そういったものが若い時に比べるとどんどん減ってくると感じました。75歳という年齢になると、体力的にも精神的にも考えると働く場所も限られる事になる。
世の中では、高齢者に対して優しくありましょう!
高齢者を敬いましょう!というのが当たり前でこの映画でもそれは、形が違えど同じことだと感じました。
ただ、現実として考えると生きるという事と死を選ぶということは、選択という意味では同じなのかもしれない。残されたものがないするなら、往生して死ぬるのかもしれない。
死んではいけないと現実では、言われるが…
この映画を見ていると生きている事で生活苦しむなら、まるで生殺しのようなものではないか?
と感じてしまいました。
あくまでもフィクションであるので、どんな答えが出てきても間違いではないと思う。
これが世間の中で問題作として認識されたのは、
あまりにもリアルで今までの人達がタブー視して、目を背けてきたからではないのかな?と思った。
この作品には、見る人によっては、とても不快に感じる所もあるかもしれない。
でも、不快に感じるという事は、この映画の中でのテーマが自分が目を向けるべき現実だからではないのかなと感じました。
予告からこんな制度が本当にあったらどうなるのだろう、思い切ったテー...
予告からこんな制度が本当にあったらどうなるのだろう、思い切ったテーマな所に惹かれ楽しみにしていました。
自分自身長生きしたいと思っていないのでplan75があれば利用するかなと考えてみていましたが周りが利用するなら私も流されて利用するかもしれないな
自分のおばあちゃんと会うといつもニコニコしている印象だったけれどこの映画では高齢者の一人暮らしで体も不自由、お金も十分にないというリアルは想像以上に色や活気のない生活だった。
給付金で貰う政府からの10万円は大きいけれど死を前にしての10万円は小さく感じる。まだ自分が若いからだとおもうけれど、、
独り身ならばいいけれど周囲に家族や友人がいたら話は変わってくるしplan75に関わる人がみんな不幸せになっていく感じがおそろしい、plan75を色んなところで受けられるようにしている所がマイナンバーカードの受付に似ていて現実味があった。
職員に八つ当たりをする人もいたがやりたくてやっている訳じゃなく仕事だし。人間が人間を殺すって恐ろしいことだと思った。でもロボットがやればいいかと言われたらそうじゃないし、、人が死ぬって大変なことなんだ
映画で描かれているものが全てじゃないけれどいつも自分の想像力のなさ気付かされたり、他人の人生を生きているような感覚になるところが面白いなと久しぶりにこのような映画を見て思いました
極めて難解
何故この作品の評価が高いのかさっぱり分からなかった。オムニバス方式なのか3人がからまないし、画面の展開も意味が分からないところが多く極めて難解でイライラする。まるで観ている自分の考察力が足りないのかと思えるくらいだな。
死者の所有物を盗んで手にして嬉しいのか。産廃業者がリストに入っていたのはちゃんと埋葬していないという事か。死出の旅立ちの折に私用の電話とは何事か。ラストシーンも倍賞千恵子はどうしたかったのか、何故止めたのか。縄跳びの少女から手を振られて生きたくなったのか。この映画で設定したPLAN75をくさすような展開は自己矛盾しているだけなのか。
まあ逆説的に生きることは素晴らしい事と言いたいなら分からなくもないが即物的じゃないから難解だね。
テーマが面白い設定であったのか劇場で予告編は目にして印象に残っていたが、劇場で観なくてよかった。
本音と建前
新レビュー
2025/6/21 レビュー
日本には国にも国民にも余裕がない
高齢になればなるほどに自分の生きる術が当たり前だけど減ってしまう
家族は当てに出来ない、子供に迷惑をかけたくないと言う人も多いのだと思う
生きてるだけで儲けもの、奇跡なのだから安易に死ぬものじゃない
覚悟して最後まで生き抜きたいものです
2023/2/21 レビュー
もうこの法案が可決したのではないかと思うほどのリアルさがある映画
非常に心が痛くなるほど見ていて辛い
生きていくための道が一つずつ閉ざされてゆき徐々にPLAN75へと引き寄せられていく
「子供は宝」「老人は誉れ」と言う
邪魔者目線で見てしまったら何だっていらなくなってしまうでしょうに
かなり怖い作品でした
尊厳死のあり方に訴えかける映画だが…
めちゃくちゃいい作品
劇中特別な説明台詞もないため、なんの予備知識を持たず見るとタイトルにもあるPLAN75というのがなんとなーく推測出来てもはっきりと分からず、あとその計画の意図もしっかりわからず終始モヤモヤします。
全体的に重く暗く進んでいくストーリで、この映画の核心部分も分からずこのまま、これ系にありがちな視聴者に答えだけをゆだねる形で終わるのかなと思っていたら最後に心が震えるほどの静かな感動がありました。
そこには監督の答えがはっきりと示されていて、
尚且つ視聴者を信用しないとこの作り方は出来ないと感じました。
高齢化とその先の未来を全世代に突き付けた作品ですが、
主演をしてるそれぞれ3人の出した答えがとても好感が持てます。
またその答えをセリフではなく映像だけで見せ切った監督は素晴らしい。
演技に関しては磯村勇斗さん、ステファニーアリエンさんたちが
見事に支えていて素晴らしく、
倍賞千恵子さんに関してはこの難役をさすがの域で演じていて、もう大優勝でした。
この数年で見ても素晴らしい作品で、こういう作品が評価されないなら
どんな名誉ある映画の賞もうすら寒く感じる程です。
ただ起承転結がはっきりして分かりやすい内容が好きな人たちには
受け入れにくい作品だと思うので評価がくっきり分かれるかもしれない
個人的には出会えてよかったし映画館でみるべき作品だった。
PLAN 75・・とは?
75歳になったら、
自らが生死を決定する権利を保障して、支援する制度のこと。
もちろん架空の設定です。
早川千絵監督が10年後をテーマにしたオムニバスの一編として監督した短編を
自ら長編化しました。
この映画は日本の高齢化社会の現実を鋭く突いています。
ヒロムが「PLAN 75」制度で死んだ叔父(たかお鷹=好演)を、
せめて火葬だけでもしてあげようとして
自分の車に叔父の遺体を助手席に乗せて走り、
スピード違反で白バイに停止を求められる。
《・・・職務違反の遺体の無断持ち出し・・・》
このシーンはかなりサスペンスフルで、緊張感が高まりました。
早川千絵監督(46歳の女性)は、
インタビュー動画で、こう語っています。
若い人に、
「自分達が何に組み込まれているのか?」
「何に加担しているのか?」
気づいてほしい・・・と。
岡部ヒロム(磯村勇斗)と成宮瑶子(河合優美)と
マリア(ステファニー・アリアン)の3人がその若い人で、
ヒロムは「PLAN 75」の申請窓口の担当者の市役所職員。
瑶子は「PLAN 75」のサポート業務担当のコールセンター職員。
マリアは介護職員から娘の心臓手術費用を稼ぐために更に高額な
「PLAN 75」で遺品の整理などの仕事に転職するフィリピン人女性。
前述のヒロムの止むに止まれぬ行動。
20年も疎遠だった叔父が「PLAN 75」への応募で再会する
どうしようもなく込み上げる不憫さと肉親への情・・・
決行の日に寝坊して頼ってくる叔父を食堂に誘い、
お酒を注文して・・・叔父は車酔いして吐いてしまう・・・
(早川監督のリアリズム描写が憎いほどです)
主役の角谷ミチ(倍賞千恵子)。
2度の離婚そして出産時に子供を失い天涯孤独。
働き詰めの人生でした。
ホテルの清掃員を解雇され「PLAN 75」を遂に選択します。
ミチの担当者の瑶子は、会話を交わすうちに次第にミチに
祖母に対するような愛情を感じていきます。
ミチと瑶子がミチの懇願で対面するシーン。
ミチは思い出の場所でクリームソーダを飲み、
2人がボーリングに興じるシーンは美しい。
隣のレーンの若者ともハイタッチを交わしたミチの
嬉しそうな顔。
そしてミチに最後の別れを告げられた瑶子は
動揺して涙ぐみ言葉にならない。
確かに長高齢化社会の歪みは大きい。
若い人の社会保険料の負担。
高齢者の医療費に注がれる巨大な費用の肩代わり。
若者の税負担は非常に重たいです。
「俺たち自分たちの世代は年金が貰えない」
そんな言葉もよく聞きます。
ラストがとてもリアルでした。
ミチは吐き気止めを飲んだ後、マスク越しに全身麻酔のような薬で
眠らせられるところで、
装置に不具合が発生する。
隣りがヒロムの叔父で、やがて呼吸が間遠になり呼吸を止める・・・
急激に不安な表情に変わるミチ。
倍賞の演技が冴える。
ミチの本心は
「生きていたい」なのです。
ラストの歌、途切れ途切れの、
「林檎の木の下で、
「明日また逢いましょう」
夕日が美しく映え、生きてることの
喜びを慎ましく表現しているシーン。
その後ミチが経済的にどう生活を立て直すか不明ですが、
希望を感じるラストです。
実際に国民年金受給者は貯蓄のない者は生きていけないのです。
「稲ちゃん」や「ミチ」のように後期高齢者になっても
働かざる得ない社会なのです。
そして更に政府は年金受給年齢の引き上げを検討している。
受給年齢の65歳までどう食いつなぐか?
悩む人々はとても多いです。
日本は北欧の福祉国家のように安心して老後を迎えられる国ではない。
だから「PLAN 75」が生まれたのです。
「PLAN 75」は、
一見合理的なようだが、
ヒロムや瑶子、そしてマリアのように
制度に疑問を持ち精神を
疲弊させていく若者がいる。
それでなくても超高齢化社会で若者の覇気が失われて、
若者の心に希望が少ない。
この映画は今年のアカデミー賞の
国際長編映画賞の日本代表に決定しました。
是枝裕和監督からは、“誇りに思う“と声を掛けられたそうです。
どうリアクションしたら良いか悩む~
おもしろかった、とか、泣けた、とか、金返せ!とか、映画を観ると、何かおみやげ想いを持って帰るのですが、これは困りました~。
ただ、倍賞千恵子さんが、隣の老人が絶命していくのを見て、生き続けることを選択する(脱走する)くだりは、後1.2分でいいから倍賞千恵子の渾身の熱い演技を入れるとよかったのでは、と思いました。
しかし、リンゴの木の下で~と倍賞千恵子さんが歌うシーンは唄が上手すぎる!老人会のカラオケ会になってない!まあ松竹のトップスターだから仕方ないか....。
シン男はつらいよ終章
基本は社会を一つでくくるなって事。この映画では理解出来ない。
『78歳の主人公ミチと同世代の女性の多くは(PLAN75に)肯定的なんです。』この映画の監督の言葉を引用しました。実際の雑誌に載った彼女の言葉です。鑑賞者の皆さんはどう感じますか?
この監督が言う『賛成の印象を持った78歳位の老人』とは、こう言った問題に直面していない方だと思います。しかし、障害を持った方、重篤な病を抱えた方に『PLAN75に賛成ですか?』と聞いて、なんて答えると思いますか?そもそも、そんな事聞けますか?
それがこの映画の価値だと思います。
どの位の価値かは、この映画をご覧になってみたらいかがでしょうか?
賢明な皆さん、話し合うのではなく、自分の考えを持ってください。自分の生命です。自分の生命を、法律や他人の意思で決めて良いのですか?
自死であっても、自分の意思で死ぬから、尊厳死と言うのではないでしょうか。
他人事だから、泣けるんです。だから、僕は泣けません。
アフリカで『女性の一部を切除する習慣を無くす運動』が起こっていると報道がありました。人口が増えて経済がたちいかないアフリカでは『仕方ない』と言えるのか? さて、
中絶の良し悪し、優生保護法の良し悪し。色々な意見があると思いますが、要は、自分自身の意思が、反映されていない事が問題だと思います。
この映画は、アフリカの悪しき習慣を日本で復活させようって、問いかけているようなものです。ニューヨークのクリエーターの作品には到底見えません。
追記 Amazonで配信始まった。映画が始まって直ぐに確認が取れた。やはり、間違っていなかった。それを、どう解釈するかは見る人の自由だが、僕は閉口した。確実に閉口した。
やはり、僕にとっては人生最悪の映画だった。いゃ、映画だ。
始まりの場面右下を、じっくり確認してもらいたい。驚けない人はwikiで確認すると良い。
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