劇場公開日 2022年6月17日

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「近未来の話ではなく選択していない側のパラドックス世界」PLAN 75 asicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0近未来の話ではなく選択していない側のパラドックス世界

2023年3月8日
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いろんなことを思った。

ラストから。
あの倍賞千恵子があの後、どうやって生きて行くのか。
余程の決意で選択したわけではないのか?

無責任に、「頑張れ、良かった」と
言っていいとは 私は思えなかった。

仕事は?家は?
問題山積です。
家族もない。友人も年寄りで年々減って行くしその友人たちだって肩身の狭い生き方してるのが多いわけで。
頑張って生きる。ってそれが正解だって言い切れるのか。

はっきりしている事は 歳をとる前に終の住処は持っておかねばならぬという事。
賃貸だけで生きていけると思うのは若い時だけ。
公団や老人ホームで僅かな年金暮らしをするのか。
年金なんて年々減ってて、しかも医療費も高齢者にはめちゃくちゃ冷たいのですが?

昨今の若い人発信の中に、俺たちの働くお金で老人がいい思いをしてる的な発言が目立つんだけれど、その、彼らが望むシステム(老人はいい思いをしなくなるシステム)って、自分の将来の暮らしにダイレクトに響いて来るシステムなんだよなあって気づいたりはしないのだろうか。
自分は年寄りにならないと?

まあ 自分は最初っからオトナだった赤ん坊だった事なんてありません、みたいな思考に似てるけれど。

この作品
徹頭徹尾 お役所風 つまり マニュアルがあって、誰もが頭で考えなくても出来る仕事で世の中が埋め尽くされていて
その言葉も柔らかく、でも感情はいらない。
これってフィクションじゃなくて割と今もそのままこの通り。

だから逆にここの登場人物たちには心を持つ人々がたくさん存在しているようにさえ思える。
たぶん監督である彼女の性質が反映されているのだろう。
マジで実際の現世はこんなにあたたかくないのですよ。

昨今 何か困った目に遭ってみたらわかるんだけれども
誰も彼も どこもかしこも
クレームを恐れるだけの機械人間の多さに本当に驚く。

そこに 愛はあるんか?

って言いたくなります。

決まり?決まりだからなに?
決まりを作るのは人間 不都合を回避するための決まりであったはずなのに決まりが人を振り回す。

それに比べたらこの作品の世界のみんなが、とても人間味溢れる素晴らしい人たちに見えた。

この頃 超売れっ子の磯村勇斗が、淡々とした役所仕事をこなす中で叔父の姿を見つけて初めて 身内に代えてものを考えてみる立場 という姿を好演している。

私の母は今年91。
まだ現役で仕事をするスーパーウーマンであるが
母は 間違いなく無料のこの合同葬儀を選択するだろうなあと思う。
葬式なんてお金かけてする物じゃないんだ、そんなのはハタ迷惑だ、くらいの思想の持ち主。
まだまだ日々お金を稼いでいる人だけれど、自分の葬式は絶対するな、それだけは守れと言いつかっている。

asica
きりんさんのコメント
2024年1月7日

あっ、そうそう、
僕もレビューの何本かを削除されていますよ。お仲間ですよ。
「好き・嫌い」を表明するための本サイトだと認識していたのですが、そこで削除処分とか、クソ笑うんですがね、
それでも敢えてつまらなそうな映画をチョイスして? 首を突っ込んで? 消されても消されても下げ評価の“竹槍突撃”を諦めないasicaさんには尊敬しかないです。w

電波が悪く返信遅れました。
今年もよろしくお願いします。

きりん
きりんさんのコメント
2024年1月7日

「妖怪の孫」へも
コメントありがとうございました

長くお務めになった安倍さん、
「仕事と立場が人を育てる」という典型と、+家柄と、+元々のパーソナリティが見事に合致して爆発したタイプなんでしょうね。
長く政権にあった自信と責任感から、まったく物怖じせずに大国・諸外国と渡り合ったのです。見ている景色が他の政治化たちとは違った。
やはり大統領タイプの大したお人でした。

「国会の本会議場で妻を庇って猛抗議する姿」、僕も目に焼き付いています。あれで理屈抜きで世の女性たちの恋人になったのではないかな。

(天皇制は、僕は、人間の命に上下貴賤のランクを付けるので嫌いなのですが) 、
徳仁さんも、連れ合いの雅子さんを守るために、しどろもどろで引っ掛かりながら、そして震えながら、誰か侍従が用意した文言ではなく自分の生の言葉で、怒りを表明したニュースを見て、 こいついいやつじゃん と僕は感動したんですよ。同い年なので。

それ以外の部分では千代田区の豪族も、縁戚にあたる山口の豪族にも、✕ですが。

きりん
きりんさんのコメント
2024年1月7日

まずは「PLAN75」へのお返事から。
いつも笑かしてくれるasicaさん、あけましておめでとうございます🎍✨
昨秋より「ボクたちは大人になれなかった」の御レビューで、ずっと思い出し笑いで 笑い続けているきりんです。

反男性主義。
さすがasicaさん、あなたこそ吉野ケ里の卑弥呼の末裔だ!と思います。
女系で子育てをし、一族を守るのは、霊長類の群れの最も自然な姿ですからね。
銀座のお母さま憧れます。そして娘さんたち、素敵だなぁ。もちろんasicaさんご本人も。

あちこち正直に突っ込んでもらえて、いつもとても嬉しいです。
西の国にお帰りになって墳墓造営の暁には、微力な土方ながら きりんをお使いください。
※工費の400万円は先にこちらに振り込んでください。

いっぱいお喋りしたいけれど、とりあえずここまで、

あと2年で定年のきりんより
Adieu

きりん
マサシさんのコメント
2023年3月9日

共感ありがとうございます。また、フォローまでして頂き、誠にありがとうございます。

僕は色々と書かせていただいておりますが、中には矛盾した事を申しているかもしれません。その点を無視して頂き、この映画に限ってもう一度申したいと思います。結論を申します。

個人の思いや考えを、社会や他人が束縛してはならないって思っています。
死ぬも生きるも個人の自由です。その上で、尊厳死は語られなければ駄目です。どんな理由があっても、社会が個人に死を迫るって事は『死刑』と同じ訳ですから、斬新な新しい考えではないと思います。曲解すれば『特攻隊』の考えに僕は似ていると思います。
アフリカの女性器の問題は、産児制限でなくとも、男性の都合で女性が虐げられています。つまり、社会による個人の意思への束縛だと思います。
一方で中絶の問題があります。生命の倫理上『中絶は駄目』とする考えです。しかし、言うまでもなく、そこに女性の意思が反映されていません。また、優生保護法の問題がありますが、正に個人の意思を無視しています。
中絶、優生保護法、全く逆方向のベクトルですが、問題なのは個人の意思が無視されている事だと思います。
この映画が低評価なのは、それをきちんと説明していない所にあります。

老人の死に関してですが、母方の祖父が96歳まで天寿を全うしたのですが、彼は死に際に『死にたくない』って言ったそうです。嘘の様な本当の話です。55年前の話で、証明は出来ませんが。僕はその言葉を信じて、日頃から死にたくないと思って生きています。そう、社会のためなんかに死んでたまるかと思っています。
長々とすみませんでした。フォローさせて頂きます。

マサシ
asicaさんのコメント
2023年3月9日

NOBUさん
白洲次郎さんは凄い方ですよね。正子さんかその御親戚かが、うちの母も少し接点があったように聞いた事があります。
戦後経済を語るには外せない人です。
私は最近、若い人(受付営業業務等の)とのやり取りに 立て続けに4件程腹立たしい事案がありウンザリしています。
そういう人間しか雇えない会社とは取引きしない!のが正解と考えて別会社を選択。役所はそうも行かないですが。
やはり社会は人で成り立っていますよね

asica
asicaさんのコメント
2023年3月9日

商売上の付き合いの人や母の知人を呼んでの葬式をするなという意味だと思います。
母が長く飼っていた犬が死んだ時に合同火葬を選んでいましたが、私は自分の家の猫はとてもじゃないけど無理で個別葬で骨壷に入れてもらいました。つまりこの作品の合同とは骨がみんなとごっちゃになって一つの穴に埋められる事を意味するのではないかと思います。だから叔父の遺体を持ち出した彼はその先どうするのかの方が興味あります。現実ってそういう事ですよね。

asica
asicaさんのコメント
2023年3月9日

マサシさん。うちの母は既に商売上の付き合いで墓を購入しており、一昨年墓石も文句言いながらも購入しました。私が「そんなのいらないって言ってたら私が買う羽目になる」と言ったからです。
そのお寺は拝金主義で全くお金のかかる寺で困ったものですが今更しょうがない。私は夫の家の墓に入る予定で田舎はお金がかからないのでいいですが帰省にはお金がかかります。でも田舎の人との交流はその時くらいだからそれもアリだと思っています。
母は家族葬まで否定してるのではなくsy

asica
NOBUさんのコメント
2023年3月8日

今晩は。
 今作は、現代社会に重いテーマを問い掛けた秀作でしたね。
 私は、基本お役所の方々(特に偉そうな連中)は好きではないのですが、最近は若い方程一生懸命に仕事をしている気がします。
 我が家も、両親は元気で有難い限りなのですが、では私が今作の75歳になる30年後にどうなっているか・・。私は、白洲次郎という終戦直後吉田茂首相の下で働いた我社とも少しだけ接点がある方の生き方が好きでして。(奥様の白洲正子さんの著作は全て読んでいます。)
 白洲さんの”葬式不要、戒名不要”と言う考え方が好きで、家人には”俺が死んだら、南アルプスの空木岳から散骨してくれ!”と言ったら”面倒だから嫌だ!”(涙)と言われました。(法律上も駄目)。
 人間が、人間として尊厳ある死を迎えられる社会は、私はいつか来ると信じています。では。

NOBU
マサシさんのコメント
2023年3月8日

不躾に縁起でもない話をして申し訳ありません。貴殿のお母様が我が母と同い年で、まだ、元気で仕事をしていらっしゃると伺い、大変に羨ましく思いました。気を悪くしたら申し訳ありません。

マサシ
マサシさんのコメント
2023年3月8日

お母様のおっしゃる通りです。ただ、貴殿のお母様はこう言った合同葬儀も選ばないと思います。なぜなら、家族が取り仕切る『小さな葬式』すら拒否していらっしゃる。それが『合同葬儀』となれば、国が行うわけですから、一人一人の経費は抑えられても、全体は規模の大きなものになります。僕がその立場であれば、おこがましいって感じます。
我が親父に聞いたら『生きているんだ。葬式なんてどうでも良い。』って言ってました。だから、骨焼いて!粉にしてもらって海に散骨しました。この映画で貰える10万円ですみました。
僕はいくつになっても死ぬのが怖いと思っています。そして、一番大事な事は、自分で死ぬことすら出来ない重度の障害者がいらっしゃると言う事を忘れては行けないと思います。尊厳死とはそこから、枝分かれした考えなのです。だから、社会がたちいかなくなるから、『そう言った者を切り捨てろ』と絶対に考えては駄目なのです。話し合う事すら駄目です。それを忘れないでください。いずれ、御自分も自分では死ねない状態が、必ず訪れます。その時分かりますが、分かってもその時は遅いですね。恐怖ですよ。

マサシ