「フィクションとして実にいいバランスのアイデア」PLAN 75 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションとして実にいいバランスのアイデア
私も50を過ぎ、「もしPLAN75政策が現実にあったら」という想像が、「もし宝くじで3億円当たったら」よりもよっぽど前のめりに考えてしまいそうなくらい、現実にはあり得ないと思いつつもついつい想像を膨らませるほど「フィクションとして実にいいバランスのアイデア」だと思います。
そして、如何にも「お国による政策的な粗」に痛烈な皮肉が込められています。
「欺瞞に満ちたCM」や、民間では考えられないような「請負業者のクオリティ」などは一瞬、「リアリティラインが低いのでは?」と思いそうになるものの、考えてみれば現実世界において「いざ発覚して初めて知る不祥事」などを振り返ると、このPLAN75の世界が物語っていることが実は、現実に近いのかも、、、と考えてしまったり。特に、マリア(ステファニー・アリアン)が務めるあの場所での遺品の扱いなど、もはや「ナチスの収容所」のようでゾッとします。
制度の側にいる若い人たちには悪意がないばかりか、むしろ高齢者のため親身に対応しています。でも実はその背景に、彼らに特別な感情を抱かせないよう「絶妙なルール」が設定されています。そして、岡部(磯村勇斗)と成宮(河合優実)がそれを不意に超えてしまうことで、現実を実感することとなる構成が、高い物語性で面白い仕上がりになっていると思います。
倍賞さん、たかおさん他「高齢者側」の皆さん、そして「若者側」の磯村さん、河合さんなど皆さん素晴らしい演技だと思います。そして早川監督、今後も注目です。
コメントする